開業資金をクラウドファンディングで集める方法とは?流れやメリットも解説
最終更新日:2022年05月30日
クラウドファンディングは、オンライン上で多くの賛同者から支援を得られる方法です。今回は、開業資金を集める方法の一つであるクラウドファンディングについて、メリットや始め方、プロジェクトの流れについて解説します。開業資金調達にクラウドファンディングの利用を検討している方はぜひご覧ください。
目次
クラウドファンディングとは
「クラウドファンディング」は、インターネット上で不特定多数の人へ支援を呼びかけ、賛同者から資金を集める方法です。起案者は、クラウドファンディングサイト上でプロジェクトを開始し、内容や想いに賛同する人を募ります。支援者は、サイトを通じて資金を送って支援できる仕組みです。
クラウドファンディングの種類によっては、起案者からのお礼として商品やサービスをリターンとして送る場合もあります。
クラウドファンディングで開業資金を集めるメリット
クラウドファンディングを使って開業資金を調達する際には、主に4つのメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
利用条件が厳しくない
クラウドファンディングでは、個人法人問わず、サイト利用料などの費用なしでプロジェクトを申請できます。銀行融資などほかの資金調達方法に比べて利用条件が少ないため、個人でも気軽に利用しやすい点がメリットです。
多くのクラウドファンディングサイトでは、起案時にサイト利用料や登録料などの手数料がかからない完全成果報酬制を採用しています。プロジェクトのタイプによっては、支援額が目標金額を達成した場合のみプロジェクト成立となり、集まった資金のうち規定の割合をサイト側へ支払います。
無利息・無担保・無返済で調達できる
クラウドファンディングでの支援に対して、利息や担保、返済期限などは一切発生しません。集まった資金のうち、サイト上で決められた割合の手数料を支払った残りに対して使用方法の制限はなく、基本的に自由に活用できます。
支援者へのリターンを設定している場合は、お礼として商品やサービスの提供が必要ですが、それ以外の作業は特にありません。銀行融資や補助金のように書類の提出や報告義務などもないため、事業に集中しやすいでしょう。
広告宣伝効果がある
クラウドファンディングサイトでプロジェクトを公開することで、広告宣伝効果が見込めます。サイト上にはさまざまなプロジェクトが公開されており、多数のユーザーが訪問するため、多くの人の目に留まります。そのため、自社メディアやホームページだけで募集するよりも、より多くの支援を受けられる可能性がアップします。
また、PRサイトなどでプロジェクトを周知することも可能です。SNSなどでの定期的な情報発信と組み合わせることで、さらなる広告宣伝効果が期待できるでしょう。
専用サイトで簡単に利用できる
クラウドファンディングサイトは、誰でも簡単にプロジェクトを公開できるプラットフォームです。好きなクラウドファンディングのプラットフォームを選び、文章や画像、動画を入力するだけで、プロジェクトを開始できます。
自分で新たにWebサイトを立ち上げる必要がなく、専門的な知識がなくても手軽に利用できる点が魅力です。必要書類の準備や面談がある創業融資など、金融機関に比べてより手軽に資金調達をスタートできます。
クラウドファンディングで開業資金を集めるデメリット
クラウドファンディングにはメリットが多い一方で、デメリットもあります。場合によっては、ほかの方法で資金調達を行った方が有利なので、デメリットも押さえた上でクラウドファンディングを利用しましょう。2つの主なデメリットについて解説します。
調達時間がかかる
クラウドファンディングでは資金調達に時間がかかります。銀行融資の場合、申請から資金の融資まで平均約1ヵ月であるのに対し、クラウドファンディングの場合はサイト上での申請から入金まで4ヵ月前後が目安とされています。
支援者の募集期間を見込んだ上で、開業のタイミングから逆算してプロジェクトを開始するなど、計画的な実行が重要です。
掲載内容やリターンを入念に練る必要がある
クラウドファンディングで多くの人から支援を受けるには、プロジェクトやリターンが魅力的であることが重要です。掲載内容や支援者へのリターンを入念に練り、多くの人が支援したいと思えるプロジェクトになるよう工夫しましょう。
ありきたりな内容は避け、ユニークさやオリジナリティが伝わる表現を使うことも有用です。より多くの人から共感や賛同を得られるよう、経営プランや事業計画から熟考して準備しましょう。
クラウドファンディングで開業資金を集める流れ
ここからは、実際にクラウドファンディングを実施する流れを解説します。プロジェクトの準備からサイト掲載、支援者へのリターンの提供まで一連の手順を見ていきましょう。
1.プロジェクト内容を企画する
まず、資金を集めるためのプロジェクトの内容を決定します。事業内容やビジネスの目的を再確認し、いつまでにいくら集めるのか、具体的な目標やスケジュールを明確化しましょう。
並行して、支援額に応じたリターン内容の検討や、サイト掲載用のプロジェクト画像や動画といった素材集めにも手を付けておくとスムーズです。
2.クラウドファンディングサイトを選ぶ
プロジェクト内容を企画したら、利用するクラウドファンディングサイトを選びます。代表的なクラウドファンディングサイトを2つ取り上げるので、参考にしてみてください。
CAMPFIRE
CAMPFIRE(キャンプファイヤー)は、累計支援数が750万人を超える国内最大級のクラウドファンディングサイトです。個人規模から行政関係まで約6.5万件以上もの多彩な案件を扱っています。プロジェクト成立時の手数料が特に安い点も魅力です。
Makuake
Makuake(マクアケ)は、2013年8月にオープンしたクラウドファンディングサービスです。ガジェットから家電、映画などサービスまで幅広いジャンルの案件を掲載しています。過去には、折りたたみ式電動バイクで1億円以上を調達するなど、業界の記録的な成果を達成。応援購入という形で心のこもった支援がしやすいプラットフォームとして高い知名度を誇ります。
3.クラウドファンディングの種類を選ぶ
案件を掲載するサイトを選んだら、クラウドファンディングの種類を決定します。クラウドファンディングの形式は、主に4つに分けられます。それぞれの特徴やメリットをここで理解した上で、適した種類で支援を募ることが案件成功にもつながります。
購入型
購入型は、リターンとして商品やサービスを支援者へ提供するクラウドファンディング形式です。クラウドファンディングサイトでのほとんどの案件は購入型で、支援金額に応じたリターンを設定できます。
購入型は、さらに目標達成金額に到達した場合のみプロジェクト成立とする「All or Nothing型」と、希望金額の達成に関わらずプロジェクトが進行する「All In型」の2種類に分けられます。多くのクラウドファンディングサイトでは、案件登録時にいずれかを選びます。
支援者には、ほしい商品やサービスを先行割引価格で購入できるというメリットがあります。一方、起案者側にとってはリサーチや資金集めをしやすい点が特長です。
寄付型
寄付型は、文字通り寄付として支援金を集めるクラウドファンディングです。被災地や発展途上国への支援など、環境保全や業界支援を目的とした社会貢献度の高い案件が中心です。
基本的に支援者へのリターンはありませんが、寄附金控除などの税制優遇を受けられる場合があります。活動報告の公開やお礼の手紙やメールの送付などを通して、起案者側が誠意と感謝を伝えているケースも多く見られます。
国内では、東日本大震災や新型コロナウイルス流行のタイミングで、寄付型クラウドファンディングの利用が増加しました。募集期間を設定する一般的なプロジェクトタイプに加え、「Readyfor継続寄付」などのように毎月の寄付金を募集する形式も利用できます。
融資型
融資型は、複数の支援者から小口の資金支援を募り、大口化して融資するクラウドファンディングです。クラウドファンディングの事業者が仲介役となり、支援者は募集時に決められた利回りをリターンとして受け取ります。
融資型のクラウドファンディングを実施するには、金融商品取引法や第二種金融商品取引業などの登録が必要で、起案者の多くは法人です。CAMPFIREが手がける融資型専門サービス「CAMPFIRE Owners」にて、2019年9月〜2021年8月の取扱実績を基にした予定利回りは3~7%と公開されています。
通常の社債に比べて利回りが高い案件も多いため、投資家がまとまった金利収入を得られる可能性があります。一方で、借り手の法人が返済できない場合、元本が戻らないリスクも考えられます。
投資型(不動産・株式)
投資型は、特定の事業や企業への投資として支援し、投資金額に応じた分配金をリターンとするクラウドファンディングです。投資対象は不動産や株式などが一般的で、株主優待に近い性質があります。
株式投資型の場合、支援者は起案者である株式会社の未公開株式を受け取れます。ベンチャー企業やIPO、M&Aによる利益が見込める企業に投資すれば、大きなリターンが得られる可能性があります。
不動産投資型では、不動産購入や運営は運営会社に任せられます。運営者が劣後出資者として資金提供を行った場合、損失が出ても投資した支援者への影響を抑えられます。また、支援者はエンジェル税制により節税できる点もメリットです。
投資型クラウドファンディングの案件自体はまだ少ないものの、規模の大きなプロジェクトなどへの利用が期待できます。
4.プロジェクト公開~資金集め
クラウドファンディングの種類を決め、サイトへの申請が終わったら、いよいよプロジェクトを公開します。プロジェクト内容やリターンの魅力が伝わりやすいよう、テキストだけでなく画像やイラスト、動画を使って工夫しましょう。
また、プロジェクトを公開した後も、進捗状況の報告やSNSを使った宣伝などを定期的に行いましょう。「支援者〇〇人突破しました!」「目標達成まであと〇〇」など、積極的に情報発信することでより多くの人の目に止まります。
購入型などでリターンの数量上限に達した場合は売り切れとなりますが、目標金額を達成した後も募集期間いっぱいは支援が可能です。
5.支援者にリターンを送る
プロジェクト募集の期間終了後、あるいは目標金額を達成した後に、支援者にリターンを送ります。支援に対する感謝と誠意を込めて対応しましょう。集まった金額から規定の手数料を差し引いた残額が、手元に振り込まれます。
万が一目標を達成できなかった場合、購入型の「All or Nothing」タイプはキャンセルとなり、資金は支援者へ返還されます。未達成の場合でも、支援してくれた方へ感謝の気持ちを伝えましょう。
開業資金の集めやすさならフランチャイズもおすすめ
クラウドファンディングは、個人・法人問わず資金調達に使える方法です。利息や担保なしで利用できる上、宣伝効果も見込めるためビジネスをスタートする上でメリットも多いでしょう。ただ、リターンの設定や調達時間などのデメリットもあるので、よく考慮した上で利用する必要があります。
開業資金の調達方法として、フランチャイズも有用です。フランチャイズの場合、本部のブランド力で銀行からの融資を受けやすく、開業資金が集めやすい傾向があります。開業資金に不安があり、資金調達の方法を探している方はフランチャイズも検討しましょう。
事業アイデアを練ってクラウドファンディングに挑戦しよう
クラウドファンディングは、手軽に始められる資金調達方法の一つです。利息や担保がかからないなどのメリットがある一方で、支援者が集まらないリスクも十分にあります。プロジェクトを成功させるためには、継続的なPRやリターンの設定など工夫をして、より多くの人の賛同と支援を得ることが重要です。
事業アイデアを練った上でクラウドファンディングを利用し、スムーズな資金調達を成功させましょう。
公開日:2022年05月30日