月坪売上と坪効率とは

最終更新日:2020年05月11日

店舗や会社の業績を測るひとつの基準として月坪売上があります。
この月坪売上は、全ての事業で意識をしておかねばならないものです。フランチャイズで事業を開始するとき、なんとなくの月間売上の見込みは把握しているもの。

しかし、月坪売上となると、少し意識が薄れてしまう方も一定数いらっしゃるようです。
そこで今回は、月坪売上とはというところから、月坪売上を上げるコツまで詳しく解説していきます。

目次

月坪売上と坪効率とは

東京の坪売上事情

月坪売上高を高めるコツ

まとめ

月坪売上と坪効率とは

月坪売上はフランチャイズ本部選びをする際の比較材料のひとつです。
月坪売上は一坪あたりの売上を表したもので「月間売上÷店舗面積」で求められます。
つまり、この数字が大きければ大きいほど店舗面積に対して効率よく売上が発生しているとも言えます。

その効率を坪効率としており、この数字は経営を行う上で大事な指標となっているのです。
ただし、月坪売上の考え方には注意点があって、この数字が高いからと言って良いお店とは限りません。
たとえば、業種や立地などによって月坪売上の数字は大きく左右されてしまいます。

月坪売上や坪効率はその数字だけが「重要」というわけではありません。
「これらの数字を含めていかに効率よく利益が出ているかどうか」が、最も重要なポイントなのです。

東京の坪売上事情

ではここからは、一例として東京の坪売上事情を確認してみましょう。
東京の主な地域の坪売上は以下のようになっています。

月坪売上高&賃料相場MAP

出典:
月坪売上高&賃料相場MAP

これらのエリアにおける平均月坪売上高は44万円となっています。
そう考えると家賃の高い原宿や六本木お台場辺りの月坪売上高は平均を下回る結果です。
やはり、月坪売上高と家賃の関係は深いと考えられるでしょう。

また、月坪売上はその地域の開拓具合や客層によっても変わってきます。
たとえば、サラリーマンが多い日本橋や新橋であれば、客単価は比較的高くなりがちです。
ターミナル駅である新宿なら客数も多く席の回転率も高くなります。

しかし、お台場であれば顧客はゆっくりと雰囲気を楽しむ方が多くなります。比較的家賃も高く、集客は見込めても月坪売上高は伸び悩むかもしれません。

月坪売上高を高めるコツ

月坪売上高が伸び悩むからといってすぐに撤退するというのも現実的ではありません。
やはり、限られた条件の中でも売上高を高めていく必要はあるのです。

ここではわかりやすいものとして、飲食店を例に月坪売上高を高めるコツを解説していきます。
そのコツとは以下のようなものです。

  • 時間帯ごとのターゲット設定
  • 新規顧客を獲得する
  • リピーターを作る
  • 客単価を上げる
  • 席数を増やす
  • 席効率を上げる

ひとつずつ解説していきます。

時間帯ごとのターゲット設定

月坪売上高を上げるには、時間帯ごとのターゲット設定が必要です。
たとえば、夕方17時から5時までの営業をしている居酒屋の場合だと、以下のような時間帯でターゲット設定を行うといいでしょう。

  • 17時~23時
  • 23時~1時
  • 1時から5時

上記のような時間に区切り、その客層に適した販売促進を行うことが大事です。

たとえば、17時から23時であればサラリーマンや学生家族連れといった、様々な客層の来店が期待できます。
この時間であれば宴会も入りやすく、1日の中でも比較的高い売り上げが期待できます。
特に19時台はピークタイムになるので、それまでにある程度席を埋めていく工夫も月坪売上高を上げるためには必要です。

23時から1時になると終電があるため、お帰りになる方も多くなります。
この辺りの時間帯に来店するのは、2次会や終電を逃した方がメインに。
どちらかと言うと、すでに食事を済ませている方もおり、ドリンク類の注文の方が多くなります。

1時以降になってくると、始発までゆっくり過ごす方も増えてくるため月坪売上高は伸びにくくなります。
ただし、この辺りの時間帯は夜のお店で仕事を終えた方々も来店するため、繁華街ではある程度の月坪売上高が見込めるケースもあります。

このように、時間帯ごとにどんな顧客が来るのかを把握し、それに適したターゲット設定を行うことが有効です。

新規顧客を獲得する

新規顧客を獲得するための施策も行わなくてはいけません。
この新規顧客の獲得はなかなか難しいもので、業態や客層に合わせたアプローチを行っていく必要があります。たとえば、グルメサイトの口コミやSNSを見て・チラシや割引券をもらったからなど、様々な来店動機になるアプローチはあります。

グルメサイトを利用するのであれば、キャンペーンやお店の雰囲気を伝える内容にしなくてはいけません。
SNSであれば2種類の発信があります。お店側からの発信と実際に来店した顧客側の発信です。
最近ではSNSの運用を店舗の集客につなげるために行なっている企業も多く、その効果は期待できます。

また、顧客側からの発信となると信憑性が高いものも多いので、それを見た方が来店するケースもあるでしょう。
チラシや割引券その内容が非常に重要です。
ただ配るだけではしっかりと見ずに捨ててしまう方が多いのも現実。
やはり、一目でクーポンやお得な情報が確認できるような作りにするのは大切です。
また、それを配る従業員のの雰囲気も大きな要素となります

リピーターを作る

せっかく新規顧客を獲得しても、それがリピートに繋がらなければ月坪売上高は上がっていきません。
リピーターを作るのは非常に大切です。

極端な例で言うと、リピーターで常に店内が満席になれば時間と費用を使って新規の顧客を探す必要もないのです。
となれば、コストがかからないぶん、利益率も高くなります。

全てがリピーターというのは現実的には難しいかもしれませんが、やはりリピート率を高めることは大切なのです。
そこで顧客のリピート率を高める要素を紹介すると、以下のようなものがあります。

  • 料理やドリンクが美味しい
  • コストパフォーマンスが良い
  • 店内が清潔で雰囲気が良い
  • 駅から近い
  • 割引やクーポンのサービスがある

特に料理やドリンクの美味しさやコストパフォーマンスは、ほとんどの客層から重要視されているものです。
やはりここでも、ターゲットを絞り込んでいく必要があります。

たとえば、記念日といった特別な日であれば、少し値段が高くてもクオリティが伴っていれば来店してもらいます。
反対に友人や会社の忘年会であれば、ボリュームがありながら値段は抑えたものが好まれるでしょう。

また、よくある施策として季節限定のおすすめメニューを取り入れるケースもあります。
季節限定であれば年に4回はメニューが変わりますし、サイクルが早い場合だと1ヶ月半に一度変更する店舗もあります。
いずれにせよ、顧客にとっての再来店の動機を用意することは大切なのです。

客単価を上げる

月坪売上高を上げるには客単価を上げることも重要です。
これはリピートの獲得にもつながってくるのですが、まず目の前にいる顧客の満足度を高い水準で保たなくてはいけません。
満足度が高ければ「あれも食べたい・これも食べたい」となるものです。
反対に満足度が低ければ二度と来店はしないでしょうし、最悪の場合は注文をキャンセルをして帰ってしまうことも考えられます。

満足度を上げるには、サービスのクオリティとメニューの内容が大きなカギを握ります。
たとえば、定期的にメニューを見直し人気のないものは変更したり、バリエーションを増やすといったようなことが必要です。

加えて、セットメニューやサイドメニューを充実させていくことも「ついで買い」に繋がり、客単価の向上に繋がっていくでしょう。
また、メニューの中でも定番のものや、少し販売価格が高いもの・季節によっては売れるものなど傾向は様々です。

このあたりもしっかりとした数字を取って、分析していくことが客単価アップにつながっていくでしょう。

席数を増やす

そもそもの席数を増やすことも売上の向上につながります。
従業員の動線を考え、それでも無駄なスペースがあるようならテーブルや椅子を増やすこともできるでしょう。
また、季節にもよりますが、テラス席を期間限定で作るといった試みも。

ただし、席数を増やすにあたって注意点もあります。
席数を確保したいからといって座席を詰めてしまうことです。
座席を詰めてしまうと、顧客同士の距離が近くなりすぎてしまったり、サービスの導線が確保できなくなってしまいます。

その結果、居心地が悪くなってしまうので、先ほどお伝えした客単価の向上やリピーターになってもらうことは難しくなってしまいます。
そうなってしまうと本末転倒なので、もし店内に無駄なスペースがなければ次に解説する席効率を高めた方がいいかもしれません。

席効率を上げる

席効率とは、客数÷席数で求められる数字で、客数に対し何席使っているかを把握するものです。

たとえば、200席のお店ですべてが4名席と仮定しましょう。
この条件の場合、満席時で総客数が100名であれば席効率は50%となります。
そうなると、席効率を意識した場合と比較してトータルの売上は25%から50%少なくなっていると考えられます。

このように、席効率は月坪売上高を大きく左右してくるものなのです。
席効率を高めるには以下のような方法があります。

  • 来客人数に合わせた座席の作り
  • アテンド(ご案内)を行う
  • 長時間の滞在を断る

このような対策が考えられ、これらはいずれも店舗側が主導権を持っているものです。
ただし、店舗が主導権を持ってるとはいえ、もちろんそこには丁重な対応をしなくてはいけません。

上記の他にも、相席をお願いしたり席の移動をお願いする場合もあるでしょう。
どの場合においても、その対応によってその後の顧客からの評価が変わってしまいます。
もし対応を間違ってしまうとなれば、悪い口コミが広まってしまい月坪売上高を上げるどころではなくなってしまうでしょう。

まとめ

このように、月坪売上高は売上高を把握するにあたって必要な考え方です。
月坪売上高が低いからといって悲観する必要はありませんが、ビジネスの現場において改善点を探す指標になります。
月坪売上高を把握し無駄を徹底的に省き改善を重ねていく。これはビジネス成功の鍵のひとつと言えるでしょう。

公開日:2020年01月09日