フランチャイズ契約書を作成するには?収入印紙は必要?ポイントと注意点を解説

公開日:2022年05月30日

フランチャイズに加盟する際、絶対に手を抜いてはいけないのが契約書の作成・締結です。内容を理解せずに契約を結んでしまえば、加盟後に後悔する可能性もあります。本記事では、フランチャイズ契約書の内容について紹介するとともに、作成のポイントや注意点、収入印紙についてなどを詳しく解説していきます。

目次

フランチャイズ契約とは

フランチャイズ契約書を確認する際のポイント

フランチャイズ契約書を確認する際の注意点

まずは説明会や資料請求で情報を集めよう

フランチャイズ契約とは

フランチャイズ契約とは

フランチャイズ契約とは、個人または企業がフランチャイズ本部へ加盟して、本部からサポートを受けながら店舗を運営するビジネス形態です。

オーナーは、本部から商標を使う権利やノウハウを得る権利、研修を受ける権利などを得る代わりに、本部へロイヤリティを支払います。加盟金の金額や加盟期間、違約金のルールは本部によってさまざまです。

本部とオーナーが互いに合意した上でビジネスを進めるために、両者は加盟前に「フランチャイズ契約書」を締結します。

フランチャイズ契約書に記載される事項

自分の希望に合ったビジネスを運営するため、そして本部とトラブルなく店舗を運営するためには、フランチャイズ契約書の内容をしっかりと理解することが大切です。

加盟後に「知らず知らずのうちに契約を破ってしまっていた…」と後悔しないためにも、こちらではフランチャイズ契約書に記載される事項について詳しく解説します。

契約の概要

どの本部に加盟するにしても、下記のような契約の概要は必ず契約書に記載されています。

  • 契約の目的
  • フランチャイズチェーンの理念
  • 本部と加盟店の関係 など

上記の通り、本部へ加盟して店舗を運営することを許諾する基本的な事項がまとめられています。商品やサービスの概要、加盟店の経営責任について盛り込まれていることも多いです。

ブランドの使用許諾

フランチャイズへ加盟するメリットの一つに、本部の商標を利用した集客効果が挙げられます。この商標とは、本部の名称やロゴマーク、イラストなどのこと。契約書には、商標の利用方法や商標を利用できるエリアなどが記載されています。

なかには「商品を使用する前に、本部の承認を得ること」と記載している本部もあるので、どのような取り決めがあるのか必ず確認しておきましょう。

営業名と営業場所

下記の通り、営業名と営業場所に関する記載があります。

  • 本部の定めるブランド名で営業を行うこと
  • 本部が定める営業場所について

テリトリー権

テリトリー権とは、加盟店が出店した後、その地域内に同じフランチャイズチェーン店や直営店が出店しないよう制限すること。エリア内で同じチェーン店が営業すれば、自身の店舗の売り上げが下がる可能性もあります。このテリトリー権を加盟店側に付与するかどうかは、本部によって異なります。

また、出店が制限される対象がフランチャイズチェーンだけなのか、または直営店も含まれるのかなど、制限の範囲についても確認する必要があります。

契約期間

フランチャイズへ加盟して店舗を運営する場合、加盟できる期間が決められています。加盟期間が短すぎると、「売り上げが伸びてきたところで店舗を手放さなければいけない…」という事態に陥りかねません。そのため、初期投資が回収できる期間かどうかを本部としっかりと話し合うことが大切です。また、契約期間は自動更新となるのか、本部と話し合いの上で決まるのかなども確認しておきましょう。

契約解除の際の違約金

契約期間が短すぎると初期投資が回収できない恐れがありますが、反対に長すぎると「店舗運営をやめたいのにやめられない」という事態に陥るリスクがあるため注意してください。

契約期間満了前の解約を申し出た場合、中途解約として違約金が発生するケースも少なくありません。違約金の金額は、一定額があらかじめ指定されていることもあれば、「ロイヤリティ3ヵ月分」などの計算方式で決められることもあります。

本部への支払い

フランチャイズへ加盟すると、本部からサポートを受けるためにさまざまな費用を支払います。そのなかでもこちらでは、加盟金・保証金・ロイヤリティについて解説します。

加盟金

加盟金とは、フランチャイズ本部へ加盟するために最初に支払う費用のこと。金額は本部によって異なり、0円のところもあれば100万円を超えるところもあります。

契約書には、加盟金の金額のほかに支払時期や支払い方法、加盟金の対価などが記載されていることが多いです。本部によっては加盟金のなかに広告宣伝費や研修費が含まれていることもあるので、内容を確認しておきましょう。

また、加盟金は理由を問わず返還されないため、契約書にはその旨が記されていることも一般的です。

保証金

保証金とは、加盟店がフランチャイズ本部へ渡す「預かり金」のこと。

たとえばオーナーが本部へロイヤリティを支払わなかった場合、この保証金から費用が差し引かれます。契約書をチェックする際は、ロイヤリティの支払いだけでなく、ほかにどのような場合に保証金から費用が差し引かれるのかに注目してみてください。

契約書には保証金の金額、預ける期間・方法、差し引きされた後に追加で充当する必要があるのか、契約満了後の返還方法などが記載されることが多いです。

ロイヤリティ

加盟店は、本部へ毎月ロイヤリティを支払うことでさまざまなサポートを受けられます。契約書にはロイヤリティの金額や支払い時期のほか、算出方法についても記載されています。

算出方法は本部によって異なりますが、主に下記3パターンのいずれかだと考えて良いでしょう。

  • 売り上げや利益に関わらず固定の金額(定額方式)
  • 売り上げに一定の%をかけて算出(売上比例方式)
  • 利益に一定の%をかけて算出(利益分配方式)

ノウハウの提供と帰属

本部が加盟店に対して提供するノウハウや商標が、本部へ帰属することが記載されています。

店舗設計

フランチャイズ本部のブランドイメージや世界観を崩さないように、店舗の設計について厳密に定めている本部は珍しくありません。

内装・外装工事や設計、デザインについて本部の許可を得ること、そして工事の結果などについても本部の承認を得ることなどが指示されています。また、「店舗設計の際は本部が指定する業者を使うこと」を契約条件に盛り込んでいるケースもあります。

研修

どの加盟店でも同じ質のサービスを提供できるように、開業前に研修を行うフランチャイズ本部がほとんどです。契約書には、研修の費用や期間、場所などが記載されています。加盟金のなかに研修費が含まれているケースもあるので、研修費は別途で支払う必要があるのかチェックしておきましょう。

広告宣伝

フランチャイズへ加盟すると、本部のサポートを受けて広告宣伝活動ができます。研修と同様に、広告宣伝の内容や費用についても契約書で確認しておくことが重要です。

また、加盟店のオーナーのなかには自分でチラシを作成したり、看板を製作したりしたい方もいるかもしれません。ですが、本部のブランドイメージを守るために、オーナーの裁量で広告宣伝活動をすることが禁止されているケースもあります。そのためオーナーは、広告宣伝活動を自分の判断でどの範囲まで行って良いのか把握しておくことが不可欠です。

競業の制限

競業の制限とは、フランチャイズ契約中に得たノウハウをほかの事業に利用しないよう定めること。店舗を運営している期間中はもちろん、期間満了後にノウハウを使って新しいビジネスを始めることが禁止されているケースが一般的です。

秘密保持

秘密保持は、守秘義務という言葉に言い換えられることも多いです。フランチャイズ加盟中に得たノウハウや未公開の商品、本部の情報などを、許可なく第三者に公開しないことが定められています。加盟期間中はもちろん、契約満了後も秘密を保持しなければいけません。

合意管轄

合意管轄は、本部と加盟店がトラブルになり、裁判が起こった際の裁判所を定める項目です。

「専属的合意管轄」と「付加的合意管轄」の2つがあり、専属的合意管轄の場合は合意管轄条項に記載のある裁判所しか認められません。一方、付加的合意管轄の場合は、民事訴訟法に基づいて定められる裁判所と合意管轄条項で定められる裁判所のいずれかで裁判を行うことになります。

連帯保証

フランチャイズ本部によっては、加盟店のオーナーに連帯保証人を求めるケースがあります。オーナーが本部のブランドに損害を生じさせた場合や、費用の支払いが滞った場合の連帯保証人の賠償義務を定めます。

フランチャイズ契約書を確認する際のポイント

フランチャイズ契約書の内容をよく理解せずに締結してしまえば、自分の納得のいくビジネスができず後から不満を覚えたり、不要なトラブルを起こしてしまったりするリスクがあります。

そこでこちらでは、フランチャイズ契約書を確認する際の重要ポイントを3つまとめているので、どのような点に注目すべきなのか押さえておきましょう。

テリトリー制の有無

先述の通り、テリトリー制の有無は売り上げに大きく影響します。せっかく好立地に出店したのに「ほかの加盟店や直営店が後から出店して、期待してた売り上げが見込めなかった」という本部と加盟店のトラブルは少なくありません。

そのため契約書を確認する際は、テリトリー制が適用されるのかどうか、そして適用される場合は加盟店だけでなく直営店も含まれるのかについてしっかりと確認する必要があります。

また、ひとまとめにテリトリー制といっても、同じエリア内に出店できる店舗数の上限を定めていたり、開業してから一定期間経過後はほかの加盟店の出店を許可していたりするケースもあります。どのような条件下でテリトリー制が有効となるのか、内容をチェックしておきましょう。

ノウハウの内容と提供方法

ノウハウの内容や提供方法は、フランチャイズ本部によってさまざまです。数ヵ月間の手厚い研修を行う本部もあれば、研修期間が短くマニュアルを提供して終わりという本部もあります。

「高い費用を支払ったのに、提供されるノウハウが不十分だった」と後悔しないためにも、ノウハウの内容と提供方法についてはしっかりとチェックしましょう。

また、加盟前は目先の開業準備にだけ目が行きがちですが、開業後にどのくらい手厚く経営指導や店舗運営指導をしてくれるのかについてもよく確認しておくと、本部との不要なトラブルを避けられます。

本部へ支払う金額と計算方法

契約書のなかでも、金額に関する項目はぬかりなくチェックしたいポイントです。特にロイヤリティの算出方法には定額方式・売上比例方式・利益分配方式の複数パターンがあり、本部によって異なるので、納得のいく方式の本部を選ぶ必要があります。

また、加盟金が安いことに惹かれて加盟を決めたものの、実際は加盟金以外の費用が高額で、トータルで見ると想定より費用が高くなるケースも珍しくありません。そのため契約書を確認する際は、何の項目にいくら費用がかかるのかを理解し、トータルでいくらの出費となるのか把握することが大切です。

フランチャイズ契約書を確認する際の注意点

フランチャイズ契約書を確認する際の注意点

契約書の内容に見落としがあれば、後から思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。特に注意したいポイントが、禁止事項と違約金の項目です。

違約金が発生する代表的な例としては、秘密保持義務を破り第三者に情報を漏らすこと、契約期間を満了せず中途解約することなどが挙げられます。

ただ、そのほかにも本部によって独自の禁止事項を設けている場合もあるので、禁止事項の内容と違約金についてしっかりと確認しておくようにしましょう。契約書を見てよく分からないときは、その場で本部に説明を求めることも大切です。

まずは説明会や資料請求で情報を集めよう

フランチャイズに加盟してビジネスを始めたい方は、まずは説明会に参加してみてはいかがでしょうか。会社の概要やフランチャイズシステムについて詳しく知れるほか、イメージビデオ・資料による説明を通して自分が経営している姿を具体的にイメージできます。

また、本サイト(フランチャイズ比較ネット)を通してフランチャイズ本部の資料を請求できるので、気になる会社の情報をぜひ集めてみてください。資料で加盟先本部をいくつかピックアップしてから、本部へ問い合わせをしてみるのもおすすめです。

よくある質問

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