事業主控除とは?個人事業主の確定申告で知っておきたい事業税の基礎知識

最終更新日:2021年04月30日

一定の収入を超えた個人事業主は、個人事業税を納付しなければいけません。
この個人事業税額に大きく関わる「事業主控除」は、個人事業主が必ず押さえたい重要なポイントです。

こちらでは、事業主控除とは一体何なのかを説明するとともに、個人事業税の税率や納付方法、納付時期などをまとめています。

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目次

まずは、個人事業主の税金についておさらい

事業主控除とは

個人事業税について

確定申告前に事業主控除の正しい知識をつけよう

まずは、個人事業主の税金についておさらい

個人事業主の税金にはどのような種類があるのか、そして控除とは一体何なのかなど、こちらでは確定申告前に知っておきたい税金の基礎知識を解説しています。

個人事業主の税金の種類

個人事業主の税金は大きく分けて所得税、住民税、個人事業税の3つあり、条件によっては消費税も納める必要があります。

所得税

所得税とは、1月1日~12月31日の期間で得た所得に対して課せられる税金のこと。所得には事業所得や不動産所得などがあり、所得が高いほど納める税金が多くなる仕組みです。所得税は個人事業主が自ら計算し、申告後は決められた期間内に納めなければいけません。

住民税

住民税はお住まいの都道府県や市区町村に納める税金で、前年の所得によって納税額が決まります。支払いタイミングは6月・8月・10月・1月の年4回ありますが、一括で納めることも可能です。

個人事業税

個人事業税は、事業を運営する上で利用する行政サービスに対して課される税金です。こちらの個人事業税については、後ほど詳しく説明します。

消費税

消費税は前々年の売上高が1,000万円を超える場合に課税される税金で、開業から3年以上経っている事業主が対象です。たとえ開業から3年以上経っていたとしても、売上高が1,000万円以下の場合は基本的に納税義務はありません。

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税金の控除

控除とは「差し引くこと」を意味し、大きく分けて所得控除と税額控除の2つあります。

まず所得控除には医療費控除や生命保険料控除などがあり、通院でかかった費用や生命保険料を所得から一定金額差し引けます。

一方、税額控除には住宅ローン控除などがあり、所得控除とは違い最終的に算出された所得の税額から直接差し引けるのが特徴です。

控除を利用すると所得が低くなるため節税に効果的ですが、個人事業主が自ら申告しなければ適用されないため注意してください。

事業主控除とは

事業主控除とは、個人事業税を計算する際に差し引ける一律290万円の控除のことです。

収入から290万円がそのまま差し引かれるため、そもそも収入が290万円に満たない場合は個人事業税の納税義務は発生しません。

また、営業期間が1年に満たない個人事業主の場合は月額割となり、例えば営業期間が半年間であれば145万円、3ヵ月間であれば72.5万円が控除されます。

個人事業税について

こちらでは、個人事業税の申告や税率、算出方法、納付方法などをまとめています。
また、納税の猶予が認められるケースについても触れているので、もしもの際に備えて知識をつけましょう。

個人事業税の申告は必要?

個人事業主として一定以上の収入がある方は、確定申告を行う必要があります。

個人事業税額は確定申告で提出した資料をもとに決められるため、個人事業税の申告だけ別途で行う必要はありません。

確定申告書Bに「事業税に関する事項」の欄があるので、この項目に必要事項を忘れず記載しましょう。

法定業種と税率

個人事業税が課されるのは、法律で定められた70種の法定業種です。
そのため自身の業種が該当するのか調べておくと良いですが、基本的にはほとんどの業種が該当すると考えて良いでしょう。

また、下記の通り業種によって税率は3~5%変わります。

区分および事業の種類 税率
第1種事業(37種)
物品販売業/運送取扱業/料理店業/遊覧所業/保険業/船舶定係場業/飲食店業/商取引業/金銭貸付業/倉庫業/周旋業/不動産売買業/物品貸付業/駐車場業/代理業/広告業/不動産貸付業/請負業/仲立業/興信所業/製造業/印刷業/問屋業/案内業/電気供給業/出版業/両替業/冠婚葬祭業/土石採取業/写真業/公衆浴場業(むし風呂等)/電気通信事業/席貸業/演劇興行業/運送業/旅館業/遊技場業
5%
第2種事業(3業種)
畜産業/水産業/薪炭製造業
4%
第3種事業(30種)
医業/公証人業/設計監督者業/公衆浴場業(銭湯)/歯科医業/弁理士業/不動産鑑定業/歯科衛生士業/薬剤師業/税理士業/デザイン業/歯科技工士業/獣医業/公認会計士業/諸芸師匠業/測量士業/弁護士業/計理士業/理容業/土地家屋調査士業/司法書士業/社会保険労務士業/美容業/海事代理士業/行政書士業/コンサルタント業/クリーニング業/印刷製版業/その他の医業に類する事業(あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復)/装蹄師業
5%
※その他の医業に類する事業(あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復)、装蹄師業に関しては税率3%

算出方法

個人事業税額は、下記の計算方法で算出できます。

個人事業税額 =(収入 - 必要経費 - 専従者給与 - 各種控除 - 290万円)× 税率

必要経費には、業務で発生した費用が含まれます。事務作業で使うボールペンの購入代や出張時の交通費、広告宣伝を外注した際の外注工賃などは全て必要経費です。

また、専従者給与とは家族従業員に支払う給与のこと。配偶者や親類と事業を運営している場合は、その際の給与も差し引いて問題ありません。

そのほか、各種控除や事業主控除の290万円を差し引き、最後に業種ごとの税率を乗じたものが個人事業税額となります。

納付方法

個人事業税の納付方法は、主に下記の通りです。

  • 口座振替
  • クレジットカード納付
  • コンビニエンスストアで支払い
  • スマートフォンの決済アプリ
  • ペイジー対応ATM(ペイジーマークが付いている納付書のみ)

個人事業税の納付時期は8月と11月の年2回と決められているので、忘れずに納付手続きを済ませましょう。

申請すれば納付の猶予が認められるケースも

下記の条件に当てはまる場合、個人事業税納付の猶予が認められるケースがあります。

  • 自然災害や人為的災害(爆発やテロなど)、盗難などによって財産が影響を受けたとき
  • 自身または生計をともにする相手に疾病が発生したとき
  • 事業を休廃業しているとき
  • 事業が著しい損失や損害を受けているとき
  • 課税するタイミングが本来の納税期限から1年以上経っているとき

上記の条件に該当すると1年以内での分割払いが認められる可能性があるので、個人事業税の支払いで困ったときは管轄の税務署に相談しましょう。

確定申告前に事業主控除の正しい知識をつけよう

特に開業後初めて確定申告をする個人事業主にとって、事業主控除はあまり馴染みがない言葉に感じるかもしれません。

事業主控除は最大290万円差し引くことができ、節税に大きな影響を与える控除なので、自身がどのくらい節税できるのか調べてみるのがおすすめです。

また確定申告や納税に備え、事業主控除以外にどのような控除があるのか、個人事業税の納付にはどのようなルールがあるのかを押さえ、確定申告や納税に備えましょう。

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公開日:2021年04月26日