一括償却資産とは?少額減価償却資産との違いや償却方法などを詳しく解説!

最終更新日:2020年12月17日

独立開業を考えている方にとって、確実に身につけておきたいのが会計処理の知識です。
特に「一括償却資産」は、節税にも影響する重要な項目だと言えるでしょう。

こちらでは、少額減価償却資産との違いや一括償却をするメリット・デメリット、具体的な償却方法などをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

一括償却資産とは

一括償却資産の償却年数や償却方法

一括償却資産は償却資産税の対象?対象外?

一括償却資産を上手く活用して節税対策を進めよう

一括償却資産とは

一括償却資産とは、10万円以上20万円未満の固定資産のことを指します。
3年間かけて均等に償却することがルールで、通常の減価償却資産のように耐用年数に応じて償却年数が決められることはありません。

一括償却資産では「定額法」や「定率法」などの複雑な計算式や耐用年数を用いる必要がないなど、さまざまなメリットを享受できます。

そのため、税務の事務処理を簡略化させたい経営者にとってはぜひ身につけておきたい知識だと言えるでしょう。

少額減価償却資産との違い

まずこちらでは、一括償却資産と混同されやすい「少額減価償却資産」をご紹介します。
少額減価償却資産とは中小企業にのみ認められた特例で、一括償却資産とは処理方法が似ていますが下記のとおりさまざまな面で違いがあります。

項目 少額減価償却資産 一括償却資産
対象となる法人 中小企業のみ 全法人
取得価額 10万円以上30万円未満 10万円以上20万円未満
損金算入制度 事業供用年度 事業供用年度から3年間
損金算入可能額 取得価額全額 取得価額 × 12 ÷ 36
償却資産税 課税 非課税

上記のとおり、この2つは取得価額や損金にできる金額の割合などが異なります。
また、そもそも少額減価償却資産は中小企業のみ適用であるという点も注意しておきたいポイントでしょう。

一括償却資産のメリット・デメリット

固定資産の取得価額が10万円以上20万円未満だからといって、必ずしも一括償却資産として処理しなければいけないわけではありません。
そのため、一括償却資産のメリットとデメリットを知った上で処理方法を選ぶことが大切です。

まず、一括償却資産のメリットとしては節税効果が挙げられます。
例えば耐用年数が4年のパソコンを購入した場合、通常の減価償却では4年間かけて償却する必要がありますが、一括償却資産として処理すれば3年間で償却を完了させることが可能です。
本来は4年間かかるものを3年間で全額経費にできるため、節税の効果は大きいと言えるでしょう。

一方、デメリットとしては「経費が増える=利益が下がる」とも言えるので、国や銀行から融資を受けようと考えている場合はマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。

一括償却資産の償却年数や償却方法

例えば、税込15万円のパソコン3台(合計45万円)を一括償却資産として償却する場合、

45万円 × (事業年度の月数12ヵ月 ÷ 36)=15万円

となり、1年間の損金算入額は15万円となります。

一括償却資産を適用する際に気をつけたいのが、事業年度が1年に満たない場合は単純に3分の1で計算できないという点です。
例えば会計期間が12ヵ月ではなく10ヵ月の場合は、「45万円 × (事業年度の月数10ヵ月 ÷ 36)=12.5万円」となります。

また、取得価額の消費税の扱いはその法人が適用している経理処理方式に基づくという点にも注意しなければいけません。
税抜・税込のどちらで取得価額が決定するかは一概に決まっていないため、自身の会社や店舗の経理処理方式をよく確認しておくことが大切です。

一括償却資産を除却・売却した場合

一括償却資産を除却・売却した場合でも、一括償却は継続し続けなければいけません。

例えばエアコンを5台購入したが、事業縮小の影響で3台を廃棄したとします。
その場合でもエアコン5台分の償却残高が無くなるまで償却を続ける必要があり、除却した3台分のエアコンを当期の損金として算入することはできません。

一括償却資産は償却資産税の対象?対象外?

償却資産税とは、土地または家屋以外の事業で使われる固定資産にかかる税金を指します。
パソコンやエアコン、コピー機などさまざまな資産が対象となっていますが、一括償却資産として処理する場合は償却資産税の対象外です。
そのため10万円以上20万円未満の資産に関しては、通常の減価償却ではなく一括償却したほうが償却資産税の負担を減らせると言えるでしょう。

一括償却資産を上手く活用して節税対策を進めよう

事業運営において、一括償却資産は避けては通れない重要な項目です。
10万円以上20万円未満といえばエアコンやパソコンなどが該当する可能性が高いので、これから開業準備を始める方は「一括償却資産として処理できるかどうか」を気にしながら備品を選んでみてください。

また「初めての開業で経理のことがよく分からない」という方は、フランチャイズの本部が支出管理の相談にも乗ってくれるので、不明点は開業日までにしっかりと解消しておくようにしましょう。

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公開日:2020年10月23日