脱サラで医者は何歳まで目指せる?医者のなり方や必要な準備とは
最終更新日:2024年09月11日
「脱サラして医者になって人を助ける仕事がしたい」と思っても、もう年齢的に遅いのではと考え、一歩踏み出せない人も多いと思います。何歳までなら医者を目指せるのか、医者になるためにいくら必要かなど、気になる方もいるでしょう。
本記事では脱サラして医者としてのキャリアを築きたい人向けに、医者になる方法や、必要な費用、脱サラして開業するための手順をまとめました。脱サラ計画を効率良く進めるために、ぜひ記事を最後まで読んで、医者を目指す準備の参考にしてみてください。
目次
医師免許に年齢制限はない
医師免許の取得に年齢制限はありません。脱サラして30代〜50代で医者になる人もいます。また医学部の入学も年齢制限がないので、6年間学校に通って試験をパスすれば、何歳であっても医師免許の取得は可能です。
脱サラして医者になる方法とは?
ここでは、会社員が脱サラをして医者になる方法をまとめました。
- 大学の医学部に入学する
- 医学部で6年間勉強をする
- 国家試験を受ける
- 試験に合格後は研修医として病院に2年間勤務する
- 研修を終え、医者のキャリアをスタートする
大学入試にパスするのが難しそうであれば、医学部向けの予備校に入り、基礎学力を向上させることからスタートしましょう。
なお、研修医の期間は通常2年間ですが、医院によって3年のところもあります。
医者になるために必要な費用
本章では、医者になるために必要な学費、準備するもの、経費などおおよその金額を解説します。
医学部向けの予備校に行く
医学部に特化した予備校の相場は約300万円〜600万円です。
医学部の学費
国公立大学は約350万円、私立大学は約3,000万円ほど必要です。ただし私立大学の学費は学校によって大きく変動し、約4,800万円かかるところもあります。
準備するもの、経費
開業するときは電子カルテ、内視鏡、滅菌器など診療や治療に関わるものをはじめ、診察室の机と椅子、電話などの什器、空調を準備します。医療機器は約2,000万円かかり、開業後の固定費を払うための運転資金も約3,500万円ほど必要です。また内装費も約2,400万円ほどかかります。
医学部に進学する費用や開業費用は数千万単位と高額なので、脱サラ前にお金の計画をしっかり立て、計画の半ばで体力が尽きないよう入念に準備をしましょう。
脱サラで医者になる資金をまかなう方法
脱サラをして医者を目指すには生活費のほか、6年間の学費も支払っていかなければなりません。ここからは、医者になるための学費をサポートしてくれる3つの制度をご紹介します。
奨学金
1つ目は奨学金を利用する方法です。代表的な奨学金を確認していきましょう。
- 日本学生支援機構
- 民間育英団体の奨学金
- 地方自治体の奨学金
- 大学独自の奨学金
奨学金は給付型と貸与型の2つに大別でき、給付型であればお金を返済する必要はありません。奨学金を受けるには条件があり、事前に各機関へ問い合わせておきましょう。
専門実践教育訓練給付金制度
雇用保険の教育訓練給付制度を活用し、「専門実践教育訓練」の給付金を申請するのも、有効な手段の一つです。
一定の要件を満たしていれば、大学に支払った経費のうち最大70%(最長3年間の訓練期間で上限額は168万円)を受け取れる制度です。
雇用保険の加入期間など要件があるので、最寄りのハローワークに確認するのをおすすめします。
学費減免制度
3つ目の方法は、学校の学費免除制度の利用です。学校によって、経済的な理由で授業料を払うのが難しい学生に対し、授業料を減免する制度があります。
この制度が利用できる学生は成績優秀者に限られており、要件は学校に問い合わせましょう。学校に入学した後で経済状況が悪くなった場合でも、減免制度を利用できる可能性があります。
勤務医が脱サラして開業する手順
ここまでは医者になる方法や学費、経費などを解説しました。本章では、勤務医が病院を脱サラして開業医になる手順を、6つのステップに分けてご紹介します。
事業計画/キャリアプランを立てる
一つ目のステップは事業計画/キャリアプランの立案です。事業計画とは、「どのように病院を運営していくか」「売り上げ目標、事業方針、活動内容」を文章に落とし込んだものです。
キャリアプランとは、自分が思い描く仕事や働き方を実現するために作る「中長期の行動計画」を指します。事業計画やキャリアプランを立てることで、目標から逆算して「今すべきことが何か」を明確にでき、具体的な行動を起こしやすくなります。
事業計画書は金融機関などで融資を受けるときに使用するので、早い段階で計画を立てておけば、資金調達の際もスムーズです。
資金調達をする
次に、開業に必要な資金調達をしましょう。代表的な資金調達の方法は、以下のようなものがあります。
- 自己資金
- 日本政策金融公庫
- 独立行政法人福祉医療機構
- 民間金融機関
- リース会社
- 家族、親戚、友人
病院を開業する際は、物件取得費、設備費、スタッフの採用に関する費用、人件費などの初期費用が発生します。
自己資金ですべてまかなうことが難しければ、金融機関や日本政策金融公庫などの融資を検討しましょう。融資には審査があり、希望する融資額の20%〜30%にあたる自己資金が必要です。
また、融資の交渉にはさまざまな資料を作成し、提出しなければなりません。融資を受ける前に開業医向けのコンサルタントに相談したり、開業支援セミナーに参加したりして、融資に関する知識を身に付けましょう。
なお、契約する物件の費用が分からないと必要な資金計画が立てられないため、資金調達は土地・物件探しと同時に行うのがおすすめです。
土地と物件を探す
資金調達と並行しながら、土地・物件を探しましょう。たとえ医者としての腕が良くても、立地が悪く患者さんが来てくれないと、経営が立ち行きません。土地・物件探しのポイントは以下の通りです。
- 交通の便は良いか
- 駐車できる場所はあるか
- 診療圏の人口
患者さんが集まらず引越しを余儀なくされると、余計な費用や時間がかかるので、土地・物件選びは慎重に行いましょう。開業医向けの物件を多く扱っている不動産屋も、ぜひ活用してみてください。
設備を整える
4つ目のステップは設備の用意です。診療科目によって必要な設備は異なりますが、一般内科を例にみていきましょう。
- 一般撮影装備…230万円
- 超音波画像診断装置…300万円
- 電子内視鏡システム…680万円
- CR/PACS装置…230万円
- 電子カルテ…300万円
- 心電計…80万円
このほかにも、待合室のソファーや診療机、椅子、電話などの什器備品に約200万円ほど必要です。また、天井や壁、床の装飾といった内装造作費は、坪あたり約40〜50万円の工事費がかかります。
スタッフを採用する
土地や設備などの大枠を準備したら、次はスタッフの採用です。病院を運営するには受付、看護師、看護助手をはじめとする医療スタッフが欠かせません。
スタッフを採用するには、次のような方法があります。
- ハローワークに求人票を出す
- 業界の会報誌に広告を載せる
- 医師会の求人を活用する
- 新聞の広告欄を使う
スタッフが足りないと患者さんへきちんと対応ができず、不信感を抱かせる要因になります。人手不足に陥らないためにも開院の数ヵ月前には募集を打ち出し、採用活動に余裕を持たせましょう。
医師会への加入/各種届出
最後に、医師会への加入や届出を行いましょう。医師会へ加入せずに開業することはできますが、医師会へ加入すると、以下のメリットが受けられます。
- 健診、予防接種といった自治体が費用を助成する事業の委託先に指定される
- 学校の校医として優先的に指定される
- 他院の開業医と交流・連携しやすくなる
ただし医師会へ加入すると、「日本医師会」「都道府県医師会」「群市区医師会」の3つに入ることとなり、年会費が100万〜500万円ほど必要な点に留意してください。
次に、開業前に行う各種届出の代表例をまとめました。
- 診療所開設届
- X線備付届
- 保険医療機関指定申請書
- 施設基準届出書
- 個人事業開設届
- 青色申告承認申請書
- 社会保険関連の手続き
病院を開業するときは医療に関する手続きのほかに、税金や社会保険の手続きも忘れずに行いましょう。
入念な準備をして脱サラの医者を目指そう
医者になるには大学で6年間、研修医として2年間働くので最低でも8年間、学ばなければなりません。6年間にわたって学費や生活費をやりくりしながら、学び続けることは体力的にも精神的にも大変なことです。
会社員から脱サラして医者を目指すときは、奨学金や専門実践教育訓練給付金制度などを上手に活用し、可能な限り経済的な負担を少なくするのがおすすめです。
また勤務医から脱サラして開業医になる場合は、事業計画を練ったり開業資金を集めたりと、手続きや準備に時間をとられがちです。スムーズに経営をしていくためにも、今回ご紹介した手順を押さえ、余裕を持って開業準備をはじめましょう。
公開日:2022年01月27日