ネイルサロンのフランチャイズ開業・運営に必要な資金とは
最終更新日:2023年03月03日
数ある美容ビジネスの中でも、ネイルサロンのフランチャイズは多くの層から人気を集めているビジネスです。
なかでもスペースが狭くても運営できる点、収益性が比較的高い点などは、特に魅力的に映るポイントでしょう。
ただし、フランチャイズでネイルサロンを始める前には、「費用」について熟知しておくことが必要。
そこで今回は、ネイルサロンの初期費用や運転資金を徹底的にまとめました。
フランチャイズによるネイルサロンの開業を検討している方は、ぜひ最後までチェックしてください。
目次
ネイルサロンのフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション
ネイルサロンのフランチャイズ開業と運営に必要な資金の目安
開業資金(初期費用)と運営資金3ヵ月分が必要になると仮定した場合、ネイルサロンのフランチャイズ開業には約300~1,100万円の資金が必要です。
この金額を見てわかる通り、加盟するフランチャイズや店舗の規模によって費用には大きな差が生じるので、あくまでも目安の一つとして考えてください。
ネイルサロンのフランチャイズは、本部によって初期費用・月額費用の仕組みが大きく異なります。
また、店舗に使う物件を新たに用意するのか、個人もしくはスタッフを雇って運営をするのかなど、開業者の状況や方針によって費用が大きく変動する点も、あらかじめ理解しておきたいポイントです。
では、具体的にどれくらいの費用がかかるのか、以下で相場をチェックしていきましょう。
<初期費用の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
加盟金 | 20~190万円 |
物件取得費 | 100~250万円 |
準備金 (内外装費・資材費・什器費など) |
100~190万円 |
保証金 | 0~70万円 |
研修費 | 0~100万円 |
合計 | 200~800万円 |
※店舗に使う物件は新たに取得すると仮定し、「物件取得費」を含めた形で計算を行っています。
※フランチャイズ本部によって差がある費用については、最大値で計算を行っています。
<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>
項目 | 金額 |
---|---|
人件費 | 0~60万円 |
賃貸料 | 45~90万円 |
技術提供料 | 0~15万円 |
消耗品費や雑費 | 45~60万円 |
ロイヤリティ | 0~50万円 |
合計 | 100~275万円 |
※人件費は店舗によって大きな差があるため、アルバイトやパートを1人雇用した場合の最大値で計算を行っています。
※人件費同様に賃貸料も店舗によって異なるため、自身の所有している物件ではなく、新たに物件を契約する場合を想定して計算を行っています。
※月の売上を200万円から250万円からと想定し計算を行っています。
ネイルサロンのフランチャイズ開業に必要な資金(初期費用)
フランチャイズでネイルサロンを開業する場合は、本部の選び方によって初期費用が大きく変わってきます。
なかでも差がつきやすいのは、「加盟金・準備金・研修費」の3つの費用。
このうち準備金は、本部によって名称や内訳が多少異なりますが、オープンサポート費用や開業セット費用なども含めて「準備金」として解説をしていきます。
無理のない予算で開業をするために、まずは各費用の詳細や相場を確認していきましょう。
加盟金
加盟金とは、フランチャイズ本部から提供されるサポートやノウハウの対価として、加盟時に一度だけ支払う費用のこと。
「ブランド使用料」の意味合いも含まれているため、本部によって加盟金の額は大きく異なります。
そもそも加盟金が発生しないフランチャイズもありますが、ネイルサロンの業界では20~190万円ほどが相場。
一見すると、加盟金が安いフランチャイズはお得に見えますが、その代わりに別の諸費用が高く設定されている可能性があるので、加盟金だけで本部を選ぶことは厳禁です。
反対に加盟金が高いからと言って、必ずしもサポートが充実しているわけではありません。
加盟する本部を選ぶ際には、ほかの費用やサポート体制も細かく比較したうえで、慎重に検討を進めることが大切です。
物件取得費
フランチャイズに加盟する場合であっても、店舗型で経営をする場合には物件を取得する必要があります。
物件取得費はお店の規模によって変わりますが、敷金や礼金、仲介手数料のようにさまざまな費用が発生するので、物件取得費だけで数百万円にのぼるケースは珍しくありません。
初期費用の中でも特に高いコストですが、自宅を店舗として活用する場合や、出張ネイリストとして運営をする場合は、物件取得費を大きく抑えることが可能です。
ただし、ネイルサロンのフランチャイズは、実店舗の用意が前提となるケースが多いので、加盟条件やパッケージ内容はしっかりと確認しておきましょう。
準備金
初期費用の中でも準備金は、フランチャイズごとに内訳や名称が大きく異なる費用です。
加盟する本部によっては、店舗デザイン費や什器費を含めた形での準備金となりますが、これらの費用が「別途」とされている本部も見受けられるので、特に内訳は細かく確認をしなければなりません。
そのほか、準備金に含まれる可能性がある費用としては、ホームページの製作費や経営ノウハウの使用料、内装工事費などが挙げられます。
少しでも初期費用を節約したい方は、「準備金はどんな内訳なのか?」や「自前で用意するべきものは何か?」を意識し、総合的に初期費用を抑えられる本部を選びましょう。
保証金
保証金とは、本部への支払いが滞ったときに使われる費用のこと。
たとえば、ロイヤリティや仕入れ金などを支払えなかった場合には、その不足分が保証金から差し引かれ、後に差し引かれた分を補てんする必要があります。
保証金はあくまでも本部に預けるお金であるため、契約を解除した際には基本的に返還されます。
相場は60~70万円ほどですが、フランチャイズ本部によってはそもそも保証金がパッケージに含まれていないケースも見受けられます。
ただし、保証金がゼロである代わりに、ほかの費用が割増になっている可能性は否定できません。
そのため、保証金の額だけで判断するのではなく、初期費用はあくまでも「トータルの金額」で比較することが大切です。
研修費
ネイルサロンのフランチャイズには、専門的な知識・スキルを学ぶ機会として、「研修制度」を設けている本部がいくつか見られます。
研修費の相場はおおよそ80~100万円ですが、本部によっては毎月のコストに「研修人件費」が含まれていたり、研修制度自体が存在していなかったりなど、その形はさまざまです。
研修制度があると、開業までに資金・時間の両方を消費してしまうので、なかには「研修はないほうが良い」と考える方もいらっしゃるでしょう。
ただし、ネイルサロンをスムーズに運営するには、専門的な知識・スキルが必ず必要になります。
知識やスキル、実務経験などの面で不安を感じている方は、研修制度が備わったパッケージを選ぶことが無難でしょう。
ネイルサロンのフランチャイズに必要な運営資金
実際にネイルサロンを運営するためには、初期費用に加えて運営資金も準備しなければなりません。
運営資金は毎月必ず発生するコストになるので、以下で各費用の概要をしっかりと確認しておきましょう。
人件費
数ある運営資金の中でも、人件費は大きな差がつきやすいコスト。
1人で運営をする場合は一切かかりませんが、中規模~大規模のネイルサロンでは、1ヵ月あたり100万円以上の人件費が発生することもあります。
たとえば、同時に4席が稼働するネイルサロンでは、受付も含めると6名程度のスタッフが必要です。
雇用形態によって給料は変わりますが、仮に1人あたり月に20万円を支払うとなれば、人件費だけで毎月120万円のコストがかかります。
運営資金を抑えたい方は、お店の規模を小さくしたり、社員ではなくアルバイト・パートとして雇ったりなど、人件費を減らすための工夫を考えてみましょう。
賃貸料
月々の賃貸料も、運営資金の中では大きな割合を占めるコストです。
立地によっても変わりますが、店舗の広さを6坪~10坪と仮定すると、毎月およそ15万円~30万円の家賃が発生します。
ただし、自宅を店舗として活用する場合や、出張ネイリストとして稼働する場合は、賃貸料を発生させずにネイルサロンを運営できます。
賃貸料を抑えたい方は、これらの条件で加盟できるフランチャイズ本部を探してみましょう。
技術提供料
技術提供料は、本部が提供するシステムやノウハウを使用するための費用です。
具体的なものとしては、予約代行や受付管理システムの使用料、スタッフを研修するための費用などが挙げられます。
相場は毎月1.5~5万円ほどとなりますが、情報提供料はすべてのフランチャイズで発生する費用ではありません。
サポートの充実度にもつながる費用なので、金額とサポート内容などを照らし合わせながら、妥当な金額かどうかを慎重に判断すると良いでしょう。
消耗品費や雑費
ネイルサロンにはさまざまな消耗品があり、特にお客様に使用する「ネイル素材」は頻繁に仕入れる必要があります。
ほかにも、商品・備品を仕入れる費用や光熱費が発生するため、消耗品費・雑費を軽視することはできません。
ネイルサロンの場合、これらの消耗品費・雑費はフランチャイズのパッケージに含まれていないケースも多いので、事前にしっかりと見積もっておくことが大切です。
ロイヤリティ
フランチャイズのロイヤリティには、大きく分けて「定額方式・売上歩合方式・粗利分配方式」の3タイプがあります。
このうち、ネイルサロンの業界で主に採用されているのは、以下の2つの方式です。
- 定額方式…毎月の金額が固定されている方式
- 売上歩合方式…売上に対する割合が固定されている方式
ロイヤリティの金額は、定額方式のフランチャイズでは毎月2~7万円、売上歩合方式では売上の5.0~7.5%ほどが相場。
なかにはロイヤリティが発生しないフランチャイズ本部もありますが、ロイヤリティの中に広告宣伝費や技術提供料が含まれたケースも見受けられるので、安易にロイヤリティがない本部を選ぶべきではありません。
ネイルサロンのフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション
以下は、ネイルサロンにおける一般的なキャッシュフローシミュレーションです。
(必ずしも当てはまるわけではないので、参考程度にしておいてください。)
以下のシミュレーションは、「スタッフ3名~4名(人件費90万円)・賃貸物件(家賃24万円)」を想定しています。1日に訪れる客は10人、客単価は8,000円、月の営業日数は25日です。
売上(月)
200万円
=8,000円×10人×25日支出(月)
165万円
=15万円(本部に支払う手数料)+90万円(人件費)+60万円(消耗品費や家賃等)利益(月)
35万円
=200万円(売上)-165万円(支出)
ネイルサロンのフランチャイズでは、1ヵ月あたりの利益は35~50万円が相場となります。
年収に換算すると420~600万円程度ですが、規模が大きい店舗を運営したり、店舗のスタッフを増やしたりすれば、これ以上の年収を稼ぐことも夢ではありません。
ただし、店舗の規模を拡大すると、人件費などのランニングコストが一気に増えてしまいます。
ランニングコストが経営を圧迫するケースは珍しくないので、最初のうちは小規模かつ少人数で運営し、規模拡大については慎重に検討することをおすすめします。
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公開日:2020年05月13日