フランチャイズで日本政策金融公庫からの融資はできる?

最終更新日:2020年05月11日

フランチャイズで開業しようとするときに、最初に直面する問題は資金。自己資金で全てまかなえれば一番ですが、現実にはなかなかそうはいかないものです。
そこでぜひ活用したいのが日本政策金融公庫です。日本政策金融公庫の利用は大きなメリットがあり、フランチャイズ開業への心強いサポートとなります。

しかし、日本政策金融公庫と聞いて、どういったものかわからない方もいるでしょう。
そこで今回は日本政策金融公庫の具体的手続き方法や注意点についてお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてみてください。

目次

フランチャイズにおすすめ!日本政策金融公庫とは

実際にフランチャイズ開業で融資を受けるには

押さえておきたい!フランチャイズ開業で融資を通すポイント

フランチャイズオーナーが日本政策金融公庫から融資を受けるときの注意点

日本政策金融公庫から融資を受けたフランチャイズ開業の事例を紹介

まとめ

フランチャイズにおすすめ!日本政策金融公庫とは

事業の資金調達の方法で有名なのは銀行です。しかしフランチャイズの開業で融資を受けたい場合、国の金融機関である日本政策金融公庫の利用が可能です。
日本政策金融公庫は災害対処資金や新規で事業を始める人に対して融資をしています。新規開業資金を利用できる条件としては以下のようなものがあります

・事業開始から7年以内
・雇用創出を目的とした事業の開始
・現在と同業種の事業を開始
・認定特定創業支援等事業による事業の開始
・民間の金融機関と日本政策金融公庫から協調融資を受けて事業を開始

上記のような条件がありますが、最大の特徴は創業時の融資であれば無担保無保証で受けられる点です。また融資を受けるまでの期間が短いこともメリット。
次の表は日本政策金融公庫の金利や限度額をまとめたものです。

日本政策金融公庫主要金利一覧表

出典:
日本政策金融公庫主要金利一覧表

金利はいくつかありますが、基本的に基準金利の適用になるので一番左の数字が当てはまります。
このように、銀行と比べても非常に低金利で融資が受けられるのです。
融資限度額に関しては3000万円となっていますが、可能性としては自己資金の2倍から9倍の借り入れが可能です。
とはいえ、それはルール上の話。
実際に9倍の借入をするのは非常に難しく現実的には2倍程度と考えておくといいでしょう。

また、日本政策金融公庫の役割は民間の金融機関が提供する金融の補完です。
つまり、借入のハードルは銀行よりも低く、事業始めたばかりの経営者でも借入ができることは魅力です。
さらに、融資相談に関しては来店の他、メールで相談できるといった、ハードルの低さもあります。

実際にフランチャイズ開業で融資を受けるには

ここからは、フランチャイズ開業で融資を受けるための手順を解説していきます。
融資までは次の4ステップとなっています。

1.相談・申し込み
2.面談
3.結果の通知
4.融資の実行
順に説明していきます。

STEP1 相談・申し込み

実際に日本政策金融公庫から融資を受けるには、まず申込をしなくてはいけません。
基本的な必要書類は以下の通りです。

・借入申込書
・直近半年分の通帳コピー
・自宅・店舗の賃貸契約書
・創業計画書
・履歴事項全部証明書
・営業許可証
・運転免許証のコピー
・法人の印鑑証明書
・代表者の自宅の水光熱費支払状況が確認できるもの

このような書類が必要です。
また、借入金がある場合はその支払明細書、初期投資をする場合は見積書や工事請負契約書が必要。
と言っても、状況や開業する事業によっては必要になるものが変わることがあるので、必ず管轄支店の窓口に行って確認しましょう。
実際に足を運んで質問したり、不安な点を解消したりしておくと安心です。

STEP2 面談

申し込み後2~3日すれば、日本政策金融公庫より面談日のお知らせが来ます。
面談の時間はそれほど長くなく、30分から1時間程度。

内容は創業計画書を元にした質疑応答です。融資を受ける身なので、面談の中でも資金計画の説明はやはり特に重要となっています。
もちろん、社会人としてのマナーや言葉遣いにも気をつけましょう。
それがすべてではないにしろ、融資の判断に影響が出るものです。
また、面談後は現地調査が行われ、追加資料の提出を求められることもあります。

STEP3 結果の通知

面談終了後1~2週間で結果の通知がきます。これは融資の可・不可にかかわらず、必ず通知されます。
面談の結果、満額融資が難しいとしても、減額した金額での融資を受けられることもあるようです。

STEP4 融資の実行

融資の実行はとてもスムーズに行われます。
特に無担保・無保証の場合は手間も少なく、通知から数日で実行されることがほとんどです。
申し込みから融資実行までの目安はおおよそ一か月ほど。
日本政策金融公庫は他と比べてもかなりスピーディーな融資が可能です。

押さえておきたい!フランチャイズ開業で融資を通すポイント

フランチャイズ開業で日本政策金融公庫から融資を受けるにはいくつかのポイントがあります。
以下の画像は日本政策金融公庫の創業計画書です。

創業計画書

出典:
日本政策金融公庫融資のご案内
ご覧の通り、項目によってはやや事業の具体性に欠けています。
そこで創業計画書以外に別紙で資料を用意しておくと、担当者にどのように事業を進めどのように収益を出していくかが伝わりやすくなります。
作成をおすすめしたい資料は以下の通りです。

・詳細なプロフィールや創業の動機
・顧客のターゲット層
・立地や通行量、競合の調査
・損益計算書

ひとつずつ解説していきます。

詳細なプロフィールや創業の動機

融資を受ける際に考慮されるものの一つとして、過去の経験や職歴が事業にマッチしているかどうかがあります。
その点のアピールとして、詳細なプロフィールや創業の動機の記載は非常に重要です。
つまり、詳細なプロフィールを書くときは経歴を重視した書き方をするといいでしょう。
転職活動で作成する職務経歴書のように「いつ・どこで・どんな仕事を・どのようにこなし・どんな実績を出したか」といった部分まで詳細に記載していきます。

また、事業に向けて新たに資格を取得したり、関連性のある資格を所持していたりする場合は忘れずに記載しておきましょう。
創業動機に関しては創業計画書にも記載がありますが、大きくスペースを取っていないため意欲を伝えきれないことも考えられます。
こちらに関しても、極力詳しく創業への想いを記載しましょう。

顧客のターゲット層

事業を継続していくためには、顧客のターゲット層を明確にすることが必要です。
年代や性別はもちろん、想定されるターゲットの年収まで明確にします。
さらに、ターゲットを新規・リピート顧客に分類し、どのような集客戦略を取っていくのかも記載しましょう。

立地や通行量、競合の調査

立地や交通量はターゲットと関連付けて記載しましょう。
たとえば「オフィス街なのでターゲットであるサラリーマンが多く、この時間帯は大体これぐらいの通行があります」と言った具合です。
また、出店予定地周辺の競合の調査を行い、商圏内にどのような事業があり、どれくらい受け入れられているか、といった部分をまとめておきましょう。

損益計算書

融資を行う側としては事業開始後の売上や利益が気になるものです。
そこで損益計算書を作成が効果的なのです。
やや厳しめの内容で作成し、それでもしっかり利益が出ると予想できれば融資への大きなアピールになります。

さらに、資料の作成以外にもポイントがあります。
それは小口で融資を申し込むことです。
最初に大きな金額の融資ではなく、できれば300万円程度の小口にしておくことも有効です。
なぜかと言うと、それくらいの金額なら融資は通りやすくなりますし、返済実績も作りやすくなります。
資金が足りないようなら後々、追加融資してもらうことも可能なので事業用途に適した金額の融資を申込みましょう。

フランチャイズオーナーが日本政策金融公庫から融資を受けるときの注意点

フランチャイズオーナーが日本政策金融公庫から融資を受けるときに注意したい点としては、以下の3つがあります

・中小企業経営力強化資金が使えない
・未経験業種だと融資が受けにくい
・本部のシミュレーションを全て信じない
ひとつずつ説明していきます。

中小企業経営力強化資金が使えない

フランチャイズの場合は、中小企業経営力強化資金が使えません。
中小企業経営力強化資金とは日本政策金融公庫の制度の一つで、認定支援機関を経由した融資申し込みすると支店決済枠が1,000万から2,000万に増えることです。

ただし、この条件の一つに「市場の創出・開拓を行おうとする」があるため、フランチャイズはそれに当てはまりません。
フランチャイズに加盟するとほとんどの場合、開業資金は1,000万を超えていくため、ある程度の自己資金が必要になってくるとも言えます。
自己資金の目安はおおよそ1/3以上と言われており、それぐらいを用意しておくのが理想です。

未経験業種だと融資が受けにくい

お伝えしたように、日本政策金融公庫からの融資判断の一つとして過去の経験が重要です。
しかし、フランチャイズの強みの一つとしてあるのは未経験でも安心して開業できること。融資審査が通りづらくなることを承知の上で、未経験業種でのフランチャイズを行う場合はよりしっかりした資料を作っていく必要があります。

本部のシミュレーションを全て信じない

よくあるパターンとして、融資の申込みの際にフランチャイズ本部が作成しているシミュレーションをそのまま使ってしまうことがあります。

しかし、一般的にフランチャイズ本部が作成するシミュレーションは理想的なものです。
つまり、融資を受ける段階としての現実としてはやや真実味が欠けてしまうことも。
もちろん参考にするのは良いのですが、ビジネスモデルに対してフランチャイズ本部の言うことを鵜呑みにするのではなく自分で考え検討する必要があるのです。

日本政策金融公庫から融資を受けたフランチャイズ開業の事例を紹介

日本政策金融公庫から融資を受けたフランチャイズ開業の事例を一つ紹介します。
この事例は、フランチャイズ開業で融資を受ける際のまさに理想的なケースです。

融資を受けて飲食店を開業できた事例

飲食店で働くAさんは常々自分の店舗を持ちたいと思っており、自己資金を500万円貯めていました。
そこでちょうど理想的なフランチャイズ本部が見つかったため、日本政策金融公庫に融資をお願いしました。
結論から言うと無事に一千万円の融資を希望通りに受けることができたのですが、その理由としては以下の通りです。

・飲食店での店長経験や新店オープンの経験があった
・専門家に依頼し資金繰りや事業計画書の完成度を高めた
・仕入から店舗営業までのノウハウがあった

つまり、経験のアピールや精度の高い書類作りなどここまで説明してきたようなことを全て網羅しているのです。
これらをしっかり行うことで融資担当者への説得力にもつながり、希望通りの融資を実現した事例と言えるでしょう。

まとめ

このように日本政策金融公庫の利用は、新規事業者にとっても大きなメリットがあります。
フランチャイズはノウハウの提供といった大きなサポートがある反面、開業資金は個人で始める場合よりも多くなってしまいがちです。

そうなるとより金利が低く融資を受けやすい日本政策金融公庫の利用はぜひ検討したいところ。この記事を参考に、経営を圧迫しない融資を実現してみてください。

公開日:2019年11月27日