商工会議所ってどんなところ?

最終更新日:2021年08月04日

個人から大企業まで経営をサポートしてくれる商工会議所。
何かと悩みの尽きない経営者にとって、経営のアドバイスをもらえる環境はとてもありがたいものです。
しかし、この商工会議所「名前は聞いたことがあるけどよくわからない」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、商工会議所がしていることや加入するメリットなどについて詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

商工会議所とは

商工会議所が提供しているサポート

商工会議所に加入するメリット

商工会議所に加入したときのデメリット

商工会議所に加入するには

まとめ

商工会議所とは

商工会議所は商工会議所法に基づき、国内企業や地方の活気づけを目的に組織されている非営利経済団体です。
基本的に会員制の組織となっていますが、非会員の方でも無料相談ができます。

会員になれば幅広いサービスを受けることが可能で、地域の個人事業主から大企業にとっては心強い味方になってくれます。

商工会との違い

そんな商工会議所ですが、似たようなものに「商工会」というものがあります。

商工会は商工会法に基づいて設立されており、営利目的ではないことや企業の発展のためにサービスを提供するといった意味では商工会議所と内容にそこまで違いはありません。

では何が違うかと言うと、商工会は商工会議所よりも小規模事業のための施策に力を入れています。

つまり、商工会議所よりも、もう少し対象となる範囲を狭めたものが商工会といったイメージです。
商工会議所の会費は後ほど触れていきますが、商工会の会費は月額にすると1000円以下となっており、特に駆け出しの小規模事業主には人気のようです。

英米系と仏独系

意外と知られていないのですが、商工会議所には英米系と仏独型があります。

この違いは法人形態にあり、英米型は非営利法人・仏独計系は公的法人です。
それぞれ解説していきます。

英米系
英米系の商工会議所は自由な加入と脱退が認められている機関であり、任意団体非営利法人として組織されています。運営費が加入者からの会費によって賄われている点も特徴。

イギリスやアメリカで採用されており、日本も同様のスタイルの商工会議所となっています。
自由な加入脱退・会費から運営費をまかなうといった部分は、日本の企業にもマッチしていると言えるでしょう。

仏独系
仏独系は、中世のフランスマルセイユに設けられた商業会議所がモデルになっており、行政機関を補助する目的を持った公的法人です。
この商工会議所は選出された議員によって運営を行い、その選出方法は選挙によるもの。

フランス・ドイツ・イタリア・ルーマニアなどの欧州大陸諸国の制度で、運営費は商品ギルドの資格を持つ商工業者から徴収しています。
また、英米型と違い、地域の事業者は商工会議所への強制加入であることも特徴です。

商工会議所が提供しているサポート

商工会議所は様々なサポートを企業に向けて行ってくれます。

サポートは非常に多くの種類があり、一例としては以下のようなものがあります。

・経営相談
・資金調達
・取引拡大やPR
・人材採用や育成
・共済・福利厚生
・貿易証明
・貸しホールや会議室の提供

その他にも、独自の優待サービスがついたクレジットカードや電子証明サービスなど多種多様なサポートの提供を行っています。
また、検定事業も行なっているため、簿記検定やビジネス実務法務検定などの資格取得の際には関わりがあった方もいるのではないでしょうか。

こちらは会員であることを問わないため、学生から社会人事業主まで多くの方が利用しています。
また、会員であることとはないものの、サービスの一つとして経営改善普及事業があります。

経営改善普及事業

経営改善普及事業とは、補助金収入によって行われている事業で中小企業や個人事業主創業希望の方のみを対象とした無料のサービスです。
大企業の場合はサービスの対象になりません。

経営コンサルティングや独自の融資・講習会、弁護士や社労士などによる無料相談を行なっています。

独自融資はマル経融資と呼ばれています。
商工会議所による継続的な経営指導を行うこと・20人以下(サービス業の場合は5人以下)であることが融資条件です。

限度額は2,000万円で、低金利・運転資金や設備投資にも利用可能です。
ただし、税金を滞納していたり消費者金融からの借り入れがある場合は、審査が厳しくなってしまいます。

商工会議所に加入するメリット

結論を言ってしまうと、商工会議所に加入するメリットは多くあります。

主なメリットとしては以下の3つです。

・会員限定サービス
・人脈が広がる
・商談会や展示会

ひとつずつ解説していきます。

会員限定サービス

先ほど少しお伝えした、クレジットカードの優待サービスや電子証明書サービスの他にも、商工会議所には会員限定のサービスがあります。

たとえば、事業主であれば常に背中合わせになる、損害賠償や療養に対する補償があります。
損害賠償に対する賠償金の支払いは不可抗力で発生してしまうケースもあり、金額も高くなってしまったため、事業の存続に関わることも。

また、病気や怪我になってしまった場合の療養保証も万が一のことを考えると安心できます。
実際にその万が一のことが起こった場合でも、療養前の所得と公的保障の差額文が補われるといった手厚いものになっています。所得の面での不安が軽減できるため、治療に専念しやすくなるでしょう。

人脈が広がる

商工会議所では定期的に交流会の開催があります。
そのような場に顔を出せば人脈の構築にもつながるでしょう。

自社だけのネットワークではどうしても交流には限界があるので、交流会は業務提携の相手を探すにもうってつけです。
さらに、弁護士や税理士といった士業の方と提携したい場合であっても、交流会を有効に活用できれば人脈や事業に大きな幅を持たせることも可能です。

商談会や展示会

商談会や展示会は、参加すれば販路の開拓が見込めることもあります。
実は商工会議所で開催される商談会は業種ごとに生産側と販売側を集めています。

これは言い換えれば、求めるニーズに近い相手との交渉ができると言えるでしょう。
そうなれば、必然的に取引の成立率も上がるというものです。

また、展示会はある程度絞り込んだ商談会とは違い、短期間で多くの交渉や取引の機会が得られます。
これは多種多様な業種階層の方とのコミュニケーションが取れるからです。

他にも、自社では今までなかった取引先と出会うケースもあります。
仮に取引に至らなかった場合でも、顧客が求めるニーズの認知にもなるためサービスや商品開発に活かすことも可能です。

商工会議所に加入したときのデメリット

商工会議所に加入した時のデメリットはたった1つです。
それはやはり会費。入会金を含めると資本金500万円未満の場合でも年間2万円程度かかってしまいますし、資本金によって年会費は高くなっていきます。

そうなると、経営改善普及事業以外の一般事業に参加しないのであれば、その年会費は無駄になってしいがちです。
また、入会後会費の未納が続くと自動退会になります。
とはいえ、金融機関とのデータ連動はしていないため、融資のように信用情報に傷がつくと言ったことはありません。

商工会議所に加入するには

商工会議所加入の手続きは申込用紙の提出をするだけです。
提出先は各商工会議所や支部で、申込書は現地もしくはサイトからのダウンロードによって用意します。

また、手続きには法人印・個人の場合は認印と銀行印が必要です。
ただし、商工会議所に加入するにはいくつかの資格や条件が必要です。
以下でひとつずつ解説していきます。

加入資格がある営業機関

商工会議所に加入する条件として、加入する商工会議所のエリアにおいて6か月以上の事業を続けている必要があります。と言っても、あくまでこれは原則。

6ヶ月未満の場合でも入会を認められることもありますし、エリア外でも特別会員として加入が認められる場合もあります。
このように、入会にあたっては非常にハードルが低いと言えるのです。
ただし、原則外の入会の場合は業種ごとの部会に所属できない、商工会議所の議員選の選挙権がないといった条件があります。

加入できない職種

上記のように商工会議所は加入がしやすいものですが、一方で職種によっては加入ができない場合があります。
加入ができない職種の例としては、消費者金融や風俗店・政党などです。また、過去には病院や学校法人なども認められていませんでしたが、現在では加入が認められるようになっています。

まとめ

このように、商工会議所は費用面のデメリットを除くとすべての事業者にとって活用したい機関です。
特に経営改善普及事業は会員である必要もなく、中小企業や個人事業主創業を考えている方においてはぜひ受けたいサービスとなっています。

事業主にとって、日々の悩みや相談を打ち明けられる場所である商工会議所。
この記事を参考に、まずは最寄りの商工会議所に足を運ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。

公開日:2019年12月11日