脱サラして飲食店開業する手順を知ろう!多くの人が失敗する理由とは?

最終更新日:2023年02月22日

脱サラして飲食店を開業し、一国一城の主を夢見る人は多いです。しかし、脱サラそのものが目的になっていたり、資金計画が甘かったりすると、すぐに廃業して失敗するケースも出てきます。料理スキルや食べ物へのこだわりがあれば繁盛店が作れるわけではありません。

本記事では、脱サラして飲食店を開業するための正しい手順をご紹介します。あわせて失敗例を取り上げるので、失敗する理由を理解し成功へとつなげましょう。

フランチャイズを探してみる

目次

脱サラして飲食店開業に成功する確率は低い

脱サラして飲食店開業する基本手順を知ろう

脱サラ飲食店オーナーの5つの失敗例

脱サラの飲食店開業におすすめのフランチャイズ

脱サラの飲食店開業は事前準備を入念に! 

脱サラして飲食店開業に成功する確率は低い

脱サラして飲食店開業に成功する確率は低い

脱サラ後のキャリアとして飲食店の開業は人気がありますが、実は飲食店の廃業率が高いことをご存知でしょうか。飲食店の3年以内の廃業率は70%、5年は80%以上と言われています。飲食業界は消費者の趣向が数年で変わるため、経験や技術だけでは生き残れません。

また、帳簿上では黒字でも資金が不足したり、赤字が出ているのに原因を突き止められなかったりして、閉店に追い込まれるケースも多い業界です。

近年では新型コロナウイルスの影響で、時短営業や休業を余儀なくされています。東京商工リサーチが行った「飲食店の倒産動向」の調査では、2021年の1~5月の飲食店倒産のうち、45.5%がコロナに関連するものです。また酒場・ビヤホール(居酒屋)の倒産は倒産率全体の6割を占めており、特にコロナの影響を大きく受けました。

脱サラして飲食店の開業を目指す方は、飲食業の廃業率や不測の事態への対応策が必須という点を理解しておくと良いでしょう。さまざまなリスクに備えて脱サラ計画を立てることが成功への近道です。

脱サラして飲食店開業する基本手順を知ろう

脱サラして飲食店開業する基本手順を知ろう

脱サラ後に失敗する確率を減らすには、事前の開業計画を立てることが大切です。本章では、飲食店開業の基本的な流れをまとめました。

ただし、選ぶ業態や開業手段(フランチャイズの利用や、自らで1から開業するのか、雇われオーナーになるのかなど)によっても左右されるので、基本的なものという位置づけで流れをつかみましょう。

脱サラ目的を決める

1つ目のステップは、なぜ脱サラしたいのか理由を明確にすることです。「サラリーマンが向いていない」「縛られたくない」など会社を辞めることが目的となっており、開業する理由がないという状態は危険です。開業する理由が不明確だと、開業した後でこんなはずではなかったと実際のギャップに悩むことになります。自由になりたいという気持ちは、あくまでも独立のきっかけに過ぎません。脱サラして何をしたいのか目的と方向性を定めましょう。

開業する飲食業態・業種を検討する

脱サラの目的を決めたら、次にどの業態の飲食店を開業するか決めましょう。業態とは、「どんなお客さんに来てもらい、どのような方法で、何を売るか」ということです。飲食店で何を売るか決め手も、売り方やターゲットがイメージ出てきていなければ、販促の効果が出ずに集客につながりません。業態を検討して、しっかりと情報収集をしましょう。

なお、飲食店の業種としては次のようなものがあります。

  • レストラン(専門料理店以外のもの)
  • ラーメン店
  • 焼肉店
  • そば、うどん店
  • すし店
  • 酒場、ビヤホール
  • バー、キャバレー、ナイトクラブ

「その料理が好きかどうか」という感情だけで決めるのではなく、「利益を上げられるか」という視点で選ぶようにしましょう。

開業手法を選ぶ

開業手段は、次に挙げるものが一般的です。

  • 自分で土地、店舗選びからスタート
  • 居抜き物件を契約
  • 移動式カフェで販売
  • よその店舗で修行しながら店長職を目指す
  • フランチャイズ

どの範囲を自分で行うのか、すでにブランドイメージができあがっているものを使ってフランチャイズ経営をするのかなど手段はさまざまです。自身のこだわりや予算、準備期間などトータル的に判断してどの開業手段がベストか考えましょう。

事業計画を立てる

事業計画を立てる

次に、経営の骨組みとなる事業計画を練ります。事業計画とは、商品やサービスに関連するアイデア、販売の方法や手段、手順を具体的に決め、マーケティング方法や事業環境の分析、資金の運用計画などを文書にしたものです。

事業計画を立てるメリットは、軌道修正を容易にすること、外部に提出する資料として役立つという2点が挙げられます。

売り上げや客足が事業計画通りに推移しているか、進捗状況と照らし合わせることで経営の軌道修正をしやすくなります。また、計画書を作っておくと会社の方向性が具体的に分かるため、銀行や提携先などの資金援助や関係構築に役立ちます。

コンセプトを考える

コンセプトはお店の核となる重要なものです。コンセプトとは、概念を意味する英単語で「何かをつくる上での方向性を決める土台になる考え方」を言います。

コンセプトを決めるポイントは、以下の3つです。

1.トレンドに流されない
2.好きなもの、好きなことをやる
3.お客さん目線を忘れない

お客さんに定着してもらうにはぶれないコンセプトを持ち、「このお店が好き」と思ってくれるファンをつくることが大切です。

物件探し

出店する場所は開業を成功させるために重要なポイントの1つです。立地選びに失敗すると、お店のコンセプトに合ったお客さんが来てくれず、売り上げが伸びません。事業計画、客層、資金計画の3つに合うものを根気良く探していきます。複数の候補を決めて、昼と夜両方をチェックし付近の競合や道路状況なども調べておきましょう。

資金調達/内装工事

物件が決まったら、資金調達の方法と内装工事の業者を調べましょう。お店の経営には初期の設備投資のほかにも、ランニングコスト(運転資金)が発生します。ランニングコストとは経営をするために必要となるお金です。たとえば店舗の家賃や人件費、仕入れ、光熱費などが挙げられます。

資金調達の際は、お店の工事費だけではなく、十分なランニングコストを確保しておきましょう。ランニングコストが足りないと、赤字が続いた場合すぐに廃業に追い込まれてしまいます。

内装工事では、作業の項目ごとに見積りを出してもらい、詳細な内訳明細書をもらっておくと安心です。内装工事や外装工事の費用は開業のなかでも大きな出費です。例え知り合いの業者であっても、見積りはきちんと出して計画的に開業準備を進めましょう。

メニューや販促方法の検討

メニューは集客効果やお客さんの満足度、収益などを決める重要な要因です。お客さんに満足してもらいながら利益を出すためにどうすれば良いか、具体的な方法を考えましょう。

メニュー全体の品数、カテゴリーごとのメニュー数を大まかに決め、バランス良く用意します。調理方法や食材、利用目的(ランチやおつまみなど)を考慮しお店の客層やコンセプトに沿って準備しましょう。

販促方法はターゲットとなる客層に合わせて決めます。販促には以下の方法があります。

  • 折り込みチラシ
  • ポスティング
  • SNS(Twitter、Instagram、Facebook、LINE公式アカウントなど)
  • プレスリリース
  • ダイレクトメール
  • 食べログ、ぐるなびといったネット媒体に登録する
  • ホームページ

客層が女性、ビジネスマン、ファミリー層なのかによって効果が出やすい方法は異なります。経営を軌道に乗せるには周知してお店の存在を知ってもらうことが第一歩です。

備品や人材集め

備品選びはお店の雰囲気を左右する要因で揃えるものの多いです。調理に使うものの、料理を提供する際の皿やグラス、ペーパータオルなど、お店の相性と使い勝手、予算などと相談して選びます。業態・業種によって揃える備品は異なるため、事前に情報収集をしましょう。

また、店舗の大きさによってはオープニングスタッフが必要となります。工事などに気を取られて求人を出すのが遅れると、人が集まらず採用が難航してしまいます。余裕をもって募集をかけ、順調にスタートできるようにしましょう。

各種届出を行う

飲食店の開業にあたり、消防署や税務署など各機関に届出を行います。

  • 個人事業主の開業届出書
    自営をするときに税務署へ提出する書類です。この書類を出し、確定申告を行います。

  • 飲食店営業許可
    保健所に申請書、お店のレイアウト図、食品衛生責任者の資格証明書、申請料を添えて提出します。

  • 防火管理者選任届
    収容人数が30人を超えるお店は、防火管理者選任届を消防署に届け出ます。

  • 火を使用する設備の設置届
    厨房機器の電気、ガスの入力の合計が、1つのキッチンあたり350キロワット以上であれば、消防署に設置届を提出しましょう。火を使わないカフェなどは提出不要です。

  • 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
    深夜12時以降に酒類を提供するときは警察署に届出書を出しましょう。ただし、午後5時~午後11時までにお酒を提供するのであれば、手続きは不要です。

そのほか、お菓子を販売するかバーを営業するかによっても必要な書類は変わります。

脱サラ飲食店オーナーの5つの失敗例

脱サラ飲食店オーナーの5つの失敗例

脱サラしたものの、計画が甘かったり準備が不十分で失敗にいたるケースは少なくありません。本章では5つの失敗例をご紹介し、脱サラ飲食店を成功させるためのポイントを解説します

1.脱サラがゴールになっている

失敗の代表的なものに、開業の目的を持たず「自由に働くこと」に憧れて脱サラし、失敗するケースがあります。自由に働ける開業の道は輝いて見えるかもしれません。しかし、脱サラして開業することは経営者として資金管理や集客手法の検討、従業員のマネジメントなどすべてに責任を負うことを意味します。

飲食店は廃業率が高く、脱サラしたいという理由だけで生き残れるほど甘くはありません。脱サラ開業してその後のビジョンを掲げ、目的に向かって着実に進んでいけるよう、開業した「後」に何を達成したいのか目的を決めましょう。

2.初期投資をしすぎる

2つ目の失敗例は、内装や食材にお金を使いすぎて利益回収に時間がかかりすぎたり、お店が広すぎてスタッフが足りずに回しきれなくなったりするケースです。

食材費と人件費に加えて家賃、光熱費などが毎月発生します。いきなり黒字を出すことは難しく、初期費用を抑えてその分ランニングコストに充てることも必要になるでしょう。内装や食材にこだわるのも大切ですが、先々の売り上げを見越して初期投資にいくら使うか計画を立てて利益を出さなければ経営は続けられません。

広すぎるお店を選ぶのではなく、1人でも回せるサイズのお店や居抜き物件を選ぶ、キッチンカーを使うなど初期のコストを抑えておくことがポイントです。

こちらの取材記事も、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:飲食店を開業したいなら、こだわりを捨ててフランチャイズモデルから学べ

3.自分目線のこだわりが強すぎる

お客さんありきのお店作りができておらず、失敗するケースも少なくありません。自分の理想の飲食店をつくるのではなく、お客さん目線を持って経営をしましょう。

開業する人のなかには、コンセプトや自分が出したいメニュー、オペレーションの効率にこだわってお客さん視点が足りていない人がいます。自分目線でお店を作っても、お客さんが満足してくれなくてはリピート率はあがりません。地域と客層に合ったメニュー、お店の雰囲気作りを大切にして、ニーズに応じたお店作りを心がけましょう。

4.立地選びに失敗

料理がいくら美味しければお客さんが定着するわけではありません。お店が提供する料理や価格帯、コンセプトにマッチしたエリアに出店しなければ、客足が伸びにくいでしょう。

たとえば学生が多く住んでいるエリアに高級料理店を出しても集客は見込めません。駅から遠い場所でバーを経営しても、ふらっと気軽に立ち寄れないという理由でほかの店に行ってしまう人もいます。
繁華街、ビジネス街、駅チカ、住宅街、郊外などさまざまなエリアから、お店にマッチした場所を選びましょう。

5.資金計画が甘かった

「飲食ならだれでもできそう」「今流行りの業態だから」「自分は大丈夫だろう」と過信するのは危険です。いくらトレンドを押さえていても、流行は変化しますし、必ず成功する業態はありません。また、安定した収益を得るまでに資金が尽きたり、プレッシャーに耐え切れなかったりして離脱する人も多くいます。

日本政策金融公庫が発表した「2020年度新規開業実態調査」によると、開業時は資金繰りに課題を感じる人が55%となっています。ほかにも、事業以外に収入がある開業者は4割に上りました。この結果は飲食店に限定したものではないですが、安定収入になるまで耐えられる資金の用意や、ほかの収入の柱を準備など、事前に行っておくことが大切です。

参照:2020年度新規開業実態調査

脱サラの飲食店開業におすすめのフランチャイズ

ここまでお伝えした開業準備をスムーズにすすめるためには、フランチャイズの利用もおすすめです。次に、飲食店のフランチャイズを2つピックアップしました。

  • 海鮮丼チェーン店 高度な調理スキルが不要で、広い物件も必要なく、食品ロスが起こりにくいという特徴が魅力です。

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人気の飲食FC!海鮮丼チェーンの魅力とは?費用や成功ポイントまで徹底解説!

  • コメダ喫茶店 全国に850店舗以上展開している有名な喫茶店です。初期費用を抑えてスタートできる建築支援制度をもうけており、未経験者でも効率良く調理できるレシピ構成となっています。

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フランチャイズ 珈琲所コメダ珈琲店の開業・独立・起業に役立つおすすめポイント

脱サラの飲食店開業は事前準備を入念に! 

自分にもできるだろうと計画を立てず安易に飲食業界に参入してしまうと、失敗する確率が非常に高いです。しかし、脱サラ後のキャリアとして飲食店開業は根強い人気があり、きちんと下調べして取り組めば、自分だけの店舗を持つことは可能です。

開業の目的を決め、開業前には必要な情報を集めまておくことが、飲食店の開業成功につながります。資金不足や立地選びに失敗しないよう、本記事でご紹介した手順に沿って開業準備を進めてみてください。

公開日:2021年10月29日

よくある質問

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