増値税とは?あなたも課税・還付の対象かも?!中国の税金について学ぼう!

最終更新日:2020年12月17日

「増値税」とは中国の税金の一つで、中国企業と取引する際にほぼ必ず発生する費用です。
そのため中国で商品の製造や販売を予定している方、中国企業との間で輸出入をしようと考えている方などは増値税の知識をつけておく必要があります。

こちらでは、増値税が適用されるケースや納税が免除されるケース、還付金の申請方法などをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

増値税とは

増値税が適用されるのはどんなとき?

増値税の計算方法

増値税業務のチェックポイント

増値税の還付制度について

増値税のルールや制度を覚え会計処理に活かそう

増値税とは

増値税とは中国で発生する税金の一つで、日本の税金に例えると消費税にあたります。

基本税率は13%ですが、穀物や農薬は9%、金融関連のサービスは6%などと決まっており、増値税を負担する会社は毎月まとめて税務局に納付しなければいけません。

また、中国国内でモノを購入したりサービスを受けたりするときだけでなく、増値税は輸入時にも発生する税金のため、中国との取引を予定している方は必ず理解しておくようにしましょう。

参照:中国国家税務総局ホームページ「増値税改革深化の関連事項に関する公告」
日本貿易振興機構(JETRO)ホームページ「増値税率の引き下げを実施、国家税務総局のQ&Aの確認を」

納付時期

増値税は、基本的に毎月納付する必要があります。
納付場所は会社の本拠地がある税務局が一般的ですが、本社と支社の管轄地が違う場合はそれぞれの地域で手続きするようにしてください。

また、一般納税人(増値税の年間売上高が500万元を超える会社)と小規模納税人(増値税の年間売上高が500万元以下の会社)では納税額を求める税率が異なるため、自社の計算式を調べておくようにしましょう。

発票とは

発票は、中国との間で増値税が発生する取引をした後に発行される証明書です。
日本で例えると領収書のようなもので、例えば中国でモノを購入した際に発行された発票は経費精算に利用できます。

発票には種類が2つあり、それぞれの役割は以下の通りです。

  • 専用発票
    専用発票は、仕入増値税(商品の仕入れにかかる増値税)を控除するとき、そして輸出時に中国に払った増値税の還付を受けるときに必要です。
    一般納税人のみ発行でき、小規模納税人が購入者の場合は基本的に発行できません。

  • 普通発票
    普通発票は専用発票と違い小規模納税人が発行できますが、普通発票を使って仕入増値税控除や輸出還付金は受けられません。
    ただし、タクシーの乗車や飲食店の利用で発行される普通発票も合法な証明書のため、これを経費精算の際に用いることは可能です。

増値税が適用されるのはどんなとき?

日本貿易振興機構(JETRO)によると、増値税の納税義務者は「中国国内で商品を販売、加工・修理補修の役務を行う、または商品の輸入を行う単位(会社や団体)あるいは個人(個人経営の企業)」と定義されています。

例えば製造業を営んでいる会社が、中国の工場で商品の製造・販売・修繕などを行う場合は増値税の適用となります。
また中国国内での取引だけでなく、中国から商品を輸入する場合も増値税が発生するため覚えておくようにしましょう。

引用:日本貿易振興機構(JETRO)「増値税の納税義務者:中国」

増値税が免除されるケースも

小規模納税人が取引を行う場合は増値税の税率は一律3%と一般納税人(税率17%の)より低く設定されており、1ヶ月の販売額が10万元未満の場合は増値税の納付が免税となります。

ただし、その代わりに仕入増値税の控除ができないため、一般納税人よりトータルで納める納税額は高くなりやすいです。

また、下記の種類のサービスはゼロ税率(課税率が0%で尚且つ仕入増値税を控除できる)の対象となる可能性が高いため、自社が当てはまるかどうか確認してみてください。

  • 国際運輸サービス
  • 航空運輸サービス
  • ラジオ・映画・テレビ放送サービス
  • 研究開発やテクニカルサービス
  • オフショア・アウトソーシングサービス
  • ITサービス

さらに、コンサルティングや電信など、いくつかのサービスは増値税が免税となる可能性があります。

増値税の計算方法

増値税納税額は、下記の計算方法で求められます。

増値税納税額 = 売上増値税額(売上高×税率)- 仕入増値税額(仕入高×税額)

売上増値税額と仕入増値税額は、月ごとに納税する場合は当月、期ごとに納税する場合は当期の金額で計算してください。

上記の説明だけでは分かりにくいので、実際に中国の工場で製造された家具(税率13%)を一般納税人が購入するケースを例に考えてみましょう。
仕入れに300万元かかった家具を、自社が500万元で購入したとします。

(500万元×13%)-(300万元×13%)=26万元(増値税納税額)

増値税業務のチェックポイント

増値税の発票は中国語で記載されており、記載内容のミスを見逃しがちなため注意が必要です。
こちらでは「仕入増値税」と「売上増値税」の業務でチェックしておきたいポイントをまとめているので、ぜひ意識してください。

仕入増値税

仕入増値税の発票確認や記帳作業をする際は、下記の点に注意する必要があります。

  • 発票のフォーマットは税務署が管理する正規のものか
  • 発票に記載される金額や数量に間違いがないか
  • 発票には増値税専用の印が押されているか
  • 割引時や返品時の手続きに間違いがないか
  • 増値税対象外の取引がきちんと除外されているか

専用発票は、仕入増値税を控除するときに使う重要な証明書です。
内容に間違いがあれば控除できなくなるため、特に上記の発票の確認作業は念入りにするようにしましょう。

売上増値税

売上増値税の発票確認や記帳作業をする際は、下記の点に注意する必要があります。

  • 発票の発行タイミングは適正か
  • みなし販売(無料サンプルなど売り上げが発生しない取引)における増値税負担先は正しいか
  • 割引時や返品時の手続きに間違いがないか
  • 税率が異なる商品をまとめて取引した際の処理方法に間違いがないか

日本の会社は出荷や納品のタイミングで売り上げ計上することが多く、発票のタイミングも売り上げ計上のタイミングと同じであることが望ましいとされています。
発票の発行が遅れている場合は、早急に発行または取引先に確認するようにしましょう。

そのほかに、みなし販売や返品・割引などイレギュラー時の処理が適正に行われているかどうかもよく確認することが大切です。

増値税の還付制度について

一般納税人が中国から貨物を輸出する場合、取引にかかった仕入増値税は還付を受けられます。
還付率は輸出する貨物の種類によって異なるため、還付申請時までに調べておくのが良いでしょう。

こちらでは、仕入増値税の還付を受けるための手続きを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

還付の手順

一般的な輸出取引では「免税控除還付方式」が採用されており、還付を受けるためには下記2点の手続きをする必要があります。

  • 輸出を証明する輸出インボイスを税務局へ提出
  • 国家税務総局の「輸出貨物税⾦還付(免除)電⼦申告システム」で還付申請

上記2つの作業が完了し、輸出業者側の申請も滞りなく行われた場合は申請が受理され還付を受けられます。
「輸出貨物税⾦還付(免除)電⼦申告システム」を利用する際は、専用発票などの書類を添付する必要があるので準備しておくようにしましょう。

増値税のルールや制度を覚え会計処理に活かそう

中国と取引する予定の経営者は、増値税について知識をつける必要があります。

税率や納付時期、増値税業務のチェックポイントはもちろん、会社の利益に関わる還付金申請制度についてもよく理解し活用するようにしましょう。

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公開日:2020年11月26日