副業の確定申告をしてない人は多い?確定申告をしないリスクを解説

最終更新日:2023年03月10日

副業の収入が一定以上ある人はフリーランスや個人事業主と同じように所得税の確定申告が必要になります。しかし、「忙しくて面倒」「たいして収入はないのにやらなければいけないの?」と思う人もいるのではないでしょうか。また、20万円以下ならば確定申告をしなくてもいいと言われますが、本当でしょうか。

もし、確定申告をしていない場合、どうなるのかリスクについて見ていきましょう。 

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目次

副業の確定申告をしてないとどうなるか

副業の確定申告をするメリット

副業の確定申告漏れがバレるのはなぜ?

副業の確定申告にまつわる注意点

副業の際は必ず確定申告を行おう

副業の確定申告をしてないとどうなるか

副業はさほど収入がないということから、確定申告をしなくても良いと思っている人もいるかもしれませんが、多くの場合、副業の確定申告は必要になります。確定申告をしないと税金の無申告状態になり、さまざまなリスクを背負うことになります。無申告の場合、どういう問題が発生するのか具体的に解説します。

脱税となり追加徴収される

確定申告は所得税や住民税の計算をして、納付するために行うものです。確定申告をしなければ、所得税と住民税が未納付となり、知らぬ間に脱税をしてしまう可能性があります。

所得税について納税の義務を怠った場合は、税務署から連絡が入りペナルティを受けることになります。

税務署はさまざまな書面などで期限内の正しい申告と納税を促し、期限内の正しい申告がなければ法令の規定に基づいて、加算税、延滞税が科される場合があると告知しています。

加算税は過少申告、無申告、不納付に対するペナルティ的な追加の税金で、延滞税は払わなかった税金に対する利息に相当します。
加算税にはいくつかの種類があり税率は異なってきます。加算税の種類と税率は以下の通りです。

加算税の種類 税率
無申告加算税 自主的に期限後申告をすれば5%、税務署から指摘された場合は50万円までは15%、50万円を超えると20%となります。
過少申告加算税 ミスに気付いて自ら修正申告した場合は科せられることはほぼありません。税務調査で間違いが見つかった場合には基本的には10%~15%です。
不納付加算税 自主的に納付する場合は5%、税務署から告知された場合は10%が加算税となります。
重加算税 脱税とされた場合、無申告は40%、過少申告は35%となります。

延滞税は以下の通りです。

延滞税の種類 税率
納付期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで 原則として年7.3%ですが、延滞した期間により延滞税は変わります。令和4年1月1日~令和12月31日は2.4%です。
納付期限の翌日から2ヵ月を超えた場合 原則として年14.6%ですが、延滞した期間により延滞税は変わります。令和4年1月1日~令和12月31日は8.7%です。

ただし、確定申告を忘れたことに気づき、一定の条件を満たせば無申告加算税が科されないこともあります。一定の条件とは、申告期限の1ヵ月以内であり、納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付し、過去5年の間に無申告加算税または重加算税を課されていない場合は、加算税はとられない可能性があります。

また、住民税については市区町村から未納についての連絡が入ります。延滞金がかかる場合もあり、2022年の場合、納期限の翌日から1ヵ月間は2.4%、1ヵ月以降は8.7%です。

会社にバレて処分を受けるリスクがある

副業の会社は税務署に対して、誰に対していくら報酬を支払ったかについて申告しています。それにもかかわらず、報酬を受けた側が確定申告をしていないと税務署から会社に確認の連絡が入ります。

会社としては無申告をしている社員には信用がおけないと考えるため、以降の業務に影響が出る可能性はあります。就業規則によりますが、会社によっては無申告の社員に対し処分をするかもしれません。

社会的信用がなくなる

確定申告を期限内にしないと社会的信用も失います。行政サービスが受けられなくなったり社会保険料などの減免が受けられなくなったりします。

また、確定申告をしていないと売り上げが確定していないことになり、自動車や住宅のローンが組めない場合もあります。賃貸物件を借りる場合にも確定申告書は必要です。

無申告だけではなく、うっかり期限に遅れた場合でも社会的信用を損なう場合があるので、速やかに申告をするようにしましょう。

副業の確定申告をするメリット

副業の確定申告を行うもっとも大きなメリットは、納税が正しく行えるということでしょう。確定申告をすることで改めて住民税に関する申告をする必要もなくなります。

また、発注元の会社が源泉徴収している場合は、払い過ぎた所得税が返ってくる可能性があります。

源泉徴収は報酬から所得税分を引き、個人に代わって会社が納税するシステムです。しかし、その税額は経費や控除額を引く前の報酬を基に計算しているので、実際の所得税より多めに払っている状態となっています。確定申告で正しい所得税額を計算すれば、人によっては差額分が返ってきます。

副業の確定申告漏れがバレるのはなぜ?

副業の確定申告漏れがバレるのはなぜ?

ところで、確定申告をしないとなぜ税務署にバレるのでしょうか。「きっとバレないから大丈夫」と思っていても、税務署はあらゆる方法で調査して無申告の人を見つけることができます。

また、確定申告をすると本業の会社に副業がバレるという話もありますが、どのようにバレてしまうかについても解説します。

住民税

副業を本業の会社に隠して起きたいという人もいるでしょう。しかし、確定申告をすると住民税に関する連絡が本業の会社にいくため、副業を隠していたとしてもバレてしまいます。

本業分と副業分の住民税を分けて納付する方法もありますが、役所が誤って本業の会社に連絡してしまう可能性はあります。

確定申告をしなかったとしても、同僚からのうわさなどで副業はバレてしまうこともあるでしょう。

支払調書

税務署に無申告がわかってしまうケースとしては、副業で働いた先が作成する支払調書によるものが多くあります。

支払調書は正式には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」といい、報酬、料金、契約金、賞金の支払いをしたものが、税務署に提出を義務付けられている書類です。

税務署は支払調書を見れば、会社が1年間に「いつ」「誰に」「いくら」払ったか、全て分かるようになっています。支払調書に記載されていながら、確定申告をせず所得税を払っていなければ、すぐに税務署は気づいてしまうのです。
### 税務調査
税務調査は税務署が正しい税務申告が行われているかをチェックする調査のことです。虚偽、計算ミスなどをチェックしていきます。

額の大きな脱税では強制調査が行われますが、多くの個人対象の税務調査は任意調査となっています。任意調査では事前通知のうえ、質問事項への回答や帳簿などの書類の提出を求めます。

任意とはいえ、帳簿や銀行口座以外にも国税庁はさまざまな調査ができるため、意外なところから副業がバレる可能性はあるのです。調査のプロがチェックしているので、無申告も簡単に知られてしまいます。

銀行口座のお金の動き

税務署が調査する方法としては、銀行口座の出入金に関するチェックもあります。

税務署は税務調査に必要な範囲であれば、銀行口座のお金の動きを調査できます。税務署に申告していない入金がたびたびあれば、簡単に副業による収入がわかってしまいます。

税務署と銀行側で調査が進むため、自分は気づいていなくてもある日突然、無申告がバレたことを知るケースもあるでしょう。

一般取引資料せん

少し耳慣れない言葉ですが一般取引資料せんでも、確定申告をしていないことがわかってしまいます。

税務署は、法人や個人の事業者に対して、適性で公平な課税のために売り上げや仕入れ、費用、リベートなどに関する資料の提出を求めています。その資料を税務署では資料せんと呼んでいます。

一般取引資料せん事態は無申告を調べるためのものではありませんが、事業の状況を知られることとなり、無申告がバレる可能性があります。

以上のほかにも、無申告は不動産の購入時や知人などからの情報提供などでもわかってしまう場合があります。後から加算税などがかからないようにするためにも、適切な申告を行ってください。

副業の確定申告をする方法

確定申告をするにはまず、1年間のご自身の所得種類や所得額、必要経費を計算します。税務署から確定申告書をもらい、必要事項を記入し、事業場所を管轄する税務署に提出します。確定申告書は税務署以外に、市区町村の本庁舎や出張所、サービスセンターにも置いてあります。

確定申告票には簡単にできる白色申告と、控除額が大きい青色申告があります。また、ネットを通じて申告ができるe-TAXなどもあるので、一番都合のいい方法を選んでください。

副業の確定申告方法は、次の記事で詳しく解説しています。
副業の確定申告はいくらから必要?副業時の確定申告のやり方や基本

副業の確定申告にまつわる注意点

副業の確定申告にまつわる注意点

副業で収入のある人が確定申告をする際に注意したいポイントを紹介します。「20万円以下なら申告の必要はない」「1年間逃げ切れば大丈夫」などの情報を信じてしまい、無申告を続けると失敗することもあるので気を付けてください。

住民税の申告は20万円以下でも必要

所得額が20万円以下の場合、確定申告はしなくても良いことになっています。所得額とは収入から経費や控除を引いた額になります。

しかし、20万円以下でも住民税がかかるため、住民税を確定させるための確定申告は必要になります。

住民税についてのみ、地方公共団体へ申告する方法もありますが、所得税の確定申告で住民税の申告もまとめて行ったほうがスムーズでしょう。また、医療費控除やふるさと納税の寄付金控除などを受けたい場合も、確定申告をしなければなりません。

そのほかにも、複数箇所から20万円以下の少額の副業収入を得ている場合でも合計額が20万円を超えれば、確定申告の必要があるので注意してください。

数年後にまとめて追加徴収されることもある

何も言われないからいいだろうと放置してしまうと、数年後にまとめて未納だった税金徴収と加算税、延滞税を請求される場合があります。

1年間、逃げ切れば時効になると思う人もいるようですが、税務調査は原則3年、最長で5~7年までさかのぼって調べられるので注意してください。 

3年分の所得税、加算税、延滞税を一度に払うのは厳しいものです。そうならないためにも確定申告をしておきましょう。

副業の際は必ず確定申告を行おう

周囲で副業をしている人は確定申告をしていないから、自分もやらないという人もいるかもしれません。しかし、税務調査や銀行口座のお金の動きなどで税務署に簡単にバレてしまいます。バレた場合、申告しなかった分の所得税のほか延滞税もとられるので、気を付けるようにしましょう。人のことは気にせず、期限までの申告ルールを守って副業を行うようにしてください。

公開日:2022年06月25日

よくある質問

Q 2社から給与を受け取っていますが、両者とも年末調整をしてもらうことはできるのでしょうか。 回答を見る
Q 会社から支払調書が届かないのですが確定申告はできるでしょうか? 回答を見る

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