フランチャイズ契約の手順とは?契約年数や本部との契約時に注意するべきポイント

最終更新日:2024年09月20日

フランチャイズで独立開業するために必ず必要となるのが、フランチャイズ本部との契約。

「契約期間はどのくらい?」「フランチャイズ契約では何に気をつければ良いの?」「契約書はどこを見たらいいの?」と疑問や不安をお持ちの方も多いことでしょう。

今回はフランチャイズの契約期間や契約時の注意点やよくあるトラブル・契約する際の心得など、フランチャイズ契約について詳しく解説します。

最近フランチャイズ開業を検討し始めた方はもちろん、本部まで決まっているけど契約になかなか踏み切れないという方にもおすすめですので、ぜひ最後までご覧ください。


目次

フランチャイズ契約とはどういう契約?

フランチャイズの一般的な契約期間

フランチャイズの契約時に注意すべきポイント3選

フランチャイズ契約書の確認方法

フランチャイズ契約でありがちなトラブル

フランチャイズ契約する際の便利な知識

フランチャイズの契約についてまとめ

フランチャイズ契約とはどういう契約?

フランチャイズ契約とはどういう契約?

フランチャイズ契約とは、フランチャイズ本部が加盟店に対して商標・商号の使用や商品・サービスを販売する権利、さらに経営の指導やサポートを提供し、その対価として加盟店からロイヤリティを得る契約のことです。

主にフランチャイズ本部はフランチャイザー、フランチャイズに加盟する店舗はフランチャイジーと呼ばれています。

フランチャイジーとは?フランチャイザーとの違いや特徴を解説

フランチャイズ本部と加盟店は雇用・被雇用者という関係ではなく、それぞれが独立した事業者という位置づけではありますが、本部があらかじめ用意した契約内容を加盟店が受け入れるという形が主流です。

基本的には、どの加盟店も同じ契約を交わし、同じ商品・サービスを提供することになります。

フランチャイズ契約と代理店契約の違い

ここで、フランチャイズ契約とよく混乱してしまうのが代理店契約です。

代理店契約とは、メーカーの代わりに商品・サービスの紹介や販売などの営業活動を行う契約のことです。
業務委託や営業代行というイメージがぴったりでしょう。

フランチャイズ契約と代理店契約の大きな違いは、本部に支払うロイヤリティの有無です。

フランチャイズ契約の場合は売り上げの一部をロイヤリティとして本部に支払う義務があり、その代わりに本部の経営ノウハウを伝授してもらえます。

一方、代理店契約の場合はロイヤリティを支払う必要はありませんが、経営ノウハウを伝授してもらうことはありません。

また、フランチャイズ契約は商品・サービスの販売方法に縛りがあることがありますが、代理店契約での販売方法は基本的に自由で、複数の商品を組み合わせて販売することもできるという違いもあります。

フランチャイズの一般的な契約期間

通常、フランチャイズの契約には期間が定められています。
契約期間は1年や3年・5年・10年以上などフランチャイズ本部によってさまざまですが、一般的には3~5年の契約が多いようです。

では、フランチャイズの契約は長い場合と短い場合で何か違いがあるのでしょうか。
自分に合った契約期間を見極めるためにも、長期契約と短期契約の特徴やメリット・デメリットを理解しておきましょう。

契約期間が長いフランチャイズ例

5年くらいの契約期間を設定しているフランチャイズ本部には飲食店、10年以上にはコンビニが多いです。
フランチャイズ本部が加盟店に投資し、投資回収に長期間要する場合には長期間で設定されることがあります。

長期契約のメリットは、長期間フランチャイズ本部からノウハウやサポートを提供してもらいながら経営できることです。
一方、途中で解約すると高額な違約金が発生することもあるので、数年でうまくいかず辞めたいと思っても辞めにくいというデメリットがあります。

契約期間が短いフランチャイズ例

1~3年程度の短い契約期間を設定しているフランチャイズ本部には、比較的事業規模が小さいところ、例えば掃除や買取チェーンといった個人向けサービスに多いです。

長期契約より、契約の見直し・変更や解除が検討しやすいという点がメリットとして挙げられます。
また、投資回収にかかる期間を契約期間として設定しているフランチャイズ本部もあることから、短期間での投資回収も期待できます。

一方、短期契約の場合は更新手続きの頻度が多く、手間がかかってしまうことが懸念されます。
都度、更新料が発生するフランチャイズ本部もあるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

フランチャイズの契約時に注意すべきポイント3選

では、フランチャイズの契約時にはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。
特に注意すべきポイントを以下で挙げます。

1.フランチャイズの契約期間

先ほど説明したように、フランチャイズ契約では契約期間が設定されており、本部によって期間もさまざまです。

長期契約、短期契約それぞれにメリット・デメリットがあるので、十分に比較・検討したうえで決める必要があるでしょう。

また、期間だけでなく、契約期間の算出方法や契約更新についても事前の確認が必要です。

フランチャイズ契約期間の算出方法

契約締結日、オープン日など、どこを起点にするのかで発生する費用が変動します。
例えば契約締結日が起点となっている場合、開業前の準備期間も契約期間内に含まれるので、開業後すぐに更新しなければならないという状況にもなり得ます。

フランチャイズ契約の更新

契約更新は、「自動更新」と「合意更新」の2種類あります。

自動更新の場合、契約期間満了の前に加盟店が変更や更新拒絶をしなければ、自動的に契約が延長されます。
合意更新は、契約期間満了の前に加盟店が合意すれば、契約期間をさらに延長するという仕組みです。

どちらを選ぶかによって手続きの方法も異なり、フランチャイズ本部によっては更新料が発生することもあるので、しっかり確認しておきましょう。

2.フランチャイズ本部に支払う初期費用

フランチャイズ本部に支払う費用の種類や、費用の詳細を明確にしておくことも大事です。

本部に支払う費用には以下が挙げられ、それぞれ契約時に注意すべきポイントが異なります。

  • 加盟金
  • ロイヤリティ
  • 研修費
  • システム使用料
  • 宣伝広告費
  • 設備費用

加盟金の場合、含まれている費用は何か、本部都合により開業できなかった場合に加盟金を返還してもらえるかなどを確認しておくと良いでしょう。
また、ロイヤリティは金額の算出方法が定額方式・売上比例方式・利益分配方式と分かれておりフランチャイズ本部によって異なるので、十分に理解したうえで契約する必要があります。

3.中途解約・違約金

中途解約や違約金に関する記載も、フランチャイズ契約時には注意して確認しておく必要があります。

中途解約の定めがなければ契約期間中の解約は原則的にできません。
また、契約期間中に解約する際には違約金が発生する可能性があるので、違約金の支払い有無や金額などもしっかり確認しておきましょう。

フランチャイズ契約書の確認方法

ここで一度冷静になり、契約内容をしっかり理解し、改めて加盟についての懸念点はないかを確認しましょう。

フランチャイズ加盟の申し込みを終え、審査に合格するとフランチャイズ加盟契約書を渡されるのが一般的な流れです。
内容に異論がなければサインをし、正式にフランチャイズ加盟契約が成立となります。
つまり、契約書にサインをすることは、全ての内容に同意したとみなされるため、加盟契約でも最も重要なタイミングです。

ここで大切なのが、この加盟契約書にじっくりと目を通すことです。
加盟契約書には「フランチャイズ本部がどのようなスタンスで加盟者と一緒に自社ブランドを発展させていくか」という事が記載されています。

フランチャイズ本部が加盟希望者に求める条件と、加盟希望者が希望するビジネスの進め方とが一致するかどうか、改めて確認しましょう。これを怠ると、後のトラブルの原因になります。

加盟契約書を読んだ上で、フランチャイズ本部が提示する条件と、あなたの希望する条件が合わない場合には、加盟契約書へのサインは見合わせることになります。
双方の間で誤解がないようにするためにも、加盟契約書の内容を100パーセント正しく理解しましょう。

確認したい契約書の箇所 1.ロイヤリティーについて

「ロイヤリティーは利益の〇〇パーセント」と明記されていても、その”利益”とはどのことを指すのか?を改めて確認しましょう。

廃棄ロスや棚卸しロスは原価に含まれるか、人件費などの営業費用を引いたあとの利益なのかなど、それぞれの定義を事前によく確認しておくことが大切です。

確認したい契約書の箇所 2.売上補填について

「最低〇〇万円の収入保障」といったプランの場合、実際に支払われる条件や、保障内容について、もう一度確認しましょう。

契約書だけでは分からないこと

まず店舗の立地や商圏をもう一度確認しましょう。

実際に開業する時間帯にどんな人がいるのか、どんなお店があるのか、曜日によって違いはあるのか、1日を通してみるとどんな人の流れがあるのか、などを今一度確認しましょう。開業後に振り返られるように、写真を撮って記録として残しておくのもおすすめです。

また、本部から提示された収益予測の算出方法は明確であるかの確認もしましょう。

算出方法が提示されたら、経営者として自らその方法で収益予測を立ててみたり、季節変動などのリスクでどんな数字が変わるのか、シミュレーションを数パターン行ってみると良いです。

収益予測が絵に書いた餅となっていないか、自分の目で確かめましょう。

また、同業他店のフランチャイズとも比較をするために、本部担当者の説明を受けるなどして、情報得る事も有用です。

フランチャイズ契約でありがちなトラブル

それではフランチャイズ契約でありがちなトラブルをいくつかご紹介します。

トラブル1.フランチャイズ本部から提示された売上予測と実際の売り上げに大きな差がある

フランチャイズ契約をする前には、本部から売上予測や経費予測を提示されることが多いのですが、これを鵜呑みにしてしまうことでトラブルになるケースがよくあります。

これらは既存加盟店の過去の実績や平均値などをもとに算出されるもので、予測どおりに売り上げをあげられると保証しているものではありません。

また、本部によっては実績に基づいた売上予測ではないケースもあるので、算出根拠を明確に説明して理解することがトラブル防止につながります。

トラブル2.ロイヤリティが思っていた以上に高く、利益が出せない

実際に経営してみたところロイヤリティが想像以上に負担となり、利益がなかなか出せないというトラブルもありがちです。

先ほども説明したように、ロイヤリティはフランチャイズ本部によって算出方法が異なります。

売り上げや利益に関わらず金額が一定の定額方式や、売り上げの一定割合を支払う売上比例方式、利益の一定割合を支払う利益分配方式と種類があり、中にはこれらの方式を組み合わせている本部もあります。

ロイヤリティの仕組みについて理解することはもちろん、売り上げや経費などとのバランスをより具体的に考えてみると良いでしょう。

トラブル3.経営がうまくいかず解約を申し出たら、高額な違約金を請求された

フランチャイズ契約において、中途解約する際の違約金をめぐるトラブルもよく発生します。

どのような場合に契約が解除されるのか、解除の手続き方法、中途解約の場合に違約金が発生するか、違約金の金額(算出方法)、業績不振での中途解約でも違約金が発生するかなどを事前に確認しておくことで防げる可能性があります。

特に、契約期間が長期の場合はリスクが高まるので、万が一中途解約せざるを得ない場合に備えてしっかり確認しておきましょう。

トラブル 4.契約してから開店に至らなかった

契約形態によっては、店舗となる物件が決まる前に加盟契約を締結する必要があり、加盟金の支払い義務が発生することがあります。

このような契約の場合、物件が決まらず長期間にわたって店舗が開店できない場合でも、支払った金銭が返還されないのが通常です。

トラブル5.契約期間中の中途解約違約金

フランチャイズの経営理念の理解が足りていなかったり、思うような経営ができず「解約したい」と加盟者が考えても、すぐに解約できるとは限りません。

解約が成立したとしても、解約違約金が発生する場合がほとんどです。

フランチャイズ本部にとっては、フランチャイズチェーンを保持するためのリスクマネジメントの観点から設定されている条項ですが、その違約金の金額は本部によって様々です。

違約金の金額が決まっている本部もあれば、残りの契約期間から想定されるロイヤリティーの総額と定めている本部もあります。

理解していなかったために、「そんなの聞いていなかった」と、トラブルになるケースがあります。

トラブル6.本部の経営ノウハウに類似した事業を新しく始めてしまった

経営者として運営していると、この本部のビジネスモデルやノウハウを使って類似した事業をしてみたい、と考える事があるかもしれません。

しかし、ほとんどのフランチャイズ本部はこういった行為を禁止しています。契約書の中の「競業避止義務」と言われる条項がそれにあたります。

フランチャイズ本部にとっては、自社で確立したノウハウの流出を防ぐために必要な条項です。

トラブル7.近所に同じチェーンの店舗が開店した

近隣に同じチェーンの店舗が開店し、顧客の取り合いになってしまい、売上が落ちてしまった。ということも起こりえます。

フランチャイズ本部によっては、一定の領域の商圏や地域に出店できる店舗数を決めることで、加盟者の商圏を保護をしている場合もありますが、その条項を設けていない本部もあります。

フランチャイズ契約する際の便利な知識

フランチャイズビジネスは、経営に関する知識があまりなくてもフランチャイズ本部からノウハウやサポートを受けながら経営することができます。

しかし、いくら経営に関する知識があまりないからといって、フランチャイズ契約におけるルールはしっかり理解しておかなければ大きなトラブルに発展しかねません。

実際、先ほどご紹介したフランチャイズ契約でありがちなトラブルは全て、契約内容や売上予測などの確認、理解不足が大きな原因だと言えます。

焦らず、時間をかけて検討することがフランチャイズ契約の大事な心得です。

フランチャイズ契約で失敗しないためにも、事業や契約の内容についての説明は十分に納得できるまで受けるなど契約前にしっかり確認することはもちろん、少しでも疑問や不安な点があればフランチャイズ本部に直接聞いて理解したうえで契約に進むようにしましょう。

契約書をしっかり読み込むことが大事

最も重要なのは契約内容なので、絶対に全ての条項を読んでください。

ただ、一度で全て理解するのは難しいので、「ここが分からない」「こういう場合はどうなる?」など、疑問点・懸念点をメモしておきましょう。

フランチャイズ本部事業者以外が発信している情報を読む

フランチャイズの情報は中小企業庁や公正取引委員会、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)などが一番信頼できる情報源になります。

注意事項やチェックリスト、トラブル事例などの情報もあるため、事前に公的な情報の確認をすることを強くおすすめします。

中小企業庁:フランチャイズ事業を始めるにあたって

公正取引委員会:フランチャイズ・システムと独占禁止法

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会:WEBサイト

わからないことはどんどん詳しい人に聞こう

フランチャイズの契約について自分で情報を調べ、それでも不明な所がある場合はどんどん詳しい人に聞きましょう。

契約前の不安を解消して、気持ちよくフランチャイズ契約をする近道になるはずです。

本部担当に聞く

一番近くにいるプロはやはり本部の担当者です。不明な事はまず本部担当に聞きましょう。

フランチャイズ経験者に聞く

フランチャイズのプロである本部担当者ですが、加盟金やロイヤリティーなどのお金をもらう側の立場でもあります。

「本当に大丈夫?」と疑問もでると思います。そんな時は、そのフランチャイズの先輩加盟者に話を聞くことが有効です。

自分で店舗に行って話をしてみるのも良いですし、本部担当の方に先輩加盟者を紹介してもらえるかどうか、聞いてみるのもよいでしょう。

加盟前に専門家の意見を聞く

フランチャイズについてはもちろんのこと、法律用語、違約金などの金銭が関わる事など、専門家にしかわからないことも多くあります。

フランチャイズ研究会に所属する方々をはじめ、弁護士、税理士、もしくは商工会議所の担当員という専門家がいますので、ぜひ相談・活用をしましょう。

フランチャイズの契約についてまとめ

フランチャイズ契約はフランチャイズ本部の力を借りて独立開業できるというメリットがある一方で、契約後にトラブルが生じるケースも少なくありません。

今回ご紹介した内容からも、自分の環境や条件に合った契約内容であるかというだけでなく、加盟者にかかる義務や責任もしっかり確認し理解しておくことが重要だとお分かりいただけたのではないでしょうか。

フランチャイズ本部や説明会で確認するだけでなく、同業者のフランチャイズ本部と比較する、もし理解が難しく不安が解消できないという場合には専門家の力を借りてみるという手段も有効です。

これからフランチャイズでの開業を検討されている方はもちろん、加盟するフランチャイズ本部が決まっているという方も契約期間や条件など契約内容を今一度見返して、確認漏れや理解不足がないか確かめてみることをおすすめします。

フランチャイズの契約時に注意すべきポイントを押さえて、理想のフランチャイズ開業を実現させましょう。

公開日:2022年03月25日

よくある質問

Q フランチャイズ契約の契約期間は長いのと短いのどちらが良いですか? 回答を見る

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