リラクゼーションサロン3店舗を経営するフランチャイズオーナーが語る「資金&スキル無し」の独立

最終更新日:2023年02月10日

独立に興味はあるものの、「自分には資金もスキルもないから無理…」と諦めてしまっている方もいるのではないでしょうか。

初期費用を万全に準備し、技術や経験を得てから脱サラしようと考える方も多いなか、資金・スキルともにゼロで独立を果たしたのが西 雄介さんです。フランチャイズに加盟し、今では3店舗のリラクゼーションサロンを経営する西さんですが、「自分は現場には一切出ない」と話します。

資金・スキルともに不十分な状態から一体どのように脱サラしたのか、詳しいお話を伺いました。

目次

独立には「勢い」と「家族の理解」が大切

資金&スキルがゼロの状態で独立「開業資金の650万円は全て借りた」

3店舗の経営で「年商は6,000万円超え」

単純に会社が潤うわけではない…フランチャイズのロイヤリティシステム

「オーナー不在の店舗」でも運営がスムーズな理由とは

フランチャイズの多店舗経営で「現場に立たなくてもお金が入る仕組み作り」

独立には「勢い」と「家族の理解」が大切

西さんは現在、フランチャイズのリラクゼーションサロン『もみかる』を3店舗経営しています。2017年に長岡宮内店、2018年に古正寺店、そして2021年に上越店をオープンしました。

脱サラのきっかけを教えてください

西さん「うちには双子の子どもがいるので、子育てに重きを置きたかったのが一番の理由です。一日のスケジュールは、家事をした後に事務仕事を少し、あとは息抜きに配信動画を見て寝る。子育てするために脱サラしましたが、まさに主夫といった生活ですね」

独立しようと思っても、そう簡単に挑戦できるものではないですよね?

西さん「何でも勢いが大切だと思っています。たとえば「お金が貯まったら」という考え方も必要かもしれませんが、そうすると時期を逸してしまうでしょう。「やるんだったら勢いに任せてやる」という考え方も、一つの手ではないでしょうか」

奥さんの反応はどうでしたか?

西さん「妻からは「それで食べていけるなら」と理解してもらえました。脱サラするためには、家族の理解が一番重要だと考えています。事業が始まれば当然悪い状況のときもあるので、その時に家族からどう協力してもらえるかという話にもなってきますから」

資金&スキルがゼロの状態で独立「開業資金の650万円は全て借りた」

資金&スキルがゼロの状態で独立「開業資金の650万円は全て借りた」

開業資金はどのくらい準備していましたか?

西さん「ほぼゼロです。開業資金に充てられるお金が全くなかったので、最終的には信用金庫から650万円ほど創業資金として借りました。私が開業した2017年当時はアベノミクス効果もあり、事業資金が借りやすかったと思います。

スタッフは業務委託なので、売り上げが発生しない限り人件費は発生しません。ですが、フランチャイズの加盟金や店舗の内外装費、その他諸々の費用で1店舗目はおおよそ600万円かかりました」

開業資金がゼロとのことですが、スキルはあったのでしょうか?

西さん「スキルも全くないです」

資金とスキルがゼロの状態で独立を決意したのはすごいですね

西さん「実際のところ、どうにでもなるんですよ。今現在、とても成功しているわけでもなければ、年収がすごい高いわけでもありません。ですが、暮らしていくことはできます。独立する目的は人それぞれだと思うので、結局どこを目指して事業を始めるのかだと思います」

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3店舗の経営で「年商は6,000万円超え」

初月の売り上げはいくらでしたか?

西さん「130万くらいです。しかし、これはオープン景気も多少入ってるので、その2ヵ月後には110万円くらいまで落ちました。今は3店舗経営していますが、正直そんなに儲かる仕事ではないです。

ただ、今は普通に生活できる分の収入があり、返済も滞っていません。基本的には赤字にならないので、新規事業として始める方の選択肢としては良い仕事だと思います」

どのようにスタッフと売り上げを分配していますか?

「スタッフは業務委託なので、「売上の何%」というように決めており、さらに役職手当をつけています。完全出来高制で、具体的には自分のお客さんの売り上げの60%です。

従業員の平均月収は働き方によって全く変わりますが、がっつりと稼ぎたい人の場合は月5日休んだとして30万円を少し超えるくらい。ダブルワークで働いてる人の場合などは7~8万円です」

西さんの年収と実際の年商はどのくらいでしょうか?

西さん「今の年収は約300万円です。3店舗の年商はまだ算出できませんが、予測では6,000万と少しだと思います。ベッドの数によって売り上げは変わりますが、通常ベット1台で月50万が売り上げ目標。この売り上げ目標を長岡の2店舗は達成しており、通常だと月商は200万円程度です。

ただ、人材不足などで実際は120万円くらいなので、それを考慮すると年商は6,400万円くらいになるかと考えています」

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単純に会社が潤うわけではない…フランチャイズのロイヤリティシステム

お子さんを育てながら、3店舗の経営で年商6,000万円超えが予想される西さん。会社が潤っているように思えますが、フランチャイズ加盟ならではの事情から、そう単純な話ではないそうです。

西さん「約60%が外注費になるので、会社が潤っているとは言えません。また、テナント物件なので家賃が発生し、さらにフランチャイズなのでロイヤリティも発生します。たとえばロイヤリティは、長岡店が売り上げの8%で上越店が5%です」

ロイヤリティの割合は店舗によって違うんですね

西さん「多店舗経営による特典もあります。また、エリア(商圏)の権利も含んで加盟するなど、加盟のスタイルによってもロイヤリティは変わります。得られる権利が多ければ責任も多くなるので、ロイヤリティの割合が低く設定されています。

結局会社に残るのは、520〜530万の月間売上のうちの10%もありません。法人化して税理士と関わるようになってからお金の使い方が明確になりましたが、それでも多くは貯まりません。もしさらに儲けたいのであれば、自ら現場に入るとことも必要ですね」

「オーナー不在の店舗」でも運営がスムーズな理由とは

「オーナー不在の店舗」でも運営がスムーズな理由とは

もともと脱サラのきっかけは、「家事や育児に力を入れるため」という西さん。自身が現場に身を置かなくても店舗運営がスムーズな背景には、現場をまとめる仲間の存在がありました。

西さん「田口さんと出会ったのは、私がサラリーマンをしていた約7年前です。職場にリラクゼーションの部署があり、田口さんはそこに勤めていました。私がたまたま独立を考えていたとき、田口さんも退職を考えていたので声をかけました。

いろいろなフランチャイズを探すなかで、リラクゼーションは一つの候補に挙がっていたこと、そして田口さんが退職するのでタイミングが良かったことなども独立のきっかけです」

現場は田口さんに全て任せているんですか?

西さん「任せています。そして任せた以上、口出しや顔出しはしないように徹底しています。『もみかる』のグループ全体でいえば、オーナーも現場に出て施術する店舗もあれば、私のように現場に全て任せている店舗もあります。

私はもともと田口さんがいなければこの仕事をやっていないので、もし彼女が去るとなった場合は事業を今後どうすべきか考えるレベルですね」

施術以外のことも田口さんに任せているんでしょうか?

西さん「スタッフの面接もお願いしています。スタッフの募集をかけると応募がくるのですが、私自身が現場のことをよく理解していないので、応募者に事務的な話をしてもしっかりと伝わらないんですよね。そこで現場責任者の田口さんに面接をお願いしたところ、ポンポンと採用が決まりました。そこから、自分は現場にはあまり入らない方が良いのだと気づきました」

フランチャイズの多店舗経営で「現場に立たなくてもお金が入る仕組み作り」

西さんはフランチャイズに絞って独立を検討したそうですが、ほかに選択肢はなかったのでしょうか?

西さん「今の時代、“企業は65歳までは面倒見ていく”という風潮だと思いますが、自分としては「では65歳を過ぎたサラリーマンはどうなるの?」という懸念がありました。独立ではなく転職でも良かったのですが、「自分がまだ動いたりお金を借りられたりするうちに独立したほうが良いのでは?」と思いフランチャイズ加盟を決意しました」

フランチャイズを選んだ時のポイントを教えてください

西さん「資料請求をする前に、まずは『もみかる』のホームページから募集要項を見ました。また、お客さんの評判を知るために口コミも確認しました。

最終的には自分で見極めるしかないので、募集サイトだけに頼らないことが大切です。オーナーインタビューなども載っていますが、基本的には良いことしか書かれていませんから」

取材の最後に西さんは「すでに年収が高い人を除いて、普通の年収をもらっているサラリーマンの脱サラの選択肢としてフランチャイズは悪くないのでは」と話してくれました。

たとえば50歳から自分が現場に立って飲食業を始める場合、体力的な問題から残り何年働き続けられるのか不安が大きいもの。ですが、西さんのようにフランチャイズオーナーとしてビジネスに携われば、自分が現場に出なくてもお金が入るシステムを構築可能です。

今の生活だけでなく、将来を見越して独立したい方は、西さんのようにフランチャイズの多店舗展開を一つの選択肢として考えるのも良いかもしれません。

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公開日:2022年10月05日