起業に向けた助成金活用術!補助金との違いは?いくらもらえるの?

最終更新日:2020年12月11日

起業するために必要なのは、夢や目標だけではありません。お金です。

コツコツ貯めた自己資金でまかなうことができれば良いのですが、利用できる制度があれば利用すべきですよね。その1つに助成金があります。

起業を予定している方、まさに起業を目前にしている方、起業して間もない方であれば一度は助成金について興味を持った方も多いのではないでしょうか?助成金の制度やその種類、申請方法などを徹底解説します。

起業時の助成金制度|目次

1 起業時に利用したい助成金制度

         

2 起業時に助成金を利用する          

3 まとめ

1 起業時に利用したい助成金制度

起業時にあればあるほど助かるものはお金です。ここでは、融資と違い、返す必要のないお金である「助成金」についてご紹介します。知っていると知らないのとでは、起業時や起業後の成功を左右するかもしれません。ぜひご参考ください。

1-1 起業する時に活用できる助成金

助成金とは、国や地方自治体が行っている事業主向け助成制度の1つです。国の場合は厚生労働省が管轄し、主に雇用に伴う事業活動に対し一定の費用が助成される仕組みです。主な助成金の一例をご紹介します。これらはあくまで一例ですが、要件に合致すれば助成金の支給を受けることができるため、起業時にぜひ活用したいですね。

  • ・従業員の雇用を維持する
     →雇用調整助成金

  • ・安定就業を希望する未経験者を試行的に雇い入れたい
     →トライアル雇用奨励金

  • ・65歳以上の高年齢者を雇い入れる
     →特定求職者雇用開発助成金(高年齢者雇用開発特別奨励金)

  • ・離職を余儀なくされた労働者を早期に雇い入れる
     →労働移動支援助成金(受入れ人材育成支援奨励金/早期雇入れ支援)

※2015年9月現在

1-2 助成金と融資との違い

助成金と融資の違いは、「返金する必要があるかどうか」です。助成金は、国から助成される返金の必要のないお金です。一方で、銀行などから受ける融資は、返金する必要のあるいわば借金です。

銀行が行う融資は、貸付利子により銀行が営業利益を獲得するための営業活動です。一方で厚生労働省の助成金は、雇用を生み出す社会を支えるための手助けとして行っています。これが、助成金が返金する必要のないお金である理由です。

2つはそもそもの目的が異なるため、返金するかどうかが異なるのですね。

1-3 助成金と補助金の違い

助成金と類似する制度として「補助金」があります。助成金と補助金どちらも、国や自治体が管轄している制度で、返す必要のないお金です。2つにはどのような違いがあるのでしょうか?

助成金と補助金の違いは、受給要件にあります。募集要件を満たせば必ず受けられるものが助成金、一方で募集要件を満たしかつ選ばれて初めて受給を受けられるものが補助金です。補助金は、あらかじめ支給できる企業数が決まっているために、選抜される工程を追加されているためです。助成金よりも狭き門なのが補助金なのですね。

1-4 起業時の助成金はいくらくらいもらえる?

起業の際に助成金を活用しようと思っていても、一体いくらぐらいもらえるのか気になりますよね。具体的な支給額の一例をご紹介します。

  • 【助成制度名称】
    ポジティブ・アクション加速化助成金(女性活躍加速化助成金)

  • 【助成の目的】
    女性が職場で活躍できる環境作りを加速させる。

  • 【要件】一部抜粋
    女性の職域拡大、管理職登用など現況を把握した上で、行動目標と数値目標を策定する

  • 【助成額】
    1 取組目標を達成すると30万円支給(中小企業の場合)

2 数値目標を達成すると30万円(中小企業・大企業ともに)

※1事業主それぞれ1回限り

これは、「ポジティブ・アクション加速化助成金」を例にご紹介しましたが、雇用の場合は1人あたり○○万円といった規定のものや、該当する雇用の調整にかかった経費の50%というような設定もあります。制度によって異なるため確認が必要です。

1-5 起業時に助成金を活用するメリット・デメリット

それでは助成金を利用するメリットとデメリットをご説明します。

◆メリット:

  • ・返済不要

返済不要で、年間数十万円の費用が助成されるのは事業運営の大きな力になります。

  • ・雑収入で処理できる

売上としてではなく、雑収入として処理できるため税制面でメリットがあります。

◆デメリット:

  • ・基本は後払い

原則としてすべての助成金は、申し込みをした後に指定の事業を実行します。そしてその後申請を行うことで助成金が支給されます。つまり後払いで受給を受けます。使ったお金をすぐにもらえないことはある意味デメリットかもしれません。

  • ・要件が厳しい

助成金の中には、定められている支給要件として難しいものも多々あります。また、数多くの要件に合致しているかの確認も必要です。

例えば、ある助成金制度では、会社を退職した後に事業を立ち上げる場合、失業手当の給付を1日以上残していないと無理であるなどさまざまです。

  • ・申し込み期限がある

助成金は、いつでも用意されている制度ではありません。それぞれに申込み締め切りがあり、また、各制度の内容も大きく変更することが多々あります。書類を準備している途中で締め切りを迎えてしまわないよう注意しましょう。

2 起業時に助成金を利用する

それでは、起業時に助成金を申請するにあたって、その流れや気を付けておきたいポイントをご紹介します。また、申請時にどのような書類を準備すべきかについても気になりますよね。国や自治体からまとまった金額を獲得できる助成金について徹底解説します。

2-1 起業時に助成金を活用するのに必要なもの

助成金を活用するにあたっては申請が必要です。その際に提出するものは申請書です。申請書は助成金制度によって内容が多少異なりますが、事業所名や届け出に関する担当者名の他、助成金制度の要件を満たしているかどうかの点で多くの項目があります。

また、申請書以外にも添付すべき資料が定められています。添付資料は各制度によって異なりますが、どの制度も多くの資料を必要とします。具体的にご紹介しましょう。

「キャリア形成促進助成金」の場合は、以下の添付資料を提出します。(一部抜粋)

  • ・登記簿謄本/会社案内・パンフレット等

  • ・年間職業能力開発計画(様式3号)

  • ・訓練別の対象者一覧(様式4-1号)

  • ・OFF-JTの実施内容等を確認するための書類(実施主体の概要、目的、内容、実施期間、場所等の分かる書類(事前に対象者に配布したもの等や訓練カリキュラム等)

  • ・職業訓練指導員免許証(写)又は1級の技能検定合格証書(写)若しくは能力を示す書類(写)(職務経歴書等)

  • ・労働局長が求める書類

これは添付書類のうちのほんの一部の書類です。助成金の申請には数多くの書類が必要になります。心しておいた方が良いですね。

2-2 起業時以外にも利用できる助成金制度はある?

助成金制度を利用できるのは起業時だけではありません。起業後、年数が経った後でももちろん利用できます。起業後、継続して長く事業を運営し、必要に応じて助成金を活用していきたいですね。

特徴として、助成金制度の多くは、雇用面での助成です。起業し事業を展開していく中で、雇用を生み出すことは事業利益拡大のためにもなりますよね。その際にはぜひ助成金を活用しましょう。

具体的には、パート・アルバイトから正社員雇用へ変更するなど、キャリアアップ促進に関わる助成金などです。高齢者や障害者などの雇用についても手厚いサポートを受けることができます。

2-3 起業時の助成金の申請窓口

では、助成金を申請するにはどこで申し込みをすればよいのでしょうか?助成金は国と地方自治体が管轄している制度です。そのため、以下の窓口へ相談・申し込みすることとなります。

  • 雇用関係の助成金:最寄りの都道府県労働局・ハローワーク
  • 雇用以外の助成金:国が管轄する外郭団体
  • 各自治体の助成金:各自治体の窓口(市役所や区役所など)

国の厚生労働省は制度の整備のみを行い、実際に申込みや相談窓口となるのは、助成金の種類によって専門の窓口ということになります。申し込み前には、必要書類や申請書の書き方など一度相談に行ってみるのも良いですね。

2-4 起業時の助成金申請から給付までの流れ

それでは、助成金の申請から給付までの流れを見ていきましょう。

  • 1 助成金の種類を調べる。申込期限も確認する。

  • 2 合致するものを決定し、必要な書類を準備する。

  • 3 申請する。

  • 4 選定結果を受け取る。

  • 5 事業の実施。

  • 6 助成金の交付申請を行い、交付を受ける。

もっとも時間がかかる部分は、2の書類準備でしょう。数多くの書類を確実に揃える必要があります。また要件によっては、5の事業の実施にも大きく労力がかかる場合があります。

なお、申請のタイミングについても最初に確認が必要です。例えば雇用関係の助成金の場合、雇用前に提出が必要である場合があります。雇用した後に申請しようとしたけれど助成金が支給されなかった、ということも起きえますので注意しましょう。

2-5 起業時の助成金の注意点

では最後に。助成金に関する注意点をご説明します。

助成金で抑えておきたいポイントは、通年で募集していない点です。各制度で期間が決まっており、締め切り後の申し込みはできません。

そのため、起業時に助成制度の全体を確認しておくだけでなく、起業後も定期的に助成金制度を調べておくことが大切です。同じ制度名でも要件が大きく変わることもあります。

とても魅力的な助成金が新登場することもあるので、常にアンテナをはっておくことが大切です。

3 まとめ

起業するとき、避けて通れないのがお金の問題ですが、国や地方自治体が行っている事業主向けの制度として、給付される助成金があります。

雇用を促進する目的で活用される助成金を得ることで、事業経営の大きなコストダウンに繋がり、開業時の負担を減らせます。

融資とは違って返済が不要なことや、補助金のように企業数が指定されているわけではないという違いがあります。

助成額は制度によって異なりますが、『ポジティブ・アクション加速化助成金』のように、30万円もの助成金を受けることができます。もし自分が起業する際に適用される助成金制度があれば、しっかりと確認をしておきましょう。

助成金申請には多くの申込書類が必要となるので面倒に感じるかもしれませんが、申請が通れば大きな助けとなります。
ぜひ活用して、賢い経営者になりましょう。

公開日:2015年09月25日