ベンチャーで起業したい!開業資金の調達方法や資金目安とは

最終更新日:2022年05月26日

ベンチャーで起業する際の開業資金を調達する方法は複数あります。事業内容によっておすすめの調達方法や資金額の相場などが異なるので、適切な資金調達方法を選んで準備を進めることが大切です。

この記事は、ベンチャーを起業するのに必要な開業資金の目安や調達方法について解説します。ベンチャーで起業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

ベンチャーを起業するときの開業資金目安

ベンチャーを起業するときの開業資金調達の方法7選

ベンチャーと中小企業の開業資金の違い

少ない資金で開業できるフランチャイズ

ベンチャーならではの開業資金の調達方法をおさえよう

ベンチャーを起業するときの開業資金目安

日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度新規開業実態調査」によると、ベンチャー起業に必要な開業資金の平均は1,000万円前後です。開業費用の割合を見ると、500万円未満のケースが最も多く、500万〜1,000万円未満が続いています。

業種やビジネスモデルなどによって必要な資金額は大きく変わりますが、法人登記費用は決まっています。株式会社の登記費用は、法定費用と会社印鑑などの費用の合計で約25万円です。手続きを専門家に依頼した場合、手数料として5万~9万円前後が別途発生し、合計で30万〜34万円ほどかかります。

法人設立の資本金は1円から可能です。事業運営資金は、最低でも3ヵ月以上の準備が無難とされています。上記費用を合算することで、開業資金として必要な金額が明確化できます。

​​業種別ベンチャーの開業資金の目安

業種別に、ベンチャー起業における開業資金の目安相場を見ていきましょう。近年注目度の高いIT業界では、事業内容によってはパソコン1つで起業できるため、初期費用を抑えられます。

最低限必要な資金として、パソコンや周辺機器、宣伝広告費用の合計約30万円でも起業に十分です。オフィスや駐車場などを契約する場合は約150万円以上、AI関連事業などの専門ソフトや作業環境の確保が必要な場合は1,000万円前後に上る可能性もあります。

飲食業の開業資金は、店舗物件の立地や広さ、必要な設備機器などの条件で金額は変わります。コーヒーショップのように坪数の少ない店舗では約370万円から、うどん店では約1,200万円以上とある程度まとまった金額が必要です。

人材派遣業は、一般的に登録スタッフが訪問できるオフィスを開設します。駅近などアクセスの良い立地だと賃料は高額なため、1,000万円前後は見ておく必要があります。

ベンチャーを起業するときの開業資金調達の方法7選

ベンチャーを起業するときの開業資金調達の方法7選

ここからは、ベンチャー起業での開業資金の調達方法を紹介します。ベンチャー起業に必要な資金額は、業界や業種のほか、事業の規模や成長度合いによって違います。

銀行のプロパー融資よりも利用しやすいベンチャー向けの資金調達方法も存在します。それぞれのメリットや注意点を押さえた上で、最適な方法を選ぶことが資金調達の成功率を高めるコツといえます。

​​1.ベンチャーキャピタル(VC)

ベンチャーキャピタル(VC)は、ベンチャー起業の代表的な資金調達方法の一つです。ベンチャーキャピタルは、上場など将来的な成長が期待できるベンチャーに投資して、上場後の株式売却や譲渡などで利益を得ます。

出資の価値があると判断された場合、数億円規模の資金提供も考えられます。加えて、ベンチャーの知見が豊富なベンチャーキャピタルから、ノウハウや事業へのアドバイスが受けられる点がメリットです。資金調達に至らなくても、別の資金調達先のあっせんなど企業成長へのサポートが得られる可能性もあります。

ベンチャーに馴染みがある方法ですが、上場や高い事業成長率が見込める事業のみが出資を獲得できます。利益の期待できるビジネスモデルや事業計画をしっかり作り込まなくてはなりません。
また、出資比率によっては経営に過度な干渉が入る、経営権を握られるといったリスクも理解しておきたい点でしょう。

​​2.個人・エンジェル投資家

個人投資家やエンジェル投資家からの資金提供も、ベンチャーにとって有用です。エンジェル投資家とは、創業間もない企業を含め、応援したいと思う起業家やビジネスに自らの資金を提供する個人投資家を指します。実績や資金力がなくても、事業に対する想いやアイデア次第では高額な資金を提供する天使のような存在とされます。

個人やエンジェル投資家からの出資は、基本的に返済義務がないため、経済的な負担を心配せず事業に集中できます。また、起業家や経営者出身の個人投資家は豊富な経験や人脈を持っているので、事業成長のための有益なアドバイスや紹介を受けられるでしょう。

一方で、ベンチャーキャピタル同様に、出資比率が大きいと経営に影響が出る可能性があります。また、投資家と相性が悪いと経営そのものへのリスクも考えられます。ベンチャーとエンジェル投資家のマッチングサイトが増えている昨今、ダークエンジェルと呼ばれる悪質なケースもあるため注意が必要です。

​​3.ビジネスコンテスト

ビジネスコンテストは、ビジネスプランの内容を競うイベントで、上位入賞者には事業資金の提供や起業支援が行われます。一般企業からNPOまで幅広い組織が主催しており、参加条件や受賞特典はコンテストごとに異なります。

ベンチャーやスタートアップ企業向けビジネスコンテストの賞金は30万〜100万円前後が多く、なかには事業内容に応じて数百万円を提供する案件も見られます。ほかの資金調達方法よりも早く開業資金を確保できる可能性もあります。また、開業資金だけでなく、ビジネスノウハウの提供やスポンサー企業からの支援が受けられる点もメリットです。

ただ、希望する条件に合ったビジネスコンテストがタイミング良く開催されているとは限りません。参加条件を満たしていないと利用できない上、審査員から賛同を得られる魅力的なプレゼンテーションを作成する必要があります。

​​4.クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の人から支援を募集する仕組みです。クラウドファンディングサイトにてプロジェクト形式で資金を募集し、募集期間が終了すると資金が入金されます。

集まった資金に返済期限や利息はなく、自由に使えます。画期的なアイデアや新しいサービスでも、多くの人の賛同があれば目標金額以上の資金を調達できる可能性もあります。広告宣伝効果も期待できる上、マーケットリサーチとしても有用です。

一方で、必ず資金が調達できるとは限らない点はデメリットです。また、購入型プロジェクトの場合、製品や割引など支援者へのリターンが必要です。

​​5.新創業融資(日本政策金融公庫)

財務省管轄の金融機関「日本政策金融公庫」による「新創業融資」は、創業間もない企業や新しく事業を立ち上げる人への融資制度です。融資に担保や保証人はなく、設備資金や事業の運転資金として利用できます。

融資上限額は3,000万円ですが、実際の融資額は平均300万円前後と高く、まとまった資金を得られる可能性があります。融資を受けるためには明瞭な事業計画説明が必要ですが、審査に合格すれば確実に資金を受け取れます。

​​6.制度融資(自治体)

ベンチャーが利用しやすい制度として、各自治体による融資制度も挙げられます。東京都による中小企業融資「創業」や、大阪府による「開業サポート資金・地域支援ネットワーク型」などが一例です。

自治体や制度で融資の詳細は異なりますが、基本的に無担保・無保証で利用できます。申し込みから融資決定まで早ければ約2週間、長くても1ヵ月前後とスピーディな資金調達が可能です。審査通過によって社会的な信用が高まる点も、ベンチャーの大きなメリットです。

融資を受けるためには事業計画書を作り込む必要があります。また、制度によっては創業からのタイミングなど条件があるので、確認してから申請しましょう。

​​7.補助金・助成金

公的機関による補助金や助成金は、開業資金調達の代表的な方法です。創業前でも申請でき、迅速な資金調達が期待できます。また、政府や自治体による融資のため、原則返済が不要な点もメリットです。

ただし、補助金には審査があり、通過した場合のみ融資を受けられます。申請期間が短いケースが多いため、申請準備の手間と時間を見越して準備しましょう。また、補助金の受け取りまでタイムラグがある点にも注意が必要です。

ベンチャーと中小企業の開業資金の違い

ベンチャーと中小企業の開業資金の違い

ベンチャーと中小企業は、規模が小さい点は共通していますが、事業内容や経営形態が大きく異なります。また、開業資金の調達方法や出資額の制限などにも違いがあります。

ベンチャーは、資金調達額に制限はなく、成長が期待できる事業だと賛同を得られれば高額融資も期待できます。一方、中小企業は、中小企業基本法によって決められた資本金の額や従業員の条件を満たしている企業です。資本金額または出資の総額の上限が決まっていますが、既存のビジネスモデルによる安定性が高いため、資金調達に必要な信用を得られやすいでしょう。

少ない資金で開業できるフランチャイズ

より少ない開業資金でビジネスを展開する方法として、フランチャイズもあります。フランチャイズは既存事業を活かして開業でき、確立されたビジネスノウハウを使えるため、安定的な経営が見込めます。本部のブランドバリューにより、融資を受けられるチャンスも多いでしょう。

開業資金約25万円のネットショップ経営や、50万円前後からスタートできる高齢者宅配サービスなど、少ない自己資金で参入できる事業も多数あります。初期費用を抑えてビジネスを始めたい方は、フランチャイズも検討してみましょう。

ネットショップ経営

ネットショップ経営は、手軽に開業できるフランチャイズ事業の一つです。ネットショップ運営「UEC」では、初心者でも参入しやすい仕組みを構築しています。海外からの買い付けや発送といった業務は本部が代行するため、英語がわからなくても問題なく開業できます。

開業資金の目安が約25万円と安い上、1人でも対応できるので人件費を省けます。また、海外拠点や配送センターを完備しており、在宅副業や無在庫販売でリスクを避けたい場合にもおすすめです。

フランチャイズ例 ネット販売ビジネス「UEC」

高齢者宅配サービス

高齢者の自宅へ食事や日用品などを届けるサービスです。電話やオンラインで注文するだけで栄養バランスのとれた食事が受け取れる配食サービスなどがあります。一人暮らしや家族と離れて暮らす高齢者が増え、高齢化社会がさらに進む中、シニア向けのビジネスは高いニーズがあり、参入しやすい傾向です。

調理経験なしで開業できる案件も多く、地域貢献にもつながります。目安の開業資金は58万円前後で、1ヵ月あたり100万円以上の売上を狙える可能性もあります。アルバイトやパートの雇用も、事業運営の安定化に有用です。

フランチャイズ例 高齢者配食サービス 「ライフデリ」

ベンチャーならではの開業資金の調達方法をおさえよう

ベンチャーは、革新的なアイデアやサービスを扱うため、資金調達を成功させるためには工夫が必要です。ベンチャーキャピタルや個人投資家などベンチャーに馴染みのある出資から、国や自治体の創業融資まで多彩な資金調達方法があります。それぞれの特徴を把握した上で、適切な方法を選ぶことが融資成功の秘決といえます。

ベンチャー起業時の開業資金をスムーズに調達して、先進的なビジネスモデルを実現しましょう。

公開日:2022年05月30日

よくある質問

Q ベンチャーとスタートアップはどう違いますか? 回答を見る
Q ベンチャー起業の開業資金調達例にはどんなものがありますか? 回答を見る