雇われ社長とは?

最終更新日:2020年05月15日

「社長」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか。
ドラマだと、広めの社長室にふかふかの椅子・そして広いデスクに座って仕事をしているシーンをよく目にします。
仕事の内容としては、会社の最高責任者であり、リーダーというイメージではないでしょうか。

しかし、その社長と呼ばれる立場には二種類あります。それは、雇われ社長とオーナー社長。
なかなかその区別がつかない方も、多いのではないでしょうか。
そこで今回は、雇われ社長についてオーナー社長の違いから、詳しく解説していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。

目次

雇われ社長とオーナー社長の違いは?

雇われ社長のメリット

雇われ社長のデメリット

雇われ社長になるときの注意点

まとめ

雇われ社長とオーナー社長の違いは?

そもそも、オーナーというのは会社の所有権を所持している人のことです。
一般的には創業者が会社の所有権を持ち、オーナーになっているケースが多くなっています。

また、オーナーはあくまでもオーナーであり、実務についている必要はなく、会社内で最も強い権利と義務を持っていることが特徴です。
対して、雇われ社長は「会社経営上での」トップとしての存在。
つまり、そこには企業を所有しているかどうかは関係ないのです。

例を挙げるなら、ユニクロやソフトバンクなどの会社は、創業者がそのまま社長を務めています。
雇われ社長の場合は、その背景に中小企業の後継者不足があることも。オーナー社長が事業を引き継ぐにあたって、従業員を後継者にしたり、外部から社長を雇い入れたりといったケースがあります。

また、日本で経営が安定し海外進出をする際に会社を設立する場合においても、現地で雇われ社長が指揮をとることもあります。
もう少しわかりやすい例で言うと、飲食店の店長とそのオーナーが違うようなものです。この場合にも雇われ店長とオーナー店長が存在し、その役割や仕事内容は異なる部分があります。
雇われ店長とオーナー店長については、こちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ合わせて確認してみてください。

>「雇われ店長とオーナー店長の違い」

雇われ社長のメリット

ではここからはそんな雇われ社長のメリットについて解説していきます。
雇われ社長の代表的なメリットは以下のようなものがあります

・年収が上がる

・経費を使える

・かけがえのない経験を得られる

ひとつずつ解説していきます。

年収が上がる

雇われ社長になると、今までよりも大きく年収が上がります。
雇われ社長の場合は、会社の業績に応じて年収が数倍になることも珍しくないのです。

もちろん、会社の規模や利益率によって変わりますが、中小企業の雇われ社長の場合は平均年収が4,000万円にもなるようです。
また、従業員数が1,000人を超えてくるような場合は5,000万円、反対に従業員が300人未満のような場合でも3,000万円程度となっています。
これは年収として、なかなか得られるようなものではありません。

経費を使える

雇われ社長は、ある程度自由に経費を使えるようになります。
もちろん、1社員として雇用されていた時も、出張費や備品代などは経費として計上していたかもしれません。
しかし、雇われ社長にあると経費の幅がグッと広がります。

たとえば、雇われ社長になるまでは自分で支払っていた家賃の一部や全額を社宅として経費に計上することも可能。
さらに、役員同士の昼食会であれば会議費や接待費として計上することもできます。
このように、ルールで認められている経費の範囲が非常に広くなるのです。
といっても、なんでもかんでも経費にできるというわけではないので、しっかり確認して正しい経費の計上をする必要はあります。

かけがえのない経験を得られる

社長ともなると、今まで以上に外部とのコミュニケーションが必要になり、そこで他の経営者とも会話をする機会が増えます。
そこで得られるノウハウや考え方は、かけがえのないものになるでしょう。

また、社長とは会社経営のトップ。会社を守っていくためには、様々な判断や行動が必要になってきます。
1社員では得られないようなその経験は、自分を成長させてくれるものです。

雇われ社長のデメリット

雇われ社長として会社を率いることはかけがえのない経験であり、大きなメリットがあります。

しかしその一方で、雇われ社長ならではのデメリットもあるのです。
雇われ社長のデメリットとしては、以下のようなものがあります。

・労働基準法の適用がない
・経営責任や賠償責任がある
・解任されるリスクがある

ひとつずつ解説していきます。

労働基準法の適用がない

雇われ社長は従業員とは立場が違い、労働基準法上での管理職となります。
管理職になると、働き方の自由が認められるようになります。ただし、その代わり残業や休日出勤をしても今までのように報酬を得ることができません。

従業員として働いている間は規定の時間を超過した場合は報酬を請求でき、休みも取る義務がありました。
しかし、それがなくなってしまうため、自分で上手に経営をコントロールできないと365日フルに働いてしまうといったリスクがあります。
そうなると、心と身体への負担は大きくなってしまうでしょう。
このように、良くも悪くも働き方に規定がなくなるので、今まで以上に仕事のバランス感覚は問われることになります。

経営責任や賠償責任がある

雇われ社長には経営責任や賠償責任があります。
経営責任のなかでも一番大きなものは売上です。
売上への責任があるということは、それに伴う人件費や借入金への責任もあるということ。売上が思うように上がっていかなかった場合は、苦渋の決断をしなくてはいけないこともあります。

たとえば、正社員や非正規雇用を対象とするリストラによる人件費の削減・未払金があれば個人の財産を使って対応するといったことがあるのです。

その他にも、雇われ社長には賠償責任もあります。
会社としてなにか大きく至らなかった点があった場合、取引先や従業員からの訴訟は対応しなくてはいけません。

さらにそれに伴って、株主やオーナーに対する説明責任も生じるでしょう。
加えて、万が一会社が倒産することになり、借金があった場合は連帯保証人として責任を取ることもあり得るのです。

解任されるリスクがある

雇われ社長には解任されるリスクがあります。
雇われ社長の場合は株主ではないので、株主総会で解任されてしまう可能性があるのです。

もちろん、大きな事故がなければ任期途中の解任はほとんどの場合ありません。
しかし、任期切れの際についてはオーナーの評価に左右されます。
つまり、会社が順調でオーナーからの評価が高ければ再任になりますし、その反対であれば解任されてしまうというわけです。
これは、雇われ社長にとっての最大のデメリットなのかもしれません。

雇われ社長になるときの注意点

雇われ社長になるときの注意点は、大きく分けて3つあります

・株をできるだけ多く保有する
・事業方針の決定参加ができるか
・資金の流れが確認できるか

ひとつずつ解説していきます。

株をできるだけ多く保有する

まずは、株をできるだけ所有しておくということです。理想としては半分を超える51%以上の保有ですが、そこまで行くと出資が難しくなってしまうもの。
ここはやはり30%程度は保有しておくといいでしょう。株の保有によってある程度リスクに備えることにもなります。

事業方針の決定参加ができるか

事業方針の決定参加ができるかどうかも重要です。
事業方針を決定し、それを会社で表現していくのは社長の仕事。

とはいえ、雇われ社長である以上、事業の方針を完全に決定することはなかなか難しいかもしれません。
しかし、オーナーや会長の一言で事業の方針を決定されるのではなく、雇われ社長自身の意見を取り入れてもらう必要もあるのです。

資金の流れが確認できるか

経営をしていく上で、資金の流れは非常に重要です。もちろん、日々の売上や経費などの流れは分かっておく必要があります。
同時に、見えないところでのオーナーや会長による無駄遣いや不透明な経費がないように確認もしなくてはいけません。
そこも含めて、日頃から資金の流れを確認できるようにしておく体制づくりをしておくべきなのです。

まとめ

このように、雇われ社長には大きなメリットやデメリットがあります。
このメリットとデメリットを検討した結果、雇われ社長ではなくオーナー社長として活躍している方も最近では多くなっています。

ただ、いきなりオーナー社長として仕事をしていくのもなかなか困難なものです。
この記事を参考に、雇われ社長として活躍していくかどうかを検討してみてください。

公開日:2019年11月27日

関連するタグ