「サラリーマンを続けるのは不安」脱サラして山梨でカレー屋とエステ店を開業!驚きの運営資金は?

最終更新日:2023年06月12日

「好きな場所で自分の興味のあるビジネスを始めたい」と思いつつ、一歩踏み出す勇気がない方も少なくありません。特に地方で店舗開業を考えている方のなかには「コロナ禍で店舗ビジネスを始めて大丈夫なのか」や「運営資金は都会より安く済むのか」など、気になる点も多々あることでしょう。

そこで今回は、山梨県で淡路島カレーのお店とエステ店を開業した山本 秀樹さんに、それぞれのビジネスの開業資金や運営資金、売り上げなどを赤裸々に語ってもらいました。

脱サラしてカレーとエステという全く異なる2つのビジネスを手がける山本さんが語る、独立の際に最も苦労したことや独立を成功させるコツとは一体何なのでしょうか。「地方でビジネスを成功させたい」や「脱サラして自分のお店を持ちたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

最高年収800万円。しかし、サラリーマンを続けることへの危機感から脱サラし独立

未経験からカレー屋とエステ店の開業に挑戦

コロナ前の売り上げは月80万円。行政の制度を活用して「家賃5万円」に

「人件費は月10万円」スタッフの稼働はエステの予約がある日のみ

「自分でできることは自分でするマインド」で人件費を節約

サービス業で独立するなら「お金よりやりがい」が大切

最高年収800万円。しかし、サラリーマンを続けることへの危機感から脱サラし独立

東京の大学を卒業後、コンタクトレンズのメーカーへ入社した山本さん。その会社では、コンタクトレンズの洗浄液や付属品を薬局などに卸す営業職として約3年間勤めました。

その後、テレビCMで一躍有名になった消費者金融の会社へ転職し、約8年間勤めることになります。入社した当時はまだ非上場の小さな会社でしたが、バブルの影響もあり山本さんの最高年収は800万円とかなりの高給だったそうです。「20代後半~30代前半で年収800万円。今の時代では考えられない」と当時の収入について語ります。

そんな山本さんですが、父親の病気がきっかけで山梨へ戻ることに。山梨で会社員生活を送るなか、“サラリーマンを続けることへの危機感”を覚え、独立の道へ舵を切ることになります。

「山梨では不動産関係の会社へ転職し、約8年間勤めました。家賃や契約、建物の管理、入居者トラブルなどの業務を担当し、収入も山梨にある個人企業と比べると良かったと思います。ですが、その頃から年金の問題が出てきたり、上司が早期退職の勧告をされたりといったことを目の当たりにしました」

「年金がもらえるのも75歳からで、自分がもらえる時代には80歳になるかもしれない。そう思ったときに、このままサラリーマンを続けると自分の将来が危ないなと感じたのです。定年のない働き方を模索しないと生き残っていけないと感じ、独立を決意しました」

未経験からカレー屋とエステ店の開業に挑戦

未経験からカレー屋とエステ店の開業に挑戦

カレー屋もエステ店も未経験の業種ですが、なぜこの2つのビジネスを選んだのでしょうか。

「カレー屋は3年前の2月に始めましたが、どうしても始めたかったビジネスというわけではありませんでした。偶然、居抜きで家賃が安い物件を紹介され、実際に物件を見てみると私の理想に合ったレイアウトだったのでひとまず借りることにしたのです。

ラーメンや焼き鳥、焼肉などいろいろなメニューを考えるなかで、お店のレイアウト的に一番合っているのがカレーだろうと感じました。カレーのなかでも、淡路島に行ったときの淡路島カレーが特においしかったことを思い出し、これを山梨で広めようと思いスタートさせました」

「エステ店は、東京に行ったときに電車のなかで『今は男が脱毛する時代』というフレーズを見てピンときたのが始まりです。私自身、毎日シェーバーで髭を剃るのですが、カミソリを使うときに肌負けで苦労しています。

男性にとって髭は鬱陶しいものであり、簡単に脱毛できるサービスがあれば需要があるはず。東京のブームが田舎には半年~1年後に遅れてやってくるので、先を見越して潜在ニーズを掘り起こそうとエステ店を開業しました」

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コロナ前の売り上げは月80万円。行政の制度を活用して「家賃5万円」に

飲食店を開業したい方にとって、特に気になるのが売り上げではないでしょうか。山本さんの手がける淡路島カレーのお店は、コロナ禍以前に月80万円の売り上げがあったといいます。

カレー屋の運営資金について教えてください。

「まず、開業当初の店舗の家賃は5万円です。甲府市では中心市街地活性化事業という制度を行政が手がけており、新規オープンする事業主に1年間の家賃補助として毎月1.5万円給付しています。家賃の負担がかなり浮いたことも、追い風になりました。人件費は結構高くて、30万円くらいです」

カレー屋の開業資金はどのように調達しましたか?

「おおよそ半年分の生活費を見込んで、手持ち現金が200万円です。床や壁、機器を全て工事するとなるとあっという間に費用が飛ぶので、居抜きの店舗を選びました。また、経営をしながらお金の管理について学ぶのは大変でしたが、税理士には頼まず私が全部1人で行いました」

なぜ税理士に頼まなかったのでしょうか?

「店舗数が2、3と増えれば税理士や事務員が必要ですが、当時は1店舗だけだったので自分でできることは自分で対応しました。全部自分で対応すれば、勉強にもなるだろうと思ったのです。寝る時間や丸一日休みの日はありませんでしたが、それでも仕事はやりがいがあったので疲れなかったです」

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「人件費は月10万円」スタッフの稼働はエステの予約がある日のみ

エステ店の開業資金について教えてください。

「エステ店の開業資金は、約300万円です。機械だけで200万円、残りの100万円を家賃などに使いました。160万円の脱毛機と40万の毛穴洗浄機を1台ずつ購入しました。1店舗につき1台で店舗が回るとメーカーから説明を受けており、実際にそれで問題なく運営できています。

ちなみに機械の操作や専門的な施術は、メーカーによる一日研修を受けないと実施できません。昔のマシンのように複雑で危険なものではないので、誰でも簡単に操作できます」

エステ店の売り上げや運営資金はどのくらいでしょうか?

「初月はまだ世間に認知されてなかったので、売り上げは20万くらいでした。家賃3万円、人件費10万円で赤字ではありませんでした。

エステはお客さんが予約して来店するシステムなので、予約がない日はスタッフも休むようにしています。そのためフルでスタッフが働いておらず、人件費は10万円くらいで済んでいます。空いた時間に働きたいというスタッフが店舗の近くに住んでおり、お互いに希望が合致しているので勤務をお願いしています。理想は毎日予約が入っていて、スタッフも常駐してることではありますが…」

「自分でできることは自分でするマインド」で人件費を節約

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脱サラし、独立した際に特に大変だったことを教えてください。

「私の経営するカレー屋は、フランチャイズと違いメニューを各店舗で自由に考えることができます。その自由というのがすごく難しくて、メニュー作りに最初は苦労しました。チーズやピクルスなどいろいろなトッピングがあり、インターネットで見ても種類が豊富でどのトッピングがうちのカレーに合うのか迷いました。商品を完成させるまで、とても長い道のりでした」

メニュー開発は1人で行いましたか?

「私が1人で考えましたが、試作品をスタッフ全員で食べて意見を出し合いました。良くないものは却下して、おいしいものは採用する。いろいろな意見を聞いて一つの商品が完成できるように、スタッフにはメニューを共有していました」

実際に開発したのは1人なのですね。パートナーのような仲間はいなかったのでしょうか?

「いませんでした。主婦のアルバイトと2〜3人でこぢんまりと店舗を運営しており、経営のような考える仕事は私が1人で担当していました。これから事業を始める方も、スタート時は多分そのような形になると思います。

最初からスタッフを活用すると人件費で足を引っ張られるので、自分でできることは自分で何でもすることが大切。スタッフが入ってからは、スタッフができないことを自分が対応したり、スタッフの居心地の良い環境を作ったりといった役割を担うようになると思います」

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サービス業で独立するなら「お金よりやりがい」が大切

人によって独立の目的は違いますが、山本さんは「お金」と「やりがい」のどちらが大切だと思いますか?

「やりがいでしょうね。赤字ではビジネスを続けられないので、お金ももちろん大切です。ですが、お金だけに気を取られて「回転率を上げれば2倍3倍稼げるな」などと考えてしまうと、接客がおざなりになってしまうでしょう。そのため、もっと違った角度から回転率を上げる方法を考える必要があります。お金が一番と考えてしまうと、サービス業は難しいのではないでしょうか」

取材の最後、今後の夢について山本さんは「仕事のことは、オフになったら忘れたい。高校の時から続けている趣味のエレキギターを通じて、全国の小さいライブハウスを回って音楽で色んな方と触れ合いたい」と楽しそうに語っておりました。

また、フランチャイズは加盟金など初期費用の問題で開業方法として選びませんでしたが、今後フランチャイズでビジネスを行う場合には発達児童障害の放課後デイサービス事業を手がけたいとのこと。

個人事業やフランチャイズ加盟など、脱サラし、独立するにはさまざまな選択肢があります。開業資金や運営資金、業界経験の有無などを考慮しながら、自分に合った開業方法を検討してみるのが良いかもしれません。

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公開日:2022年10月21日