開業資金は平均いくら必要?内訳や目安費用を業種別に紹介

最終更新日:2022年04月26日

独立や開業をするには必ず開業資金が必要です。
開業資金は大きく「設備資金」と「諸費用」に分けられ、設備投資を必要とする業種の場合は「設備資金」が高額になるかもしれません。
また開業のための事務手続き費用や登記費用、保証金など「諸経費」が必要です。

あらかじめ必要な開業資金を見積もり、計画を立てて準備しましょう。

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目次

開業資金の内訳と平均費用

業種別!準備すべき開業資金の平均目安

開業資金に計上できるもの

開業資金に計上できないもの

業態ごとに開業資金の平均額をおさえておこう

開業資金の内訳と平均費用

開業資金の内訳と平均費用

ひとくちに開業資金といっても、内訳はさまざまです。まず開業資金の内訳と平均費用について紹介します。独立や開業を考えている業種によって、必要となる開業資金は変わります。どのような業種で独立・開業するかイメージしながら、必要な開業資金をイメージしましょう。

土地・建物・テナント費

まず事務所や店舗を構える場合、土地や建物・テナントを取得するための費用が必要です。テナントを借りるケースが多いですが、土地を持っている人や、資金に余裕があり土地からの取得を考える人など、取得方法や状況に応じて必要な資金が大きく変わります。また物件取得費用以外にも下記の費用が発生します。

  • 礼金 賃料の1~2ヵ月
  • 保証金(敷金) 賃料の1~10ヵ分
  • 仲介手数料 賃料の1ヵ分
  • 前払い賃料 賃料の1~2ヵ分
  • その他(内装・外装費用、火災保険料や鍵交換代など)

仮に賃料20万円のテナントを借りる際は、100~320万円ほどの資金が必要となります。開業資金のなかでもウエイトの大きい項目です。

内装・外装費用

事務所や店舗を決めたあとに内装・外装を変更する場合には改装が必要です。改装する場合はテナント取得費用とは別に資金が必要になります。
改装する範囲や資材のグレードによって必要な資金は異なりますが、テナント取得費用と共に開業資金のなかで金額が大きい項目です。たとえばコンビニの改装で数百万~1,000万円ほどが、必要な費用の目安といわれています。

仕入れ・商品原価

商品の仕入れに必要な資金も忘れてはいけません。たとえばコンビニはおにぎりやお弁当、パンなどを仕入れて販売します。商品の原価率は30~40%ほどで、売上目標が月100万円であれば仕入れの資金は30~40万円が目安となります。

飲食店の原価率は30%前後ですので、100万円の売上目標を掲げる際には約30万円の資金が必要です。仕入れる商品によって原価率は変動するので、取り扱いたい商品と売上目標から販売価格を決めないと利益が出ない恐れがあります。

物品・備品購入費

事業を運営する上で必要となる備品購入の資金も必要です。たとえば士業事務所を開業する場合、執務用のテーブルと椅子のほか、来客用テーブルと椅子などを準備する必要があります。飲食店であればテーブルや椅子、冷蔵庫、調理器具、カトラリー、店頭看板、制服などが必要です。

業種によって必要な物品や備品は異なるため、あらかじめ必要なものを洗い出しておきましょう。

通信費

事業所への連絡手段のほか、オンラインでの取引やチラシ・資料の作成を考えるとパソコンや電話は必須です。オンラインショップを運営するなど高機能なパソコンが必要なケースもあるので、業態に見合った機材を選びましょう。またプリンターやトナー、コピー用紙といった周辺機器、通信環境を確保するためのWi-Fiの整備などが必要です。

パソコンやスマートフォン、プリンターなど新品で購入すると資金がかさむ恐れがあります。中古品を選んだり、リースやレンタルの利用を検討するのも1つの方法です。

人件費・教育費

人材の雇用、教育費も開業資金に含まれます。社員を雇用する際は、給与や社会保険料などの人件費を始め、採用するまでの求人広告や人材紹介の利用費用、雇用後の教育研修費なども視野に入れなければなりません。

雇用形態や求めるスキル・経験により、人件費や教育費、採用費は異なります。パート・アルバイトを採用する場合の求人広告であれば1週間の掲載で1~4万円、年収500万円の人材を人材紹介で採用する場合は成功報酬で150万円の費用が必要となり、募集職種や採用難易度によっても採用費に差が生まれます。

教育費は産労総合研究所の「2021年度(第45回)教育研修費用の実態調査」によれば、従業員1人当たりの教育研修費用は39,682円(2021年度予算額)で、毎年4万円前後で推移しています。

参照:産労総合研究所「2021年度 教育研修費用の実態調査」

その他

そのほかにも、ほぼ全ての業態で必要になるのが、ホームページ制作、名刺・ショップカード、チラシの制作費用です。テンプレートのなかからデザインを選ぶか、デザイナーに依頼するかで費用が変わってくるので、予算と相談してデザインを決めましょう。
また税理士への顧問契約料や保険代、事業相談するコンサルタントへの費用なども発生します。協力会社を活用する場合は外注費用も必要です。

またフランチャイズ制度を活用して開業する場合は、フランチャイジーといわれる本部へ保証金を納める必要があります。

業種別!準備すべき開業資金の平均目安

業種別!準備すべき開業資金の平均目安

開業資金は、開業する業態によって必要な額が大きく変わります。業種別に必要となる開業資金を紹介するので、ご自身の所属する業態でどれくらいの開業資金が必要になるか参考にしてください。

開業資金の平均①飲食店

飲食店の開業資金は、居酒屋やラーメン屋・カフェなど開業するジャンルで変動します。ここでは、ラーメン屋・カフェ・うどん屋・居酒屋を例に挙げて開業資金を紹介します。

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ラーメン屋

飲食店のうちラーメン屋を開業する場合、開業資金は1,000~1,500万円ほど必要です。フランチャイズを活用した開業では1,300万円が平均ですが、フランチャイズによっては加盟料や店舗の準備が不要なプランがあり、開業資金を抑えることができます。
なお、居抜き物件を利用すれば内装工事費などを抑えやすいため、300万円ほどで開業できるケースもあります。

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カフェ

カフェでの開業は、「移動式」「自宅開業型」「独立店舗型」によって必要な資金が異なります。また居抜き物件かスケルトン物件(コンクリート打ちっぱなしの躯体だけの状態)かによっても資金は変わりますが、開業資金を平均すると600~900万円といわれています。フランチャイズを活用すれば開業資金100万円前後から開業も可能です。

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うどん屋

個人でうどん屋を開業するには約800万円の開業資金が必要です。加えて内装工事を行ったり、製麺機を新調するとさらに資金が必要となり、1,000万円を超えるケースもあります。フランチャイズによっては300万円前後からの開業も可能です。

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居酒屋

居酒屋の開業資金は1,500万円前後といわれています。居抜き物件を用いることで開業資金をおさえることができますが、造作譲渡料が求められることがあるので借りる前に条件を入念に確認しましょう。

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開業資金の平均②コンビニ

コンビニを開業する多くの場合、フランチャイズを活用します。大手のセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートから条件にあうフランチャイジーと契約し、開業の準備を進めます。各社で必要な開業資金は下記の通りです。

  • セブンイレブン 加盟料300万円(店舗物件を持っている場合)
  • ローソン 加盟金110万円~(オーナーが店舗を準備できる場合)
  • ファミリーマート 契約時必要資金 150万円

各社契約プランを複数準備しており、店舗が準備できない場合はプラス150~200万円で本部が店舗を準備するプランがあります。

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開業資金の平均③整体・リラクゼーション

整体・リラクゼーションサロンの開業資金は600万円前後が目安です。物件取得費や内装工事、什器・備品などに加えて、集客のための広告宣伝費が必要になります。またフランチャイズに加盟する場合は別途、加盟金や保証金、研修費用が必要になり、開業資金が1,000万円を超えるケースもあります。

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開業資金の平均④結婚相談所

結婚相談所はほかの業態に比べて、開業資金をおさえて開業できます。結婚相談所の開業資金は平均170万円で、事務所をおく場所によって変動します。最近はオンラインを活用することで開業資金をおさえる結婚相談所も増えています。

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開業資金に計上できるもの

開業資金は開業時に必要な費用で、会計上では「開業費」という勘定科目で経費として取り扱うことができます。しかし、全ての開業資金を「開業費」として計上できるわけではありません。まずは開業資金として計上できる例を紹介します。

  • テーブルや椅子、パソコンなど備品
  • 広告費などの各種宣伝費
  • 打ち合わせなどで必要になった交通費、交際費
  • 許認可や資格取得のための費用
  • 開業資金を借り入れた際の利息

これらは会計上、「開業費」として取り扱うことができます。

開業資金に計上できないもの

次に開業資金に計上できない例を紹介します。

改装費

内装・外装の改装費は、会計上「開業費」ではなく事業継続のために必要な「資産」または修理などをおこなった「修繕費」として取り扱います。

テナントの敷金・礼金

テナントを賃貸する場合、入居時に支払う敷金や礼金は開業費に計上する事はできません。敷金は退去する際に返金されるもので資産と考え、礼金は賃料の一部とみなされるためです。

仕入れ費用

仕入れ費用は開業費ではなく売上原価として計上します。仕入れは商品やサービスとして提供し、のちに売り上げにつながるためです。

これらは開業時に開業資金として必要になりますが、開業費として会計上は計上できない項目ですので注意しましょう。

業態ごとに開業資金の平均額をおさえておこう

会社に頼れなくなってきた昨今、自身で開業や独立しようと考える人も多いでしょう。しかし、開業や独立にはまとまった開業資金が必要です。また必要になる開業資金は独立や開業を考える業態によってさまざまです。事前に開業を希望する業態で、どれくらい開業資金が必要かを調べ、入念に資金計画を立てることが開業成功の第一歩です。

公開日:2022年04月26日

よくある質問

Q 貯蓄だけでは開業資金を準備できない場合はどのようにしたらいいでしょうか。 回答を見る
Q 開業資金以外に準備が必要なお金はありますか。 回答を見る