副業でも開業届は必要?会社員の提出メリットとデメリットを紹介

最終更新日:2023年03月10日

副業であっても事業を展開している場合は、開業届を提出する必要があります。今回は、副業で開業届が必要な理由や、会社員が開業届を提出するメリット・デメリットなどを解説します。開業届を出すと会社に副業をしていることがバレるのかどうかについても紹介しているので、副業で開業届の提出が必要な方はぜひ参考にしてください。

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目次

開業届とは?

会社員が副業で開業届を提出するメリット・デメリット

開業届を出すことで副業はバレる?

副業の開業届についてまとめ

開業届とは?

開業届は個人事業主が事業の開始・廃業や事務所の新設・増設・移転・廃止を申請するための書類です。個人事業主は事業を行う個人を意味する言葉で、法人としてではなく、個人として事業を始める人を指します。開業届の正式名称は個人事業の開業・廃業等届出書です。

開業届を提出するタイミングは、事業を開始する日から1ヵ月以内の提出が所得税法第229条で定められています。事業の開始以外の理由で開業届を提出する場合は、変更日から1ヵ月以内を目安に申請の準備を進めておく必要があります。ただし、提出期限が土日・祝日の場合はその翌日までに提出すれば問題ありません。

開業届の提出先は事業所を管轄する税務署です。書類は税務署長宛とし、税務署の窓口や郵送、e-Tax(インターネット)で提出しましょう。税務署に開業届を提出しない場合でも、罰則が科されることはありません。そのため、個人事業主であっても開業届を提出していない方もいます。

副業が「事業」に当たる場合は開業届の提出が必要

開業届は事業を開始する個人に提出が定められていますが、会社員が事業に当たる副業を行った場合でも、開業届の提出が求められるケースがあります。前提として理解しておかなければならないことは、開業届を提出する上でフリーランスと会社員のどちらであっても大きな違いがない点です。事業に該当する仕事の一例は以下の通りです。

  • 本業とは別にフリーランスとして継続的に仕事を請け負っている
  • オンライン講師として定期的に授業をしている

一方、事業に該当しない副業には次のようなものが挙げられます。

  • 自宅の不用品をフリマアプリに出品して利益を得る
  • 趣味の一環として動画を配信し、広告収入を得るなど

つまり、事業とは、一時的ではなく継続して仕事をすることを意味しています。

会社員が副業で開業届を提出するメリット・デメリット

会社員が副業で開業届を提出するメリット・デメリット

会社員が開業届を提出すると、雑所得として扱われる副業が事業所得や不動産所得で申告できるようになります。会社員が開業届を提出した場合、どのようなメリット・デメリットがあるのか以下で詳しく解説します。

副業で開業届を提出するメリット

会社員が開業届を提出すると、青色申告特別控除や赤字の繰り越し、損益通算などのメリットが得られます。

最大65万円の青色申告特別控除を受けられる

確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。白色申告とは、事業所得や不動産所得、山林所得がある仕事をしている全ての方が対象です。記帳方法は簡単で手間は多くかかりませんが、節税効果はありません。

青色申告をした場合、青色申告特別控除を受けることができます。青色申告特別控除は申告する事業所得・不動産所得・山林所得に対し、最大で65万円が控除される制度です。ただし、65万円の青色申告特別控除を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 所得にかかわる取引を複式簿記に全て記帳している
  • 上記の記帳をもとに損益計算書と貸借対照表を作成して確定申告書に添付している
  • 法定申告期限内にe-Taxで青色申告をしている

青色申告特別控除を受けられれば、節税効果が期待できます。

参考:国税庁|個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について,国税庁|No.2070 青色申告制度

最長3年赤字を繰り越せる

個人事業主が青色申告をする場合は、最長で3年間赤字の繰り越しができます。一般的に、純損失の繰り越しと呼ばれています。たとえば、事業を開始した初年度の売り上げが少なく赤字を出してしまった場合は、翌年度から3年間のみ初年度の赤字計上が可能です。翌年度以降に黒字が出れば初年度の赤字と相殺できるため、節税につなげられます。

副業で得た所得を雑所得として白色申告した場合は、赤字が出ても赤字の繰り越しは認められていません。赤字の繰り越しは青色申告をした人のみが得られるメリットです。

損益通算できる

損益通算は、青色申告の対象となる所得に赤字が出た場合、損失額をほかの所得や所得の合計金額から控除できる制度をいいます。特定の所得で赤字が出ても、別の区分の所得が黒字であれば相殺できるため、所得税の節税につながります。

家族に支払った給与を経費にできる

白色申告と青色申告では、家族に支払った給与を事業専従者給与として経費に計上できます。白色申告は家族に支払った給与の一部しか計上できませんが、青色申告なら給与の全額を経費として申告することが可能です。

家族に支払った給与の全額を経費に計上できれば、節税が期待できます。生計を一にする親族や配偶者などに支払った給与が対象です。

家族に支払った給与を事業専従者給与として経費に計上するためには、次の条件を満たす必要があります。

  • 青色事業に携わった家族や親族に支払われた給与である
  • 管轄の税務署長宛に青色事業専従者給与に関する届出書を提出している
  • 届出書の記載方法によって記載金額の範囲内の給与が支払われている
  • 青色事業専従者給与の金額は労務の対価として相当であることが認められている

ただし、労務の対価として過大であると判断された場合は経費に認められないため注意しましょう。

屋号の銀行口座を作れる

会社員が開業届を提出した場合、事業所や屋号の名義で金融機関の口座を開設できます。個人名でなく屋号の銀行口座があれば取引相手に信頼感や安心感を与えられるため、取引もスムーズに進められます。

また個人名義の銀行口座と区別できるため、生活費などのプライベートのお金は個人名義の銀行口座での管理が可能です。事業の売り上げや経費などは屋号の銀行口座を利用できるので、帳簿などの管理がしやすくなるでしょう。屋号の銀行口座と会計ソフトを連携すれば入出金のデータが自動的に取り込まれるため、経理業務を効率化できます。

副業で開業届を提出するデメリット

会社員が副業で開業届を提出した場合、失業手当が受けられなくなったり複雑な帳簿の記帳が必要になったりするなどのデメリットが出てきます。

失業手当が受けられない

失業保険は、自己都合や失業によって会社を退職した場合に失業手当を受給できる公的保険制度です。失業手当は失業後の生活と再就職を支援するためのもので、再就職を求める人が対象になります。

しかし、開業届の提出後に会社員を退職しても失業手当は受けられません。なぜなら、開業届の提出によって個人事業主として事業を開始したことになるため、失業状態にあると見なされないからです。

仮に、副業で事業所得がない場合でも失業手当を受け取ることはできません。ただし、失業手当の申請はできませんが、受給資格を満たしていれば個人事業主でも再就職手当を申請できる場合もあるので、管轄のハローワークに確認すると良いでしょう。

青色申告の場合は帳簿の記帳が煩雑

白色申告する場合は日々の売り上げや仕入れ、経費などの金額と、取引の日付、取引先の名称、取引金額などを記載する必要があります。帳簿への記帳は日付順に合計金額をまとめて記載できるなど、比較的簡単なルールが認められています。一方、青色申告を選んだ場合は、複式簿記による帳簿の記帳が必要です。

複式簿記とは、取引ごとに借方(左)と貸方(右)に分けて勘定科目や金額などを記帳する方法です。複式簿記では取引内容を記載する総勘定元帳や残高金額などを試算する試算表、決算時に必要な貸借対照表と損益計算書などの帳簿を作成しなければならないため、会計処理が煩雑になり手間がかかります。

開業届を出すことで副業はバレる?

開業届を出すことで副業はバレる?

会社に内緒で副業をしている場合、開業届を税務署に提出しても会社に副業をしていることはバレません。開業届を提出しても会社に副業をしていることがバレない理由について以下で解説します。

副業がバレない方法はある?会社にバレる仕組みと対処法を解説

開業届を出しても副業はバレない

会社員が副業で開業届を提出しても、会社に副業をしている事実がバレることはありません。なぜなら開業届の提出は、あくまでも個人事業主として事業を開始することを税務署に申告するための手続きだからです。税務署に開業届を提出しただけでは、開業の事実が勤務先の会社に伝わる心配はありません。

ただし、住民税の金額が会社に通知されると、副業がバレる可能性があるので注意が必要です。

住民税から副業がバレる可能性が高い

会社員が副業で年間20万円以上の所得が発生した場合は確定申告が必要です。開業届を提出した場合は所得の有無にかかわらず青色申告が必要なため、勤務先の会社に副業をしている事実がバレる可能性が高くなります。

確定申告書には給与以外の所得によって課税される住民税を、会社ではなく自分のみに通知する普通徴収を選択できます。その場合、通知された住民税は自分で納付しなければなりません。

副業をするなら会社の許可を得るのが安心

住民税の通知で会社に副業がバレるかどうかが気になるなら、事前に会社の許可をとっておくと安心です。会社員の副業は企業ごとに対応が異なり、副業を許可している会社もあります。副業が禁止されている場合、会社に副業がバレると懲戒処分といったペナルティを受ける恐れもあるので注意が必要です。

副業の可否については会社の就業規則に記載されているため、確認しておきましょう。就業規則を見ても分からない場合は、上司に相談することをおすすめします。

副業の開業届についてまとめ

副業が事業に当たる場合は、管轄の税務署長宛に開業届を提出する必要があります。開業届を提出しなくても罰則の心配はありませんが、提出すれば最大65万円の青色申告特別控除や赤字の繰り越し、損益通算などのメリットが得られます。

開業届の提出によって副業の事実が勤務先の会社にバレることはないものの、住民税の通知でバレる可能性もあるので注意が必要です。

公開日:2022年09月26日

よくある質問

Q 開業届はいつまでに提出すれば良いですか? 回答を見る
Q 副業で開業届を出すメリットはなんですか? 回答を見る

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