「正社員や固定給」の常識にとらわれずに脱サラ独立! 高校中退から年収1,000万円超えの経営者へ

最終更新日:2023年02月10日

先行き不透明な現代社会において、将来の選択肢の一つに「独立」を考える方も珍しくありません。ですが、会社で雇われる経験しか持たない方にとって、脱サラをリアルに想像するのは難しいもの。

そこで今回取材したのが、求人広告の代理店経営で最高年収1,000万円以上を達成した大畑 明仁さんです。「脱サラ」や「独立」と聞くとどこか自由でキラキラとしたイメージが強いですが、大畑さんは「独立はあくまでスタート」と語ります。

今回は、そんな大畑さんに脱サラして事業が軌道に乗るまでの流れや、独立とサラリーマンの違い、これから脱サラを考えている方々へのアドバイスなどを伺いました。

目次

2度の高校中退。バイト経験を通して「成果報酬の仕事」へ興味を持つ

外資系企業へ転職後、現在のビジネスにつながる広告の仕事へ

会社員から業務委託、そして会社経営。独立後の苦労とサラリーマンとの違いとは

最高年収1,000万円超え!経費の工夫など経営者ならではの苦労も

社員や従業員は「邪魔せず見守ることが大切!」 失敗は経営者が全て引き受ける気持ちで

将来の夢は“非正規雇用”という言葉を追放すること

2度の高校中退。バイト経験を通して「成果報酬の仕事」へ興味を持つ

現在、求人広告の代理店を経営し、求人用のサイト作成や営業・採用支援などを手がけている大畑さん。今や求人業界で40年の経歴を持つベテランとして活躍されていますが、脱サラの始まりは、高校中退後にアルバイトをしていた飲食店での経験だといいます。

高校を2度中退したそうですが、簡単に経緯を教えていただけますか?

大畑さん「もともと工業高校に通っていたのですが、夏休み明けから高校に通わなくなり、中退しました。その後、夜間の高校へ通いながら梅田の地下街にある飲食店でアルバイトをしていました。

当時は私に店舗を任せているような状況で、私が店の鍵を閉めることも多かったです。まだ店内にお客さんがいても、学校に通うためにお店を早く閉めなければいけない。そんな状況で当時のマネージャーから「仕事と学校、どっちを取るんだ」と詰められ、結局仕事を取ることにました。」

今なら大問題になりそうな話ですが、この飲食店での経験がどのように脱サラにつながってくるのでしょうか。

大畑さん「そのお店も忙しい時はとても忙しいのですが、どれだけ辛い思いをしても結局時給は500円。暇な時でも500円なので、とにかく早く時間が過ぎてほしかった記憶があります。この働き方を続けるのも嫌だなと感じ、結局お店を辞めてしまいました。

そこで時間で給料をもらうのではなく、働いた成果で給料をもらえる仕事はないのだろうかと考え、別の仕事に就くことになります」

1人で開業・独立できるフランチャイズを見る

外資系企業へ転職後、現在のビジネスにつながる広告の仕事へ

外資系企業へ転職後、現在のビジネスにつながる広告の仕事へ

飲食店でのアルバイトを辞めた後、どのような会社に転職したのでしょうか

大畑さん「英会話教材を販売する外資系企業です。この会社は、雑誌に掲載されていた求人広告を見て応募しました。取り扱っていた英会話教材は1本30万円〜50万円とかなり高額なもので、1本売れば1割ぐらいのコミッションがありました。成果が上がらなければ給料はゼロですが、成果を上げれば10代でも50万円~100万円近く稼げましたね」

18歳の時にすでに営業の仕事をしていたのですね。その外資系企業を辞めた後、次はどのような会社に転職したのでしょうか?

大畑さん「次は、折込求人誌を発行している会社に配送社員として応募しました。求人を掲載する会社を探し、募集広告を書いて載せるビジネスです。現在私が手がけているビジネスとほぼ同じですね。

ただ、当初は配送社員として応募したのですが、営業経験があるからという理由で営業の仕事を任せられてしまいました。「営業は向いていないのに」という思いもありましたが、あの時に配送として採用されていたら、独立して今の仕事はしていなかっただろうなと感じています」

会社員から業務委託、そして会社経営。独立後の苦労とサラリーマンとの違いとは

転職した広告の会社から脱サラするまでの流れを教えてください。

大畑さん「その会社では4年ほど働きましたが、やはり固定給で働くことに魅力を感じられませんでした。そこで固定給ではなく歩合で働きたいという旨を会社へ伝え、まずは専属代理店としてその会社内で歩合制で働かせてもらうことにしたのです。専属代理店になった後は、会社員として抱えていた顧客を会社へ引き渡して、それからは自分でまたゼロから顧客を開拓しました。

新規開拓する最初の100件は本当に大変でしたが、100から200は少し楽になりました。200から300はわりと楽で、そこから300、400と増えていき、気づけば500に。この専属代理店の仕事は約20年続けて、その後ほかの顧客から私に仕事をお願いしたいという要望があったこともあり、独立して自身の会社を設立しました」

実際に独立してみて、サラリーマンとの違いなどは感じましたか。

大畑さん「サラリーマンは使われる側、経営者は使う側という話をよく聞くかもしれません。ですが逆のパターンもかなり多く、サラリーマンで会社を上手く使っている人もいれば、独立して会社や顧客に使われている人もいます。「会社が今まで守ってくれていた部分を、これからは全て自分でやらなければいけないんだ」と強く感じました。

また、独立後は国民健康保険に加入しなければいけませんが、社会保険と比べて国民健康保険はかなり不利です。そのためこれから独立する方は、社会保険任意継続という制度で、脱サラ後も社会保険を2年間継続して支払っておいたほうが後々のためには良いかなと思います。」

最高年収1,000万円超え!経費の工夫など経営者ならではの苦労も

サラリーマン時代の最高年収と、独立後の最高年収を教えてください。

大畑さん「サラリーマン時代の年収は300万円〜400万円です。業務委託で仕事をしていた時期は、個人の年収が1,000万円以上でした。完全に脱サラして自分の会社にしてからは、600万円〜800万円ですね。

脱サラしてから2ヵ月ぐらいは売り上げがゼロなので、独立を考えている方はまずはクレジットカードを作っておくのがおすすめです。独立後は作りにくいですし、いろいろな経費がありますから」

経理はどうしていますか?

大畑さん「最初は自分で対応していましたが、税理士にお願いしました。これからまた自分で始めようとしていますが、やはり難しいですね」

また、大畑さんが独立した当時は、実額ではなく概算の経費で計算する『標準経費率』が認められていました。この標準経費率が50%を超えると税務署の目も厳しくなるそうで、標準経営比率が49%になるよう調整するなどの工夫をしていたとのことです。

社員や従業員は「邪魔せず見守ることが大切!」 失敗は経営者が全て引き受ける気持ちで

社員や従業員は「邪魔せず見守ることが大切!」 失敗は経営者が全て引き受ける気持ちで

ほかの経営者から「社員が会社に定着しない」と相談されることも多い大畑さんですが、それに対して「私はずっと人に恵まれている」と嘘でも良いから口に出すことが大切だと答えているそうです。

大畑さん「口に出し続けることによって、不思議と本当に良い人が集まってきます。縁あってその会社に来てくれているので、できるだけ採用する方向で考えた方が良いです。

中小企業の場合は、社長が最初に応募者に会って、好きか嫌いかで決めたら良いでしょう。嫌いな人を無理に採用すると、経営者も人間なので辛く当たってしまいます。一緒に働きたいと感じた人をまずは通過させて、その後に現場の担当者に面接してもらうのが良いです。」

大畑さんは正社員という形で社員を雇っていらっしゃいますか?

大畑さん「正社員はもう雇っていません。月給で人を雇うという考え方はやはり違うかなと」

社員や従業員を育てるポイントを教えてください。

大畑さん「邪魔しないことが大切です。私自身、人が人を育てるのは不可能なのではないかと考えています。自分で成長しようと思わない限り、絶対に成長しません。そのためこちらが教えたいと思っても、我慢することが大切です。少し離れたところから、見張るのではなく見守ること。失敗した時は、経営者の自分が全部引き受けるくらいの気持ちで見守ることが大切です」

将来の夢は“非正規雇用”という言葉を追放すること

これから脱サラしたい人へアドバイスをお願いします。

大畑さん「両足で勢いよく飛び出さないことです。できるだけ会社に籍は置いておきつつ、まずは税金や社会保険のことを勉強しておくのが良いでしょう。そして、あまり派手に独立しないことも大切です。周囲を見ても、派手に独立した人はもう残っていません」

取材の最後、大畑さんは「この国から正社員という言葉を追放することが夢」と話してくれました。非正規雇用で働いている若者と会話した際、「“非正規雇用”という言葉は、“非正規人間”と言われてるように感じる」と言われたことをきっかけに、この夢が生まれたそうです。

また、人が人を評価する際はどうしても忖度が働いてしまうので、数字や顧客により適正に評価される世の中になることが大切だとも話してくれました。

高校中退から年収1,000万円超えと聞くとどこかサクセスストーリーのように聞こえますが、着実にキャリアを築き上げて成功を掴んだ大畑さん。これから独立を考えている方は、まずは自身のキャリアを棚卸ししたり、税金の勉強をしたりなどの小さな一歩から始めてみるのが良いかもしれません。

【独立前に読む】独立はだれでもできるがだれでも成功できるわけではない

公開日:2022年10月18日

関連するタグ