葬儀屋フランチャイズの開業・運営に必要な資金とは
最終更新日:2021年04月13日
葬儀場の建設や豪華な祭壇の準備など、高額な開業資金が必要なイメージのある葬儀屋フランチャイズ。
実際にどのくらいの資金が必要なのか、こちらでは葬儀屋フランチャイズの開業・運営にかかる費用を詳しく解説しています。
また、「葬儀場を安く調達したい」や「少しでも費用を安く抑えたい」という方にぴったりなお役立ち情報も載せているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
葬儀屋フランチャイズの開業と運営に必要な資金の目安
葬儀屋フランチャイズの開業に必要な資金の目安は、410~8,000万円です。
この費用は、開業資金(初期費用)と運営資金3ヵ月分を合算した金額で、あくまで目安の一つです。
葬儀場を新たに建設するのか、それとも葬儀のたびに会場をレンタルするのかなど、開業方法によって費用は数千万円変わります。
<開業資金(初期費用)の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
加盟金・保証金 | 200~1,000万円 |
葬儀場関連費 (物件取得費・内装工事費・設備費など) |
0~3,500万円 |
設備購入費 | 0~2,500万円 |
広告宣伝費 | 0万円~ |
研修費 | 0~100万円 |
合計 | 200~7,100万円 |
<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>
項目 | 金額 |
---|---|
人件費 | 45~180万円 |
Webシステム利用料 | 15~30万円 |
花の仕入れ費や設備のリース代など | 150~600万円 |
ロイヤリティ | 0~90万円 |
合計 | 210~900万円 |
上記の初期費用と運営資金は事業規模や開業時の状況によって異なることを前提に、売り上げが月100~600万円規模であると仮定し各項目を計算しています。
以下でそれぞれの項目について一つずつ解説していきます。
葬儀屋フランチャイズの開業に必要な資金(初期費用)
葬儀屋フランチャイズの開業に必要な初期費用は、葬儀場の調達方法や葬儀の種類によって異なります。
一概にいくら費用がかかるとは言えないため、自分がどのようなスタイルの葬儀屋フランチャイズを始めるのか照らし合わせながら資金を計算しましょう。
加盟金
加盟金は、本部のサポートを受けるために支払う対価です。
この加盟金を支払うことで、経営者は本部から経営のアドバイスをもらえたり、開業準備を手伝ってもらえたりします。
加盟金は本部によって100~1,000万円と大きな差があり、さらに同じ本部でも加盟プランごとに費用が異なることがあるため、いろいろな本部やプランを比較することが大切です。
例えば葬儀屋フランチャイズ「フューネ」の新規事業者向けプランで開業すると加盟金が1,000万円かかりますが、そのほかのプランで開業すると半額の500万円で済みます。
ペット葬儀に関しては、人間向け葬儀よりも安い20~100万円に加盟金を設定している本部があり、また分割払いに対応しているケースもあるようです。
また、ひとまとめに加盟金といっても、研修費や広告宣伝費など別の費用が含まれていることがあるため、金額だけでなく費用の内容もよく確認しましょう。
保証金
フランチャイズへ加盟して事業を行う場合、経営者はロイヤリティや商標使用料などさまざまな費用を本部へ支払います。
これらの支払いを経営者が怠らないよう、本部が対策として事前に預かるのが保証金です。
経営者が本部への支払いを怠れば保証金から費用が差し引かれますが、何の問題もなく契約を満了すれば基本的には保証金は全額返金されます。
加盟金と同様に保証金も本部によって費用が0~1,000万円と差があるため、初期費用を抑えたい方は無料または少額で済む本部を選ぶのがおすすめです。
葬儀場関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)
葬儀場関連費は開業プランによって全く異なるため、費用差が大きい部分です。
例えば葬儀屋フランチャイズ「ティア」の公式サイトに掲載される収支一例を見ると、通常サイズの葬儀場の建設や準備にかかる費用は1億5,800万円、家族葬のような規模が小さめの葬儀場の費用は6,600万円が目安とされています。
ただ、このような高額な費用を支払えるほど資金に余裕がある方は少ないため、実際は葬儀場を建設せず葬儀のたびに会場を借りている方も多いです。
葬儀場を借りる場合は利用料金がかかりますが、不動産の取得や建物の建設に関する費用が一切かからないため、土地や物件を所有していない方にとっては現実的な開業方法だと言えるでしょう。
本部によっては必ずしも葬儀場を自分で調達しなければいけないわけではないので、予算に無理のない範囲で開業できる本部や加盟プランをを選ぶことが重要です。
一方、ペット葬儀の場合は葬儀場を必要としないため費用が抑えやすいという特徴があります。例えばペット火葬を行う「雅ペット葬祭」では火葬炉が158~290万、火葬炉を積む車両が170~220万、初期備品が30万円で済むため、初期費用を抑えたい方にとってはおすすめの選択肢です。
設備購入費
自身の所有する葬儀場を利用する場合は、葬儀に使う設備も用意します。
人間向けの葬儀には音響の放送設備や照明、祭壇、棺桶など高額なアイテムが必要なため、全て自前で揃えると数百万~数千万円することも珍しくありません。
そのため高額なアイテムに関しては、リースで費用を抑える方が多くいます。
ペット葬儀の場合も同様に棺桶や骨壺などが必要ですが、人間よりサイズが小さいこともあり費用を抑えやすいです。
また、ペットとのお別れ式は飼い主の自宅で行うことが多いため、音響や照明関連の設備を用意する必要もありません。
葬儀屋フランチャイズへ加盟すると本部から安く設備や備品を手に入れられることがあるため、事前に本部のサポート内容をしっかりと調べておきましょう。
広告宣伝費
より多くの人に自社のサービスを利用してもらえるよう、本部へ広告宣伝費を支払い集客のサポートをしてもらいます。
加盟金に広告宣伝費を含めている本部もあれば、初期費用ではなくサポート毎に費用を徴収する本部もあり支払い方法はさまざまです。
また、広告宣伝の方法はチラシの配布や公式サイトの運用などが一般的ですが、葬儀屋フランチャイズのなかにはイベントを開くことで顧客獲得を狙う本部もあります。
葬儀のような重要な儀式でお客様に選ばれるためには、イベントなどを通して対面で地域住民と関係を構築することも効果的でしょう。
広告宣伝費の金額を抑えたいと感じるのはもちろんですが、費用だけでなく内容の充実度を考慮して本部を選ぶことも大切です。
研修費
葬儀屋フランチャイズの業務や経営について学ぶために、経営者は研修費を本部へ支払い教育を受けます。
研修費用や期間は本部によってさまざまで、さらに経営者の経験によって変わることもあるので、担当者へぜひ確認してみてください。
葬儀屋または同業種での経営経験がある方は、研修費用が安く済んだり研修期間が短く済んだりする可能性があります。
また、研修には経営者だけでなく、ともに働くパートナーと参加できるケースがあります。
例えば葬儀屋フランチャイズ「ティア」では、90万円を支払えば3ヵ月間の研修を最大4人まで受けることが可能です。
従業員の意識やスキルを高めたいのであれば、従業員向けの研修が手厚い本部を選ぶのも良いでしょう。
葬儀屋フランチャイズに必要な運営資金
葬儀屋フランチャイズの運営資金には、人件費や葬儀に必要なアイテムの仕入れ費、本部へ支払うロイヤリティなどさまざまな費用があります。
こちらでは、運営資金を抑えるコツにも触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
人件費
比較的小規模で始められるペット葬儀であれば経営者だけで事業を運営できることが多いため、人件費を極力かけずに済みます。
一方、人間向けの葬儀では従業員を雇う必要がありますが、アウトソーシング(外部委託)で人件費を抑えられる可能性があります。
特に開業したばかりでまだ葬儀の依頼件数が少ない場合は、葬儀のときだけ司会やセレモニースタッフをアウトソーシングすることで人件費を抑えられる確率が高いでので、ぜひ検討してみてください。
司会やセレモニースタッフは1人あたり1万~数万円で雇える業者が多いので、アウトソーシングする場合と社員を雇う場合の費用を計算して比較するのが良いでしょう。
ただ、「費用の安さよりも信頼できる社員を常に確保しておきたい」という考え方ももちろんあるので、それぞれのメリット・デメリットを考慮することが重要です。
Webシステム利用料
葬儀屋フランチャイズの運営では、さまざまなWebシステムが活用されています。
例えばテクノロジーを活用した葬儀を執り行う「ライフエンディングテクノロジーズ」へ加入すると、独自の集客システムを利用できます。
システムの利用料は1ヵ月あたり10万円かかりますが、効率的に顧客を獲得できる点が大きな強みです。
また、公式サイトの運営を本部に任せる場合は、運営料が月に数万円かかるケースがあります。
これらのWebシステム利用料はそこまで高額ではありませんが、積み重なれば大きな金額となるため計算しておきましょう。
花の仕入れ費や設備のリース代など
葬儀を行うためには、供花や焼香、枕飾りに使う物品、参列者への飲み物や料理などさまざまな準備をしなければいけません。
これらの仕入れ費は本部を通して購入することで安くなる可能性がありますが、葬儀の規模や本部によって費用は異なるため事前に担当者へ目安を聞いておくのが良いです。
また、棺桶や祭壇などの大きな設備は購入すると高額なため、リースする方も多いです。
葬儀に使う設備や備品をリースするのであれば、毎月のリース代がいくらかかるのかしっかりと計算する必要があります。
ペット葬儀も人間向け葬儀と同様に供花や焼香、枕飾りなどが必要ですが、一般的にペット葬儀の方が式が小規模なため仕入れ費は安く済むと考えて良いでしょう。
ロイヤリティ
本部のブランドやノウハウを借りる代わりに、経営者は本部へロイヤリティを支払います。
人間向けの葬儀を行うフランチャイズにはロイヤリティを売上高の3~5%に設定している本部がありますが、ペット葬儀の場合は一律5~10万円と固定で決められている本部が多く見受けられます。
なかにはロイヤリティが0円の本部もありますが、初期費用が高いことがあり、トータルの費用を計算すると決してお得だとは言えないケースも少なくありません。
ロイヤリティ0円と聞くと良心的なように思えますが、ロイヤリティだけでなく初期費用と運営資金の総額を見て判断することが大切です。
葬儀屋フランチャイズのキャッシュフローシミュレーション
具体的な収支を情報公開しているフランチャイズ本部はありませんが、1ヵ月の売上高が約650万円の葬儀屋フランチャイズのキャッシュフローシミュレーションは以下の通りです。
(必ずしも当てはまるわけではないので、参考程度にしておいてください。)
総粗利益高
450万円
=650万円(売上高)ー200万円(原材料費)店利益
130万円
=450万円ー320万円(家賃や人件費、水道光熱費など)
1回の葬儀にかかる費用は100~200万円が目安だと言われていますが、大規模な会場を使う豪華な葬儀もあれば、家族葬のような小さな葬儀もあります。
上記は人間向けの葬儀を想定したものであり、ペット葬儀の場合は1回あたりの葬儀料金が人間向け葬儀よりも安いため売り上げが下がりますが、仕入れ費なども大幅に抑えられるでしょう。
そのため、自身の葬儀屋フランチャイズがどのような葬儀をメインに行うのか考慮した上で売り上げや経費を計算することが大切だと言えます。
また、葬儀屋フランチャイズは人の死に関わる特別なイベントを扱うため、開業後すぐに収益を出すことは難しいと考えるべきでしょう。
例えば、葬儀屋フランチャイズ「フューネ」では4年目に黒字転換することを目標に掲げていることからも、黒字化まである程度の期間がかかることが予想されます。
開業後、資金繰りに困ることがないよう、黒字化するまでの運営資金をしっかりと準備する必要があるでしょう。
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公開日:2021年04月13日