薬局・ドラッグストアフランチャイズの開業・運営に必要な資金とは

公開日:2021年04月09日

こちらでは、薬局・ドラッグストアフランチャイズを始める前に知っておきたい、開業・運営に必要な資金をまとめています。

店舗や調剤機器、医薬品などの費用に加えて、本部へ支払う加盟金や広告宣伝費などについても触れているので、どのような費用がかかるのかチェックしましょう。

目次

薬局・ドラッグストアフランチャイズの開業と運営に必要な資金の目安

薬局・ドラッグストアフランチャイズの開業に必要な資金(初期費用)

薬局・ドラッグストアフランチャイズに必要な運営資金

薬局・ドラッグストアフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

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薬局・ドラッグストアフランチャイズの開業と運営に必要な資金の目安

薬局・ドラッグストアフランチャイズの開業に必要な資金の目安は、1,200~3,740万円です。
この費用は、開業資金(初期費用)と運営資金3ヵ月分を合算した金額で、あくまで目安の一つです。

小さな調剤薬局と幅広い商材を取り扱うドラッグストアでは費用が大きく変わるため、これから始める事業の規模を踏まえた上で計算する必要があります。

<開業資金(初期費用)の目安>

項目 金額
加盟金・保証金 0~200万円
店舗関連費
(物件取得費・内装工事費・設備費など)
600~2,000万円
調剤機器・医薬品の購入費 200~700万円
広告宣伝費 10~30万円
研修費 0万円~
各種申請費 3~30万円
合計 810~2,960万円

<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>

項目 金額
人件費 120~360万円
賃貸料 30~60万円
医薬品・消耗品の仕入れ費 240~360万円
ロイヤリティ 0万円~
合計 390~780万円

上記の初期費用と運営資金は事業規模によって異なることを前提に、売り上げが月200~400万円規模であると仮定し各項目を計算しています。

以下でそれぞれの項目について一つずつ解説していきます。

薬局・ドラッグストアフランチャイズの開業に必要な資金(初期費用)

こちらでは、薬局・ドラッグストアフランチャイズの開業に必要な初期費用を紹介します。
調剤機器や医薬品などはそれぞれの店舗によって費用が変わりますが、まずはどのような費用が必要となるのか基本を押さえましょう。

加盟金

加盟金とは、フランチャイズへ加盟するときに支払う費用のことです。
この加盟金を支払うことで、経営者は本部から開業のサポートを受けられたり、経営のアドバイスをもらえたりします。

薬局・ドラッグストアフランチャイズの加盟金は本部によって0~約100万円と差があるため、まずは各本部の契約条件を比較してみてください。

また、なかには加盟金が0円の本部もありますが、加盟金ではなく「コンサルティング費用」など別の名称で費用を徴収しているケースが見られます。

「加盟金0円」と謳っているからといって本部への支払いが一切不要なわけではないので、自分が支払う費用の内容をよく確認することが大切です。

保証金

保証金とはロイヤリティなどの支払いが滞ったときに差し引かれる費用で、特に何の問題もなく契約期間を満了した場合は全額返金されます。

薬局・ドラッグストアフランチャイズの保証金は本部によってさまざまで、0円のところもあれば80万円のところもあるようです。

そのため初期費用を少しでも抑えたいのであれば、保証金が少額または0円の本部への加盟を検討しても良いかもしれません。

店舗関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)

薬局やドラッグストアとして使う店舗物件に必要な店舗関連費は、取得時に支払う保証金が賃貸料の2~10ヵ月分、内装・外装工事と設備搬入にかかる費用が400~1,000万円で、合計600~2,000万円が目安です。

ただ、小さな調剤薬局と大型ドラッグストアでは店舗の広さが違うように、事業形態によって費用が大きく変わることに留意してください。

薬局・ドラッグストアフランチャイズのなかには店舗関連費を抑えるコツを教えてくれる本部もあり、無駄な費用をかけずに利便性を考慮したスペースづくりが可能です。
そのほかにも、すでに本部が物件を確保しており、経営者がわざわざ新規物件を探さなくて良いケースもあります。

店舗関連費は数百万~数千万円かかる大きな出費のため、各本部でどのような調達方法を採用しているのかよく調べましょう。

調剤機器・医薬品の購入費

薬局・ドラッグストアフランチャイズの業務で使う調剤機器や医薬品の購入費は、200~700万円が目安です。

全ての薬局やドラッグストアが当てはまるわけではありませんが、開業前には下記の設備を一通り用意する必要があります。

  • レセコン(診療情報明細書を作成するシステム)
  • 電子薬歴(患者の服用歴などを管理するシステム)
  • 分包機
  • 薬剤の保冷庫
  • 調剤棚
  • 作業台
  • POSシステム
  • 電話・FAX・コピー機 など

初期費用に余裕がない方は、機器をリースするのも一つの方法です。
そのほかにも薬袋やお薬手帳など、細々とした消耗品も購入しなければいけません。

また、医薬品は事業を運営しながら適宜仕入れることになりますが、開業後すぐに必要となる分は忘れず取り揃えておきましょう。

広告宣伝費

集客のための広告宣伝費は一般的に10~20万円かかるため、「できれば本部に頼らず自分で対応したい」と感じる方もいるかもしれません。

ですが、医療に関する広告は過剰な宣伝文句が禁止されていたり、特定疾病用の医薬品の広告が制限されていたりなど決まりが多いため、本部へ広告宣伝費を支払い適切な知識がある方に任せるのがおすすめです。

また、お客様向けの広告だけでなく、自店舗で働いてくれる薬剤師や事務スタッフを募集するための採用広告も出す必要があります。

経営者が自由に薬剤師などを採用できる本部もあれば、採用面接に担当者が同席する本部もあり、採用活動の自由度やサポートの手厚さは各本部でさまざまです。

研修費

研修制度がある薬局・ドラッグストアフランチャイズへ加盟する場合は、本部へ研修費を支払います。

研修費は加盟金のなかにあらかじめ含まれていることがあり、また本部によって費用が異なるため、事前に詳細をよく確認することが大切です。

薬局・ドラッグストアの開業には専門知識が必要なイメージがありますが、フランチャイズの場合は研修制度があるため未経験者でも加盟できるケースが少なくありません。

本部から保険調剤の基礎知識を学べたり、店舗で実務を経験したりなど、確かな知識をつけた上で薬局・ドラッグストアを開業できます。

特に未経験から開業を目指す方は、開業後の不安を減らすためにも自分の希望に合った研修制度の本部を選ぶことがポイントです。

各種申請費

薬局やドラッグストアなど医薬品を取り扱う事業を始める場合は、管轄の保健所で「薬局開設許可新規申請書」を提出します。
申請費用は自治体によって異なりますが、3~3.5万円が目安です。

また、法人として開業する場合は6~25万円の設立費用がかかります。
個人と比べて法人設立は初期費用の負担が大きい点がデメリットですが、税制面で有利なこと、社会的な信頼度が高いことなどメリットも多いので、それぞれの特徴を踏まえた上で開業方法を選びましょう。

薬局・ドラッグストアフランチャイズに必要な運営資金

こちらでは、薬局・ドラッグストアフランチャイズの運営に必要な運営資金の内訳をまとめています。
人件費や賃貸料、医薬品・消耗品の仕入れ費に加えて、本部へ支払うロイヤリティについても触れているので、事業計画を練る上でぜひ参考にしてみてください。

人件費

薬局・ドラッグストアフランチャイズの運営資金のなかでも、特に有資格者である薬剤師の給与は大きな割合を占めます。
そのため人件費が経営を圧迫しないよう、採用人数を考慮しなければいけません。

本部によっては繁忙期に薬剤師や事務スタッフを派遣してくれるので、人手が足りない時期だけ本部へ応援を要請するのも一つの選択肢です。

また、食料品や化粧品なども取り扱うドラッグストアは、店舗の規模に応じてレジや品出しなどの業務に従事する従業員が必要なため、どのくらいの人手が必要となるのかシミュレーションしておきましょう。

賃貸料

賃貸料は、物件の立地や規模によって異なります。
例えば地域密着型の調剤薬局「TRINITY」で独立・開業のサポートを受ける場合、必要な物件の規模は20坪前後と言われています。

医薬品の販売をメインに行う調剤薬局であれば小規模な物件でも十分ですが、食料品や化粧品、日用品などを取り扱うのであればそれなりの広さの物件が必要でしょう。

物件探しの際は本部がサポートしてくれるため、賃貸料が高すぎる物件を紹介されることはほぼありません。
ですが、開業前に賃貸料の相場をある程度把握するためにも、希望エリアの賃貸価格情報を自分で調べておくと安心です。

医薬品・消耗品の仕入れ費

薬局・ドラッグストアフランチャイズでは複数店舗分まとめて医薬品を仕入れる共同購入システムを採用していることが多く、個人で開業するより医薬品代を安く済ませやすいです。

仕入れ費は取り扱う医薬品や商品によって大きく変わるため、これから開業する薬局やドラッグストアの特性をよく研究する必要があります。

例えば整形外科の近くに薬局を開業する場合、病院からの処方箋は「整形外科関連の治療に必要な薬」がメインです。
そのため毎月の仕入れ費を予測しやすく、また必要分だけ仕入れられるため無駄な出費が発生せずに済むでしょう。

一方、さまざまな商品を取り扱うドラッグストアは仕入れ費を予測することが難しく、特に化粧品などは流行に影響されやすいため、毎月の仕入れ費が変動しやすい傾向にあります。

ロイヤリティ

ロイヤリティとは、フランチャイズ本部から経営ノウハウを提供してもらったり、ブランドを利用したりするために支払う費用のことです。

薬局・ドラッグストアフランチャイズのなかにはロイヤリティを粗利の5%としている本部がありますが、それぞれの本部で金額や支払方式は異なります。

また、ロイヤリティが0円の本部もありますが、その場合はサポート内容に物足りなさを感じたり、ほかの費用が高くなっていたりするケースがゼロではありません。

ロイヤリティが無料だからといって一概にお得とは言えないため、サポート内容やほかの費用とのバランスを考慮することが重要です。

薬局・ドラッグストアフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

具体的な収支を情報公開しているフランチャイズ本部はありませんが、1ヵ月の売上高が約400万円の薬局・ドラッグストアフランチャイズのキャッシュフローシミュレーションは以下の通りです。
(必ずしも当てはまるわけではないので、参考程度にしておいてください。)

  • 売上高
    400万円
    =8,000円(処方箋の単価)×20枚(処方箋の枚数)×25日(営業日数)

  • 総粗利益高
    120万円
    =400万円(売上高)ー280万円(医薬品購入費)

  • 店利益
    60万円
    =120万円ー60万円(家賃や人件費、水道光熱費など)

上記は薬剤師を1人雇っている調剤薬局をイメージしていますが、薬以外にも収入源がある場合はさらに店の利益が増える可能性があります。

特に最近は医薬品以外の商品を販売することで売り上げを伸ばす薬局・ドラッグストアも多く、収益アップにはサービスの多様化が重要なポイントです。

また、薬局・ドラッグストアフランチャイズは人件費の節約も大きな課題のため、少数精鋭で効率的に事業を運営する方法を考える必要があります。

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