自営業の廃業で失業保険はもらえる?再就職手当は?受給資格や手続きなど

最終更新日:2021年04月26日

会社員の退職では失業保険を受給できるのが一般的ですが、果たして自営業者の廃業でも同じように受給できるのでしょうか。

こちらでは、自営業の方が廃業する際に気になる失業保険の受給資格や申請手続きに加え、失業後の再就職でもらえる再就職手当についてまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

失業保険とは

失業保険の受給手続き

失業保険の不正受給について

再就職手当とは

再就職手当の受給手続き

自営業廃業前に失業保険・再就職手当のルールを把握しよう

失業保険とは

失業保険とは、倒産や定年、私的な理由などで離職した人が受け取れる手当のこと。
失業者が生活に不安を感じることなく次の仕事を探せるよう、国が一定期間だけ給付金を支給する保険制度の一つです。

1日あたりの給付金額は失業者の年齢や離職前の賃金にもよりますが、離職日直前6ヵ月間における賃金日額の50~80%が目安とされています。
具体的な基本手当日額(1日あたりに給付される金額)を知りたい方は、下記の表を参考にしてみてください。

離職時の年齢 賃金日額の上限 基本手当日額の上限
29歳以下 13,690円 6,845円
30~44歳 15,210円 7,605円
45~59歳 16,740円 8,370円
60~64歳 15,970 円7,186円

※2021年2月時点の金額

上記の表を参考にすると、30歳で離職前の賃金が1日あたり17,000円だった方は1日あたり7,605円が支給されます。
賃金日額が上限以下の場合もそれぞれの賃金に応じて50~80%の基本手当日額が支給され、基本手当日額の下限額は年齢に関わらず2,059円に設定されています。

失業保険の受給資格

失業保険の受給が認められると離職日翌日から1年間にわたり給付金を受け取れますが、受給資格を得るためには下記3点を満たす必要があります。

  • 離職前の2年間に被保険者期間が12ヵ月以上あること(自己都合退職の場合)
  • 離職前の1年間に被保険者期間が6ヵ月以上あること(会社都合退職の場合)
  • 失業状態にある(就職する気や能力はあるが仕事が見つかっていない)こと

失業保険は就職する気や能力がある方向けの制度であることから、下記に当てはまる方は受給資格を満たさないため覚えておきましょう。

  • 妊娠や出産、育児、病気、ケガなどですぐに就職できない方
  • 家事や学業に専念している方
  • 会社役員や自営業の方

自営業の廃業は失業保険の対象?

失業保険は「雇用されていた方」を対象とした制度のため、自営業の廃業は対象外です。

ただし、自営業を始める前に会社へ就職していた期間がある方に関しては、会社退職時の失業保険の給付日数が残っている可能性があります。
自身が受給条件に当てはまるか不明な場合は、ハローワークに確認してみましょう。

失業保険の受給手続き

失業保険の受給手続きは、現住所があるハローワークで行います。

1. ハローワークにて求職の申し込み
申し込みの際には雇用保険被保険者証や個人番号確認書類、写真などが必要なため、事前に必要書類を確認しましょう。

2. 雇用保険受給者初回説明会への参加
指定された日時の説明会へ参加し、1回目の失業(就職する気と能力があること)の認定日を決めます。

3. 失業認定
ハローワークで求職活動の状況などを知らせ、失業状態にあることを認定してもらいます。初回の失業認定後も、4週間に1回ほどハローワークへ訪れ求職活動をしなければいけません。

4. 受給
会社都合退職の場合は求職の申し込み日から7日後、自己都合退職の場合は約2~3ヵ月後に失業保険が支給されます。

失業保険の不正受給について

アルバイトの収入があることを隠したり、求職活動の実績を偽ったりなどの方法で失業保険の受給を試みた場合は不正受給とみなされます。

また、求職者からすると就労にあたらない行為に思えても、実際は就労の要件に当てはまり不正受給とみなされるケースもあるので注意が必要です。

ハローワークでは受給記録のシステム管理や会社訪問、外部からの通報などさまざまな方法で不正受給を見逃さない対策が練られています。

不正受給が発覚すると失業保険が支給されないのはもちろん、今まで不正に受給した金額の2~3倍の費用を支払わなければいけないため絶対にやめましょう。

再就職手当とは

再就職手当は、失業保険を受けながら求職活動している方が正社員のような安定性のある立場で再就職したときに支払われる手当です。

再就職手当で受給される金額は「失業保険の支給日数が残り何日分あるか」によって決まり、具体的には下記の計算式で算出されます。

■失業保険が支給される日数が残り3分の2以上ある方
残りの支給日数 × 0.7(70%)× 基本手当日額

■失業保険が支給される日数が残り3分の1以上ある方
残りの支給日数 × 0.6(60%)× 基本手当日額

再就職手当の受給資格

再就職手当の受給資格を得るためには、下記8つの条件を満たしている必要があります。

  • 待機期間(7日間)を経てから再就職した
  • 失業保険支給日数が所定のうち3分の1以上残っている
  • 再就職先は離職した前職ではない
  • ハローワークまたは職業紹介事業者から紹介された職場へ就職した(※自己都合で退社した方のみ)
  • 1年を超えてその職場で勤務することが明らかである
  • 雇用保険の被保険者である
  • 再就職手当や常用就職支度手当などを過去3年以内に受給していない
  • 再就職する職場は求職申し込み前に内定していた会社でない

上記を満たさなければ再就職手当は支給されないため、必ず覚えておきましょう。

自営業の廃業は再就職手当の対象?

再就職手当は、失業保険を得ながら求職活動している方が対象の手当です。

自営業者には失業保険の受給資格がないため、廃業後にどこかの職場へ正社員として再就職したとしても残念ながら再就職手当はもらえません。

再就職手当の受給手続き

再就職手当を受給する手続きは、下記の通りです。

1. ハローワークへ再就職先が決まったことを連絡

2. ハローワークへ各種書類を提出
再就職日の翌日から1ヵ月以内に、ハローワークへ「再就職手当支給申請書」を提出します。また、このときに「採用証明書」を添付する必要がありますが、こちらは会社の担当者に記入してもらう項目がほとんどです。

3. 受給
再就職手当が受給されるのは入社から約7日後が目安ですが、厳密に決められているわけではありません。あまりにも支給が遅いようであれば、ハローワークへ確認の連絡を入れるのが良いでしょう。

自営業廃業前に失業保険・再就職手当のルールを把握しよう

自営業者は、会社を退職する方と失業保険や再就職手当のルールが異なります。
そのため安易に「廃業しても給付金が支給されるから大丈夫」と考えないよう注意してください。

特にこれから自営業を始める方は、どのような条件なら失業保険や再就職手当の対象となるのかを押さえ、廃業時の対応まで想定した上で開業することが大切です。

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公開日:2021年04月26日