フランチャイズの利益率ってどれぐらい?業種別で徹底比較

最終更新日:2020年05月11日

フランチャイズはビジネスモデルや経営ノウハウが提供され、始めやすいと思える反面、本部にどのくらいのお金を支払う必要があるのか、加盟金やロイヤリティなど費用面も気になる方は多いのではないでしょうか。

事業を成功させるには継続的に利益を上げていくことがポイントになってくるため、ここではフランチャイズの利益の考え方やフランチャイズの利益率を業種別に比較し、利益率の高いビジネスを紹介していきます。

併せてフランチャイズ選びにおいて、利益率だけに注目することのリスクについてもご案内していきますので、フランチャイズを検討する際の参考にしてください。

目次

フランチャイズの利益とは

フランチャイズの利益率を業種別に比較

利益率の高いフランチャイズとは

フランチャイズの利益率を考える上での注意点

まとめ

フランチャイズの利益とは

フランチャイズの利益を考える場合、開業初年度と開業後でも差が生じます。
特に開業初年度は開業費用がかかるため、単年度で利益をあげるのが難しいビジネスもあるかもしれません。

初年度はフランチャイズに応じて加盟金、研修費、店舗を借りるための保証料や店舗改装費、設備や機器などの購入費用やリース代などが発生するのが一般的です。

フランチャイズの種類や契約プランに応じて異なるため、加盟する前に開業時にかかる費用をしっかり理解して出せるお金かどうかを検討しなくてはなりません。
中には加盟金ゼロ、店舗なしで自宅にて1人で開業できるフランチャイズもあります。
一方、こうしたケースではスキルを身に付けるための研修費用が高額にのぼるケースも少なくありません。

自分の興味や技術、経験などを活かしながら初期費用を無駄にすることなく継続的に取り組めて、トータルの開業費用が無理なく出せるフランチャイズを選ぶのが基本です。
開業後の利益は売上から商品や材料などの仕入れ費用やテナントの賃料、光熱費や通信費、雇ったスタッフの人件費、宣伝広告費用などの固定費用を差し引き、さらにフランチャイズ特有のロイヤリティを差し引いた金額となります。

ロイヤリティが何%に設定されているかで、利益に影響が出ることも少なくありません。
中には売上額や実績に応じてロイヤリティが変動するというフランチャイズや契約プランも存在しています。
一方で、フランチャイズの中には早期の安定経営をサポートするため、一定期間ロイヤリティゼロといったところや加盟金もロイヤリティもなしで出店料だけが必要で、3年の短期で投下資本が回収できるというビジネスモデルを提供しているケースもあります。

フランチャイズの利益率を業種別に比較

ここからは業種別に利益率を比較しながら見ていきます。
同業種の場合、サービスの仕組みや仕入れなどの割合が同じであるほか、フランチャイズ間でも競争があるため、ロイヤリティの仕組みが同じような傾向を示す場合が少なくありません。

サービス業

リペア業は技術を身に付けるための研修費用などが高い反面、店舗を持たずに出張だけで対応できるケースもあり、固定費を抑えられる側面があります。
ロイヤリティは月額4万円程度の定額制のケースが目立ち、稼げれば稼げるほど利益率は上がります。

ハウスクリーニングも技術を身に付け、掃除道具などを購入する初期費用が高い業態です。
ロイヤリティは月額6万円~8万円程度の定額制が多く、利益率は65%~70%以上のケースが目立ちます。

学習塾はロイヤリティが授業料の10%程度のケースが多いですが、中には受講料に対しては10%、入塾料は50%といったところもあります。

学習塾を開くには教室のテナント料や机やパソコンなどの設備費など初期費用がかかる上、光熱費や学期ごとや長期休みの講習に向けた宣伝広告費、講師を雇う場合の人件費も必要です。
その上で、生徒がどのくらい集まるかで売上も左右されるので、利益率も平均相場を出すのが難しい業態です。

地域の子どもの数やどのくらいの規模で展開するか、講師を雇うのか、自分1人で運営できるフランチャイズにするかなど、しっかり検討が必要です。

小売業

コンビニはフランチャイズの中でもメジャーな業態であり、フランチャイズでの開業に全く興味がない方でもコンビニのロイヤリティは高い、ロイヤリティを取られるから経営が大変らしいなどとイメージを持たれています。

コンビニのロイヤリティはフランチャイズの違いや契約プランによっても異なるものの、売上実績などに応じて変動するスライド方式などを採用するところが多く、一律や定額制ではありません。
そのため、売れば売るほどロイヤリティが高くのしかかるという傾向も見られました。
もっとも、近年はコンビニの人手不足やオーナーの重労働が問題となる場合や期限切れ間近の商品の割引販売が認められない、クリスマスケーキや恵方巻などのノルマが課されるといった問題が明るみに出て、フランチャイズ本部の姿勢に変化が見られます。
オーナーの負担を軽減すべく、ロイヤリティの引き下げや減額などに踏み切るケースも目立ってきました。

コンビニのフランチャイズを検討する際には、こうした動向も踏まえて選ぶことが大切です。

買取ビジネスの場合、ロイヤリティは月額10万円から20万円ほどの定額制や、粗利の35%前後といった設定が目立ちます。
利益率は40%から60%くらいの業種です。

飲食業

カフェ・レストラン(店舗あり)の場合、ロイヤリティが5%程度のケースが主流です。
店舗を運営する必要があるため、初期費用がかかり、テナント料や保証金、厨房設備やイートインスペースの設備や什器、材料費などの仕入れ費用や光熱費、スタッフの人件費などの固定費がかかる業態です。
そのため、いかに売上をあげるか、もしくは、いかにコストを抑えるかが利益率を高めるためのポイントになります。
売上アップには回転率をよくするか客単価を高めることが必要です。

コストを抑える上では仕入れや人件費、宣伝広告費のカットが考えられますが、最初から仕入れ額が低コストで済み、スタッフ数が最小限で抑えられるようなフランチャイズを選ぶことで利益率アップが期待できます。

宅配・移動販売(無店舗)の場合、店舗が不要な分、最初のテナントを借りる費用や毎月の店舗運営費が抑えられます。

一方、移動販売車の購入またはリース代、車両改装費や宅配をするための事業所、厨房の設備の用意と厨房スタッフが必要です。
初期費用がかかるので、ロイヤリティはゼロ、もしくは月額1万円~3万円程度の定額制に抑えられているケースが少なくありません。
利益率は35%前後といったところです。

利益率の高いフランチャイズとは

各業種や業態を比較してわかることは、業種の垣根を超え、運営コストが抑えられ、売上が伸ばせるフランチャイズほど高い利益率が狙えるということです。
運営コストには店舗のテナント料や光熱費、人件費、商品や材料の仕入れ費用、宣伝広告費用などが挙げられます。
店舗がいらない、オーナー1人や夫婦や家族のみ、少ないスタッフ数で回せるフランチャイズは低コスト運営が可能です。

また、ビジネスに必要な道具類や消耗品、食材などについて本部が一括で仕入れてくれ、低価格で提供してくれる仕組みが整っていれば、事業の展開に必要な核となるコストを抑えられます。

宣伝広告費も本部の宣伝によって個別の店舗が行わなくても客が集まることや口コミなどを通じて新規顧客の獲得やリピーターが増やせれば、抑えることが可能です。
その点ではフランチャイズの知名度やテレビCMを流しているかなども、選ぶ上でのポイントの一つといえるかもしれません。

コストを抑えた上で、売上を伸ばせれば利益率を高めることができます。
利用客を増やす、リピーターを獲得する、回転率を上げる、滞在率を長くする、客単価を上げるなど、業態や立地などに合わせて戦略を採ることがポイントです。

フランチャイズの利益率を考える上での注意点

フランチャイズの利益率は業種によっても異なり、契約プランなどによっても差が出ます。
フランチャイズ本部の方針や契約プランにより、同業種であっても同じようなロイヤリティ設定ではなく、加盟店を増やすための差別化をしているケースもあります。
つまり、同業種だからとひとくくりにはできない点に注意しましょう。

また、利益率が高いからといって安易に決めてしまうのもよくありません。
利益率の高い業種の場合、ロイヤリティが高くなっていることもあるためです。
フランチャイズの知名度や全国的な需要の高さを追い風に売上をどんどん伸ばせる業態ほど、売上に応じてロイヤリティも変動して高くなるケースもあります。

こうした業態ではある程度実績が上がると、二号店、三号店と複数経営をしてロイヤリティの平準化や利益率の安定成長を目指すオーナーも少なくありません。

一方、ロイヤリティなしや定額制といったケースでは開業時の研修費用や技術の習得費用などが高額にかかる場合や開業時の仕入れや設備などの導入コストなど初期費用が高いケースもあります。

いずれにしても、単に表面的な利益率やロイヤリティの数字だけで有利か不利かを判断するのではなく、ご自分の興味や経験に合っているか、出店したい地域で需要が見込めるビジネスかなど総合的に勘案して選ぶことが大切です。

まとめ

フランチャイズの利益率に大きな影響を与えるものとして、フランチャイズ特有のロイヤリティがあります。
業種や契約プランによって割合に差があるほか、業績に合わせてスライドする場合や変動するパターンのフランチャイズも少なくありません。

一方で、初期費用が高額なために早期に投下資本を回収できるビジネスモデルとして、ロイヤリティなしや定額もしくは低率のプランが用意されているケースもあります。
つまり、ロイヤリティの有無や高低だけで利益が出せるかどうかが決まるとは限りません。
ビジネスの内容や将来性、フランチャイズ本部のサポート体制など、利益率以外の面もしっかりと加味して多角的に検討して選ぶことが大切です。

公開日:2019年11月13日