フランチャイズでも事業再構築補助金は採択される?利用条件や申請手順を解説

最終更新日:2023年03月01日

コロナ禍で苦境を体験してきた経営者にとって、事業再構築補助金は大きな支援策となるものです。この事業再構築補助金を活用して、フランチャイズへ加盟して新たな事業を拡大することを考える経営者もいるでしょう。

事業再構築補助金を活用してのフランチャイズでの事業拡大は可能です。ここでは事業再構築補助金をフランチャイズで利用する場合の利用条件や申請手順、利用するときの注意点について解説します。

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目次

事業再構築補助金とは

フランチャイズで事業再構築補助金をもらえる可能性がある

事業再構築補助金の利用要件とは

事業再構築補助金を活用できるおすすめフランチャイズ3選

事業再構築補助金を活用してフランチャイズへ加盟するメリットとは

フランチャイズに加盟するデメリットも確認

事業再構築補助金を受給する手順とは

事業再構築補助金でフランチャイズに加盟する際の注意点

フランチャイズの事業再構築補助金についてのまとめ

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、コロナ禍で業績不振に苦しむ中小企業・中堅企業の事業再構築を支援する補助金です。ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための思い切ったチャレンジ、例えば新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編への支援になっていることが特徴です。

補助額は最大1億円と大型補助金になっていて、補助率は3分の2(特別枠では4分の3)となっています。

申請可能な経費項目の例

事業再構築補助金において支援の対象となる経費を「補助対象経費」と呼びます。補助事業に使われる経費が全て認められるわけではなく、補助の対象になるためには以下のいずれかに該当することが必要です。

  • 建物費
  • 機械装置、システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝、販売促進費
  • 研修費

出典:事業再構築補助金事務局 令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費 事業再構築補助金 公募要領

申請できない経費項目の例

申請できない経費項目には、主に以下の項目があります。

  • 事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
  • フランチャイズ加盟料
  • 電話代、インターネット利用料金等の通信費(クラウドサービス利用費に含まれる付帯経費は除く)
  • 商品券等の金券
  • 販売する商品の原材料費、文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
  • 飲食、娯楽、接待等の費用 ほか

特に、フランチャイズへの加盟料は対象外となるため十分注意してください。

出典:事業再構築補助金事務局 令和二年度第三次補正・令和三年度補正・令和四年度予備費 事業再構築補助金 公募要領

フランチャイズで事業再構築補助金をもらえる可能性がある

コロナ禍によってこれまで営んできている事業の売り上げが下がり、事業継続が苦しくなっている中小企業・中堅企業が思い切った事業転換を図る場合、フランチャイズ加盟によって事業再構築補助金をもらえる可能性があります。

採択が認められたものとして、「アルコールを提供する飲食業を展開してきたが、コロナ禍を契機にテイクアウト専門のからあげ店フランチャイズに加盟して事業再構築を図った事例」があります。

ただし、採択が認められないケースもあることも事実です。例えば現在行っている事業がラーメン店で、新店舗を出店する目的で有名ラーメン店のフランチャイズに加盟するといった事例です。この場合は、事業再構築指針の「市場の新規性要件」にあてはまらないため、事業再構築とは見なされない可能性があります。

事業再構築補助金の利用要件とは

事業再構築補助金を利用するための要件は、以下の4つです。

事業再構築要件

事業再構築指針が示している事業再構築の定義に該当する事業であること。

売上高等減少要件

2020年4月以降の連続する6ヵ月のうち、任意の3ヵ月の合計売上高が、コロナ禍以前(2019年または2020年1月~3月)の同3ヵ月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること。

認定支援機関要件

国の認定を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関など)とともに事業計画を策定すること。

付加価値額要件

補助事業終了後、一定以上の付加価値が増加する見込みの事業計画であること。

事業再構築補助金を活用できるおすすめフランチャイズ3選

事業再構築補助金を活用して事業拡大ができるフランチャイズの例を3つ紹介します。これから開業を考えている人はぜひ参考にしてください。

1.飲食業

今回のコロナ禍で、もっとも影響を受けた業種の一つが飲食業です。この数年で多くの飲食店が廃業に追い込まれ、閉店を余儀なくされました。アフターコロナの時代になっても、コロナ禍以前まで客足が戻るか不透明な状況です。

事業再構築補助金を活用して新たなチャレンジをするケースは多く、実際に採択件数も多く記録されました。事例としては、飲食提供の形を店舗展開からデリバリー・テイクアウト方式に転換させる「業態転換」があります。

デリバリー・テイクアウトの飲食フランチャイズは、コロナ禍をきっかけに著しい成長をとげた分野といえます。

2.小売業

店頭販売型の小売業もコロナ禍によって打撃を受けた業種です。緊急事態宣言・まん延防止等重点措置によって外出自粛が求められることによって、売り上げが減少しました。

一方で、インターネットで商品・サービスを購入するEC通販が活発化し、Amazonや楽天市場など大手ECサイトは軒並み過去最高の売り上げを記録しています。

中小企業は、経営・販売ノウハウを得ているフランチャイズへ加盟することで、業態転換・事業転換を図りつつ業績回復を見込むことができるのです。買取・リサイクル・古着、中古車販売・輸出、アパレル・雑貨などのフランチャイズに注目が集まっています。

3.サービス業

サービス業といっても多種多様なのですが、特にコロナ禍の影響を強く受けたのが高齢者向けのデイサービスです。高齢者が新型コロナウイルスに感染すると重症化リスクが高まるため、一時期はデイサービス封鎖が相次ぎました。

このためフランチャイズを活用し、デイサービスから病院向けの食事提供へと業態転換した事業所もあります。

また、「三密」を避けるため実施できなくなったヨガ教室が、オンライン形式での教室運営を開始した事例もあります。

サービス業のフランチャイズで独立・開業!ポイントはロイヤリティー

事業再構築補助金を活用してフランチャイズへ加盟するメリットとは

事業再構築補助金を活用しながら、フランチャイズへ加盟するメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

事業を一から自分で考えなくてすむ

事業再構築補助金を活用して業態や業種を転換するとなると、未経験の事態に出くわすことがあります。そういったときでも、フランチャイズに加盟すれば経営にまつわるさまざまなことを全てサポートしてもらえるのは大きなメリットです。

一から自分で考えなくてすむため、新しい事業の経営に専念できます。

既存のブランドイメージを利用できる

業態や業種を転換すると、その分野においては新人となります。これまでの顧客が新規事業にリピートしてくれるとは限りませんので、集客に苦労することが予想されます。

しかしフランチャイズであれば、すでに確立されたブランドイメージがあるので、そこに加盟することでその恩恵に預かることができるのです。開業するエリアにそのブランドのファンがいれば、集客に困るリスクを低減できるでしょう。

事業の見通しを立てやすい

新しい分野での事業活動は多くの不安材料がありますが、フランチャイズに加盟すれば、すでに成功している店舗・会社の収益モデルを参考にすることができます。

「こうすれば成功しやすい」「ここは失敗しやすい」といったノウハウも蓄積されていますので、自身の事業の見通しも立てやすくなるでしょう。

事業計画の策定をゼロから始めるよりもずっと楽になり、成功する可能性も高まることとなります。

仕入れが安定しやすい

業態・業種を転換すると、仕入れの取引先や段取りも変わってきます。これまでの付き合いやノウハウが通用しなくなることも十分ありえます。

フランチャイズに加盟すれば、ゼロから仕入先を探す必要もなく手間がかかりません。また、フランチャイズは商品や備品を本部が一括で仕入れて、各加盟者に流すことがほとんどであるため、スケールメリットを得られ価格を抑えることができます。

フランチャイズに加盟するデメリットも確認

一方、フランチャイズに加盟すると感じられるデメリットも存在します。

運営の自由度が低い

フランチャイズ本部の手厚い経営サポートを受けられるメリットは、裏を返すと本部が決めた運営ルールやマニュアルに従うことを余儀なくされるということにもなります。経営の自由度は低くなることは覚悟する必要があります。

フランチャイズ本部にとっては、自らのブランドイメージ毀損を防止するために、ルール・マニュアルは最大限に尊重されなければならないものです。これまで独立独歩で事業を営んできた経営者には、違和感を感じる場面も出てくるかもしれません。

全て自分の力で解決し、独自性のあるビジネス展開をしたい人には、フランチャイズは不向きといえるでしょう。

加盟料やロイヤリティなどの支払いが必要

フランチャイズに加盟するには、加盟時に加盟料・保証金・研修費などを支払い、月々もロイヤリティを支払う必要があります。これらはフランチャイズ本部が用意するブランド・商標の使用権、経営ノウハウの開示、経営サポートの提供などへの対価で、加盟者に義務づけられるものです。

ロイヤリティの支払い方法は「定率式」と「定額式」の2種類がありますが、経営状況によっては支払いが厳しくなることもありえます。資金計画を入念に立てておく必要もあるでしょう。

事業再構築補助金を受給する手順とは

事業再構築補助金を受給する手順とは

事業再構築補助金を受給するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。申請準備から補助金支払いまでの大まかな流れは以下の通りです。

手順①事業計画を策定する

事業再構築補助金は「認定支援機関」と呼ばれる国の認定を受けた支援機関とともに事業計画を策定することが義務づけられています。認定支援機関は、税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関などです。

まずは申請要件に該当するかどうかを検討します。事業再構築の定義に該当する事業であるかどうか、売上高等減少要件に合致しているか、付加価値が増加する見込みがあるか、などです。

事業計画書の策定も入念に行う必要があります。大胆な事業の再構築を狙ったものになっているか、事業計画を実行するのに必要な人員が整っているか、根拠が明確に示された内容になっているかなどを確認しましょう。

手順②電子申請する

事業再構築補助金の申請は全て電子申請で行います。

電子申請には「GビズID プライムアカウント」の取得が必須です。これは事業採択後の補助金交付申請時にも利用するので、大切に保管しておきましょう。アカウントの取得は、専用ホームページ「GビズID」にアクセスして行います。

次に、事業計画書をはじめ必要書類を揃えます。必要書類は、ファイル形式やファイル名などが事細かに定められていますので、認定支援機関に確認を求めましょう。

事業再構築補助金受付が開始されたら、決められた期間内にログイン画面からログインし、申請マニュアルに従って必要事項を入力、必要書類を添付して送信します。

手順③審査結果を待つ

申請したら、採択の結果発表を待ちます。結果発表は、申請締切日から2~3ヵ月後です。

申請者全員に対して、採択・不採択の結果が事務局からメールにて通知されます。採択となった案件については、受付番号、商号・名称、事業計画名、認定支援機関名、認定支援機関担当者名、認定支援機関以外の外部支援者名が公表されることになります。

採択されたら、次は補助金交付申請です。その後交付決定通知書を受領し、補助事業の開始となります。

事業再構築補助金でフランチャイズに加盟する際の注意点

事業再構築補助金は申請すれば通るものではありません。採択率は30~40%とされています。

事業再構築補助金ありきでフランチャイズへ加盟を考えていると、不採択となったときに事業が一歩も進まない状況に陥ります。事業再構築補助金が不採択になったときでも事業を進めることができるように、他の資金調達方法も用意しておく必要があるでしょう。

また、事業再構築補助金の補助対象経費にフランチャイズへの加盟料は含まれていません。その点もあわせて注意しておきましょう。

フランチャイズの事業再構築補助金についてのまとめ

フランチャイズの事業再構築補助金についてのまとめ

事業再構築補助金を得ながら、フランチャイズに加盟して業態転換・業種転換を図ることは十分可能です。しかし事業再構築補助金の採択率が30~40%と狹き門であることも事実です。

事業再構築補助金を獲得するには、十分に練られた事業計画書が必要となります。フランチャイズ加盟=事業の再構築とはならないことをふまえ、しっかりとした事業再構築のプランが求められるのです。

公開日:2022年09月26日

よくある質問

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