「業態転換」とは?フランチャイズ検討の際に注目すべきポイント!

最終更新日:2020年05月11日

次々と新しいものが求められる現代において企業が生き残る戦略の一つとして、業態転換があります。
私たちが日常で生活している中で、新しい商品やサービスを見つけた時に「この企業が提供していたんだ!」と思うことはないでしょうか。

もっと身近な例で言うと、業態転換で店舗の改装工事を行い工事が終わってみれば同じ会社が提供する別のお店になっていたいうことも。

このように業態転換といっても様々なパターンがあり、そこには成功させるためのコツや注意点もありますというケースも。
そこで今回は、業態転換を成功させるコツやその事例についてもお伝えしていきます。
ぜひ参考にしてみてください。

目次

業態転換とは?

フランチャイズ選びの見極めポイント「業態転換」二つのタイプ

業態転換を成功させるコツ

業態転換の注意点

業態転換の事例

まとめ

業態転換とは?

業態転換とは、その名の通り業態を変更することです。
業態とは「既に他にあるものに対して付加価値をつけて提供する」といった意味合いがあります。

たとえば、コンビニであれば扱っている商品は他でも買えるものが多くなっています。そこに付加価値として24時間営業や気軽に行けるといった部分を加えています。

これにより、早朝や深夜であっても買い物ができ、様々なライフスタイルにも対応できるのです。

フランチャイズ選びの見極めポイント「業態転換」二つのタイプ

業態転換には二つのタイプがあります。
特にフランチャイズ開業をする場合だと、業態転換の目的は加入するか否かのひとつの大きな基準になります。

ステップアップが目的
一つ目は企業のステップアップを目的にしたものです。
これは一つの業態を長年展開し安定してきたところで、培ってきたノウハウを活かし他の業界でのシェアを獲得する狙いがあります。

業績不振の打開策
もう一つは、業績不振の打開策としての業態転換です。
成功するケースもありますが、ほとんどの場合は根本的な改革を起こさない表面的な業態転換が多数です。
そのような場合は、結果の先送りにしかならず大きな成功にも繋がらないことも。

前者のように、ステップアップを目的にしていれば安定し業績も好調なため、有望なフランチャイズ本部と言えます。
反対に後者のような場合であれば、なかなかうまくいかず最悪の場合は廃業してしまうことも考えられるでしょう。
特に、無名のフランチャイズ本部が複数のチェーン店を兼任している場合は注意が必要です。

業態転換を成功させるコツ

業態転換を成功させるコツは大きく分けて以下の3つがあります。

  • 「顧客」「提供するべき価値」「コア・コンピタンス」の整理
  • 「市場」「商品」「組織」を揃える
  • 経営者の意識改革

このように、どこで何をどのように誰に提供するかの見直しや、そもそもの経営者の意識改革が必要なのです。

流行に左右されすぎず、ニーズを押さえ、自分たちが得意としているところを伸ばさなければ業態転換は失敗に終わってしまう確率が高くなってしまいます。
ひとつずつ解説していきます。

「顧客」「提供するべき価値」「コア・コンピタンス」の整理

業態転換を行う前にまずやっておくべきことがあります。
それは顧客・提供するべき価値・コアコンピタンスの整理です。
顧客と言えば取引先や関連業者などのイメージですが、企業にとって最も大切なのはエンドユーザーです。
せっかくの業態転換なのですから、実際に商品を手にとったり、サービスを利用したりする人がより喜ぶものを用意しなくてはいけません。

また、その顧客に対してどのような価値を提供するか絞り込んでいきましょう。
たとえば、その商品やサービスを使うことによってコストの削減になるのか、新たなライフスタイルを提供できるのか、といったようなことです。

そして、それを実現するために必要なのはコアコンピタンス。
コアコンピタンスとは、事業において中核的な能力を指します。

たとえば、独自の技術や品質の管理能力などの強みとなる部分です。
この3つを再認識できていないと、業態転換を成功させるのは難しくなってしまいます。

「市場」「商品」「組織」を揃える

業態転換にあたっては、市場・商品・組織を揃える必要があります。
この3つを常にセットにして考え「どこで・どんな商品を・どのような体制で広めていくか」を考えなくてはいけません。

今までにない商品を経験のない市場で売るためには、新たに組織を構築する必要がある場合も。
たとえば、商品によっては既存の販売チャネルではなく、代理店の活用や外注化などの手法も必要になるかもしれません。

ありがちなパターンとして、新商品や新サービスを開発し「前年比で◯%の売上向上を目標にする」といったことがあります。
それ自体は間違いではないのですが、その背景も大切で、仕入先や販売店などを活用して適切な組織作りをしていく必要があるのです。

さらに、それぞれの持つナレッジを経営に活かせるような仕組みづくりを業態転換では行わなくてはいけません。
案外新しいサービスや商品のヒントは現場にあることも多いもの。そういった意味でも現場の意見を吸い上げられるような組織作りが必要なのです。

経営者の意識改革

業態転換において最も重要なのは経営者の意識改革です。
特に、業態転換の原因が経営不振であるなら、社内外の情報収集は経営者自らが行うべきなのです。
たとえば、エンドユーザーの声を直接聞いている・商品の納品状態をその目で確認しているなど。

なぜかというと、これは市場の変化が起こる発端は現場にあるからです。
エンドユーザーの求めているものを確認することと同時に、それをどう活かすかの最終の判断は経営者がしていきもの。
経営不振を嘆くだけではなく、現場に寄り添った働きかけが経営者にとっては重要なのです。

業態転換の注意点

ここからは、業態転換において特に注意しておきたい点を解説していきます。
お伝えしたように業態転換のパターンは多種多様ですが、それでも共通している注意点はあり、以下の通りになっています。

  • トレンド見極める
  • ターゲットと価格帯考える

ひとつずつ解説していきます。

トレンド見極める

まずはトレンドを見極めなくてはいけません。
特に飲食店のような流行のサイクルが業界だとこれは特に重要になります。

もちろんメニューを全てトレンドに乗せてしまうと、ブームが過ぎ去った後は経営状態が傾いてしまいます。なので、業務転換後の店舗に合ったトレンドを見極めつつ、それを反映させたスポットメニューを考案するようなやり方がいいでしょう。

ターゲットと価格帯考える

業態転換において顧客のターゲットを変える場合は、その顧客が利用しやすいかニーズに合っているかの調査が必要です。
また、顧客ターゲットを変更した場合、今まで競合ではなかった企業も競合になる場合があります。

しっかり調査をして、その競合との差別化ができるポイントは考えておきましょう。

さらに業務転換を行うと開発費や設備費などの費用が多くかかってしまいます。
現段階でそれらをカバーできる資金があればいいのですが、そうでない場合は業態転換後に回収ができるかどうかも確認しておく必要があります。

業態転換の事例

先程解説したほかにも業態転換成功させるには、その対象となる業態が今の位置を中心にした場合、それがどこになるのかを考えなくてはいけません。

その事例としては以下の二つがあります。

  • 遠そうで近い業態転換
  • 近そうで遠い業態転換

この2つをそれぞれ、実際の企業の業態転換の例とともに解説していきます

「遠そうで近い」業態転換の成功例

まずは「遠そうで近い」業態転換を行い成功した事例を紹介していきます。
この場合は非関連多角化と呼ばれており、一見関係なさそうな事業が他の事業で成功する例です。

たとえば、富士フイルムの化粧品・医薬品への進出や、花王のフロッピーディスクが当てはまります。確かにこれらは事業として関連性の低いものです。

そうなると普通に考えれば業態転換は失敗しますが、富士フイルムと花王の成功には共通点がありました。
それは「本業が培ったコアテクノロジーの応用を果たした」ということです。
富士フイルムであれば、写真を追求する中で培われた細かな技術をヘルスケアに応用しました。

また、花王は界面活性技術というコア・テクノロジーが共通しており、今は商品の特性上撤退しているものの、世界のトップシェアは獲得しています。

このように培ったコアテクノロジーを基準に考えるとシナジーが見込め「遠そうで近い」業態転換であっても成功できるケースがあるのです。

「近そうで遠い」業態転換の失敗例

反対に近そうで遠いケースも紹介します。

一般的には「近そうで遠い」ケースだと多角化に関連性があるため、そのリスクは低くなりますしかし少なからず業態転換に失敗てしまうこともあるのです。

たとえば、薬で有名なエーザイ。
エーザイは「エルメッドエーザイ」という高付加価値ジェネリック会社を設立し、薬の飲みやすさを差別化とした業態転換を行いました。

薬の飲みやすさは大きな武器となり、黒字が続いていたものの10年もしない間にエルメッドエーザイを売却してしまったのです。
売却の理由は新薬開発に集中するため、と言われていますが、原因としては重点を置くべきマネージメントの違いが指摘されています。
新薬の場合、重点を置くべきなのは研究と開発です。

ところがジェネリックの場合は、高品質で低コストの薬を作る生産に重点が置かれていたのです。そうなると仕事の種類が変わってしまうので、思うような展開にはならなかったと言えます。

一見関連性がある業態転換であっても、従来の方法やコアテクノロジーの違いによって失敗してしまうこともあるのです。

まとめ

このように、業態転換の鍵となるのはいかに既存の技術や知識ノウハウを活かせるかにかかっています。
つまり、斬新なアイデアと培ってきたものを共存させることが大切と言え、そこには大きなリスクもあります。

しかし、変わりゆく消費者のニーズに応えるため業態転換は有効なものです。
この記事を参考に業態転換での事業成功を見出してみてはいかがでしょうか。

公開日:2019年12月11日

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