小豆島で飲食店を開業!都会から地方移住で脱サラ・独立する魅力やメリットとは

最終更新日:2023年05月26日

コロナ禍で地方移住に憧れ、移住をきっかけに脱サラを考える方も少なくありません。

今回取材した西本 真さんは、京都や大阪などの都会で料理人として働き、それから小豆島へ移住し飲食店を開業しました。

「お客さんの顔が見えるのがうれしい」と話す西本さんに、地方移住の良さや開業資金、収入、脱サラしたい方へのアドバイスなどを伺ったので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

島で飲食店開業の夢を実現!結婚を機に初めて訪れた小豆島へ魅了される

「30歳で独立が目標」小豆島移住に向けて経験を積む日々

開業資金は2,000万円!小豆島で飲食店を経営する際の運営資金は?

オープン直後に足の手術、そしてコロナ禍で大波乱…

「お客さんの顔が見えるのか魅力」地方で飲食店を開業する良さ

どんな環境に置かれても、一歩踏み出すことが大切

島で飲食店開業の夢を実現!結婚を機に初めて訪れた小豆島へ魅了される

小豆島に魅せられて、島で飲食店を開業した西本さん。移住とともに夢を叶えた西本さんですが、オープン直後に病気やコロナ禍など思わぬ災難があり、全てが順調だったわけではなかったそうです。

はじめに、どのようなお店を経営されているのか教えてください。

西本さん「キッチンUCHINKU(ウチンク)という洋食の創作料理店を経営しています。イチオシメニューは卵が中に入ったハンバーグで、赤ワインのほかに小豆島の醤油を使っています。私が基本的にメニューを考えて作り、妻と社員に補助をしてもらっている形です」

西本さんは小豆島へ移住してきたそうですが、現在に至るまでの流れを知りたいです。

西本さん「高校卒業してすぐ、京都のホテルの宴会調理部に入りました。そこで働いたのは、2年弱ですね。辞めた理由としては、働くなかで料理がかなり廃棄されているのを目の当たりにしたこと。その現実を知って、大量調理ではなく、1つのお皿を1から10まで全部自分で作ってみたいという思いが芽生えました」

それで転職するわけですね。

西本さん「次に勤めた京都のカフェが、最も長く働いた職場になります。そのタイミングで妻と出会い、妻の両親へ挨拶をしに小豆島へ初めて訪れました」

「30歳で独立が目標」小豆島移住に向けて経験を積む日々

alt「30歳で独立が目標」小豆島移住に向けて経験を積む日々

奥様の実家が小豆島だったんですね。それで初めて小豆島へ訪れて、島に惹かれたと。

西本さん「来てみたらすごく良いところで、こんな自然が近いところで料理をしてみたいと感じました。ただ、その時点で私には知識も経験も技術もありません。なので、30歳で独立すると目標を決めて、そのために何をしなければならないのかをよく考えることにしました。

その結果、まずは職場で働きながら技術や知識、経験を得られる方法を探すべきだなと。それでしばらくは京都のカフェで経営のノウハウを学んだり、なかなか手に入らない食材を食べさせてもらったりしました」

なるほど。京都のカフェを辞めた後、すぐに小豆島へ移住されたのでしょうか。

西本さん「いいえ。私の親戚が大阪に住んでいて「家が一戸空くから、良かったら住まない?」と声をかけてもらったんです。家賃も月1万円で良いと言われて、これなら開業資金を貯められるなと。

そのときは27歳ですでに結婚していたので、大阪へ引っ越すタイミングで京都の会社を辞め、DEAN&DELUCAというアメリカ資本の会社に副料理長として入らせてもらいました」

30歳で独立が目標ということは、そこで3年ほど働いて独立したのでしょうか。

西本さん「働き始めてちょうど2年になりそうなタイミングで料理長になり、それから1年半くらい料理長をしてから小豆島へ来ました。31歳になる年ですね」

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開業資金は2,000万円!小豆島で飲食店を経営する際の運営資金は?

会社を辞めて、とりあえず小豆島に来たという感じでしょうか。

西本さん「そうですね。物件も探していましたが、なかなか自分がピンとくるところが無くて。妻の両親も島で会社を経営しており、島で経営する厳しさを分かった上で「本当に大丈夫か?」と心配されました」

それは心配もしますよね。物件を契約したときの費用など、開業資金が気になります。

西本さん「開業資金は2,000万円です。銀行と国金と信用協会3社合同で借りる契約を結びました。もともとそうめん工場だったところを店舗にして、L字型の倉庫の真ん中の良い部分だけを切って使っているんです。工務店で1,000万円、設備で500万円、そしてコーヒーマシーンやシンク、コンベクションオーブンなどの費用を含めて1,700~1,800万円くらいかかりました」

残りはランニングコストということですね。

西本さん「はい。島にもともと飲食店が少なくて、普通の飲食店とは違うお店を作りたいと思っていました。それで京都にいるデザイナーや建築士の友人に頼み、理想を追い求めていった結果それなりに費用がかかった感じです」

ちなみに月々の費用はどのくらいかかっていますか。

西本さん「100~120万円くらいかかっています。4分の1は返済で、あとはリース代などですね。閑散期などありますが、年間を通して黒字にらなっています」

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オープン直後に足の手術、そしてコロナ禍で大波乱…

会社員時代と比べて、収入はどのように変わったのか教えてください。

西本さん「年商が1,600万円くらいで、手元に残るのが250~300万円です。サラリーマンのときより経費で落とせるものが増えたので、生活費を含まず自由に使えるお金が月20万円くらいあります。

食材に関するものや仕入れの際の車にかかる費用は経費で落とせるので、サラリーマン時代より自由に使えるお金が増えていると思います」

結構お金が残るんですね。実際に開業して、すぐに経営は軌道に乗りましたか。

西本さん「都会の場合は右肩上がりにお客さんが増えますが、島の場合は真逆で最初に一気にお客さんが来るんです。最初の頃は「何かお店が新しくできるらしいよ」という噂で来客がありましたが、その後は客数が下がっていく。その下がりをいかに食い止めるかが重要でした」

ということは、最初は忙しかったんですね。

西本さん「はい。この広いフロアを走り回っていました。ただ、オープンの翌年に足の調子が悪くなり、手術などで2018年10月から2019年5月くらいまでは妻が一人で営業していたんです。私もメンタルがやられてしまいましたが、それでも島でできた友達が励ましてくれてなんとか持ちこたえました」

オープン後にそんな苦労をされたんですね…。そこからお客さんが戻ってきたのでしょうか。

西本さん「そうですね。ただ、戻ってきていましたが、半年後にコロナがきて大波乱。お店の形態を変えたり、テイクアウトを中心にしたりしながら何とか乗り切りました」

「お客さんの顔が見えるのか魅力」地方で飲食店を開業する良さ

alt「お客さんの顔が見えるのか魅力」地方で飲食店を開業する良さ

足の病気やコロナ禍など大変な苦労もあったと思いますが、小豆島へ来て良かったことはありましたか。

西本さん「ファンが増えることですかね。週8で来る常連さんもいます。都会で店長をしていたときは、ほとんど一見さんなので顔がわかりませんでした。それを考えると、お客さんの顔が見えて話ができるのは良かったです。

あとは行政との距離が近く、例えば町が主催する料理教室を担当してほしいなんて声もかかります。都会でお店を出すと何万店もあるうちの1店舗になって、埋もれてしまいますから」

個性を出しやすいのは地方の魅力ですね。
仕事だけでなく、生活面での良かったことはありますか。

西本さん「生活面での良いところは、人との距離が近いことですね。最近3人目の子どもが産まれたのですが、ちょっとぐずったりすると常連のお客さんが見てくれます。あと、都会は情報が多いので、つい何か買ってしまっていました。ですが小豆島に来てからは、あまり物を買わなくなりましたね」

どちらも地方ならではのメリットですね。ちなみに、悪かったことはありますか。

西本さん「人との距離が近いので、行動が知られやすいことでしょうか。私たちの場合はお店をしてるので、どこかの飲食店やスーパーへ行ったら1人はお客さんがいますから」

どんな環境に置かれても、一歩踏み出すことが大切

デメリットなどはありますが、それでも西本さんはかなり小豆島に惹かれていますよね。

西本さん「惹かれていますね。例えば都会だと、旬など関係なくいつでも使いたいときに食材が手に入ります。ですが、小豆島の場合は「明日買いに行こう」と思って翌日に買いに行ったら無くなっていて、もう遅いんです。旬のものを旬のときに食べられるのが、小豆島の良いところではないでしょうか」

飲食店を営業する上で大きな影響を受けそうです。
それでは実際に、脱衣サラして良かったことと悪かったことを教えてください。

西本さん「良かったことは、自分がおいしいと思うものを探求して、自分が良いと思うものを出せることですね。脱サラして全て良かったと思っています。強いて言えば、悪かったことは社会的信用がないこと。良い意味でも悪い意味でも、全責任が自分にのしかかりますから」

ありがとうございます。では最後に、脱サラしたい方へメッセージをお願いします。

西本さん「自分のやりたいことへ、一歩踏み出すことが大切だと思っています。例えば、人によっては結婚して子どもを養わなければいけないなどの事情もあると思いますが、それでも一歩踏み出せる人が脱サラできる人なのではないでしょうか」

コロナ禍にYouTubeでの発信を始め、さらに今後は自社製品を開発したいと話す西本さん。脱サラや独立には勇気が必要かもしれませんが、まずは西本さんのように年齢を決めて脱サラの準備をしたり、すでに脱サラしている方から話を聞いたりなど、小さな一歩を踏み出すところから始めるのが良いかもしれません。

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公開日:2023年04月21日

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