セントラルキッチンとは!?

最終更新日:2020年05月11日

フランチャイズのような多店舗を展開する企業にとって、問題の一つになるのは食材の仕込み作業です。
仕込みにかかる時間や設備の費用はかなり大きなもので、利益を出すための改善ポイントともいえるでしょう。

その問題の解決策として、数々のフランチャイズ本部で採用されているのがセントラルキッチンです。
しかし、中にはセントラルキッチンと聞いて、ピンとこない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、セントラルキッチンの特徴やメリットデメリット事例を紹介していきます。

目次

セントラルキッチンとは

セントラルキッチンのメリット

セントラルキッチンのデメリット

セントラルキッチン活用の事例

まとめ

セントラルキッチンとは

セントラルキッチンとは、店舗で提供する料理や仕込みを一つの場所で集中的な製造から加工までを行う工場のことです。
フランチャイズでも食に関わる様々な企業がセントラルキッチンを活用しています。

大まかな流れとしては、セントラルキッチンで店舗での仕込み作業まで行い、発注数に基づいて配送し店舗に届けるというもの。
そうすることで、店舗では、その食材を加熱・盛り付けといった仕上げを行うのみとなるのです。

ただし近年では、新鮮さの追求や顧客による健康志向も強くなっています。
そのことから、あえてセントラルキッチンではなく店舗での仕込みを行う企業も一定数あります。

とはいえ、セントラルキッチンの活用は大きなメリットがあり、経営において欠かせない存在であることも確かです。
この商品は店舗で仕込み、この商品はセントラルキッチンで仕込む、と言ったよう使い分けも増えてきています。

セントラルキッチンのメリット

では、セントラルキッチンを活用するにあたってのメリットを解説していきます。
セントラルキッチンの代表的なメリットは以下のようなものがあります。

・品質の安定化
・作業の効率化とコスト削減
・レシピや調理法の流出の防止

ひとつずつ解説していきます。

品質の安定化

店舗ごとでの調理を行うと、どうしても多少の品質のばらつきは出てしまいます。
しかし、セントラルキッチンの最大の特徴は1ヶ所でまとめて調理をすること。

これによりばらつきを抑え、一定の品質を保った提供が可能になるのです。

特にチェーン店のフランチャイズだと、どの店舗に行っても同じクオリティを求められます。
フランチャイズチェーンでセントラルキッチンを積極的に取り入れていることは、品質安定化の実現の裏付けと言えるでしょう。

作業の効率化とコスト削減

セントラルキッチンの活用は店舗での作業効率化につながります。

手間のかかる調理工程をセントラルキッチンで行えば、店舗では最終的な仕上げを行うだけです。
これにより、店舗での作業にかかる時間や労働力も大きく削減可能です。
他にもセントラルキッチンは多店舗で使用する材料をまとめて仕入れます。

さらに、スケールメリットを活かすのであればその効果は非常に大きなものへ。
もちろん仕入れ値が安くなるということは、価格もリーズナブルにできるということにも繋がります。

レシピや調理法の流出の防止

基本的にレシピや調理法は企業秘密です。

特に仕込みの部分は全ての料理の基になるものなので、その流出は何としても避けたいところ。
店舗で全ての仕込みを行うとなるとやはりマニュアルが必要ですし、紛失や情報漏えいのリスクも店舗の数だけあります。

その点、セントラルキッチンは店舗よりも数が少なく、その情報管理も徹底していることがほとんどです。
一ヶ所に集中するからこそのメリットは、情報の管理においても発揮されています。

セントラルキッチンのデメリット

上記のようにセントラルキッチンには様々なメリットがあります。
しかし、一方で場合によっては大きなリスクに繋がってしまうこともあるのです。
セントラルキッチンのデメリットは以下のようなものがります。

・鮮度が落ちる
・コストが高くなってしまうこともある
・現場の商品知識が深まらない
・万が一の際のリスクが大きい

ひとつずつ解説していきます。

鮮度が落ちる

セントラルキッチンは、まとめて作ってから配送を行います。

そのため、店舗で調理する場合と比べて鮮度が低くなってしまうのです。
ほとんどの場合は、店舗から発注を受けセントラルキッチンで仕込み発送する流れ。
そうなるとどうしても、仕込んでから半日から1日経過した物が店舗に届くようになってしまいます。

冷凍の物だとほとんど気にならないのですが、カット済みの野菜に関しては店舗で仕込むよりも鮮度の面では劣ってしまうでしょう。
セントラルキッチンから届いたものは、当日もしくは次の日には使い切るような仕組みが店舗側としても重要になってきます。

コストが高くなってしまうこともある

お伝えしているように、セントラルキッチンは多くの店舗の仕込みを一括して行います。

つまり、セントラルキッチンには店舗と比べて、大きな調理設備や多くの道具が必要です。
ということは、必然的に設備費も多くかかってしまいます。

セントラルキッチンが一定以上の水準で稼働していればいいのですが、その逆になるとコストが高くなってしまうケースもあります。
特に食材によってセントラルキッチンと店舗店舗で仕込みを行う場合は、それぞれで対応する範囲を明確にしておかねばなりません。

現場の商品知識が深まらない

セントラルキッチンから届く商品は店舗からすると、最終的に少し手を加えるだけの状態がほとんどです。

そうなると、その商品がどのように作られているか知る機会も少なくなってしまいます。
実際に仕込みを行わないとしても、商品の産地や原材料について現場での定期的な研修を行う必要もあるでしょう。
商品知識が深まらないままだと、最悪の場合品質管理が疎かになってしまうケースも考えられます。

万が一の際のリスクが大きい

セントラルキッチンを活用するにあたって、一番考えておかなくてはいけないものが万が一の際のリスクです。
たとえば、異物混入が確認された場合、店舗としては該当する食材の破棄をしなくてはいけません。
それだけならまだいいのですが、最悪のケースだと食中毒があります。

もし、セントラルキッチンでの作業が食中毒の原因と発覚した場合、その店舗はもちろん他の店舗も営業を止めなくてはいけないこともあります。

食べ物を取り扱う以上これは仕方がないこと。
しかし、これは一点集中型のセントラルキッチンならではのリスクと言えます。

セントラルキッチン活用の事例

ここからは、実際のセントラルキッチンに活用事例を紹介していきます。
紹介するのは以下の企業です。

・ロイヤルホールディングス株式会社
・ワタミ

いずれもセントラルキッチンを活用して、先ほど解説したようなメリットを存分に実現しています。
ひとつずつ紹介していきます。

ロイヤルホールディングス株式会社

外食産業大手のロイヤルホールディングス株式会社のセントラルキッチンにおける歴史は古く、1962年から続いています。
ロイヤルホールディングス株式会社は、日本で初めてセントラルキッチン方式を導入した企業。

現在では福岡と東京の2ヶ所にその工場を構えています。
業務食はどちらの工場でも行なっていますが、その他のものに関しては分散させる手法を採用しています。

福岡では業務職の他にアントレやパンなど、東京では冷凍ケーキ屋ドレッシングを製造しているのです。
このように、高品質を保ちながら徹底した品質管理を行い、店舗を始め時代に合った食の追求を行っています。

ワタミ

ワタミといえば「ブラック企業が展開する居酒屋」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。
しかし、労働環境面での抜本的な改革を行い、最近では徐々に数字を取り戻しつつあります。

その背景には積極的な業態転換があるのですが、もう一つの要因としてセントラルキッチンを効率化したことがあります。

そのセントラルキッチンの名前は「ワタミ手づくり厨房」。
ワタミが創業からこだわり続けている、手作り感を損なわないセントラルキッチンを実現しています。
また、そのセントラルキッチンで使う食材はワタミファームと呼ばれる自社農場のものです。
セントラルキッチンが行う仕入れからコストを下げ、高品質な仕込み品を店舗に提供しています。

まとめ

このように、セントラルキッチンには仕込み作業にかかる様々な費用を削減し、商品の均一化を実現させています。
セントラルキッチンにはデメリットもありますが、そのメリットは経営を左右するほどの効果があるのです。

食を扱うフランチャイズであれば、セントラルキッチンの有無はひとつの加入するかどうかの判断材料になるでしょう。
そういった部分からのフランチャイズ選びも視野に入れてみるといいかもしれませんね。

公開日:2019年12月26日