副業から不動産賃貸で脱サラ!独立後に役立つ「会社をきれいに辞めること」のススメ

最終更新日:2023年05月26日

「できることなら早く会社を辞めたい」と、ネガティブな気持ちで独立に踏み出す方も少なくありません。それが決して悪いことだとは言えませんが、独立後のことまで考えるのであれば、円満退職を目指すのも一つの選択肢です。

今回取材したアユカワタカヲさんは、会社員のときに6億円の融資を受け、さらに退職後も会社から仕事をもらうなど、サラリーマンという立場を徹底的に活かして脱サラした人物。

そんなアユカワさんに、独立の流れや開業資金、融資、会社員時代にしておくべきことなどを取材しました。

目次

年商約1億5,000万円!不動産賃貸業を副業から始めて脱サラ

サラリーマンは信用力抜群?会社員が6億円の融資を受けて開業

リーマンショックや時流の変化に危機感を抱き脱サラ・独立

「24時間楽しい」のは、脱サラで仕事と遊びの境目がなくなったから

「きれいに会社を辞めること」が独立後にも役立つ

年商約1億5,000万円!不動産賃貸業を副業から始めて脱サラ

独立を目指す方のなかには、会社への不満がきっかけで、突発的に会社を辞めるケースも少なくありません。

ですが、アユカワさんの場合は充実した会社員時代を過ごし、計画的に脱サラすることで開業資金や独立後の仕事に大きなメリットを働かせたのが興味深い点です。

現在どのような仕事をしているのか教えてください。

アユカワさん「会社の事業の8割くらいが不動産賃貸業で、簡単にいうと大家さんをしています。最初は個人で始めたのですが、事業を大きくすることが可能だと分かったので、会社を立ち上げました。

不動産賃貸業以外では、サラリーマン時代の仕事を引き継ぐ形でエンターテイメント関係の仕事をしています」

エンターテイメントの仕事とは、具体的にどのようなビジネスなのでしょうか。

アユカワさん「プロデューサーという肩書きで、イベントやコンサートを演出しています」

それぞれ全く異なる業種のビジネスを手がけているんですね。
ちなみに、具体的な年収をお聞きしても良いでしょうか。

アユカワさん「1億5,000〜6,000万円くらいですかね。年収の8割ほどが家賃収入で、残りの2割がプロデューサーやほかの仕事です」

かなりの高収入ですね。

アユカワさん「今年で開業8年目になりましたが、ようやくといった感じです。役員報酬がサラリーマン時代とほぼ同じになり、以前と同じような生活ができるようになりました。

サラリーマン時代は副業で家賃収入を得ていたのが、サラリーマン収入がなくなって「これでは全然生活していけない」と気づいたんです。それで最初は贅沢しないで倹約して、生活水準をものすごく落とししました」

サラリーマンは信用力抜群?会社員が6億円の融資を受けて開業

最初の頃はやはり大変だったんですね。開業資金はどのくらいかかったのでしょうか。

アユカワさん「私の場合、まず2,000万円ほどの中古のワンルームマンションを購入するところからスタートしました。そこから会社の土日にいろいろな物件を見に行き、気に入った物件を購入する。これを続けていたら、気がつけばサラリーマンの収入とほぼ同額の家賃収入を得ることができていました。

その時点で実は、融資は6億円くらい受けていたんです。ちなみに、不動産賃貸業を始める場合、物件に対して1割ぐらいの自己資金が必要だとされています」

6億円も借りられるんですか!?

アユカワさん「これを聞くと皆さんすごく驚かれるんですけど、積み重ねていけばそんなに難しいことではないんです。いきなり最初から6億円貸してと言っても難しいですが、私の場合は6億円借りるまでに5〜6年かかっていますから。少しずつ実績を積み重ねていけば、金融機関も実績を分かって信頼してくれます」

それにしても、会社員で6億円も借りられるとは驚きです。

アユカワさん「私も最初は驚きましたよ。ビジネスを始める当初、とある不動産会社へ行って、不動産賃貸業や不動産投資を始めたいと話したんです。そこで私の勤務先や仕事内容、年収などを伝えたところ、その場で不動産会社の方が「アユカワさんだったら6,000万円くらい借りられますね」と言ったんです。

サラリーマンは毎月ちゃんと収入があって、会社が守ってくれるじゃないですか。だから、皆さんが考えているより信用力が高いんですよ」

リーマンショックや時流の変化に危機感を抱き脱サラ・独立

リーマンショックや時流の変化に危機感を抱き脱サラ・独立

サラリーマンのメリットも大きいんですね。アユカワさんは会社員時代も、かなり稼いでいたのでしょうか。

「最高月収で1,000万円を超えていました。ただ、2008年のリーマンショックを受けて、メディア関係の業種も大変なことになりましたから。年収が7割に下がり、ボーナスも出ない。さらに、リストラなんかもありました。

このリーマンショックをきっかけに「自分が家族を守らなければ」という緊張感が生まれ、そこから資産運用や財テクを学び始めたんです」

そこで出会ったのが、不動産投資だったんですね。

アユカワさん「はい。あとは、もともと実家が建築や不動産の仕事をしていて、この業界に拒否感がなかったのも大きいですね。個人的に、エンターテイメントと不動産は似ていると思っているんです。エンタメでは観客にわくわくしてもらって、不動産では住む人にわくわくしてもらう。基本は一緒だと感じています」

なるほど。副業ではなく、会社を辞めて本業にした理由は何かあるのでしょうか。

アユカワさん「会社で偉くなると、現場で番組やイベントを作れなくなってしまうのが一つの理由です。それに当時はちょうどインターネットが普及し、メディアが今後どのように変わるのかも気になっていたところでした。

会社という枠を飛び出して、自由に映像や舞台、コンサートと関わりたい。そのための方法を考えたとき、独立するのが良いと思って独立した流れです」

おすすめの脱サラ方法診断!脱サラ前にやるべきことや現実も紹介

「24時間楽しい」のは、脱サラで仕事と遊びの境目がなくなったから

リーマンショックや時流の変化などさまざまな理由はありつつも、「結局、やりたいことや楽しいことができていることが全て。人生もそうじゃないですか」と語るアユカワさん。

独立という選択をして良かったと話しますが、会社員として副業で取り組んでいた時代にも、学ぶことは多かったとのことです。

今は一日どのくらい稼働しているんですか。

アユカワさん「フルで働いています。仕事と遊びの境目がないので、この取材も私生活の延長のような感じです。私は遊びも仕事も全部一緒で、遊びの仲間も仕事の仲間も同じ仲間と思っているんです。楽しい毎日が過ごせています」

本業だけでも多忙なのに、副業時代は本業とのバランスを取るのが大変だったのでは。

アユカワさん「副業時代も、本業とのバランスは取れていましたね。夜10時くらいに退勤してから物件を見に行き、その日の夜中に買い付けするなんてこともありました。一棟ものはスピード勝負になるのですが、その日に見に行くのも苦痛ではありませんでしたね。仕事も楽しいし、不動産を見に行くのも楽しい。がむしゃらに本業や副業、独立の準備をしました」

忙しくも充実していた感じでしょうか。独立することは、誰かに相談しましたか。

アユカワさん「相談しませんでした。今でこそ不動産投資はメジャーな投資の1つですが、当時は地上げ屋のような悪いイメージがありましたから。あとは、周囲から「あいつは辞めようとしているのでは」とも思われたくありませんでした。ただ、独立することは誰にも言いませんでしたが、実際は宅建の勉強をしているところを周りから結構見られていたようです」

「きれいに会社を辞めること」が独立後にも役立つ

「きれいに会社を辞めること」が独立後にも役立つ

もしアユカワさんが後輩に「脱サラしたい」と相談されたら、どのように答えますか。

アユカワさん「そうですね。「ちゃんと準備をしてやれば」と答えるのではないでしょうか。サラリーマンで得られることもたくさんあるので、すぐ辞めるのはおすすめしません。今の会社で得られるものは何なのかを、働きながら1年ほど考えて準備するのが良いと思います。

あともう一つは、会社をきれいに辞めることが大切です。私は、おかげさまで上手く辞められたので、未だに勤めていた会社から仕事をたくさんもらっています」

お世話になった会社に迷惑をかけないことは大切ですね。

アユカワさん「辞めるタイミングも、いきなり「今日辞めたいです」と言ったら困るじゃないですか。私は4月1日に辞めると役員に宣言して、退職は10月31日でした。社内の大きな人事異動でラインから外してもらい、そこから引き継ぎをし、最後の1ヵ月は有給を消化して消えた感じです」

すごい綺麗な辞め方ですね。脱サラしたい方は、会社で働きながら具体的にどのようなことをすべきでしょうか。

アユカワさん「人によって、例えば料理に関する仕事をしたい、またはお客様と接客するような仕事をしたいなど希望がありますよね。その場合、最終的にどのような生活をしたいのかまで、しっかりと最終目標を描くことが大切です。そして、その最終目標に向かって走っていくことですね」

円満退職した会社から仕事を受け、脱サラ後も会社員時代の仲間と楽しく事業を行うアユカワさん。

脱サラを考えると、つい今の会社への不満が出てくることもあるかと思います。ですがまずは「会社員として得られるものはないか」を考え、副業として着実な一歩を踏み出すのも脱サラ成功のコツかもしれません。
不動産で独立できるフランチャイズを見る

公開日:2023年03月16日