ゲストハウスの開業には何が必要?費用や準備、成功ポイントなどまとめて紹介!
最終更新日:2024年09月20日

さまざまな人と触れ合える点に魅力を感じ、「ゲストハウスを開業してみたい!」と考えている方は多いはず。
ゲストハウスは魅力的なビジネスですが、経営を成功させるにはさまざまな開業準備を済ませておく必要があります。
そこで今回は、ゲストハウスの開業資金や準備、成功のポイントなどを詳しくまとめました。
ゲストハウスの開業に必要な費用
ゲストハウスの開業前には、十分な資金をしっかりと用意しておく必要があります。
そこでまずは、ゲストハウスの初期費用・運営資金や、資金の調達方法をまとめました。
初期費用
ゲストハウスの開業時には、約500~1,000万円の初期費用が発生します。
ただし、これは小規模なゲストハウス(100平米未満)を想定した金額なので、あくまで目安として参考にしてください。
<初期費用の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
物件取得費 | 100~500万円 |
リフォーム代 | 300万円 |
設備費 | 100~200万円 |
許可の取得費 | 2万円 |
什器・備品代 | 20万円 |
合計 | 500~1,000万円 |
ゲストハウスの初期費用は、取得する物件によって大きく異なります。
例えば、大きな物件でゲストハウスを運営するケースや、物件を新たに購入するケースでは、物件取得費だけで1,000万円以上の資金が必要になることもあります。
また、中古物件を取得する場合は、開業までにリフォームすることも忘れてはいけません。
空調機器や厨房機器などの設備代も含めると、ゲストハウスの開業時には少なくとも300~500万円の物件関連費が発生します。
そのほか、家具や調理器具、ユニフォームなどを購入するために、20万円程度の什器・備品代がかかることも覚えておきましょう。
運営資金
小規模なゲストハウスを運営する場合、1ヵ月あたりの運営資金は約40~50万円です。
開業時には3ヵ月分の運営資金を用意しておくことが望ましいため、約120~150万円の運営資金が必要になります。
<運営資金の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
人件費 | 45万円 |
地代家賃 | 30~60万円 |
水道光熱費 | 20万円 |
消耗品費 | 3万円 |
広告宣伝費 | 30万円 |
合計 | 120~150万円 |
※管理者として、従業員を1人雇ったケースを想定しています。
※上記はいずれも、3ヵ月分の金額を記載しています。
ゲストハウスは1人でも開業できますが、従業員を雇う場合は人件費が必要です。
また、賃貸物件を使って運営するケースでは、毎月の家賃も大きなコストになります。
そのほか、運営資金としては水道光熱費や消耗品費、広告宣伝費も軽視できません。
事業が軌道に乗れば広告宣伝費は抑えられますが、特に開業当初はホームページやパンフレットなどを作成する必要があるため、十分な資金を用意しておきましょう。
資金調達の方法
ゲストハウスの開業資金は、補助金や助成金、金融機関からの融資などで調達できます。
では、具体的にどのような調達方法があるのか一例を紹介しましょう。
- 銀行からの融資
- 日本政策金融公庫(日本公庫)からの融資
- 小規模事業者持続化補助金の利用
金融機関からの融資については、銀行よりも日本公庫のほうが有利な条件で借り入れられます。
特に日本公庫の「新創業融資制度」では、無担保・無保証人で最大3,000万円まで融資を受けられるので、資金不足に悩んでいる方はぜひ申請を考えてみましょう。
ゲストハウスで得られる年収
ゲストハウスの経営で得られる年収は、営業形態や規模によって大きく異なります。
仮に面積が100平米以下、ベッド数が15前後のゲストハウスを運営する場合、オーナーの年収は約400~450万円が一つの目安になるでしょう。
ただし、これはオーナーが1人で運営した場合の目安であり、従業員を雇う場合はここからさらに人件費を差し引くことになります。
ゲストハウスの経営で高収入を狙いたい方は、稼働率を少しでも上げられるように営業形態を工夫することが必要です。
ゲストハウスの特徴
ほかの業種と比較した場合に、ゲストハウスの運営にはどのような特徴があるのでしょうか。
ここからはビジネスとしての特徴をつかむために、サービス内容やメリット・デメリットなどをチェックしていきましょう。
サービス内容
ゲストハウスの主なサービス内容は、旅行などで訪れた人たちに宿泊できる部屋を提供することです。
宿泊施設としての規模は小さめですが、一般的なホテルと同じように以下のような業務が発生します。
- 予約への対応
- 受付業務
- 館内の見回り
- 宿泊部屋やベッド、水周りの清掃
- 売上管理
- 広告や宣伝
小規模なゲストハウスでは、一つの部屋に複数の人が宿泊するため、定期的に館内を見回る必要があります。
また、消灯後の外出を認める場合は、24時間対応できるように夜勤スタッフを配置することも忘れないようにしましょう。
メリット
ゲストハウスの運営には、主に以下のようなメリットがあります。
- ゲスト(宿泊客)と交流できる
- 開業エリアや規模によっては初期費用を抑えられる
- 専門知識や特別なスキルが必要ない
- 1人でも開業できる
ゲストハウスを開業する最大のメリットは、訪れたゲストと毎日交流できる点です。
最近では海外の旅行者が宿泊するケースも珍しくないため、異文化交流を目的としてゲストハウスを開業する方も多く見られるようになりました。
デメリット
ゲストハウスに訪れる人は、基本的には観光を目的にしています。
そのため、アクセスが悪かったり観光地から遠かったりなど、開業エリアに何かしらの問題があると集客が難しくなるので注意が必要です。
また、一般的な業種に比べて必要な資格・届出が多い点も、ゲストハウスのデメリットになります。
開業までのスケジュールが大幅に遅れることもあるので、特に資格・届出は早めの準備を心がけましょう。
ゲストハウス開業の成功・失敗ポイント
ゲストハウスの運営を安定させるには、さまざまな工夫をとり入れる必要があります。
そこで次からは、ゲストハウス開業の成功・失敗を左右する5つのポイントをまとめました。
アクセスが良いエリアを選べているか
「ゲストハウスの売り上げは立地で決まる」と言われるほど、開業エリアは重要なポイントです。
宿泊客のほとんどが観光目的なので、立地選びではアクセスの良さを最優先する必要があります。
基本的には主要駅に近い物件がベストですが、送迎サービスを提供する場合は駅から多少離れても問題ありません。
また、幅広い層の宿泊客を集めるために、外国人観光客だけではなく日本人観光客の利便性も意識しましょう。
周辺に魅力的な観光地があるか
電車やバスで行ける範囲に、「魅力的な観光地があるかどうか?」も立地選びのポイントになります。
また、周辺の観光地に訪れる人が少ないと、宿泊施設の需要も減ってしまうため、現地や周辺エリアの情報はしっかりと調べておきましょう。
具体的には、近くの観光地に訪れる観光客数や、季節ごとの観光客数の変化などを調べておくことが大切です。
足を運びたくなるサービスが充実しているか
ゲストハウスの開業では立地の良さだけではなく、サービス面にもこだわる必要があります。
例えば、売り上げが安定しているゲストハウスでは、季節ごとのイベントやパーティーを開催するなど、宿泊客を楽しませる工夫を積極的にとり入れています。
サービス面を充実させると、新規客だけではなくリピーターも増やすことにつながるので、宿泊客の満足度を高められるようなサービスを考えてみましょう。
適正な価格を設定できているか
ゲストハウスの運営では、価格設定に失敗するケースが多く存在します。
価格が安すぎると売り上げが伸びませんし、価格が高すぎるとそもそも多くの集客を得るのは難しいです。
そのため、ゲストハウスの価格設定時には周辺の相場をしっかりと調査し、適正な価格を設定することが重要になります。
また、客足をオールシーズン安定させたい場合は、繁忙期と閑散期で価格に差をつけることも考えてみましょう。
周辺の店舗と協力体制を築けているか
競合との差別化がどうしても難しい場合は、周辺の店舗と協力する方法も一つの手です。
具体的な手段としては、近くのお店で使えるクーポン券を渡したり、お互いの店舗にパンフレットやチラシを置いたりする方法が挙げられます。
周辺店舗との協力は地域の活性化にもつながる施策なので、協力店を増やせばその地域に訪れる観光客が増える可能性もあるでしょう。
ゲストハウスの開業に必要な準備
ゲストハウスの開業前には、さまざまな準備を万全にしておく必要があります。
スタートダッシュを決めるためにも、特に以下で挙げる準備はしっかりと済ませておきましょう。
コンセプト決め
コンセプトは、ゲストハウスの成功を大きく左右する要素です。
事前に決めたコンセプトによって、取得するべき物件やリフォームの内容、必要な設備などが変わってくるので、慎重に設定しなくてはなりません。
特に意識しておきたいポイントは、「どんなサービスを提供したいのか?」と「なぜそのサービスを提供したいのか?」の2点を明確にすること。
単にユニークなコンセプトを設定するのではなく、ゲストハウス市場や競合との差別化を意識した上で、魅力的なコンセプトを考えることが大切です。
資格取得
ゲストハウスの開業に、必須となる資格はありません。
ただし、宿泊客を駅まで送迎する場合や、スーパーなどが施設から遠い場合は、車を運転するための自動車免許が必要になります。
また、外国人観光客が多いゲストハウスでは、英語関係の資格を取得しておくとスムーズに対応しやすくなります。
なお、英語圏の宿泊客が多いとは限らないので、習得する言語はしっかりと市場調査をした上で判断しましょう。
許認可申請
ゲストハウスの開業時には、以下の許認可を申請する必要があります。
許認可の種類 | 概要 |
---|---|
消防法令適合通知書交付申請 | 消防法令に適合する施設に交付される通知書。消防署に対して申請をする。 |
旅館業営業許可(簡易宿所営業許可)申請 | 保健所に対して申請する許認可。衛生基準などの要件が設けられている。 |
用途変更申請 | 取得した物件が、もともと宿泊用ではない場合に必要。自治体が指定する検査機関などに申請する。 |
建築検査済証 | 100平米以上の物件で必要になる許認可。土木事務所などに申請をする。 |
消防法令適合通知書と旅館業営業許可の2つは、ゲストハウスの規模に関わらず必須となる許認可です。
なお、旅館業営業許可申請よりも先に消防法令適合通知書交付申請を済ませておく必要があるので、手順を間違えないように注意しましょう。
店舗
コンセプトに沿った店舗(物件)探しは、できるだけ早めに取りかかりたい準備です。
理想的な物件がスムーズに見つかるとは限らないので、コンセプトや経営計画を作成したらすぐに物件探しを始めましょう。
なお、ゲストハウスに適した物件は以下のような方法で探せます。
- 不動産屋に相談をする
- 自治体が運営している「空き家バンク」を利用する
- 気になる物件を自力で見つけて、オーナーに交渉をする
時期や探し方によって見つかる物件は変わってくるため、できれば複数の方法を組み合わせながら時間をかけて物件を探しましょう。
集客
開業直後にスタートダッシュを決めるには、早めに集客活動をしておくことも大切です。
魅力的なゲストハウスを用意しても、そもそも認知されていなければ利用してもらえないので、チラシやパンフレットの作成、ホームページの開設など、さまざまな方法で集客活動をしておきましょう。
最近ではより効果的な集客をするために、専用アプリや集客サイトを活用するオーナーも増えてきました。
ただし、集客活動には一定のコストがかかるため、できるだけ費用対効果の高い方法を選ぶことが大切です。
準備が不安な方には、フランチャイズへの加盟がおすすめ
ゲストハウスの成功率は、事前の準備によって大きく変わってきます。
決して簡単なビジネスではありませんが、コンセプトに合わせて必要な準備を万全にしておけば、開業直後にスタートダッシュを決められる可能性が高まるでしょう。
なお、1人で準備をすることが不安な方には、開業から運営まで幅広くサポートしてもらえるフランチャイズの利用がおすすめです。
加盟する本部によって特徴は異なりますが、フランチャイズに加盟すれば開業の手間やコストを大きく抑えられることもあるので、ぜひ選択肢として考えてみましょう。
公開日:2021年02月15日