開業届はいつどのタイミングで出せばいい?届出の仕方と必要書類とは

最終更新日:2020年05月15日

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法人を設立した時には法人設立届書を提出します。
それと同様に、個人事業を開始する場合には開業届を提出する義務があります。
しかし、この開業届をどのタイミングで出せばいいか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、開業届を出すタイミングや届出の仕方、必要な書類など
詳しく解説していきます。

目次

開業届とは?どんなもの?

開業届を出すのはどこ?タイミングは?

開業届を提出するときの必要書類は??

開業届を出すメリットは何?

開業届を出すデメリット

もし確定申告をしていなかったら

まとめ

開業届とは?どんなもの?

開業届は提出を行うことで「私は個人事業主です」と宣言する書類。
正式な名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。

具体的には、以下のような書類になっています。

個人事業の開業・廃業等届出書

引用:国税庁HP

この開業届は提出する義務はあるものの、未提出に対する罰則は現在のところない、といった少し特殊な書類です。

罰則がないことから、未提出の場合でも特にお咎めはありません。
とはいえ、義務がある以上、個人事業主としては開業届を提出しなくてはならないのです。

また、開業届を提出すると確定申告に必要な申告書や決算書などの書類も送付してもらえます。

開業届を出すのはどこ?タイミングは?

所得税法第229条によると開業届は業務開始後1か月以内に提出しなくてはいけません。
提出先は管轄の税務署で行い、宛先は納税地を所轄する税務署長。

主に以下のようなときに開業届の提出を行います。

・新たに事業を開始したとき
・事業用の事務所・事業所の新設や増設・移転・廃止したとき
・事業を廃止したとき

開業届けと言いながら、先程お伝えしたように正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」なので「廃止時」にも提出を行います。

提出は税務署に足を運んでもいいですし、郵送やe-Taxからでも可能です。
いずれの場合も、手続きは書類の記入だけで手数料は特にかかりません。
また、出期限が土日祝日にあたる場合は、翌日以降の最初の平日が提出期限になります。

ただ、多くの方が悩むのは開業届に書く開業日です。
個人事業主の場合は開業日に明確な決まりがなく、開業日の日付をいつにすればいいか悩んでしまう方も少なくないようです。

しかし、明確な決まりがないものの、ある程度の目安はあります。
ここでは、実店舗がある場合とそうでない場合を紹介していきます。

実店舗がある場合

実店舗での開業の場合はオープンしたその日を開業日にしている方がいます。
ただ、実店舗の場合は初期費用にまとまったお金が必要になることも多く、融資や補助金を受けるケースが多数です。

そうなると開業届を先に出しておいた方が何かと都合が良いことも。
その場合は、物件探しをしたり事業の計画を練ねったりなど、実際に活動をし始めた時期を開業日にしておき提出を行います。

実店舗がない場合

実店舗がない場合の開業届を出すタイミングも、実際に事業の活動を始めた時期が多くなっています。
ただ、この時期は人によって多種多様です。

たとえば、副業からスタートして専業に切り替えることもあります。
そうなると副業を開始した日が開業日になりそうですが、そういうわけでもありません。

副業から専業に切り替えようと思った日を、開業日に設定するのも可能です。
厳密に言えば、副業を開始した時点で開業届を出す義務は発生します。
ですが、その辺りの判断はかなり柔軟になっています。
ただし、開業届の提出はできれば売上の発生以前に行っておきましょう。

これは、開業届を出す前の売り上げは雑収入となってしまうためです。
売上(事業所得)として認められるのが開業届を出した後で、それに関わる経費も認められないので注意が必要です。

開業届を提出するときの必要書類は?

開業届を提出するときの必要書類は、まず開業届そのものです。

新規開業する方が開業届に記載すべきなのは、以下の項目です。

・届出の区分→「開業」に◯をつける
・所得の種類→不動産所得・山林所得・事業(農業)所得から適したものを選択
・開業・廃業等日→開業した日
・事業の概要→これから始める事業の内容をできるだけ具体的に記入
・個人番号(マイナンバー)の記載

国税庁HPから書式のダウンロードが可能です。
ただ、古い書式が残っている場合もあります。その場合はマイナンバーの記載箇所がないので、最新の書式をダウンロードして利用しましょう。

確定申告を青色申告で行う場合には、「有」をチェックします。
(「青色申告承認申請書」を提出する必要がある)
給与の支払が発生するのであれば、給与等の支払の状況や開始する年月日についても記載しましょう。
また、押印も忘れずに行います。
押印は認印でも可能です。できれば、プライベートとは別に事業用のものがあるといいでしょう。

この開業届に加えて、税務署の窓口ではマイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど本人確認ができるものが必要です。
郵送で提出するときは、本人確認ができるものの写しを「本人確認書類(写)添付台紙」に添付します。
また、e-Taxでの提出の場合は現状、本人確認書類は不要です。

開業届を出すメリットは何?

提出の義務はあるものの、副業の場合には開業届を出していない方もいらっしゃいます。
しかし、専業となれば開業届を出すことで得られるメリットは多いものです。
開業届を出すメリットは以下のようなものがあります。

・事業所得税の申告が可能
・損益通算ができる
・青色申告ができる
・屋号で銀行口座が作れる
・モチベーションが上がる

ひとつずつ解説していきます。

事業所得の申告が可能

開業届を出して税務署に認められると、事業所得の申告が可能です。
事業所得として認められるにはいくつかの条件がありますが、そのうちの一つとしてその所得がなくなると生活に支障が出てしまうことがあります。

つまり、副業では事業所得は比較的認められづらいのですが、本業となると認められやすくなるのです。

また、以下で説明しますが、事業所得として申告できると多くのメリットが期待できるようにもなります。

損益通算ができる

事業所得として認められると、損益通算ができるようになります。
損益通算は簡単に言うと、一定期間内の利益と損失を相殺し損失が出た場合、利益からの差し気分を税金から減らすことです。
青色申告で確定申告を行えば最長3年間の損失の繰越で控除も可能です。

青色申告ができる

開業届を出すと青色申告ができるようになります。
青色申告ができるようになると、上記で説明した損益通算ができたり65万円の控除を受けれたりと、非常に大きなメリットがあります。

ただし、青色申告を行うには、開業届とは別に確定申告の対象になる年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなくてはなりません。
こちらの提出先も税務署なので、開業届と同時に提出している方がベターです。

屋号で銀行口座が作れる

開業届を出すと、屋号で銀行口座が作れるようになります。
屋号での銀行口座だと、顧客からの信頼も高くなるでしょう。

また、その他にも事業用の口座があると入出金管理がしやすくなるメリットもあります。
プライベートの口座と事業用分けていないケースも多いのですが、経理の手間を考えると屋号で銀行口座を作っておいた方が管理しやすいでしょう。

モチベーションが上がる

これは精神論的な部分ではあるのですが、開業届を出すとやはり事業に対するモチベーションが上がります。
言ってしまえば、副業であれば開業届を出しても出さなくてもできます。
しかし、事業になると事業の継続ができるかどうかの要素のひとつとして、モチベーションはあるのではないでしょうか。

気持ちの切り替えといった部分でも、開業届の提出は大きな役割があると言えます。

開業届を出すデメリット

多くのメリットがある一方で、開業届を出すデメリットもあります。
開業届を出すデメリットとしては、以下のようなものが考えられます。

・失業保険がもらえなくなる
・副業の場合だと会社にバレる可能性がある
・扶養から外れることもある

ひとつずつ解説していきます。

失業保険がもらえなくなる

開業届を出すと、その時点で失業保険は貰えなくなってしまうことがあります。
そもそも、失業保険は本人に再就職をする意思と能力があることが前提です。

開業届を出し事業を行っている時点で再就職をする意思はないと判断されてしまうのです。
ただし、一定の条件に該当すれば再就職手当の申請を開業届提出前に行えばもらえることがあります。

副業の場合だと会社にバレる可能性がある

副業の場合、その収入を事業所得で申告すると会社にばれる可能性があります。
会社には、会社に納税すべき金額が記載されている「特別徴収税額通知書」が送られてきます。

その場合、事業所得で申告しているのか、雑所得で申告しているのかが分かるようになっています。

雑所得の場合はそれ自体で副業をしていることはバレません。
しかし、事業所得で申告しており、副業を推進していない会社の場合は思わぬトラブルに発展することも考えられます。

扶養から外れることもある

現在家族の健康保険の扶養に入っている場合、開業届を提出するとそこから外れてしまうことがあります。

副業での開業は扶養から外れてしまうと、保険料が高くなってしまことも。
扶養から外れる条件は健康保険によって変わるので、事前に確認をしておきましょう。

もし確定申告をしていなかったら

開業届を出すと事業所得を得ることになりますが、その金額が低いからと言って確定申告をしないのは問題です。
なぜなら、事業所得があるのに確定申告をしなければ「税金逃れ」と解釈されてしまう可能性があるためです。

そうなると、本来よりも支払いが多くなる「追徴課税」が課せられてしまうことも。
最近では簡単に確定申告ができるツールもありますし、手が回らない場合は税理士に依頼する方法もあります。

思わぬ課税にならないように、しっかりと確定申告は行いましょう。

まとめ

このように、開業届には提出すべきタイミング・いくつかの提出方法があり、その手間もそこまで大変ではありません。
にもかかわらず開業届を出すメリットは非常に多く、義務のありなし関係なく個人事業主であれば必ず提出をしておきたいものです。
メリットとデメリットを検討して、今まで提出していなかった方も開業届けを提出してみてはいかがでしょうか。

公開日:2019年12月20日