セミリタイアにおすすめの資産運用5選!今から行うべき準備やリスクヘッジ
公開日:2022年10月26日

資産を貯めて定年になる前に早期退職し、何らかの形で少額の収入を得ながら生活する「セミリタイア」。どのくらいの資産があれば実現できるのか、気になりますよね。
本記事では、セミリタイアのために必要な資産の目安を解説します。あといくら貯めればセミリタイアを実現できるのか計算する際、参考にしてみてください。
セミリタイアとは
セミリタイアとは、資産を貯めて定年になる前に早期退職し、何らかの形で少額の収入を得ながら生活することです。就業時間が1日のほとんどを占める会社員時代とは異なり、セミリタイアすることで自由な時間を確保しやすくなります。趣味に充てる時間や家族と過ごす時間が増える上に、仕事でのストレスからも解放されるので、人生の幸福度を高められるでしょう。
また、セミリタイア後の主な収入源は、スキルを活かしてセミナーを開いたり、資産を元手に資産運用にチャレンジしたりさまさまです。日雇い派遣やアルバイトといった形で収入を得る方法もあります。
アーリーリタイアとの違いは?
セミリタイアと似たものに「アーリーリタイア」があります。アーリーリタイアとは、早期退職後に働くことをせずに生活することです。収入が0になるアーリーリタイアは、セミリタイアよりも実現のハードルは高くなります。
セミリタイアのために必要な資産の目安
セミリタイアを実現するためには、どのくらいの資産が必要になるのでしょうか?今回は、1人暮らしの人が準備しておくべき資産の目安を紹介します。
なお、1ヵ月あたりの支出は、政府統計ポータルサイト(e-Stat)のデータ「2020年の単身勤労者世帯の平均消費支出額」の168,965円を参考に、約17万円として計算します。寿命は厚生労働省の簡易生命表をもとに85歳としています。
30代でセミリタイアする場合
30歳でセミリタイアした場合、生涯に必要な資産は(17万円×12ヵ月)×(85歳-30歳)=1億1220万円です。セミリタイア後に得られる月収を踏まえると、必要な資産は以下のとおりです。
30歳でセミリタイアした後の月収 | 30歳以降で必要な資産の目安 |
---|---|
5万円 | 7920万円 |
10万円 | 4620万円 |
15万円 | 1320万円 |
35歳でセミリタイアした場合、生涯に必要な資産は(17万円×12ヵ月)×(85歳-35歳)=1億200万円です。セミリタイア後に得られる月収を踏まえると、必要な資産は以下のとおりです。
セミリタイア後の月収 | 必要な資産の目安 |
---|---|
5万円 | 7200万円 |
10万円 | 4200万円 |
15万円 | 1200万円 |
30代は結婚や出産などライフステージが大きく変わる年代でもあります。家族が増えた場合は、より多くの資産が必要になることを覚えておきましょう。
40代でセミリタイアする場合
40歳でセミリタイアした場合、生涯に必要な資産は(17万円×12ヵ月)×(85歳-40歳)=9180万円です。セミリタイア後に得られる月収を踏まえると、必要な資産は以下のとおりです。
セミリタイア後の月収 | 必要な資産の目安 |
---|---|
5万円 | 6480万円 |
10万円 | 3780万円 |
15万円 | 1080万円 |
45歳でセミリタイアした場合、生涯に必要な資産は(17万円×12ヵ月)×(85歳-45歳)=8160万円です。セミリタイア後に得られる月収を踏まえると、必要な資産は以下のとおりです。
セミリタイア後の月収 | 必要な資産の目安 |
---|---|
5万円 | 5760万円 |
10万円 | 3360万円 |
15万円 | 960万円 |
40代は会社でも役職に就き始める人が多くなる年代です。経験やスキルを活かし、セミリタイア後の収入源につなげることも可能でしょう。
ただし、子供がいる場合は、教育資金にお金がかかりやすいので、支出が増えやすい年代でもあります。
50代でセミリタイアする場合
50歳でセミリタイアした場合、生涯に必要な資産は(17万円×12ヵ月)×(85歳-50歳)=7140万円です。セミリタイア後に得られる月収を踏まえると、必要な資産は以下のとおりです。
セミリタイア後の月収 | 必要な資産の目安 |
---|---|
5万円 | 5040万円 |
10万円 | 2940万円 |
15万円 | 840万円 |
55歳でセミリタイアした場合、生涯に必要な資産は(17万円×12ヵ月)×(85歳-55歳)=6120万円です。セミリタイア後に得られる月収を踏まえると、必要な資産は以下のとおりです。
セミリタイア後の月収 | 必要な資産の目安 |
---|---|
5万円 | 4320万円 |
10万円 | 2520万円 |
15万円 | 720万円 |
50代になると、子育ての卒業をきっかけに、金銭的に余裕を持てる人が多くなります。セミリタイアしやすく現実的な年齢といえるでしょう。
セミリタイアにおすすめの資産運用方法5選
働いて収入を得るのではなく、資産運用で収入を得るのも一つの方法です。今回は、セミリタイアにおすすめの以下5つの資産運用方法を紹介します。
- 株式投資
- 不動産投資
- FX
- つみたてNISA
- iDeCo
それぞれの特徴やメリットを解説します。自分に合う資産運用はないか、チェックしてみてください。
1.株式投資
株式投資とは、企業が発行する株を売買する投資方法です。「値上がり益」や「配当金」、「株主優待」などを得ることで、利益へとつなげることができます。
値上がり益は株を売るときにのみ発生する利益です。例えば、10万円で買った株が15万円で売り買いされていれば、5万円の利益を得られます。配当金は企業の業績が向上し、利益の一部が還元されるもの。つまり、業績が良くなるほど配当金も増えます。
株主優待は、自社製品が贈られたりサービスを受けられたりする特典のようなものです。株主優待の内容で購入する株を決める投資家は少なくありません。ただし、企業によっては株主優待を取り入れていない場合もあるので、事前確認は必要です。
2.不動産投資
不動産投資とは、アパートやワンルームマンションなどの現物物件を購入し、他人に貸出しすることで家賃収入を得る投資方法です。物件を購入するために初期費用はかかりますが、年単位で契約することがほとんどなので、安定した収入源が見込めます。
管理の面では不動産管理会社に委託することも可能です。入居者募集や手続き、集金といった細かな作業をせずに済むので、初心者も参入しやすいところが特徴の一つです。
3.FX
FX(外国為替証拠金取引)とは、外貨を売買してその差益を得る投資方法です。例えば、1ドルを100円で買って、1ドルが120円になったタイミングで売れば20円の為替差益が生まれます。この為替差益が利益になるというわけです。
また、FXは「レバレッジ」という仕組みがあることで、少額な資金で大きな金額の取引ができます。日本では最大25倍までレバレッジをかけられるので、1ドル100円のときに1,000ドルを買おうとすると10万円の資金が必要ですが、レバレッジをかけることで4,000円(10万円÷25)から取引できるのです。
取引は平日24時間行われているので、自由な時間を持ちやすいセミリタイア後にぴったりな投資方法といえます。
4.つみたてNISA
つみたてNISAとは、契約時に決めておいた金融商品(投資信託または上場株式投資信託(ETF))を毎月一定金額で自動買い付けする投資方法です。少しずつ積み立てて、長く運用するのが特徴です。積立型なので「買いのタイミング」を自分で判断する必要もなく、初心者におすすめといわれています。
また、つみたてNISAのメリットはほかにもあります。通常、投資で得た利益には税金がかかるので、実際に手元に入る金額は投資で得た利益よりも少なくなってしまいます。しかし、つみたてNISAなら最長20年間は非課税なので、税金がかかることなく利益を得られるのです。投資上限額は年間40万円なので、毎月33,000円ほどまで積み立てできます。
5.iDeCo
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは「もう一つの年金」とも呼ばれている資産運用で、自分で設定した掛け金額を積み立てて運用し、60歳以降に利益を受け取るものです。公的年金にプラスして受け取れるので、老後生活を年金だけで賄えるか心配な人におすすめです。なお、運用商品は定期預金や保険商品、投資信託のなかから選べます。
また、大きな節税対策になるところもメリットです。iDeCoの掛け金額は所得控除の対象になるので、当年分の所得税と翌年分の住民税を軽減することができます。ほかにも、運用で得られた利益は非課税、60歳以降に受け取るときには税制優遇が受けられるなど、さまざまなメリットが得られます。
セミリタイアで失敗しないためには
セミリタイアで失敗しないためには、以下5つのポイントが大切です。
- セミリタイア後の生活をよく想定する
- 平均寿命までの必要資産を計算する
- セミリタイア後の収入源も確保する
- 節約もしっかり行う
- マイホームはセミリタイア前に購入する
それぞれ解説するので、失敗を防ぎたい人は参考にしてみてください。
セミリタイア後の生活をよく想定する
セミリタイア後の生活がしっかりイメージできていないと、準備不足に陥ります。生活資金が足りなくなれば、フルタイムで働くことになる恐れも。セミリタイアしたこと自体、後悔してしまうでしょう。
まずは、「セミリタイアをして何がしたいのか?」「どのように過ごしたいのか?」などを具体的にイメージしてみてください。そうすることで、何を準備するべきなのかが分かり、準備不足を解消できます。
平均寿命までの必要資産を計算する
セミリタイアに必要な資産を計算する際、何年分の生活費を準備できていれば安心なのか迷いますよね。病気やケガをして若いうちに亡くなる可能性もあれば、90歳100歳と長く生き続ける可能性もあります。何歳まで生きられるかは予測できないので、必要な資産を計算する際は平均寿命を参考にしましょう。
厚生労働省の「令和3年簡易生命表の概況|厚生労働省」によると、平均寿命はそれぞれ男性が81.47歳、女性が87.57歳とされています。これを基に、早期退職する年齢を差し引いて、必要な資産を計算してみてください。
セミリタイア後の収入源も確保する
セミリタイア後は会社員時代とは異なり、安定した収入を得られなくなります。そのため、いくつかの収入源を確保しておくことが大切です。
例えば、資産運用にしてもどれか一つではなく、複数を掛け持ちして行うのがおすすめです。万が一、資産運用が上手くいかなくても、もう一つの資産運用で収益を得られていれば、生活へのダメージを軽減できます。アルバイトや派遣などで短時間勤務をしつつ、資産運用を並行するのもよいでしょう。
節約もしっかり行う
セミリタイアでの生活は資産は減っていくばかりなので、そのなかでやりくりをする必要があります。例えば、携帯電話を格安スマホに変えたり、保険料を見直してみたりするなど、節約できる部分を徹底して支出を抑えるようにしましょう。
私生活のなかでは、会社員時代に外食する機会が多かった人でも、セミリタイア後はなるべく自炊を心がけることが大切です。時間に余裕がある分、少し凝ったものを作ると外食気分を味わえるでしょう。物を購入するときも、「本当に必要なのか?」自問自答してみることで、衝動買いを抑えられます。
マイホームはセミリタイア前に購入する
マイホームを購入する場合は、セミリタイアの前に済ませておきましょう。セミリタイア後は正社員という肩書がなくなり社会的信用が低くなるので、住宅ローンの審査が通りにくくなります。たとえ通ったとしても、希望金額を借入できず、思い描いていたマイホームが叶わない場合もあります。
また、毎月の住宅ローン返済が大きな負担となれば、生活は苦しくなるでしょう。セミリタイアをする際は、マイホームを購入して生活基盤が整ってからのタイミングがおすすめです。
セミリタイアに向けて計画的に資産形成をしよう
セミリタイアを成功させるためには、計画的な資産形成が重要です。安定した収入のないセミリタイアは、あらかじめ資産を準備しておくことも大切ですが、どのように資産を形成するかもまた暮らしを大きく変えます。
今回紹介した資産運用は、いずれも就労せずに資産形成ができるので、自分の時間を削らずに済みます。上手く取り入れながら、セミリタイア後の暮らしを充実させましょう。