カラオケのフランチャイズ開業・運営に必要な資金とは
最終更新日:2024年09月20日
歓送迎会の2次会から1人カラオケ、楽器演奏の練習まで、様々な場面で利用される定番の娯楽「カラオケ」。「より多くの人に楽しんでもらえる空間を作りたい」という想いを抱え、カラオケ店の開業を目指している方もいるのではないでしょうか。
カラオケ店の開業を考える上で、まず知っておかなければいけないのが開業や運営に必要な費用です。カラオケ店の運営には、大型機材の調達費用や著作権料など、ほかの業種にはない費用が発生します。そのため、事前にしっかりと「どの項目にいくら金額が必要なのか」をシミュレーションするようにしましょう。
今回は、フランチャイズでカラオケ店を始める時の費用について解説していきます。
目次
カラオケフランチャイズ開業と運営に必要な資金の目安
カラオケのフランチャイズ開業には、約550~5,200万円の資金が必要となります。
この費用は、開業資金(初期費用)と運営資金3ヵ月分を合算した金額で、あくまで目安として考えてください。
また出店するエリアや店舗の大きさによっても費用は変動するため、まずは自身が加盟する本部の契約内容をよく確認することが大切です。
<初期費用の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
加盟金 | 3~100万円 |
店舗関連費 (内外装費・店舗取得費・店舗設計デザイン費など) |
300~3,800万円 |
保証金 | 5~100万円 |
研修費 | 30~200万円 |
合計 | 4,200万円 |
<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>
項目 | 金額 |
---|---|
人件費 | 120~730万円 |
賃貸料 | 60~120万円 |
著作権料 | 30~80万円 |
ロイヤリティ | 0~100万円 |
合計 | 1,030万円 |
※上記の初期費用と運営費用の項目は、フランチャイズ本部によって大きな差があるため最大値で計算を行っています。
カラオケフランチャイズ開業に必要な資金(初期費用)
フランチャイズのカラオケ店の初期費用は、加盟する本部の契約内容や、提供するサービスの内容によって大きく異なります。
特に初期費用のなかでも物件取得費用は大きな割合を占めるため、出店先エリアの選定や物件選びは慎重に行なうことが重要です。
ここでは、初期費用を考える上で重要な「加盟金」「店舗関連費」「保証金」「研修費」について解説します。
加盟金
フランチャイズに加盟するオーナーは、本部へ加盟金を支払わなければいけません。
この加盟金を支払うことで、フランチャイズのネームバリューを活用したり、大規模な広告を出したりといった恩恵を得ることができます。
加盟金の金額は本部によって異なり、比較的安いところでは10万円程度に設定している本部があります。
ただし加盟金が高額な本部は、そのなかに研修費用や保証金などほかの項目が含まれていることがあるためよく確認をしてください。
それぞれのフランチャイズの加盟金を知りたければ、大抵の場合は公式サイトを確認すれば金額を知ることが可能です。
まずは複数のフランチャイズの加盟金を調査しながら、それぞれの本部がどういった金額設定をしているのかを調べるところから始めてみましょう。
店舗関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)
フランチャイズの店舗関連費は300~3,800万円くらいが目安ですが、出店先のエリアやお店の規模で金額は大きく異なります。
たとえば「地域の人のたまり場」として事業を展開する小型店では、カラオケに必要な機材は1~5式購入すれば済むことも少なくありません。
しかし大手チェーンのような大型店を都心部で開業するのであれば、カラオケルームは最低でも10~20室は必要で、その分機材の購入費も高くなるでしょう。
最近では新たに物件を購入するのではなく、閉店した店舗を再利用することで初期費用を抑えるフランチャイズが多くあります。
初期費用を出来る限り抑えたいのであれば、そういった居抜き物件を探してみるのも一つの手です。
保証金
加盟金と同様に、保証金もそれぞれの本部で設定している金額が異なります。
フランチャイズ本部の公式サイトを見てみると、保証金についての情報が記載されていないケースが多々見られます。
しかしこの場合は保証金の支払いが必要ないのではなく、加盟金の費用のなかに保証金が含まれていることがあるため注意してください。
カラオケ店のフランチャイズでは、保証金の金額は5~100万円程度が目安です。
この保証金とは、オーナーが本部へロイヤリティなどの支払いをしなかった場合に相殺される費用のことで、支払いが滞ることなく契約を満了した際は全額返金されます。
研修費
研修とは開業前にオーナーが本部で受ける教育のことで、金額は最低でも30万円程度は必要だと考えておきましょう。
カラオケ店を運営するためには、覚えるべきことがたくさんあります。
接客のマニュアルやポスシステムの使い方、厨房でのオペレーションなど一通りのことをマスターし、それをスタッフに教えられるようにならなければいけません。
覚えることが多く不安を感じるかもしれませんが、開業前に本部で手厚い指導を受けられるため安心してください。
またスタッフに教える際には、すでに本部で作成されたマニュアルに沿って指導することができるため、新たにオーナーがマニュアルを作成する必要はありません。
カラオケフランチャイズに必要な運営資金
実際に事業をスタートするとさまざまな運営資金がかかってきます。
その主なものは以下の4つです。
- 人件費
- 賃貸料
- 著作権料
- ロイヤリティ
一つずつ解説していきます。
人件費
カラオケ店における人件費の目安は、売上のおよそ25%前後が一般的です。
カフェやラーメン屋などほかの飲食業と比べて低めではありますが、それでもコストのなかでは大きな割合を占めます。
家賃や機材のリース代もコストのなかでは大きな割合を占めますが、これらの費用は固定費にあたりどうしても削減しにくいのが特徴です。
そのためコスト削減を考えるのであれば、この人件費に注目することがポイントとなるでしょう。
たとえばカラオケ店には繁忙期と閑散期があり、1年のなかで売上に波があります。
忘年会やクリスマスのある12月にはスタッフのシフトを増やしつつも、客入りが少なくなり次第シフトを減らすなど、適切なコントロールをすることが重要です。
賃貸料
よほど広い物件を所有している場合を除き、ほとんどのオーナーは賃貸物件でカラオケ店を営業することになります。
家賃の金額は出店エリアや物件の広さにもよるため、開業前に気になる物件の家賃相場を調べておくようにしましょう。
この家賃のほかにも、水道光熱費・ガス代や電話代などの費用も支払わなければいけません。
カラオケ業界は24時間営業のお店が多く、さらに24時間継続して大型電子機材が稼働しているため光熱費は高くなります。
また調理に水やガスを使うため、水道代やガス代もそれなりの費用がかかるでしょう。
水道光熱費は繁忙期と閑散期で金額が変動するため、事前に費用をシミュレーションしておくことをおすすめします。
著作権料
カラオケ店の運営には、著作権料の支払いが発生します。
著作権料とは曲の作詞者や作曲者、音楽出版社へ支払う費用のことで、実際にはJASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)と呼ばれる団体を経由して毎月支払うことになります。
この著作権料はカラオケルームの部屋ごとに費用が発生し、さらに部屋の面積が広いほど金額が高くなる仕組みです。
そのため大型店を営業する場合は、この著作権料だけでも家賃と同程度の支払いが発生することも珍しくありません。
ロイヤリティ
オーナーは、毎月本部へロイヤリティの支払いをしなければいけません。
このロイヤリティを支払うことで、店舗準備にかかる費用を負担してもらったり、大規模な広告を使った集客をしてもらったりと、様々な面で本部からサポートを受けることができるのです。
金額は最も安くて無料、比較的高めに設定している本部では100万円ほどが目安です。
ロイヤリティが無料の本部も存在しますが、実際にはその代わりに広告費用が高かったり、家賃の補助がなかったりする場合があるため気をつけてください。
もしもオーナーが本部へのロイヤリティを渋った時は、保証金から費用が相殺されることになります。
一定期間ロイヤリティの支払いが滞れば、契約破棄となって違約金が発生するため注意が必要です。
ロイヤリティが高い本部への加盟を検討している場合は、契約を結ぶ前に「本当に毎月この金額を支払い続けられるかどうか」をよく考えることが大切でしょう。
カラオケフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション
カラオケにおける一般的なキャッシュフローシミュレーションは以下の通りです。
(必ずしも当てはまるわけではないので参考程度にしておいてください。)
以下のシミュレーションは、「店舗スタッフを10~15人雇用・賃貸物件(家賃の支払いあり)」を想定しています。平均客単価は1,000円、月の営業日数は30日と仮定し、1ヵ月の売り上げを算出します。
売上(月)
390万円
=1日×13万円×30日支出(月)
300万円
=10万円(ロイヤリティ)+125万円(人件費は売上の25%、賃貸料30万円、著作権料15万円、その他リース費用など諸経費150万円)利益(月)
90万円
=390万円(売上)-300万円(支出)
地方都市で、中規模程度のカラオケ店を運営した場合を想定しています。
都心部で大型店を運営するのであれば、これよりも売上や家賃、人件費などの金額は上昇すると考えて良いでしょう。
カラオケ店は、シーズンによって客入りが大きく変わるのが特徴です。
夏休みや冬休みには学生の数が増え、年末年始には歓送迎会で利用する会社員の数が増えることが予想されます。
そのためそれぞれの時期の売上を想定しながら、適正に人件費をコントロールすることが重要です。
閑散期の客入りが悪い時期は、クーポンを発行したり飲食メニューを拡充したりなど、積極的な集客活動をしつつ売上を維持するようにしましょう。
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公開日:2020年05月25日