独立したら社会保険の加入は必要?

最終更新日:2019年12月26日

11c24ac4eb0d2854

社会保険と聞くと、一般的なイメージとしては法人が加入するイメージがあるかもしれません。
もちろん、そのイメージは間違っていないのですが、個人事業主の場合でも社会保険の加入が必要になるケースがあります。

しかし、その基準やルールとなると曖昧な方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、個人事業主として独立したら知っておきたい社会保険のルールについて解説していきます。

目次

社会保険についておさらい

個人事業主が加入できる社会保険の種類

 任意継続健康保険のメリット

 任意継続健康保険の注意点

加入を検討したい任意継続健康保険とは

 国民年金と厚生年金の違い

 国民年金の金額

 支払いが難しいときは免除・減額もある

個人事業主でも社会保険への加入義務がある場合も

まとめ

社会保険についておさらい

社会保険とは、病気や怪我・失業などのリスクを国や自治体がカバーしてくれるものです。
財源の確保を行い、リスクにおける個人の負担を減らしています。
社会保険の考え方としては、憲法25条の精神に則っており「最低限度の生活を営む権利を実現しているもの」です。
また、日本の社会保険制度は以下の5種類が存在しています。

・健康保険
・年金保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険

これらの制度は、人生における様々なリスクに備えることができる保険です。

上記を全てカバーしたものは、いわゆる「会社の社会保険」と呼ばれています。
「会社の社会保険」には、雇用契約のサラリーマンはもちろん、一定の条件を満たせばパートアルバイトでも加入ができます。

では、次からは個人事業主の社会保険について解説していきます

個人事業主が加入できる社会保険の種類

個人事業主が加入できる社会保険は以下の3つです。

・国民健康保険
・国民年金
・国民年金基金

個人事業主が強制的に加入しなくてはならないものは、国民健康保険と国民年金です。
加えて、強制ではないにしろ任意で加入ができるものは国民年金基金。

国民年金基金とは簡単に言うと、国民年金に加入している自営業やフリーランスなどのに対して国民年金を上乗せできるようなものです。

また、上記の3つの保険には加入できるものの、個人事業主の場合は労災保険と雇用保険には加入できなくなっています。

つまり、仕事中の怪我への補償金や再就職までの給付金が受けられないのです。
同時に、これはサラリーマンやパートなどの給与所得者との違いになっています。

加入を検討したい任意継続健康保険とは

個人事業主の場合は会社を退職した後、速やかに国民健康保険に加入しなくてはいけません。
ただし、以下の条件を満たした場合は、退職した会社の健康保険にそのまま加入することも可能です。

・退職した会社の健康保険加入期間が2ヶ月以上
・資格喪失日から20日以内に申請書を提出

このような条件を満たすと任意継続被保険者となり、その日から2年間そのまま会社の健康保険を利用できるようになります。

ただし、任意継続被保険者になると任意に脱退することができないため、その点は注意が必要です。
ここからは、任意継続健康保険のメリットと注意点をそれぞれ解説していきます。

任意継続健康保険のメリット

任意継続健康保険のメリットは以下のようなものがあります。

・健康保険料が安い
・扶養家族にできる
・会社員時代の同様の内容

ひとつずつ解説していきます。

健康保険料が安い

在職中の標準報酬月額によっては、任意継続保険の方が保険料が安くなります。
国民健康保険の場合は、地域によって料金の差があるのでどちらが安くなるか確認が必要。例を挙げると、34万円の報酬をもらっている方の場合、月々の国民健康保険の保険料は34,000円程度です。
一方、任意継続保険の場合は会社との折半がなくなってしまうものの、28,000円程度となります。
これは任意継続保険には最高限度額が定められているからです。
それぞれの保険料の比較をした際のボーダーラインは30万円程度で、それくらいの給与所得があった方は保険料が安くなるケースが多くなります。

扶養家族にできる

国民健康保険には扶養という仕組みがありませんが、任意継続健康保険にはその仕組みがあります。
この仕組みを利用すれば、一人ぶんの保険料で家族の健康保険の保証を受けることが可能です。
ただし、配偶者や扶養家族の年間収入が130万円を超えない・一緒に住んでいるといった条件はあります。
しかし、世帯全体での健康保険料が大きく抑えられるため、配偶者や扶養家族がいる方にとっては嬉しい制度となっています。

会社員時代とほぼ同様の内容

健康保険組合よって保証の内容は変わりますが、任意継続をすればその補償に関しては今とほぼ同等のものが受けられます。
たとえば、人間ドックの受診補助といったものが現在の保障に含まれていれば継続して受けることが可能です。
ただし、傷病手当金や出産手当金は支給されないので注意が必要です。
とはいえ、これらは国民健康保険にもない保証となるため、やはり任意継続保険のメリットは大きいと言えそうです。

任意継続健康保険の注意点

一方、任意継続健康保険の注意点は以下の通りです。

・加入期間が決まっている
・保険料滞納があると資格喪失になる

こちらもひとつずつ解説していきます。

加入期間が決まっている

先ほどお伝えしたように、任意継続をする場合は加入期間が2年間となっています。
これが過ぎてしまうと加入資格がなくなってしまい、自動的に国民健康保険への加入となってしまいます。
つまり、あくまで「一時的なもの」といった意味合いが強くなってしまうのは否めないでしょう。

保険料滞納があると資格喪失になる

会社に属している間の保険料は給料から天引きされていたため、従業員側での払い忘れはありません。
しかし、任意継続になるとその支払いは自らが行う必要があります。
そうなると支払いを忘れてしまったり、残高不足で引き落としができなかったりといったことも考えられます。

その結果、保険料の滞納が出てしまうと資格がなくなってしまうので注意が必要です。
また、国民健康保険の場合は支払いの面で何かと相談に乗ってくれることも多くなっています。

しかし、任意継続健康保険は言ってしまえば特別扱いのようなもの。
そのぶん、滞納に対するペナルティは重くなってしまうと考えておいたほうが良さそうです。

年金はどうなる?

健康保険と同様に気になってくるのは年金。年金には国民年金と厚生年金がありそれぞれ異なった性質を持っています。
こちらも相違点を解説していきます。

国民年金と厚生年金の違い

国民年金と厚生年金の違いは、計算方法と積み立てられる年金です。
国民年金は毎月一律の金額の納付となっています。

一方の厚生年金の場合は、収入金額がベースになっています。
また、積立られる年金の範囲は大きな違いがあり、国民年金の場合は老齢基礎年金のみです。しかし、厚生年金の場合は老齢基礎年金に加え老齢厚生年金も加わります。
将来もらえる金額としては厚生年金の方が大きくなっているのです。

ただし、個人事業主の場合は厚生年金には加入できません。
このことから国民年金を基本に、200円を上乗せして将来の年金額を増やす付加年金を検討する方も多くなっています。

国民年金の金額

お伝えしたように、国民年金は一律・厚生年金は収入によって変化します。
国民年金は毎年度見直しが行こなわれています。

参考程度にはなってしまいますが、令和元年度(平成31年4月~令和2年3月まで)は月額16,410円です。

一方の厚生年金の保険料率は、標準報酬額の18.3%になっています。
しかし、そのうちの半分は会社の負担。金額面でも厚生年金のほうが有利と言えます。

支払いが難しいときは免除・減額もある

個人事業主の場合、は厚生年金には加入できないので国民年金の一択になります。
しかし、国民年金だと月額の負担額はなかなか大きくなることも。
特に個人事業主になりたての場合は、支払いが困難になってしまうことも考えられます。

ただし、支払いが難しい時は免除や減額の申請が可能です。
その対象となるのは20歳以上50歳未満の方で、本人・配偶者の所得金額が一定に達していない場合です。

その所得金額は以下の通りです

出典:
日本年金機構HP

ただし、免除された額や期間によって、将来もらえる年金額は少なくなってしまうので注意が必要です。
たとえば、全額納付した場合と比較して、全額免除であれば1/2、4分の3免除ならば5/8、半額免除なら6/8、4分の1免除なら7/8です。

このように全額免除であっても半額はもらえるので、支払いが難しいようなら放置をせずに申請をしておきたいところ。
また、免除や減額を受けた方の場合、過去10年分までの追納が可能です。
追納をすると、将来もらえる年金額が通常通りにもらえるようになります。

個人事業主でも社会保険への加入義務がある場合も

法人を設立した場合だと従業員数かかわらず健康保険・介護保険・厚生年金への加入が義務になっています。
一方の個人事業主はと言うと、常時雇用の従業員が5人以上になる場合は加入義務が発生します。

反対に5人未満の場合は加入は任意となっており、福利厚生の充実という目的を持って加入することも可能です。
ただし、以下のようなポイントがあります。

・事業主は従業員の社会保険料を折半しなくてはならない
・農業や水産業などの第1次産業やサービス業・士業などは従業員が5名以上でも任意加入
・個人事業主本人は加入できない
・労災保険は一人でも従業員を雇ったら加入義務がある

また、雇用保険においては31日以上の雇用見込み、かつ週20時間以上の勤務を行う従業員に関して加入義務が発生しています。
保険料率は平成31年現在で事業主の負担が0.6%・従業員の負担は0.3%となっており、こちらも確認しておかなくてはなりません。

まとめ

このように、個人事業主はいわゆる「会社の社会保険」への加入はありません。
しかし、国民健康保険・任意継続健康保険・国民年金と個人事業主本人が知っておくべき知識も多くなっています。

また、法人設立をしなくても従業員を雇うとそれなりの義務が発生します。
社会保険はなかなかとっつきにくい分野かもしれませんが、自分にとっても従業員にとっても重要なもの。
従業員にとって福利厚生になる場合もあるので、活用してみるのもいいかもしれませんね。

公開日:2019年12月26日