脱サラ前に準備すべき項目8選!優先順位をわけて準備内容を紹介
最終更新日:2024年09月20日

脱サラをしたいけれど「何を準備すればいいかの分からない」「自営業で安定した経営はできるのか」と悩む人は多いのではないでしょうか。
準備が不十分だと資金がショートしたり、体調不良になって無収入になったりと、経営そのものが難しくなります。
今回は、脱サラしてスムーズに経営を軌道に乗せる方法が知りたい人に向け、1.絶対にやっておくべき準備、2.できればやっておくべきことの2つに分け、優先順位つけてご紹介します。
事前に脱サラに必要な準備をしっかりしておき、慌ててトラブルを対処すると言う事態に陥らないように計画を練りましょう。
目次
脱サラ前の準備 1.稼げる力を身に付ける
脱サラをして自営業を始める上で重要になるのが、稼ぐスキルです。専門分野や営業など「自分の強み」となるスキルを、脱サラ前に身に付けましょう。
また、商品やサービスに関する稼ぐスキル以外にも、経営するスキルが不可欠です。たとえば「何をどう売ればいくらの利益が出るのか」という視点を持ち、自分1人でビジネスを回せなければ、事業は長続きしません。
もし自身の稼ぐ力に不安があれば、副業で個人事業主としてデビューし、稼ぐ力や仕事の取り方などの感覚をつかむことも、有効な方法です。副業で稼ぐ力を養いたい人や、副業の始め方などを知りたい人には、こちらの記事がおすすめです。
人気な副業ランキング付!初心者・上級者それぞれのおすすめ副業とは
脱サラ前の準備 2.税制度の理解
2番目に必要な準備は、税金の知識を深めることです。本章では脱サラ後に支払う税金について、個人事業主と法人の2つに分けご紹介します。
個人事業主が支払う税金は次の5つです。
- 1.所得税
- 2.特別復興所得税
- 3.住民税
- 4.個人事業税
- 5.消費税および地方消費税
法人が支払う税金は主に次の6つです。
- 1.法人税
- 2.法人住民税
- 3.法人事業税
- 4.特別法人事業税
- 5.消費税および地方消費税
- 6.所得税(会社によっては利子や配当金に対して支払う)
国税庁のサイトを見れば詳しい計算方法が記載してあるので、会社を辞める前に確認しておくと良いでしょう。税金の知識を身につけておけば、「自身がどのような税金を支払うか」「翌年度の支払いに向けいくら蓄えておけば良いか」の目安として役立ちます。
脱サラ前の準備 3.加入する社会保険の確認
3つ目の脱サラ準備は、どの社会保険に加入するかの確認です。個人事業主と法人の代表が加入する、一般的な社会保険を説明します。
個人事業主が加入する保険
国民健康保険、国民年金保険法人の代表が加入する保険
健康保険、厚生年金保険
個人事業主・法人の代表は労働者ではないため、雇用保険と労災保険に原則加入ができません。ただし労災は個人事業主・法人の代表であっても、例外的に加入が認められるケースがあります。
なお、サラリーマン時代に雇用保険に2年加入しており、要件を満たしていれば失業保険(求職者給付)や再就職手当などが受給できる可能性もあります。詳細はハローワークのサイトや電話で確認してみてください。
脱サラ前の準備 4.民間の保険加入へ検討
脱サラする前に、あらかじめ民間の保険制度に関する情報を集めておきましょう。民間の保険は必ずしも必要ではありませんが、個人事業主や法人の代表になる場合、ケガや病気で就労不能になっても保険給付による生活保障がないです。
自営業は雇用保険に加入できないので、仕事がなくなっても失業手当はもらえません。また体調不良で入院しても傷病手当金などの生活保障はなく、無収入となります。
もし脱サラ後に健康や収入への不安を感じている人は、就業不能に備えた民間の保険を検討しましょう。近年では、フリーランス向けの保険制度も増えてきたので、公的な社会保険以外にも、新しい情報を常に収集しておくと安心です。
脱サラ前の準備 5.開業手法と開業資金の確認
開業手法の決定と、開業資金を調べることも、脱サラ前に必要な準備の1つです。脱サラをしてどんなビジネスを行うかにより、必要となる資金額は大きく異なります。もし法人化する予定があれば、いくら元手が必要なのか必ず計算しましょう。また合同会社、株式会社によっても、手続きや用意する資金が変わるので要注意です。
なお、個人事業主で店舗を持ち自営業をスタートする予定の人は、土地探しや店舗の内装費なども、事前にシミュレーションしておいてください。貯金の計画を立てたり、融資を検討したり具体的な資金調達も、このタイミングで検討しましょう。
また個人事業主の開業は、最寄りの税務署に開業届を出すだけですが、屋号を決めておくのもおすすめです。屋号は決めなくても問題はありませんが、屋号があると個人名ではなく屋号で銀行口座を開設できたり、事業を覚えてもらいやすかったりとメリットが得られます。
脱サラ前の準備 6.当面の運転資金の貯金
6つ目の脱サラ準備は、会社を辞めた後の生活費や運転資金の確保です。運転資金とは「仕事を続けていくのに必要となる費用」を指します。たとえば商品の仕入れ、人件費、家賃、通信費、広告費などです。
必要となる運転資金は会社の規模や業種など状況によって異なりますが、開業してから6ヵ月先までの運転資金を確保しておくのが望ましいです。
総務省が令和3年12月7日に発表した「家計調査報告(令和3年10月)」によると、2人以上世帯の1ヵ月あたりの消費支出は 28万1,996円でした。生活費281,996円×6ヵ月=169万1,970円となり、おおよそ170万円は生活費として最低限手元に残す必要があります。なお、この調査の数値は平均であり、東京などの都心部ではさらに高額となる可能性が高いです。
次に運転資金ですが、飲食店で店舗を構えている場合、6ヵ月分の運転資金は、600万円~1,000万円が目安とされています。
業種や家賃により異なるものの、少なくとも生活費と運転資金あわせて、1,000万円~1,500万円ほど用意しておくのが良いでしょう。ただし、日本政策金融公庫などの融資もあるため、全てを自己資金で捻出する必要はありません。
脱サラ前の準備 7.健康診断を受ける
7つ目のやっておくべき準備は、脱サラ前の健康診断の受診です。脱サラをすると会社員時代の健康保険証が使えなくなり、国民年金保険に切り替えることとなります。
新しい健康保険証ができあがるまでには時間がかかり、この期間にケガや病気になって病院に行くと、費用の10割分を支払わなくてはならない可能性が出てきます(ただし、国民年金保険に加入した日以降に受診したのであれば、自己負担分は3割なので残り7割分は返金されます)。
また、脱サラ前に健康状態を把握して、治療が必要なものはなるべく早めに治しておきましょう。自営業に限らず、生きていく上で体は一番の資本です。特に脱サラをしたら労災や休業に関する手当を、社会保険から受給することができません。脱サラ後に安定した経営を続けるためにも、自営業を始める前に健康状態のチェックをしておくと安心です。
脱サラ前の準備 8.クレカ作成やローン返済をする
やっておくべき準備の8つ目は、クレジットカードの作成やローンの清算です。自営業は会社員と違い、毎月定額の収入が入るわけではないため、場合によって「自営業は社会的信用が低い」と捉えられることがあります。
社会的信用が低いと、クレジットカードや住宅ローンなどの審査が通りにくくなり、賃貸物件を借りられないといったケースが出てきます。必要に応じてクレジットカードを作ったり、住宅ローンの申し込んだりして、開業後に困ることがないよう先手を打っておきましょう。
また家賃が高いのであれば、脱サラ前に引っ越しておき、支出を減らす工夫をするのもポイントです。
できれば脱サラ前に奨学金、キャッシング、リボ払いといったローンの返済をしておきます。開業してしばらくは無収入の期間が発生する可能性もあり、生活費が削られる心配が減り、心にゆとりが持てます。
余裕があればやっておくべき脱サラ準備
前の章では、優先度の高い開業準備について解説しました。ここからは、優先度こそ高くないものの、やっておくとスムーズに開業できるおすすめの準備を7つ解説します。
独自ドメイン・メールアドレスの取得
1つ目の準備は、独自ドメインの取得手続きです。ドメインとは、インターネットにおける住所のことです。ドメインを取得すれば、ホームページやメールアドレス、ブログに独自ドメインを使用できます。
さらにドメイン取得とあわせて、サーバー(Webサーバー、メールサーバー)も用意しましょう。サーバーはインターネットにおける土地で、サーバーにデータやメールなどを保管する場所のことです。
独自ドメインやメールアドレスを取得する際に、自身の屋号や名前を入れておけば、お客さんに名前を覚えてもらいやすいです。またサーバーを変えるときでもドメインを再発行せずに済むので、移行がスムーズというメリットがあります。
屋号を決めて商標取得
脱サラして自営業を始める場合、屋号はなくても仕事はできます。しかし、屋号があれば「〇さんは▲の代表の人」とイメージを持たれやすいのも事実です。
さらに屋号やサービス名の商標登録をしておけば、ほかの企業と名称が被ってしまったときでも、自身の権利が主張できるので安心です。費用は登録する区分により異なりますが、自分で出願をするのであれば数万円~、弁理士に依頼する場合は10万円を超えることも少なくありません。商標登録を考えている人は、なるべく時間や金銭的に余裕があるときに登録の準備をしておきましょう。
書類のひな形をそろえる
書類のひな形も、開業前に準備しておきたいものの1つです。必要が生じたときに準備をしても問題はないですが、慌てて作成すると抜け漏れなど不備の原因になります。余裕があるときに自作するか、インターネットでひな形をダウンロードし、カスタマイズしておくと開業後の業務がスムーズに進むでしょう。
用意しておくべき書類のひな形は、主に以下の4つです。
- 業務委託契約書
- 請求書
- 発注書
- 見積書
報酬に関する書類は、源泉徴収の有無や消費税込みの金額を記載する必要があるため、Excelやスプレッドシートで自動的に金額が計算できるよう、事前に関数を入力しておきましょう。
名刺や事業ロゴ・HPを制作
また必須ではないものの、名刺やロゴ、HPを作っておくと窓口が広がるため、準備しておくと仕事の受注につながりやすくなります。多少時間はかかりますが、名刺やHPは自作も可能です。
また、クラウドソーシングサービスを利用すれば、名刺やロゴのデザイン、HPの設計なども個人で依頼できるので、検討してみてください。代表的なクラウドソーシングには以下のようなものがあります。
- クラウドワークス
- ココナラ
- ランサーズ
- スキルクラウド
自身が開業してからサービスを売りたいときでも、上記のクラウドソーシングを使って収入を得られるので、念のため事前にアカウント登録をしておくのも良いでしょう。
実績資料をまとめる
脱サラ後に自営業を開始して、ある程度実績ができたら、実績資料(ポートフォリオ)を用意しておきましょう。個人事業主の場合、副業案件の紹介サイトから仕事を受けるケースもあり、履歴書や職歴書を求められることが多いです。
法人の場合は職歴書のようなレジュメではなく、パワーポイントなどで作成した実績資料を作っておけば、商談がスムーズです。また実績資料に加え、事業計画書も作成しておくと融資の際にも役立ちます。
「仕事を受注して、完了したら終わり」ではなく実績資料を作り、自身にどのような経験やスキルがあるか、客観的に一目で分かる状態にしておきましょう。
挨拶まわりをする
脱サラ前に可能な限り人に会っておくのも、大切な開業準備です。「脱サラ後の活動や事業の方向性」「どのようなスキルや知識を持っていてどう力になれるか」などを伝え、次の仕事につながるよう種まきをしておきましょう。
脱サラ後はなかなか売り上げが増えず、お金だけではなく心の余裕もなくなりがちです。そこで、給料が毎月手に入りお金に余裕がある脱サラ前に人と会い、人脈作りをしておくと次の仕事につながる確立が上がります。
開業支援の制度を調べる
脱サラしても、自分1人の力で経営をする必要はありません。たとえば副業兼業の案件紹介サービスや求人サイトの活用や、フランチャイズの独立支援制度を使うのも、有効な手段です。
ここでは、経営の経験がない人や自己資金が少ない人でも、脱サラして自営業をスタートしやすいフランチャイズをご紹介します。
フランチャイズとは、ロイヤリティを支払ってフランチャイザーと契約し、代わりにノウハウの提供や経営指導を受けて、経営を行う仕組みです。フランチャイザーからはロゴの使用権や商品の販売権をもらえるので、自分で0から商品やノウハウを築く必要がありません。
フランチャイズのメリットは、大きく以下の4つが挙げられます。
- 経営未経験でもサポートしてもらえるので安心
- 商品やメニューの開発を自身で行わなくて良い
- ブランドイメージがすでに確立されており集客がしやすい
- 自分で0ベースの開業より、コストが抑えられる可能性がある
ただしデメリットもあるので、次の項目も留意しておきましょう。
- ブランドイメージがダウンすると、自身の店舗も売り上げ低迷といったリスクを負う
- 自分のこだわりを活かせない
- 契約期間がある
- ロイヤリティの支払いが必要
フランチャイズではお店の内装や備品の選定、ロゴのデザインなどがすでに決まっているので、自分のこだわりを持っている人にとっては制限されていると感じるかもしれません。
本章で取り上げたフランチャイズのメリットとデメリットを押さえ、自身に適した開業手法を検討することが成功への近道です。
人気があるフランチャイズを知りたい人は、こちらのページからランキングが確認できます。
時間に余裕をもって脱サラ準備を進めよう
脱サラの準備は予想以上に時間のかかる作業であり、計画を立てて1つ1つ地道に実行していかないと準備が滞り、スムーズな開業が難しくなります。
脱サラを決める前に自営業についてよく調べ、リストを作って「いつまでに何をするか」を明確にして、開業後に安心して業務に取りかかれるよう、準備をしておきましょう。
公開日:2021年12月24日