自衛官が脱サラ!元幹部候補が「農家&コンサルタント」で独立成功した理由とマインド

最終更新日:2023年05月26日

脱サラを目指す方のなかには、何の事業を始めようか検討中の方もいるかもしれません。未経験の分野で挑戦するのも悪くはありませんが、成功率を上げるためには、すでに経験や知識がある分野を選ぶのも一つのコツです。

今回取材した三好 雄介さんは、自衛官とスイーツ店での勤務経験を活かし、中小企業コンサルティングとみかん農家を手がけています。

そんな三好さんに、2つの事業を始めることになった経緯や開業資金、収入、独立の苦労などを伺ったので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

元自衛官が「みかん農家」と「中小企業コンサルティング」で脱サラ・独立

「人生一度きりだから」と自衛隊を退職…自衛官からスイーツ店の店長へ

初期費用は1,000万円!人脈を使って「土地代」を抑えるのが開業のコツ

開業初期に「価値観の合わない人に相談」して失敗…

脱サラ成功に大切なのは「自分の自信があること」で挑戦すること

元自衛官が「みかん農家」と「中小企業コンサルティング」で脱サラ・独立

元自衛官の三好 雄介さんは現在、みかん農家の経営と中小企業コンサルティング事業を運営しています。全く異なる2つの事業を手がける三好さんですが、一体どのように現在の事業を始め、売り上げを立てているのでしょうか。

まずはじめに、どのような仕事をしているのか教えてください。

三好さん「1つはみかん農家の経営で、もう1つは中小企業のコンサルティングです。コンサルティング事業では、主にパワハラ対策や若手〜中堅社員向けの社員教育を実施しています。

私は自衛官として働いていたこともあり、コンサルティング事業の社員教育では2泊3日の自衛隊式合宿を採用しているんです。マナーなどは教えず、時間管理や集団生活の心得などに重点を置いています」

パワハラは社会問題にもなっていますが、やはり多くの会社で存在するものなのですか。

三好さん「そうですね。多くの会社で、パワハラ問題は起こっています。パワハラは最終的にお金で解決させることが多いですが、実際問題として、お金で解決した後に会社の風土が良くなったり、パワハラを受けた方が立ち直ったりするなんてことは全くないんです。

パワハラを解決するためにはお金や訴訟ではなく、お互いの考え方や指導の仕方、コミュニケーションの取り方を変えることが必要。私は、そのあたりの指導を行っています」

「人生一度きりだから」と自衛隊を退職…自衛官からスイーツ店の店長へ

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三好さんは自衛隊で幹部候補生だったそうですが、なぜ自衛官としての将来を選ばず、独立したのでしょうか。

三好さん「自衛隊ではたくさんのことを学びましたが、働くなかで徐々に営業など別の仕事をしたいと思うようになったのが大きいです。PKO(国連維持活動)や東日本大震災への派遣、さらに後進育成などを経験した後、「もう自衛隊で自分がやることは全部やったな」と感じました。一度きりの人生だし、別のことをやりたい。そう思って、スイーツ店へ転職しました」

自衛官からスイーツ店とは、かなり仕事の毛色が変わりましたね。

三好さん「自衛隊で広報官として働いていたときに、全国を回って多くの人と出会う機会があったんです。そのときに出会った方とのご縁で、スイーツ店の店長をさせてもらえることになりました。そのスイーツ店では、1年1ヵ月ほど働きました」

なるほど。スイーツ店で食品について学び、それからみかん農家を始めたという流れでしょうか。

三好さん「はい。スイーツの会社で働いていたときに、販売や生産、食品管理などを教えてもらいました。全国への営業活動を通して、「食べ物を地方から売る」という今の自分の根幹となる考え方が出来上がったと感じています」

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とはいえ、いきなり自分で事業を始めるのは、資金面でかなり大変だったのではないですか。

三好さん「みかん農家と中小企業コンサルティングを合わせて、開業資金は1,000万円ほど。開業資金は全て自己資金です。中小企業コンサルティングに関しては、Webサイトのデザイン代くらいしかかかりませんでしたが、やはりみかん農家の開業は高かったですね」

特に費用が高かったのは土地代ですか。

三好さん「はい。200万円かかりました。ただ、田舎には優良な土地が眠っていることも多く、運と人脈次第では安く済ませられるんです。私の場合、近所のおじいさんに「腰を痛めたから代わりに畑を使ってくれ」と言われて、レンタル料0円で借りた畑を使っています。それに、祖母が農業をやっていたので、農機具を使い回しできているのも費用の節約という面では大きいです」

土地を探す際は、地域や知り合いを上手く頼るのがコツということですね。また、収入や運営資金についてもお聞きしたいです。

三好さん「昨年は2つの事業を合わせて年収500~600万円ほどで黒字でした。月々の運営資金はほとんどかかっていませんが、コンサルタントなので出費としては交際費が一番多いですね」
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開業初期に「価値観の合わない人に相談」して失敗…

三好さんは、実店舗でみかんを販売しているわけではないんですね。

三好さん「店舗は出していません。去年や一昨年は市場にも出していましたが、かなり買い叩かれてしまって。良いものを作っているのに安く買われるのがバカらしくて、それなら自分で売ろうかなと。みかん農園の売り上げは一昨年までかなり低かったですが、昨年や今年からはかなり良くなりましたよ」

すごいですね。三好さんが、いろいろな事業を軌道に乗せられる理由は何だと思いますか。

三好さん「成功のコツは、上手くいくまでやめないことだと思っています。私はそんなに器用なタイプではないので、10回試してようやく1回上手くいく感じなんです。ただ、逆に言うと10回やったら1回は上手くいくということ。10回をかなり早いスピードで行えば、10分の1がずっと当たるという考え方で取り組んでいます」

諦めないことが大切ということでしょうか。それでもやはり、初期の頃は苦労されましたか。

三好さん「みかん農家で苦労したことといえば、農家を営んでいた祖母に相談してしまったことです。相談したら全否定されて、苗の出荷が1年遅れてしまいました。祖母は自分が苦労したから私を止めたのだと思いますが、やはり価値観が違う人に相談しても駄目だなとそのときに気づきましたね。本来であれば、農家は1~2年早く始めても良かったです」

脱サラ成功に大切なのは「自分の自信があること」で挑戦すること

実際に脱サラしてみて、良かったことや悪かったことはありますか。

三好さん「良かったことばかりですよ。自分の判断で行動できるので、新しい案をすぐに取り入れたり、イベントに参加したりできますから。ただ、この農園の代表は妻になるので、妻の反対意見を聞く必要はありますが」

なるほど。今後さらにやってみたい夢などがある場合は、教えてください。

三好さん「みかん農園でいえば、さらに農園の規模を大きくしたいです。2025年には新品種も出るので、それを盛り上げて多くの人に広めたいと思っています。中小企業コンサルティングでいえば、企業に自衛隊式の社員研修制度を取り入れてもらうことが夢です。自衛隊には教育に関するノウハウが多くあるので、そのノウハウを企業に取り入れてもらえたらなと」

ありがとうございます。
それでは最後に、これから脱サラする方へメッセージをお願いします。

三好さん「脱サラで大切なことは、新しい分野で挑戦しないことだと思います。何年も仕事がないことを覚悟できるなら問題ないですが、それでも自分が今までやってきたことや、自信があることで脱サラするのが良いでしょう。新しいことを始めても、自分より前から取り組んでいる人にはやはり勝てませんから」

「自分を育ててくれた組織に恩を返す気で働くことが大切」だと語る三好さん。三好さんの話を聞いて、自衛官やスイーツ店などの今までの経験の積み重ねが、脱サラ成功につながっていることを感じました。これから脱サラを目指す方は、まずは自分に何ができるのかを見つめ直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

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公開日:2023年05月16日

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