古書店を開業するには?必要な費用から準備、成功・失敗ポイントまで詳しくご紹介!

最終更新日:2021年01月14日

古書店というとレトロなイメージがありますが、最近ではカフェを併設した「ブックカフェ」のようなお洒落な店舗も人気を集めています。

また、実店舗だけでなくオンライン販売や移動販売など、販売形態が豊富な点も古書店を運営する魅力でしょう。

こちらでは、古書店の運営に興味がある方に向けて、開業に必要な費用や準備、成功・失敗ポイントなどをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

古書店の開業に必要な費用

古書店の特徴

古書店の開業に必要な準備

理想の古書店開業に向けて万全の準備を整えよう

古書店の開業に必要な費用

こちらでは、古書店の開業に必要な初期費用と運営資金を紹介します。

初期費用

古書店の開業に必要な初期費用は、約60~2,650万円です。
ただし、古書店の初期費用は店舗を持つ場合と持たない場合で大きく異なります。

<初期費用の目安>

項目 金額
店舗取得費 0~1,000万円
内装・外装工事費 0~1,000万円
設備設置費 0~300万円
仕入れ費 50~300万円
広告宣伝費 10~50万円
合計 約60~2,650万円

主な費用には、物件取得費、内装・外装工事費、設備設置費、仕入れ費、広告宣伝費などが挙げられます。

ただし、上記のなかでも物件に関わる費用は、店舗形態によって大きく異なることに留意してください。

例えば大型店を開業する場合、物件の取得や工事、設備設置にかかる費用は2,000万円を超えるケースも珍しくありません。
一方、オンラインショップとして開業する場合は、自宅からお客様へ本を発送すれば良いため店舗関連費を0円に済ませることも可能です。

そのほかの初期費用には、本の仕入れ費や集客のための広告宣伝費などが含まれます。

運営資金

古書店の開業に必要な運営資金は、1ヵ月あたり約70~520万円です。
ただし、店舗の規模や販売形態によって費用は異なるため、運営資金を計算するときは自身の開業する店舗を明確にイメージすることが大切です。

<運営資金の目安>

項目 金額
人件費 0~80万円
賃貸料 0~60万円
仕入れ費 50~300万円
広告宣伝費 10~30万円
備品購入費や交通費など 10~50万円
合計 約70~520万円

主な費用には、人件費、賃貸料、仕入れ費、広告宣伝費、備品購入費や交通費などが挙げられます。

ただし無店舗で営業する場合は、賃貸料や人件費を抑えることが可能です。
また、本の仕入れ費や広告宣伝費、備品購入費、交通費などは、店舗規模や販売形態によって異なります。

フランチャイズへ加盟する場合は、本部によってはロイヤリティを支払わなければいけません。
例えば大手フランチャイズチェーンの『ブックオフ』は売り上げの4%、『日本良書チェーン』は0円にロイヤリティを設定しています。

費用の調達方法

開業資金の調達方法としては、下記の選択肢が考えられます。

  • 日本政策金融金庫
  • 民間の銀行
  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング

日本政策金融金庫や民間の銀行は、多くの経営者が利用する定番の借入先です。
ただし、初めて開業する方は審査が通りにくいため、事業計画書の内容を詰めたり、自己資金を多めに貯めたりといった方法で自身の信頼性をアピールすることが大切です。

そのほかには地方自治体による補助金・助成金、インターネットで支援を募るクラウドファンディングなどの方法で資金を調達できる可能性があります。

古書店の特徴

こちらでは、古書店のサービス内容や開業するメリット・デメリット、そして開業の成功(または失敗)ポイントなどを紹介していきます。

サービス内容

古書店のサービス内容は、主に下記の通りです。

  • 本の仕入れ
  • 本の販売・発送
  • 店内状況や在庫の確認
  • 従業員への指導
  • 売上管理
  • 会計処理
  • 集客

実店舗販売の場合は本の陳列や品出し、お客様対応などを行いますが、売場での接客業務は従業員がメインで担当することがほとんどです。

経営者は売り上げの管理や会計処理、集客活動などの経営業務に注力し、本の在庫が足りなくなれば必要に応じて仕入れを行います。

メリット

こちらでは、古書店を開業するメリットを3つまとめました。
「古書店ならではの魅力を知りたい」という方は、こちらで紹介するメリットをぜひ参考にしてみてください。

無店舗でも営業できる

古書店は、物件を用意せず無店舗でも営業できます。
オンラインショップとして開業する場合は、仕入れた本を発送するだけで良いため自宅をそのまま職場として利用することが可能です。

また車に本を積み、公園のような敷地で販売する移動式古書店を営業している方もいます。
飲食店のような店舗関連費が1,000万円を超える実店舗型ビジネスと比べて、古書店は初期費用を大きく抑えられる点がメリットでしょう。

経営者の個性を反映させやすい

ひとまとめに古書店といっても、話題の本を中心に集める一般向けのお店や、専門書を多く取り揃える専門店など種類はさまざまです。

そのため「とにかく本が好き」や「自分好みのお店をつくりたい」という方にとって、古書店のお店づくりはやりがいを感じることでしょう。

また、最近ではカフェを併設した「ブックカフェ」なども人気で、従来の古書店とは異なるお洒落な雰囲気のお店を運営することも可能です。

仕入れ先の選択肢が豊富

例えば飲食店であれば特定の取引先から食材を仕入れることが多いですが、古書店の場合は取引先を限定することなくさまざまな経路で本を入手できます。

自身で本屋を巡るのはもちろん、お客様からの買取やインターネット上での調達など多くの仕入れルートが存在するため、珍しい書籍を低価格で手に入れやすいです。

また、「全国古書籍商組合連合会」に加盟すれば全国の古書市場に参加できるため、掘り出し物を見つけられる確率はより高くなるでしょう。

デメリット

古書店は店舗形態や仕入れ先の選択肢が豊富な点がメリットですが、一方で「ライバルが多いこと」や「品揃えにセンスが問われること」などがデメリットとして挙げられます。

ライバルが多い

古書店は、実店舗やインターネット、移動式など販売形態が多様な点が魅力ではあるものの、その分ライバルが多い点がデメリットです。

ライバルに勝つためには出店先やターゲット層の戦略を練ることはもちろん、他社との差別化を強く意識する必要があるでしょう。

特に個人で開業する場合は、品揃えの面で大手フランチャイズ店に負けてしまう可能性を考慮しなければいけません。

そのためフランチャイズに加盟して開業したり、大手にはできないサービスを打ち出したりといった工夫が大切です。

品揃えにセンスが問われる

古書店の客層は「本が好きな人または本に詳しい人」が多く、商品の品揃えやセンスが厳しく評価されます。

フランチャイズに加盟する場合は本部から品揃えのアドバイスを受けられますが、個人で開業する場合は事前にしっかりと業界を研究する必要があるでしょう。

特に専門家やコレクターなどをターゲットとする場合は、「このお店に来れば絶対にお目当ての本が見つかる」とお客様へ信頼してもらうことが大切です。

古書店開業の成功・失敗ポイント

こちらでは、古書店の開業が成功または失敗するポイントをまとめています。
古書店の開業を目指している方は、開業の成功率を上げるためにも、こちらで紹介する3つのポイントについて理解を深めましょう。

店舗のコンセプトを大切にする

個人で古書店を開業する場合、開業前にお店のコンセプトをしっかりと考えましょう。

品揃えの豊富さが強みのフランチャイズ店と比べて、個人経営店は「店主の個性」や「お店の世界観」に惹かれて足を運んでくれるお客様が少なくありません。
そのため中途半端にいろいろなジャンルの本を並べるよりも、ジャンルを絞ったほうがファンを獲得できる可能性があります。

また本のジャンルだけでなく、店内のインテリアや音楽に気を配るのもお客様を引きつけるポイントです。

本の販売以外の価値を提供する

本の販売以外のサービスを行うことも、古書店の売り上げアップに効果的です。

例えば漫画を専門に販売する古書店であれば、その漫画に関連するアニメグッズやゲームなども販売することで売り上げが伸びる可能性があります。

そのほかにも、コーヒーを飲みながら本を読めるカフェを併設したり、休日には絵本を読み聞かせるワークショップを開いたりするのも良いでしょう。

価値に見合った値段で販売する

本の値付けは、古書店を運営する上で特に難しいポイントです。

例えば古本のなかには、一般の本屋では手に入れることが難しいレア商品が存在します。
こういったレア商品に関しては、経営者が価値を見抜いた上で高めに値付けしなければ損してしまうでしょう。

適正価格を知るためにはネットで販売されている価格を参考にしたり、ほかの古書店がいくらで販売しているのかを確認したりしながら相場感覚を養うことが大切です。

古書店の開業に必要な準備

古書店を開業するためには、店舗の調達や商品の仕入れなどさまざまな準備が必要です。
また「古物営業許可申請」の取得など、古書店の開業特有の手続きが存在するので必ず覚えておきましょう。

古物営業許可申請

古書店を開業するためには、「古物営業許可申請」を行わなければいけません。

管轄の警察署で古物営業許可申請の書類を入手後、住民票や身分証明書などの必要書類と約2万円の申請料を用意してから再び警察署へ足を運んでください。

審査には約1~2ヵ月間かかるため、余裕を持って申請することをおすすめします。

店舗

個人経営の場合は自分で物件を探す必要がありますが、フランチャイズへ加盟する場合は本部が物件を紹介してくれるケースが少なくありません。

物件契約後は店舗の工事を行い、本棚やPOSシステム、商品などを搬入します。

オンラインショップの場合は店舗が不要ですが、公式サイトの開設準備が必要です。
また、移動販売や仕入れに車を使うのであれば、業務に必要な車も準備しましょう。

仕入れ

本を仕入れる方法としては、メルカリなどのインターネットサイトを活用したり、ほかの古書店を巡ったりなどが考えられます。
また、図書館で利用されなくなった廃本を譲り受けるのも良いでしょう。

そのほかには、「全国古書籍商組合連合会」に加盟し、市場や交換会で本を仕入れるのもおすすめです。
ただ、組合員になるためには組合費や加盟金がかかるため、加盟するメリットとデメリットを事前に検討する必要があります。

集客

資格・店舗・商品の準備が整った後は、集客活動を行います。

チラシやSNS、フリーペーパーなどを活用しながら宣伝活動を行うのが一般的ですが、フランチャイズ店の場合は本部からのサポートを受けられます。

また、地域住民をターゲットにする場合は、その地域で開催される読書会などに参加してみるのもおすすめです。
読書好きな方が多く集まっているので、来店してくれる可能性は高いでしょう。

理想の古書店開業に向けて万全の準備を整えよう

まずは自身がどういった古書店を持ちたいのか明確なイメージを持ち、理想の店舗を開業するための準備を整えましょう。

特に大型店を開業したい場合は多額の資金が必要となるため、資金の調達先を探したり、場合によってはフランチャイズへの加盟を検討したりする必要があります。

古書店の開業を目指している方は、今回の記事を参考にぜひ準備を進めてみてください。

フランチャイズを探してみる

公開日:2021年01月14日