市進ホールディングス、早稲田アカデミーなど大手学習塾は、2011年度の生徒1人当たり売上高が増加に転じそうだ。新指導要領の導入に伴い、生徒が多くの授業を受ける傾向にあることが追い風となる。東日本大震災後の広告自粛で生徒獲得は遅れ気味だが、「単価」アップが業績を支える。
大人数の授業が主体の市進HDは、傘下の個学舎を通じて個別授業にも力を入れている。「個別」は教師1人に生徒1〜2人というきめ細かい授業が特徴で、09年2月期は1人当たり50万円強だった。景気低迷による家計の教育費抑制が響き、11年2月期には30万円を割ったが、今期は35万円程度に回復する見込みだ。
復調の一因は学習量が増えた新指導要領が今年度から小学校で導入されたこと。受験を控えた小学校高学年や中学3年生などが受ける授業を週1コマ増やした場合、「生徒1人当たりの売り上げが2割上がる」(市進HD)という。個別授業の売上高は全体の2割だが、利益寄与は大きい。
早稲アカは12年3月期に新ブランドの「早稲田アカデミー個別進学館」を新たに2校開設する。個別進学館の売上高営業利益率は約15%になる見込みで、早稲アカ単独の3%(前期実績)を大きく上回る。大人数授業でも理科や社会、日曜コースの受講増を促し、今期の生徒1人当たり売上高(予備校除く)は約1万8千円増の60万円強となりそうだ。
学習塾最大手の栄光も個別指導の拡充を進める。今期は英会話を除く教育事業で、生徒1人当たり年43万円強の売り上げになるもよう。前期比で約5千円の単価アップとなる。個別型が主力の明光ネットワークジャパンやリソー教育も単価上昇が続く。
矢野経済研究所の推計によると、10年度の学習塾・予備校の市場規模は約9300億円。このうち個別指導は3870億円と4割強を占める。
少子化が進むなか、学習塾の収益環境は予断を許さない。「個別」重視の戦略が勝ち残りのカギとなりそうだ。