焼き鳥屋を開業するのに必要な準備・費用とは
最終更新日:2020年08月28日

数ある飲食店のなかでも、比較的小さな店舗で開業できる焼き鳥屋。街中で繁盛している焼き鳥屋を見て、「自分も挑戦してみたい」と感じている方は多くいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、焼き鳥屋の開業に必要な費用や特徴、準備など、焼き鳥屋の開業前に知っておきたい情報をまとめました。おすすめのフランチャイズ情報もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
焼き鳥屋の開業に必要な費用
はじめに、焼き鳥屋の開業に必要な費用を初期費用と運営資金、売上、借入の有無に分けて紹介します。
初期費用
焼き鳥屋の開業に必要な初期費用は、約500~800万円です。
この費用は、約30坪の店舗と仮定して計算を行っているため、あくまで目安として参考にしてください。
<初期費用の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
物件取得費 | 300~600万円 |
内外装費 | 120万円 |
厨房設備費 | 20万円 |
備品購入費 | 30万円 |
広告宣伝費 | 20万円 |
合計 | 500~800万円 |
主な費用としては、物件取得費や内外装費、厨房設備費、備品購入費、広告宣伝費が挙げられます。
なかでも物件取得費と内外装費は、店舗の規模によって金額が大きく変動するコストになります。
数ある飲食店のなかでも焼き鳥屋は、調理の際に大量の煙が発生するお店です。
店舗自体が小さいと煙が充満してしまう恐れがあるので、30坪程度の物件はどうしても必要になります。
そのため、初期費用のなかでも物件取得費・内外装費はやや高額になりますが、かつて焼き鳥屋だった居抜き物件を利用すれば、数百万円単位でコストを抑えられる可能性があるでしょう。
また、フランチャイズに加盟して開業をする場合は、上記の費用に加えて加盟金や保証金、研修費用が発生します。
その影響で、1,000万円以上の開業資金が必要になるフランチャイズもありますが、なかには200万円程度の資金で開業できるようなプランも。
開業資金はフランチャイズ本部によって大きく異なるので、各開業プランの詳細はしっかりと比較しておきましょう。
運営資金
焼き鳥屋の開業に必要な運営資金は、1ヵ月あたり約260万円です。
以下は1ヶ月あたりの売上を300万円と仮定し、各項目を計算しています。
<運営資金の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
人件費 | 100万円 |
賃貸料 | 30万円 |
原材料費 | 100万円 |
水道光熱費 | 20万円 |
広告宣伝費 | 10万円 |
合計 | 260万円 |
主な費用としては、人件費や賃貸料、原材料費、水道光熱費、広告宣伝費が挙げられます。
焼き鳥屋の人件費は、1ヶ月あたりの売上の28~30%程度が目安となります。
つまり、店舗の規模が大きくなるほど人件費はかさみますが、社員ではなくアルバイトやパートを雇ったり、オーナーが自ら業務を負担したりすれば、ある程度はコストを抑えられるでしょう。
賃貸料も、店舗の立地や規模によって大きく異なるコストです。
小規模な飲食店では売上の7%程度、大規模な店舗では売上の10%程度が目安であり、この数値が10%を超えると経営赤字のリスクが高まります。
そのほか、売上の30%程度が目安になる原材料費も、運営資金のなかでは軽視できないコスト。
ほかの飲食業に比べると原材料費の負担はそれほど大きくありませんが、廃棄が増えると多くのコストが無駄になってしまうため、仕入れの量はしっかりと調整する必要があるでしょう。
なお、個人開業ではなくフランチャイズ開業を選ぶ場合には、これらの費用に加えて「ロイヤリティ」の支払いが発生します。
ロイヤリティは売上の5%程度が相場となりますが、本部によって計算方式は異なるため、事前にしっかりと仕組みを確認しておくことが大切です。
売上
焼き鳥屋の売上は、店舗の規模や立地、営業形態などによって大きく異なります。
たとえば、敷地が30坪(45席)の焼き鳥屋を例に挙げると、1ヶ月あたりの売上の目安は380万円ほど。
ただし、これは1ヶ月あたり30日間営業をした場合の売上なので、かきいれどきにあたる休日・祝日に休むとなれば、売上は大幅に減ってしまう可能性があるでしょう。
一方で、関西を中心に展開しているフランチャイズ『かしわ屋将軍』は、50坪の店舗で1ヶ月あたり500万円の収支モデルを公開しています。
営業形態に工夫をとり入れ、店舗の客単価や回転率を高めることができれば、焼き鳥屋では毎月500万円以上の売上を出すことも可能です。
ちなみにオーナーの給与は、これらの売上から人件費などの経費を差し引いた金額になります。
一般的な焼き鳥屋では、最終的に14%程度の営業利益が残るので、毎月の売上を300万円と仮定するとオーナーの取り分は42万円程度になるでしょう。
借入の有無
焼き鳥屋の開業では、借入によって資金を調達することが可能です。
主な借入先としては民間銀行が挙げられますが、一般的に銀行は審査が厳しいと言われています。
一定の自己資金が必要になったり、綿密な事業計画を求められたりするケースが多いため、なかには「銀行からの借入は難しい…」と悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
そこで考えておきたい選択肢が、政府系金融機関の「日本政策金融公庫」から借り入れる方法です。
日本政策金融公庫は創業者に対して積極的な融資を行っており、条件を満たせば低金利・長期間での借入も可能です。
当面の返済負担を抑えやすい選択肢でもあるので、資金繰りに不安を感じている方や自己資金が少ない方などは、選択肢のひとつとしてぜひ検討しておきましょう。
焼き鳥屋の特徴
ここでは焼き鳥屋の特徴として、サービス内容やメリット・デメリット、成功・失敗のポイントについて解説していきます。
サービス内容
焼き鳥屋の主なサービス内容は、調理と料理の提供です。
一般的な焼き鳥屋では店内の厨房スペースで調理を行い、作った料理をそのままお客に提供します。
飲食店としては比較的シンプルなサービス内容ですが、焼き鳥屋の運営では以下のような業務も発生するため、調理以外にもさまざまなスキルが求められます。
- 原材料の仕入れ
- 料理の仕込み
- メニューの開発
- レジ業務
- 在庫や売上の管理
- 店内の清掃
- 集客や接客
提供するメニューが多い場合には、料理の仕込みだけで毎日多くの労力や時間がかかってしまうので、その点も踏まえたうえで慎重に事業計画を立てましょう。
メリット
焼き鳥屋を開業するメリットを3つご紹介します。
原材料費や内外装費を抑えやすい
数ある飲食店のなかでも、焼き鳥屋は原材料費や内外装費を抑えやすいと言われています。
たとえば、一般的な焼き鳥屋のメニューを思い浮かべると、原材料を抑えやすい点は想像に難くありません。
メインとなる鶏肉や調味料に加えて、いくつかの野菜があれば幅広いメニューを提供できますし、ブランド鶏を使わなくても集客を増やすことは十分に可能です。
また、焼き鳥屋は大衆的なお店のイメージが強いので、物件の選び方次第では内外装費を負担せずにそのまま開業できます。
仮に多少の手入れが必要になったとしても、カフェのようにオシャレな空間を作り出す必要はないでしょう。
メニューや営業形態がシンプルになりやすい
サイドメニューは別ですが、焼き鳥屋で提供される料理はある程度固まっています。
鶏肉の部位がそのままメニューになりますし、調理に関しても焼く工程が中心となるので、焼き鳥屋はメニューや営業形態がシンプルなビジネスと言えるでしょう。
メニューや営業形態がシンプルであれば、業務において求められるスキルも絞られてきます。
複雑な経営スタイルになりにくいため、事業計画を立てる段階から「何が必要になるのか?」や「どう動くべきなのか?」が明確になりやすいでしょう。
未経験から始められる
上記のメリットとも関連しますが、焼き鳥屋は未経験からでも始めやすい飲食店です。
専門性の高い資格は必要ありませんし、仮にオーナーが未経験であっても調理経験のある従業員を雇えば、スムーズに運営するための環境を整えられます。
さらに、フランチャイズに加盟して開業をする場合は、本部が用意した研修を受けられることも。
加盟先によっては、簡単に調理できるメニューや設備がそろえられているので、焼き鳥屋の開業は誰でもチャレンジしやすいビジネスと言えるでしょう。
デメリット
次に、焼き鳥屋を開業するデメリットを2つご紹介します。
競合店の種類が多い
焼き鳥屋の競合店は、実は同じ焼き鳥を提供する飲食店だけではありません。
焼き鳥屋に訪れる客層は、アルコール飲料を求めて来店するケースが多いため、以下で挙げるような飲食店も競合にあたります。
- 海鮮居酒屋
- イタリアンバル
- 焼肉店
- 韓国料理店 など
つまり、焼き鳥屋は飲食店のなかでも、競合店の種類が非常に多いビジネスです。
その点を意識して事業計画を立てておかないと、繁盛店に成長させることは難しいでしょう。
売上が立地に左右される
初期費用のなかでも大きな割合を占める「物件取得費」は、できれば節約をしたいコスト。
しかし、焼き鳥店は立地によって売上が大きく変動するビジネスなので、初期費用や賃貸料の安さのみで立地を選ぶことは厳禁です。
売上が立地に左右される理由については、焼き鳥屋のターゲット層をイメージすると分かります。
仕事終わりのサラリーマンやOL、飲み会を開く大学生などがターゲット層の中心となるため、基本的には繁華街や駅前、ビジネス街に店舗を構える必要があります。
そうなると、どうしても物件取得費・賃貸料は高額になるケースが多いので、物件を選ぶ前には十分な資金を用意しておきましょう。
成功・失敗のポイント
焼き鳥屋の成功・失敗のポイントを3つご紹介します。
差別化を図れる明確なコンセプト
競合の種類が多い焼き鳥屋では、差別化を図るための「明確なコンセプト」が必須です。
したがって、まずはメインとなるターゲット層を意識し、そのターゲット層をより多く呼び込めるようなコンセプトを決めましょう。
たとえば、大学生や若いサラリーマンをメインターゲットにする場合は、薄利多売をコンセプトにすると高い集客力を期待できます。
一方で、ある程度の経済力をもつ層をターゲットにするケースでは、ブランド鶏を使用する高級志向の焼き鳥屋が望ましいでしょう。
このように、ターゲット層によって設定するべきコンセプトは変わってくるので、事業計画を立てる際にはその点を強く意識することが大切です。
集客が見込める立地での開業
前述でも解説しましたが、焼き鳥屋は立地の影響を大きく受けるビジネスです。
基本的には人通りの多いエリアを選ぶことになりますが、以下のように立地によって適した経営スタイルが変わってくるので注意しておきましょう。
ビジネス街…主に仕事帰りのサラリーマンが通う。また、ランチ営業をすることによって、夜間だけではなく昼間も安定した収益を狙える。
商店街…客の年齢層が比較的高い傾向にある。大手チェーンが出店している商店街では、価格競争に負けてしまうリスクがあるため要注意。
繁華街…休日の集客力が高く、幅広い層がターゲットになる。ただし、物件取得費や賃貸料が高額になりやすいため、収益を増やすビジネスモデルが必要になる。
上記を見ると分かるように、焼き鳥屋は立地によって客層や商品のニーズが大きく異なります。
そのため、店舗の立地を選ぶ際には、ターゲット層やメニューの内容も強く意識しておきましょう。
なお、立地選びの面で不安を感じている方には、立地診断などを代行してくれるフランチャイズ本部に加盟する方法がおすすめです。
ほかにも、フランチャイズ開業では本部からさまざまなサポートを受けられる可能性があるため、選択肢のひとつとして検討しておきましょう。
高いコストパフォーマンスを実現する技術
焼き鳥屋を繁盛させるには、お客にとってコストパフォーマンスの高い料理を提供することが必要です。
仮に値段が安かったとしても、品質や見た目の悪い料理を提供していては、多くのリピーターを作ることはできません。
とは言え、上質な原材料を調達するとなれば、多くの方はランニングコストの負担が気になってしまうはず。
そこで真っ先に検討しておきたい手段が、調理をする「技術」を磨く方法です。
焼き鳥は調理をする人によって味が大きく変わる料理なので、調理技術を磨くだけでお客の満足度は一気にアップします。
また、鶏肉の処理から串打ちまでを自力でできるようになれば、すでに処理されたものを仕入れる必要がないので、原材料費の節約にもつながるでしょう。
なお、フランチャイズ開業を選ぶ場合は、研修によってノウハウやスキルを身につけられる可能性があります。
調理方法に関しても、多くの工程がマニュアル化されているため、フランチャイズ開業は未経験からでも挑戦しやすい開業スタイルと言えます。
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焼き鳥屋の開業に必要な準備
焼き鳥屋の開業に必要な主な準備を3つご紹介します。
市場調査
焼き鳥屋は競合店が多いビジネスだからこそ、開業前にはしっかりと「市場調査」を行う必要があります。
競合店のチェックはもちろんですが、そのほかにも「開業するエリアでどれくらいのニーズがあるのか?」や「どのようなメニューが求められているのか?」などを細かく調査・分析しなければなりません。
この市場調査の結果をもとに、店舗のコンセプトやメニュー、立地を慎重に決めていくことが、経営リスクを抑えることにつながります。
店舗・資格
焼き鳥屋の開業時には、店舗となる物件の取得が必須です。
また、厨房機器や空調設備の導入、コンセプトに合わせた内外装の工事、什器の調達なども忘れてはいけません。
また、焼き鳥屋を含む飲食店を開業する際には、以下の資格・届出が必要になります。
食品衛生責任者…飲食物を取り扱う店舗では、施設ごとに1名以上の資格取得者が必要になる
防火管理者…30人以上を収容できる飲食店では、防火管理者の資格取得者を1名以上配置し、所轄の消防署に届け出る必要がある
ちなみに「調理師免許」の資格については、飲食店開業の際に必須となるものではありません。
ただし、調理師免許を取得した従業員が調理をしていると、それだけでお客には安心感を与えられるので、スケジュールに余裕がある場合は取得を検討しておきましょう。
採用・教育
小規模な店舗であれば、焼き鳥屋はオーナー1人でも運営できます。
ただし、オーナーに調理スキルがない場合や、中規模~大規模の焼き鳥屋を開業したい場合には、従業員の採用・教育が必要です。
従業員の教育については、オーナーが自ら必要な知識・スキルを伝える方法のほか、近くのセミナーやスクールを利用する方法もあるので、教育に費やす時間を確保できない方は周辺エリアの情報を収集してみましょう。
ちなみにフランチャイズ開業を選ぶ場合は、スタッフ向けの研修制度を利用できる可能性があります。
研修制度の有無や内容は、加盟するフランチャイズ本部によって大きく変わってくるので、各開業プランの詳細はしっかりと確認しておきましょう。
焼き鳥屋でおすすめのフランチャイズ
やきとり家すみれ
『やきとり家すみれ』は、2009年に創業したオシャレな雰囲気の焼き鳥チェーンです。
高品質なメニューを提供することで着実に客層を広げており、現在では直営店・フランチャイズ店を合わせて100店舗以上を展開するまでに成長しました。
同フランチャイズの魅力は、とにかくサポートが充実している点にあります。
開業前には集客しやすい店舗を選定してもらえますし、開業後にも店長研修や運営指導を受けられるので、スキルアップを狙いたい方にはぴったりな開業プランと言えるでしょう。
さらに全店のスタッフが集まる会議の開催など、フランチャイズ内で協力し合える環境が整備されている点も心強いポイントです。
やきとり大吉
『やきとり大吉』は、大阪府に本社を構える関西のフランチャイズ本部です。
創業以来引き継がれてきた「秘伝のタレ」と「高い調理技術」により、いまでは日本全国の地元民に愛されるお店となりました。
同店舗が展開するフランチャイズでは、加盟時に3ヵ月間の実務研修を受けられます。
さらに、開業資金が約150万円のプランも用意されているので、未経験や小資金から始めたい方にとっては魅力的な選択肢になるでしょう。
また、ロイヤリティを定額方式(固定額)にすることで、オーナーの負担を抑えている点も大きな魅力です。
かしわ屋将軍
『かしわ屋将軍』は、鶏肉専門の焼肉店として繁盛している大阪府のフランチャイズ本部です。
串打ちをせずに、お客自身に焼いてもらう独自のスタイルを採用することで、ほかの焼き鳥屋や居酒屋にはないコンセプトを確立してきました。
同フランチャイズの最大の魅力は、何と言っても競合が少ない点。
さらに、店内で串打ちや調理をする必要がないので、未経験からでも短期間で出店することが可能です。
現時点では同業者が少ないことを考えると、将来的な成長も十分に期待できるフランチャイズと言えるでしょう。
公開日:2020年08月28日