FC(フランチャイズ)選びの成功法則(3)独立・起業の3つの要諦

最終更新日:2022年04月09日

「失敗しないフランチャイズ加盟」について、起業する目的を明確にし、自社の経営資源を把握した上で加盟を検討しましょう、とお伝えしてきました。すべての事業に言えることですが、目的・目標と、現実のギャップを埋めることが、目的達成への一番の近道です。それには「どうなりたいか」「現実は何が足りないか」を把握することから始めることが得策です。

すると「わが社は建設会社で、毎月の安定的なキャッシュフローが欲しい。それには店舗をやりたいが、ノウハウも、人材も全くいないため、フランチャイズで起業したい。新規で起業する店舗事業は、3年で年商5億、営業利益で5,000万円くらいの事業に育てたい。そのためには、年商8000万円クラスの店舗を6~7店舗出店していきたい。自分は、居酒屋が好きなので、愛着もある。どうせ起業するなら好きなフランチャイズでの起業に取り組みたい・・」というような答えがでてきます。

目次

フランチャイズ選びの3つの要諦

山口晃二(やまぐち・こうじ)

フランチャイズ選びの3つの要諦

さて、ここまできたら次は具体的な「業態選び」に入っていきます。今回は、「業態選び」の合理的な方法をお伝えします。弊社が、フランチャイズ起業の初心者の方に対し、ご提案する検討方法は次のとおりです。

記事提供:フランチャイズタイムズジャパン

(1)成長分野のフランチャイズ業態であること

当たり前ですが、新規に起業する際、成熟もしくは衰退した産業にわざわざ入っていく人はいません。
誰しもが年10%も成長しているような業界での起業を目指しますし、そうすべきです。
成長分野での起業は「上りのエスカレーターにのっかって、フランチャイズを利用し起業するようなもの」ですから、営業努力がそれ以上に成果に反映しやすくなります。

市場をみるときは、日本全体の大きさ、成長率で見るのはもちろんですが、地域密着型の店舗ビジネスの場合「その地域でも、その業態は成長可能性が高いか」を見極める必要があります。外食市場は飽和した、といっても、その地域にない、新しい業態であるなら、近隣の競合店から顧客獲得していくことで、フランチャイズで起業しても成長ができるからです。ですから、起業を検討する際は「マクロな視点」よりも「地域でみるミクロな視点」のほうを重視して、動向を観察してみましょう。

また、成長分野の業態で起業を考えている場合、上る速度は速くても「鈍化しても成長し続けるか、急降下するか」を見極める必要があります。この判断基準が起業する前に分かれば誰も苦労しないのですが、「絶対無くならないだろうと思われる業態」「なじみの業態を進化させたフランチャイズ業態」などで起業を検討することがポイントとしてあげられます。

しかし起業する際の考え方の一つとして「早く投資回収して、早く撤退する」というものもありますので、自社の志向性によるところでしょう。

(2)最大リターンを求めるのではなく、最小リスクをとることを優先

起業する際、不測の事態への対応能力、危機を予測する能力がない状態では「落ちるとわかっていながら落とし穴に落ちる」ようなものです。結局のところ「失敗」とは、これらの能力が備わっていない状態から引き起こされるものと思います。

「失敗を回避する方法」としてもっとも有効なのは、逆説的ですが「十分な経験値を積むこと」なのだと思います。例えば店舗ビジネスでの起業経験が全くない人と、飲食店での起業経験があって塾に新規参入する店舗ビジネスでの起業経験者では、その結果に大きな開きがあると思われます。また、起業経験が豊富な人が、アーリーステージのフランチャイズ本部に加盟し起業するのと、初めてのフランチャイズ加盟で、アーリーステージのフランチャイズ本部で起業するのでは、起業後の結果に大きな差が出るでしょう。

店舗ビジネス、フランチャイズビジネスの全くの素人の場合、起業した経験値が無いわけですからとるべきリスクはできるだけ抑えることが懸命です。ここでいうリスクとは「初期投資」のことを指しています。ビジネスですから、起業するための投資というリスクなしに大きなリターンを得ることはできません。逆に小さな投資=リスクなら、小さなリターンしか得られないというのが常ですが、小さなリスクの積み上げと、一発勝負の大きなリスクでは、安定感が違います。つまり起業する際は小額投資のフランチャイズで少しずつ多店舗展開したほうが得策、ということです。

そして、十分な経験値とベース売上が出来上がったところで、次のステージとして、大きな投資、アーリーステージのフランチャイズでの起業にチャレンジしていく、というような展開が望ましいと考えます。

(3)フランチャイズ本部の考え方や、取り組み姿勢をみる

最後は、本部の考え方や、取り組み姿勢を十分に確認することをおススメします。

メガフランチャイジーのような熟練者になれば、多少本部がもの足りなくても、自分達の力で課題解決することができますが、フランチャイズ初心者の大半は、本部に頼る精神的比重は高くなるでしょう。
その場合、最大限のサポートをしてもらえる本部かどうか?を見極めることが重要です。

建前では、立派なことを言うフランチャイズ本部でも、いざとなったら逃げ回る・・。そんなこともない話ではありません。お互い自立した事業体ではありますが、こちらが初心者となれば、どうしてもお世話になる部分が多くなってきますし、ロイヤリティという対価を継続的に支払っている以上、誠意あるサポートをするのがフランチャイズ本部の仕事です。

「なぜフランチャイズ展開を始めたのか」「本部のビジョンは?」「本部社長の人柄はどうか」などを十分に見聞きし、フランチャイズ契約に挑みましょう。
フランチャイズ契約は、5~10年といった社長同士の長期的なパートナーシップの契約です。考えてみれば、普通の取引でも5年以上も長く付き合えるビジネスパートナーなんて、そういるものではありません。お金を払って契約関係を結ぶフランチャイズ契約なら、なおさら「組む相手」をお互いがしっかりと見定めるべきなのです。

山口晃二(やまぐち・こうじ)

株式会社フランチャイズタイムズ・ジャパン代表取締役

アメリカ最大手のフランチャイズ業界誌の日本版を展開。事業意欲ある経営者に対し、最適なフランチャイズ情報の提供と出店サポートを行なうことで、加速的な事業成長戦略を提案、支援する。

公開日:2022年04月09日