早期退職とは?他退職との違いや早期退職に成功失敗する人の特徴
最終更新日:2022年09月26日

終身雇用が崩れたと言われて久しく、早期退職をしてセカンドキャリアに踏み出したいと考える人も多くいるでしょう。また、コロナ禍の影響もあり、早期・希望退職者を募集する企業も増えているようです。
この記事では、実際の早期退職とはどのようなもので、退職する際には何について注意した方が良いのかなどについて解説します。早期退職優遇制度の概要や、退職までの段取りなどについても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
早期退職とは
企業側が早期退職者を募集し、それに応じて退職することを、早期退職と呼びます。
以前は早期退職というと、企業の業績不振が理由であることが一般的でしたが、現在は業績好調な上場企業でも行われ、会社都合により人件費の削減や人員構成の整理以外にも、将来のビジネス展開を見据えて早期退職の希望者を募るケースもあるようです。従業員側としてもよりよいセカンドキャリアのために、早期退職を選ぶ人は多いと言います。
また、定年退職よりも早く退職する人に対して退職金の優遇などをする、早期優遇退職制度を設けている企業があります。
早期退職優遇制度の対象となるのは、企業により異なりますが40代以上が一般的です。とくにバブル期以前に大量入社した人たちが50代以上となり、企業の高齢化が進んでしまったことから、年齢構成のバランスをとるために行っている企業もあります。
選択制定年と早期退職の違い
早期退職に似ているものに選択制定年があります。広義では選択制定年も早期退職に含まれますが、制度としては選択制定年制度と早期退職優遇制度は別のものになります。
選択定年制とは定年退職前であっても、従業員が自分で退職年齢を決められるという制度です。50~65歳の間で選択できるようにしている企業も多いようです。制度があることで従業員は自分の人生設計に合わせた年齢で定年退職ができます。
早期退職との違いとしては、条件さえクリアしていれば活用できるのが早期退職に対して、選択制定年はあらかじめ設定していた年齢に達する必要があります。また選択制定年の場合、定年後にそのまま企業に残る人もいます。残った場合には役職から外れて給与が下がることも多いです。
希望退職と早期退職の違い
希望退職とは企業が業績悪化や人員整理の必要性により、退職希望者を募るというものです。希望退職の場合にも割増の退職金が受け取れるなどの優遇措置があります。
希望退職を募ったうえで早期退職優遇制度を利用できるようにしている場合が多くありますが、希望退職は早期退職よりも期間が限定的です。
企業が希望者を募集している期間に退職をするのが希望退職ですが、早期退職優遇制度は福利厚生の一環という意味が強く時限的というわけではないケースが多数です。
FIREと早期退職の違い
働き方やライフスタイルが多様化するなか、最近はFIREという言葉も早期退職と関連して聞くようになりました。FIREとはFinancial Independence Retire Earlyの略で「経済的に自立した状態で早期に退職する」というものです。
経済的には安定しながら自分のライフプランに合わせて退職し、ボランティアや趣味など仕事以外のことを生活の中心にしたり、好きな場所で好きな時間に働いたりする生き方のスタイルを指しています。
世界各国でFIREを目指す人が増えているといわれていますが、ポイントは、経済的に自立しているかどうかということです。会社に勤めている間に十分な貯蓄をし、場合によっては運用利回りなどで生活を成り立たせていきます。
早期退職は会社都合の退職ですが、FIREは自分都合の退職となるので、早期退職優遇制度は利用できません。
早期退職の基本的な流れ
早期退職をするには、基本的に以下のような流れで進めるとよいでしょう。
1.勤めている会社に早期退職優遇制度があるか確認しておく
早期退職優遇制度の内容についてもよく確認するようにしましょう。
2.早期退職後のライフプラン、キャリアプランをしっかりと見直す
大切なのは早期退職後に何をしたいかです。時間をとって十分に考えてみてください。
3.貯金額や早期退職後優遇制度を利用した場合の退職金額などを計算
退職後の家計について考えるほか、早期退職優遇制度を利用し再就職するのと、定年退職まで働くのではどちらが得かについても計算するようにしましょう。
4.転職先探しなど退職後の準備を始める
具体的に、転職先探しや独立の準備を進めます。
5.早めに退職の意向を上司に伝える
退職の意思を伝えるのは、法律上は2週間前までとしていますが、会社によっては1ヶ月前としている場合もあります。引継ぎや取引先に報告することも考えて、早めに伝えるようにしましょう。
6.上司・人事と有給休暇の消化や買い取りについて相談
有給休暇をしっかりと消化するほか、買い取ってくれる企業もあるので確認してみてください。
7.退職
上司、人事と相談して決めた日に退職となります。
以上のような流れになります。早期退職後に困らないように綿密に計画を立てて準備をするようにするのが肝心です。
早期退職で成功する人の特徴5選
早期退職後にまだまだ活躍したいならば、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
1.他社でも通用するスキルがある
どこの会社に行っても通用するスキルを持っている人は成功しやすいといえます。
一つの会社で働いていると世の中全体が見えなくなってしまう場合があります。社内で評価を受け、後輩から持ち上げられたとしても、必ずしも他社でも通用できるスキルを持っているとは限りません。
他社でも通用する実力がないにもかかわらず、前職で高い評価を受けていたからと過信していると、再就職がうまくいきません。
早期退職を視野に入れたら、外部セミナーに参加したり副業をするなどしながら、自分のスキルや知識をアップデートするようにしたほうが良いでしょう。
初心者でも稼げる副業10選!稼ぐためのポイントや副業の注意点を解説
2.人脈が多く信頼されている
多くの人脈を持ち信頼を受けている人は、早期退職後に前職よりも多くの収入を得ている傾向があります。
人から信頼を受けやすい人は、人からの紹介を受けたり、面接で好印象を与えたりすることができ、高待遇の転職を成功させられる可能性があります。
また、人脈を生かして独立を成功させる人もいます。フリーランスや自営業で活躍しようと思った場合、最初の段階で重要になるのが人脈です。人の紹介によって仕事の発注が受けられ、軌道に乗せていくことができます。
3.自分の市場価値を把握できている
客観的に自分の実績やスキルを判断し、市場価値を把握できているかも重要です。
転職をしようとした場合、自分の価値をアピールする必要があります。20代であればポテンシャルを、30代であれば可能性と少しの実績でも十分にアピール材料となりますが、40代以上となると、業務のなかでいかに質の高い結果を生み出せるかが重要になります。
自分のこれまでのスキル、実績を棚卸し、客観的な数字をまじえながらロジック思考で伝える必要があります。
4.退職後のプランを複数用意している
必ずしも転職や独立がうまくいくとは限りません。いざというときに困らないよう、退職後のプランは複数用意しておくことをおすすめします。
退職後の夢や目標があると、どうしても固執してしまって、柔軟な対処ができなくなりがちです。転職先で無理したばかりに体調を崩したり、独立開業で儲けが出ないのに突き進めてしまい借金を作ってしまったりする可能性もあります。
複数の案を用意し、失敗しそうだと思ったらやり直すことも考えるようにしましょう。
5.再就職先の将来性も考えられている
再就職を考えている場合、次に勤めようと思っている企業や業界の将来性も重要です。
40代、50代になっての再就職は、なかなか思い通りにいかないことも多く、労力が必要となります。さらに年齢が上がると、よい再就職先はなかなか見つからなくなる可能性もあります。そこで、何度も転職で苦労を重ねなくて済むようにしたいと考えますが、それには再就職先の将来性が重要です。再就職先の状況を調べ、長く働けるか確認するようにしなくてはいけません。
早期退職で失敗しやすい人の特徴4選
ここからは早期退職で失敗しやすい人のパターンを紹介していきます。前職では評判もよく信頼されていたものの、早期退職後のライフプランがどうしてもうまくいかない人もいます。そうならないためにも、自分の現状や早期退職の進め方について、しっかりと考えるようにしましょう。
1.誰でもできる仕事しかしていない
これまで誰でもできる仕事しかしてこなかった場合、良い条件での転職は難しいかもしれません。また、独立するにしても他人とは違うスキルを持っていないと、新しいビジネスを起こすのは難しいものです。
前職でただ言われたことをそのままやってきた場合には、なかなか自分の市場価値を高めるのは難しいと思っておいたほうが良いでしょう。
もし、誰でもできる仕事しかしてこなかったという場合には、新たに資格を取得するなどして、自分の価値を高めるのをおすすめします。
脱サラに役立つ資格とは?おすすめ資格や資格不要のフランチャイズとは
2.計画が甘いまま見切り発車してしまう
なんでも思い付きや体当たりで行動するようなタイプは、勢いがあるという点ではよいのですが、どうしても計画が甘くなってしまい、退職後の行動が行き当たりばったりになってしまいがちです。
辞めてしまったものの「再就職先が見つからない」「独立開業するほどのスキルがない」では、短期的には失業保険と退職金で補えるものの、やがては家計が立ち行かなくなります。
退職後のキャリアプランやライフプランをしっかりと考えたうえで、成功するために何が必要かを十分に考え、計画的に動くのが成功へのポイントです。
3.目先の利益だけで決断してしまう
収入ややりがいのバランスをとりながら、最終的に早期退職をして良かったとするには、目先の利益だけを見ていてはいけません。総合的かつ長期的に考えることも大切です。
たとえば、早期退職優遇制度により退職金の割り増しが受けられるといっても、長い目でみれば今の企業で働き続けたほうが得かもしれません。
今の会社で我慢したほうが、給与の安定性という点で良いかもしれませんが、早期退職で挑戦しなかったばかりに、本当にやりたい仕事をしそびれる可能性もあります。
目先の利益に捉われるのではなく、10年後、20年後などの先々を考えたうえで、今後のプランについて考えるようにしましょう。
4.誰にも相談せずに決めてしまう
早期退職や転職について、誰にも相談せずに決めてしまうと失敗してしまいがちです。
特に家族については、早期退職や別の仕事を始めることについて、独善的に進めてしまえば亀裂が入ってしまいかねません。
周囲の友人や先輩などに何も相談しないのも注意が必要です。人に相談することをせず、知識や情報を得ないまま進めてしまうと、意外な点でつまずいてしまう可能性があります。自分だけで考えていると客観的な視点も失いやすく、間違った選択をしてしまうかもしれません。
安全に早期退職するための注意点
早期退職を成功させるためにはいくつかの注意点があるので紹介します。退職後の家計費や仕事獲得までのプランなどについてもよく確認するようにしてください。
貯金に余裕があることを確認する
退職時にその後の生活費や活動費を含め十分な貯金があるか確認しておく必要があります。確かに割増された退職金がありますが、老後のためにも、生活費とはわけてある程度とっておく必要があります。
失業保険については会社都合の早期退職の場合にはすぐに支給されますが、離職前の賃金の50~80%になるので、貯金がなければその分、生活費を切り詰めなければいけません。
また、独立開業の場合、事業開始から軌道に乗るまでの生活費分は確実に確保しておきたいところです。すぐに事業が軌道に乗るとは限らず、現金が入るのも少し先になる可能性があります。その間の経費についても考えなければいけません。
2~3ヶ月は無収入で生活ができる程度は確保しておきましょう。
早期退職後のプランを練っておく
収入も含め、早期退職後のプランを練っておく必要があります。何をしたいのかという大きな目標を立てたら、何を準備すべきなのかを割り出していってください。
資格取得が必要になる場合や、転職活動のために自分のスキルや実績をまとめておく必要もあります。独立開業の場合は事務所や店舗をどうするかなども十分な準備が必要です。
年金をもらえるまでの間に、いくらの収入が必要かもシミュレーションしておいたほうがよいでしょう。
家族の同意を得る
40代、50代の場合、家族のために働いているという人も多いかと思います。早期退職をすると収入が減る可能性があるので、家族に同意を得ることが大切です。
もちろん、家族に相談をしても、反対される可能性はあります。かといって、今の職場を無理に続けて心身に不調をきたしては、結局周囲に迷惑をかけることになります。
家族から同意を取り付けるポイントは、全てを決めてから話すのではなく、早い段階で家族に気持ちを打ち明けることです。相談しながらことを進めると、応援を受けられる可能性は高まります。
早期退職後のおすすめな稼ぎ方
早期退職後に、独立開業をしたいと考える人も多いかと思います。退職後にはさまざまな道がありますが、フランチャイズを考えてみるのも手です。
フランチャイズは本部にライセンス料を払うことで、すでにあるブランドや看板、事業のノウハウが活用でき、さらに事業の進め方についてサポートも受けられるため、失敗が少なく独立開業できるという魅力があります。今回は1人でも開業できるフランチャイズを紹介します。
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早期退職についてまとめ
早期退職とは、本来の定年退職年齢には達していないものの、退職をすることを指します。企業側は早期退職に応じた人を優遇する早期退職優遇制度を用意している場合があり、割増した退職金が受け取れるケースもあります。早期退職をする際は、将来のキャリアプランを考えるとともに、自分の市場価値をしっかりと分析し、周囲と相談しながら進めてみてください。セカンドキャリアとしては企業に転職するほか、独立開業やフリーランス・フランチャイズでの開業など、さまざまな道があるので、自分に合ったものをよく考えて選びましょう。
公開日:2022年09月26日