「45歳定年制」発言の真意とは?問題点や狙いと定年後におすすめの働き方を解説

最終更新日:2023年04月03日

45歳定年制とは、サントリーホールディングス株式会社の社長が提言した新しいビジネスモデルのことです。SNSを中心に物議を醸していますが、真意を知れば納得する部分も多くあります。そこで今回は、誤って捉えられやすい45歳定年制の発言の真意や問題点、狙いについて詳しく解説します。45歳定年制が気になっている人は、参考にしてみてください。

目次

45歳定年制とは

45歳定年制に対して問題とされた点

45歳定年制の狙いとは

早期退職制度の導入を実施・検討している企業

45歳定年制に向けて行うべき準備

これからの定年制度はどうなる?

早期退職をしたい人におすすめの働き方

45歳定年制とこれからの働き方についてまとめ

45歳定年制とは

45歳定年制とは、サントリーホールディングス株式会社の代表取締役社長 新浪剛史氏が提言した新しいモデルのことです。ここでいう新浪社長が提唱した「定年」とは、企業に勤められる年齢の上限ではなく、人生100年といわれる時代のキャリア転換の分岐点として定める年齢のことです。つまり、45歳定年制とは45歳で退職を促すものではありません。

そもそも日本では、法的な理由から企業は定年を60歳以上に定める必要があります。企業の独断で60歳以下の社員を強制的に解雇すれば、「解雇権濫用法理」(労働契約法16条)に抵触するので現実的ではありません。

新浪社長は、日本経済を活性化するためには、成長率の高い成長産業への人材移動が重要であると考えています。それを踏まえ、企業の新陳代謝を高めること、個人が企業に頼らないように若いうちからスキルを磨くことが大切と考え、45歳定年制を唱えたのです。

45歳定年制に対して問題とされた点

45歳定年制に対して問題とされた点

45歳定年制に対しては賛否両論あります。問題視されている点は、主に以下の4つです。

  • リストラを推進しているように見える
  • 40代以降は再就職が難しいことが多い
  • 年齢による差別とも捉えられる
  • 「いつかは辞める」という意識による意欲低下

何が問題なのか、それぞれ詳しく見てみましょう。

リストラを推進しているように見える

45歳定年制は「定年」というワードを使っているせいか、リストラを推進しているように見えてしまいます。実際にSNS上では物議となり、新浪社長は発言した翌日、「定年という言葉はまずかった」と釈明しています。

45歳定年制はリストラや早期退職を促すものではありませんが、初めて耳にする人にとっては誤解を与えやすいのも確かです。今後は「定年」というワードは使わず、違った言葉で提唱する必要があるでしょう。

40代以降は再就職が難しいことが多い

専門的なスキルや高い知識をもっている人材は優遇されます。しかし、企業に貢献するスキルをもたない40代以降の人材を、わざわざ採用する企業はありません。

また、40代以降といえば、子供が高校・大学に進学したり、住宅ローンの返済があったり、お金がかかりやすい年齢です。求める給与は高くなるので、条件に合う転職先が見つかりにくい状況に陥る可能性は高いでしょう。

年齢による差別とも捉えられる

45歳という年齢を挙げていることから、差別的発言に感じる人もいるようです。とくに、45歳を過ぎている人にとっては、あまり良い気はしないのかもしれません。

そもそも新浪社長が45歳と提唱したのには、「45歳は人生の節目であり、自分の人生を考え直すのに適している。50歳では少し遅い。」という考えからです。ある程度、社会経験を積み、役職が付きやすい年齢であることからも、自分の人生を見つめ直すのに丁度よいと考えたのでしょう。

「いつかは辞める」という意識による意欲低下

45歳定年制は、企業に頼らず個人が主体的に歩むことを目的としています。一つの企業に定年まで働き続ける従来のスタイルとは異なり、企業に頼らない仕組みを作ることで、転職や起業など選択肢を広げられるようになります。

しかし、「いつかは辞める」という意識は、企業への忠誠心を低くするでしょう。企業のために取り組む姿勢がなくなれば、業績不振に陥る恐れすらあります。企業にとっては、社員のモチベーションを維持しながら主体的な人材を育成する環境づくりが課題となるでしょう。

45歳定年制の狙いとは

45歳定年制の狙いとは

いくつもの問題点が見られる45歳定年制を実現するのは、ハードルが高いように感じられます。しかし、経済同友会・副代表幹事も務める新浪社長が、何の意図もせずに45歳定年制を提唱するわけがありません。ここでは、45歳定年制の狙いについて、より詳しく解説します。

意欲の低い人員の削減

企業が新規事業や新しい分野に挑戦するとき、40代後半以降のシニア社員はネックになりやすいものです。すでに慣れ親しんだ環境は居心地が良いため、従来の方針やシステムが変わることを嫌う傾向にあります。新しい価値を生み出そうという意欲は、若手社員よりも低くなるといえるでしょう。

また、社内研修を実施しても「今までのやり方を変えたくない」という考えをもつシニア社員は多く、企業が変わろうとするとき、障害になる恐れもあります。意欲の低い人材を育成するよりも、中途人材を採用したほうがメリットがあると考える企業は少なくありません。

仮に45歳定年制を導入できれば、現状に満足し向上心のない人材を削減しやすくなります。

業績回復に向けた軌道修正

勤続年数や年齢によって給与が決まる年功序列。実力主義を導入している企業が増える中、未だに年功序列のままの企業は少なくありません。年功序列型の場合、40代後半以降の社員は非管理職でも給与は高い傾向にあります。実力主義に変えたとしても、給与を急激に減らすのは困難でしょう。

45歳定年制には、給与の高い40代後半以降の人材をカットし、人件費削減による業績回復を狙う目的も見られます。

企業の新陳代謝が活発になる

45歳定年制には、企業の新陳代謝を促す目的も含まれています。入れ替わりの少ない企業は業務がルーティン化したり、刺激がなくモチベーションが低下したりする恐れがあります。とくに、知識や経験を伴った40代後半以降のシニア社員は、ただ業務をこなすだけの毎日になりやすいものです。

仮に45歳定年制を導入できれば、若い人材との入れ替えがしやすくなります。職場には新しい風を吹き込めますし、向上心がありフットワークが軽い若手社員は企業にとって良い影響をもたらすでしょう。

若手社員の活性化

2021年9月に開催されたオンラインの経済同友会・夏季セミナーで新浪社長は、定年を45歳にすれば、30代、20代でみんな勉強をし、自分の人生を自分で考えるようになると発言しています。個人は企業に頼るのではなく、主体的に歩めるスキルを意識的に磨くことが重要という考えからの発言です。

定年には早すぎる年齢をあえて掲げることで、1つの節目となり、45歳までにどんなスキルを身につけるべきか、それには何をするべきなのかが明確になります。また、若手社員が活性化することは、企業だけでなく日本経済の活性化にもつながります。

個人の自己投資・スキルアップに繋がる

20代や30代のうちから、将来を見据えて資格やスキルを取得するために努力している人はどのくらいいるでしょうか。
何かと理由をつけては、自己投資を先送りにしている方も少なくはありません。45年定年制には、このような状況を打破する目的も含まれているのです。

企業に頼る人生は、個人の自己投資やスキルアップの機会を減らしてしまいます。そこで、45歳という年齢を仮の定年として設けることで、40代後半以降を不自由なく生きていくためにも、20代や30代から意欲的に勉強する若者が増えるだろうという心理があります。

早期退職制度の導入を実施・検討している企業

45歳定年制を実施するには課題が多く、法的にも不可能です。そのため、さすがに暴論だと捉えられてしまうこともある発言ではありますが、新浪社長が示す意図そのものは共感できる部分があるという人は少なくないでしょう。それを裏付けるかのように、早期退職制度を導入する企業・検討している企業は増加傾向にあるのです。

早期退職制度を「セカンドキャリア支援」という名で実施しているのは、パナソニックや大和ハウス工業、ホンダなどの大手企業。終身雇用が当たり前だった中で、大きな変化といえるでしょう。現状としては、早期退職制度を導入・検討している企業は少ないですが、今後導入する企業は増えることが予想されます。

45歳定年制に向けて行うべき準備

45歳定年制に向けて行うべき準備

45歳定年制でなくても早期退職する可能性に向け、準備しておく必要があります。具体的にどのような準備をするべきなのか、詳しく解説します。

社外でも通用するスキルを磨く

社外でも通用するスキルがあれば、転職活動を有利に進められます。培ったスキルは自分を売り込む強みになるので、転職で困るのを防げます。

場合によっては、より好条件で転職できる可能性もあるでしょう。現状に満足せず、スキルアップ研修や資格取得など、どんどんチャレンジすることが大切です。

個人で稼ぐ力を身につける

個人が主体的に歩めるよう、稼ぐ力を身につけておくことが大切です。稼ぐ力があれば、ほかの企業に転職するのではなく、独立して起業や開業することもできます。選択肢が増えるので、自分のやりたいことを実現しやすくなるでしょう。

例えば、コンサルタントやWEBデザイン、ライターなどで独立する場合、退職するまでに資格やスキルの取得が必須です。加えて、顧客やクライアントなどの確保も必要になります。

ほかにも、レストランやカフェなどの飲食店を開業するなら、調理のスキルや免許、さらには経営に関する知識も求められるでしょう。個人で稼ぐ力がある人ほど、退職後の働き方は自由度が高くなります。

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セカンドキャリアを考える

退職後のセカンドキャリアを明確にすることも重要です。セカンドキャリアが曖昧のままだと、やるべきことが定まらず、人生の時間を無駄にしてしまう恐れがあります。

例えば、セカンドキャリアを飲食店経営とするなら、退職金を開業資金とし、詳細まで決めておくとスムーズに進められます。また、今よりもスキルアップを目指すなら、転職活動しながらキャリア開発休暇を利用して資格取得を目指すのも良いでしょう。

退職してから「何をしよう」と考えるのではなく、セカンドキャリアを考えてから退職したほうが有意義な時間を過ごせます。

退職後に備えた貯金

早期退職に備えるなら、まとまった貯金が必要です。退職後、転職先が見つからず苦労する可能性があります。早期退職の場合は、「退職一時金の割増」や「失業手当の受給が早い」といったメリットはあるものの、基本的に転職先が見つかるまでは貯金でまかなうことになるでしょう。

貯金が少なく生活できない状況に陥らないよう、若いうちからしっかり貯金をしておくことが大切です。

資産形成への取り組み

退職する前に資産形成をしっかり構築しておきましょう。退職後は、「転職先が見つからない」「前よりも給与が下がった」という状況に陥る可能性があります。少子高齢化社会である日本では、年金だけで暮らすのは困難です。加えて、早期退職した場合は、定年まで働くよりも年金の支給額は減少する傾向にあります。まとまった貯金がない人にとっては不安要素になるでしょう。

早期退職に備えるなら、老後のことも考えて、早いうちから投資などの資産形成に取り組むべきです。

これからの定年制度はどうなる?

現在は60歳を定年とし、65歳まで再雇用する「長期雇用型」が主流です。トヨタ自動車を筆頭に、多くの大企業が長期雇用型を採用しています。そんな中、近年増えているのが早期退職制度を導入する企業です。今後は「長期雇用型」と「早期退職制度の導入型」、2つのモデルに分かれることが予測されます。

また、企業の方針は時代の流れとともに変わるものです。長期雇用型から早期退職制度へと一新する企業も出てくるでしょう。勤めている企業が必ずしも長期雇用型のままとは限りません。早期退職にも対応できるよう、早めに準備することが大切です。

政府は定年を後ろ倒しにする方針

早期退職を導入する企業が増える一方、政府は定年を後ろ倒しする方向性を示しています。すでに企業には、希望する社員は65歳まで雇用することが義務付けられていますが、さらに年齢を引き上げ、70歳まで就労機会を提供するよう求めているのです。

これは2021年4月施行された「改正高年齢者雇用安定法」によって定められたもの。必ず雇用しなければいけない、というわけではありませんが、努力義務を課せられている以上は、明確な理由がない限り断るのは難しくなるでしょう。

早期退職をしたい人におすすめの働き方

早期退職した後は、フランチャイズの開業がおすすめです。成功例のあるビジネスがマニュアル化されているので、特別なスキルや経験がなくても参入しやすくなっています。また、業種はコンビニや雑貨、飲食店など幅広いので、自分の興味があるものや好きなことを仕事にすることも可能です。

例えば、普段の家事スキルを活かせるフランチャイズ本部には「おそうじ本舗」があります。店舗や在庫をもたずに開業できるので、低リスクで始めやすいのが魅力です。また、人に教えることが好きな人には「個別指導塾「スクールIE」」がおすすめです。国内外2,000教室以上を展開する確かな実績と、在庫リスクのないストック型のビジネスモデルによって、安定した収入が実現しやすくなっています。

フランチャイズを活用することで、起業へのハードルは低くなります。「やってみたいな」と思っていたことを仕事にできれば、生きがいにすら感じるでしょう。

45歳定年制とこれからの働き方についてまとめ

45歳定年制とは、サントリーホールディングス株式会社の新浪社長が提言したモデルのことです。新浪社長は、企業の新陳代謝を高めることや、若いうちからたくさん学ぶことの大切さを主張しています。現時点で、45歳定年制が導入される可能性は低いですが、終身雇用制度が崩壊しつつある今、企業に頼る働き方では将来苦労することでしょう。

将来に不安を感じる人には、今回紹介したフランチャイズの開業がおすすめです。未経験でも参入しやすい事業が多い上に、長期的に安定した職に就きやすくなります。無料で資料請求できるので、興味のある人は気軽にお問い合わせください。

公開日:2022年09月26日

よくある質問

Q 45歳定年制が実現されるというのは本当ですか? 回答を見る
Q これから45歳定年制が導入される可能性はありますか? 回答を見る