脱サラで漁師になるには?想定年収や失敗しないコツを解説

最終更新日:2023年02月20日

日々会社の指示に従い、やりがいを感じられない会社員の方は多いのではないでしょうか。会社に縛られることなく、趣味の釣りを仕事にしたい、大好きな海に関わる漁師になりたいと考える人は少なくありません。この記事では漁師になるために必要な手順や資格を解説するとともに、失敗例を交えながら成功のポイントを紹介します。

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目次

漁師の仕事内容・特徴を知ろう

漁師に必要な資格

漁師に向いている人

脱サラで漁師になるための手順

脱サラ漁師で失敗しないコツ

漁師になって大海原に出よう

漁師の仕事内容・特徴を知ろう

釣りが趣味だったり、海が好きな方であっても、漁師の具体的な仕事内容や特徴を知らない人も多いのではないでしょうか。実は一言で漁師といってもさまざまな働き方があり、年収面や関わる人も変わってきます。漁師の仕事内容や特徴について紹介します。

1日の流れ

漁業には大きく分けて、「沿岸漁業」、「沖合漁業」、「遠洋漁業」の3種類があります。ここではイメージを持ちやすい「沿岸漁業」の定置網漁における1日の流れを紹介します。

04:00~ 起床、出港し漁場へ向かう
05:00~ 漁場で網を引き揚げる
07:00~ 帰港し、釣り上げた魚の選別や船・備品の清掃を行う
11:00~ 同僚と食事
12:00~ 休憩・自由時間
19:00~ 就寝

会社員に比べ起床、就寝時間が早く、生活リズムがかなり異なることが分かります。

働く場所

漁師の働く場所は、ご存知の通り、魚がいる海です。魚がいるであろう漁場が職場となり、そこまでは船で向かいます。船は一般的には漁港に停泊するため、漁師は漁港に出勤してから漁場へ出ます。漁師の多くは漁港近くに住み、車や自転車での出勤が多いです。

想定年収

気になる漁師の年収は、おおよそ200~800万円となり、幅が広い点が特徴です。1日の流れでご紹介したように、漁業は「沿岸漁業」、「沖合漁業」、「遠洋漁業」の3つに分類され、それぞれ年収が異なります。

  • 沿岸漁業 200~300万円
  • 沖合漁業 400~500万円
  • 遠洋漁業 600~800万円

上記が平均年収ですが、マグロやカニといった高価な品種の漁業では1000万円を超える年収を得ている漁師もいます。取り組み方によっては会社員よりも高給を得ることもできるでしょう。

関わる人

漁師が仕事で関わる人は、やはり漁師が中心です。1つの船に最も多くの漁師が乗るのは「遠洋漁業」で、多いと20人ほどの漁師が乗船します。遠洋漁業の場合、長いと1年ほど漁に出ることもあるので、同僚の漁師と良好な関係を築くのも重要な要素といえます。

そして水揚げされた魚を販売するために関わるのが卸売業者の方々です。漁師が水揚げした魚は、卸売業者からセリや入札を通じて仲卸業者や加工会社へ渡り、消費者の手に渡っていきます。

漁師に必要な資格

脱サラして、すぐに漁師になれるわけではありません。漁師になるには必要な資格がいくつかあり、資格取得には時間がかかります。漁師になると決めたら、逆算して必要な資格を取得していきましょう。

漁業権

漁師になるために特別な試験は必要ありませんが、商売として漁業をする場合、「漁業権」を取得しなくてはいけません。漁業権は大切な資源である魚の乱獲を防いだり、漁業で生活している人たちを保護したりする役割を担っています。

漁業権を取得するためには、まず漁業協同組合に加盟することが必要です。その後、研修を受け、漁業セミナーに参加して漁業権を取得します。

小型船舶操縦士免許

次に必要な資格は小型船舶操縦士免許です。漁業をするためには、漁場に出なくてはいけません。漁場に出る時に必要な船を運転するための免許が小型船舶操縦士免許です。

小型船舶操縦士免許では、総トン数20トン未満の船が運転できます。脱サラして、自営で漁師を目指す人には必須の資格といえるでしょう。
小型船舶操縦士免許にはいくつか種類があり、2級では海岸から5海里以内が操縦可能範囲です。1級になると除外される海域はあるものの、ほぼ全ての海域を操縦することができます。希望の漁業に合わせて資格を取得しましょう。

海上特殊無線技士免許

大海原では急な気候変動などでほかの漁師や漁業組合と情報交換を行う必要が出てきます。地上のように携帯電話が通じるわけではないので、無線で情報交換を行います。その時に必要な資格が海上特殊無線技士免許です。自分で船を運転する場合は取得しておくと良いでしょう。

海上特殊無線技士は第1級と第2級の2つに分けられ、どこまで漁業に行くかで取得すべき資格が変わってきます。日本沿岸や近海であれば第2級を取得しましょう。

漁師に向いている人

漁師に向いている人のイメージ

漁師は多くの時間を船の上で過ごすことになります。まずは船の上で長時間過ごしても良いと思える人が漁師に向いているといえます。そのほかにも漁師という仕事の特性上、向いている人の傾向がいくつかありますので、どのような人が漁師に向いているか紹介します。

体力がある

まず体力に自信がある人は漁師に向いているといえます。漁師は船の運転、漁具の積み下ろし、漁に用いる網や縄を使う作業、釣り上げた魚を漁船からおろすなど、かなりの力仕事になります。そのため、体力がなければ漁師は務まらないともいえるでしょう。

また漁師は漁に出て、魚を釣ってこなければ収入には繋がりません。日々体調を崩さず、毎日漁に出なくてはいけませんので、風邪を引かないような体力があるかも重要です。

生物学・気象学への関心が高い

生物学や気象学に関心を持っている人は漁師に向いています。漁は対象とする魚の特徴を把握することで、大漁に繋げられます。魚の生態や特徴を学ぶ生物学に関心がある人は、漁師として成功する可能性があります。

また大海原では一歩間違うと最悪の場合、命を落としてしまうかもしれません。天候が優れない場合は漁に出ないと判断するのも漁師として重要な務めです。気象学に関心を持っていると、天候の変化に敏感になり、漁師として安全に漁を行えるでしょう。

不規則な生活や船酔いに耐えられる

漁師はまだ暗い夜中に漁場で漁を開始し、お昼前には仕事が終わるスケジュールが一般的です。また遠洋漁業に出ると日に日にスケジュールも変わります。会社勤めの時と生活サイクルが異なるので、不規則な生活でも問題ない人は漁師に向いているといえます。

また体質によって乗り物酔いする人もいるでしょう。船の上では、特に荒波になるとかなり船が揺れてしまいます。揺れたなかでも船の操縦をしたり、漁をすることもあるので、船酔いに耐えられる人は漁師として活躍できるでしょう。

脱サラで漁師になるための手順

脱サラして漁師を目指すための手順について解説します。漁師として成功するためには会社員の頃から綿密に準備する必要があります。どのようなことから手を付けていけばいいのか迷う人もいるかと思いますので、これから紹介する手順を参考に準備を進めていってください。

情報収集をする

まずはじめに脱サラしてどのような漁師を目指すのかリサーチをしましょう。漁師と一口にいっても、沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業のいずれを目指すのか、またどのような働き方を希望するかによってやるべきことは変わってきます。いきなり小型船舶操縦士免許の取得をするのではなく、セミナーや求人を見て、自分の希望する漁師像をイメージしていきましょう。

脱サラして漁師を目指そうと決めたら、まず全国漁業就業者確保育成センターが実施する漁業就業者セミナーに参加しましょう。漁師の仕事について理解を深めることを目的とした、講義形式の座学セミナーです。現役の漁師が講師として登壇し、漁師の仕事の魅力や生活について生の話を聞くことができます。脱サラして漁師になった方が講師として登壇するケースもあり、経験談を聞けることもあります。過去に実施したセミナー動画を見ることもできるので、是非チェックしてみてください。

研修受講・漁業体験を積む

次に漁師として働くにあたって、研修や漁業体験を積みましょう。
これから漁師を目指す人に向けて、農林水産省が研修・漁業体験を提供しています。地域別に漁業を体験しながら研修を受けられる仕組みで、実際に体を動かしながら漁業を知ることができます。
また地域によって獲れる獲物や漁法が異なります。自身で調べるとともに、さまざまな地域で漁業体験を行うことで自分に合った漁場を見つけられるでしょう。場合によっては地元の漁師の家に宿泊できるので、コミュニケーションをとりながら、漁師の仕事をより深く知る機会にもなります。なかには漁業体験を機に、仕事のご縁に繫がることもあるようです。

必要な資格を取得する

情報収集や研修、漁業体験を積んで目指す漁師像が固まってきたら、必要な資格を取得しましょう。

紹介した漁業権をはじめ、小型船舶操縦士免許や海上特殊無線技士免許の取得準備を行います。小型船舶操縦士免許や海上特殊無線技士免許は細かく区分が分かれているので、必要な範囲の資格を取得するようにしてください。

求人を探す

必要な資格を取得したら、働く場所を求めて求人を探しましょう。ハローワークなどを通じて、求人情報を探すのも1つですが、おすすめは直接漁協や漁業会社にアプローチをすることです。漁業会社に就職、または弟子入りをして漁業のイロハを学んでいきましょう。

またお住まいによっては移住が必要になる可能性もあります。家族がいる場合は、事前に移住の可能性も伝え、家族の理解を得ておくようにしましょう。

計画的に貯蓄をしておくる

脱サラして漁師になるために、計画的に貯蓄をしておくことも重要です。漁師になったとしても、すぐに安定した収入が見込めるわけではありません。たまたま不漁の年に当たってしまったら、当面収入を得られない可能性もあります。

また魚の水揚げ作業をしているときに腰を痛めたり、病気をして療養しなくてはいけないかもしれません。独立すると雇用保険がないので注意が必要です。

独立すると何が起こるかは分かりません。特に家族を持つ人は家族を養わなくてはいけませんので、家族の理解を十分に得るとともに、家族への負担を最小限に抑えるようにしっかりと貯蓄をしておきましょう。

貯蓄の目安は収入がなくても3ヵ月から半年分は生活できる額があると安心です。もちろん、貯蓄はあるに越したことはありません。また近い将来に法人化を検討する場合は、法人化に向けた資金管理と計画をあらかじめ立てておくようにしましょう。

脱サラ漁師で失敗しないコツ

脱サラ漁師で失敗しないイメージ

脱サラして漁師になるために手順通りの準備をしても失敗してしまうこともあります。失敗しないために、押さえておきたいポイントを紹介します。

家族との生活が入れ違いになりやすい

漁師は不規則な生活リズムのため、家族となかなか顔を合わせられないかもしれません。事前に漁師のスケジュールを家族に説明し、理解してもらいましょう。

海上での仕事で危険がつきまとう

海上の仕事は常に危険がつきまとい、家族に心配をかけるかもしれません。この点も家族と話し合い、必要に応じて保険加入を考えましょう。

漁業量が不安定で、収入が安定しない

漁獲量は不安定で、収入が安定しない恐れがあります。貯蓄を十分にしたり、兼業も検討しましょう。

移住先に馴染めない

移住先の環境に馴染めない可能性もあります。移住する前に家族で足を運ぶなど、移住先に馴染めるか、不安がないか確認してみましょう。

これらのポイントを押さえて、事前に対策を立てておくと良いでしょう。

漁師になって大海原に出よう

脱サラして漁師になる人は多いですが、想像していたよりも体力が必要だったり、不漁に悩まされて挫折する人もいる仕事です。事前に研修やセミナーに参加し、漁師の仕事理解を深めましょう。

いざ漁師として大海原に出れば、都会では味わうことができなかった解放感や大自然を感じられるはずです。まさに漁師の醍醐味といえます。

今回紹介した漁師になるための手順や失敗のポイントを参考に、脱サラ漁師として成功を目指してください。

公開日:2022年01月27日

よくある質問

Q 漁師として一人前になるにはどれくらいの期間が必要ですか。 回答を見る
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