足抜けって?フランチャイズから抜けるには?
最終更新日:2024年09月20日

フランチャイズの開業をしたものの、なかなか計画通りに利益も上がらず、経営状態に悩む方もいるのではないでしょうか。
努力をしてもなかなか結果が出ないとなれば、最終的に考えるのは撤退かもしれません。
しかし、この撤退はタイミングによっては「足抜け」と呼ばれており、トラブルに発展することもあります。
そこで今回は、この足抜けとは何かから、撤退をする前に確認するべきことをお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてください。
フランチャイズでの足抜けとは?
辞書によると、足抜けとは「規則を破って逃げてしまうこと」と定義されています。
ビジネスにおいても、足抜けは前借り金の清算や、約束を果たさずに逃げるといった意味合いで使われています。
フランチャイズでも足抜けがあることがあります。
そこでフランチャイズ本部が取り決めているのが違約金。
違約金を定めておくことで足抜けの防止をしているのです。
違約金を回収すればそれでいいというわけでもなく、フランチャイズ本部としては足抜けをされてしまうと以後の収益が発生しません。
また、フランチャイジーとしては本部との契約を行う際に、収支を含め事業が契約期間内で持続可能かどうかの検討は最重要と言えます。
足抜けの前に!チェックすべき契約書の項目
フランチャイジーの立場から考えても、やはり足抜けは望ましくありません。
しかし、どう考えても契約を終了させざるを得ない状況に陥ることもあるでしょう。
そのような場合、フランチャイズ本部に対して一方的に足抜けを伝える前にチェックしておくべき契約書の項目があります。
そもそもフランチャイズ加盟店としてビジネスを実施するにあたり、フランチャイズ契約は必ず結んでいるもの。
この時のフランチャイズ契約書には、重要事項に加えて解約条件や違約金についての記載もされています。
その中には「契約期間や更新・中途解約・違約金」についてがあります。
特に、契約解約の要件や手続き・違約金の算出方法の理解が必要です。
つまり「どのようにフランチャイズ契約の解約が行われ、違約金はどれくらい発生するのか」といった部分です。
違約金の金額のほとんどは「ロイヤリティの◯ヶ月」といった取り決めです。ただし、この金額は解約に伴う数々のロスの賠償であり、契約終結時に本部が独自に設定しています。
契約終結時に納得がいく説明を受けるのはもちろん、解約を考えた場合にも必ず契約書の確認はしておかねばなりません。
フランチャイズの解約方法4つ
契約書の内容や違約金の確認をしたところで、次に説明するのはフランチャイズの解約方法です。
フランチャイズの解約方法には主に4つの方法があります。
- 契約終了
- 任意解約
- 合意契約時の解約
- 契約解除
これらはそれぞれ性質の異なる解約方法となっており、その性質を理解しておかないと足抜けに大きな影響を及ぼします。
ひとつずつ解説していきます。
契約終了
契約終了は最も穏便な解約と言えます。
というのも、基本的にフランチャイズ加盟店は一定の定められた契約期間での運営を行います。つまり、満期が来たら更新をするか、契約終了とするかを選択できるのです。
ただし、フランチャイズ本部によっては、契約終了の自己申告をしないと自動更新されるケースもあります。契約終了を考えたら必ず契約書を確認し、その契約期間がいつまでなのかの把握が必要です。そして、契約期間内に「更新をしない」意思をはっきり伝えておかねばいけません。
この場合は、契約更新がないことでの解約なので、違約金は発生しません。
任意解約
任意解約は契約期間内に解約することです。
これが足抜けの一番多いパターンとなっており、規定の違約金が発生します。
この時に中途解約に関する内容が契約書に含まれていない場合には、次に説明する合意解約になります。
合意契約時の解約
合意契約はお互いの合意を元に解約の条件も自由に決められます。合意契約はフランチャイズ企業での「中途解約に関する記載がない場合」に結ばれます。
これにより、正当な事情があればお互いに納得できる条件で契約期間内での解約が可能。原則、違約金の発生もありません。
ただし、日頃からこちらが落ち度のない経営を行っていることが前提で、本部側の落ち度の指摘をしなければならないこともあります。
契約解除
契約解除は解約の中でも最も重大なものです。
基本的に契約解除は加盟店が契約に違反した場合、契約期間中に終了となってしまうこと。
この契約解除は、契約による約定解除と法律による法定解除の種類があります。
元々フランチャイズ契約は信頼関係によって成立しているため、契約解除になることは多いとは言えません。
ただ、万が一契約解除となった場合は法的問題にまで発展することも。話が大きくこじれてしまったり裁判沙汰になったりも考えられるケースです。
フランチャイズ解約の違約金2パターン
先ほど説明した契約解除と任意解約の場合、ほとんどの場合違約金が発生してしまいます。また、この違約金には2パターンあり、どのようなものかを理解しておかないと思わぬトラブルに発展してしまうことも。
こちらもひとつずつ解説していきます。
契約解除や任意解約のとき
契約解除や任意解約の時は違約金が発生します。
これは「解約自体」が問題になっているケースです。この違約金は先ほどお伝えしたように、契約時の条件に従って支払を行います。違約金の金額についてはフランチャイズ本部が自由に設定できるため、契約書の確認を必ずしておきましょう。
契約終了後
契約終了後もフランチャイズ企業との関係が切れるわけではなく解約後についても違約金の対象になることがあります。
これも契約書に定められているもので、競業や商標権の侵害などが対象です。
競業とは、加盟していたフランチャイズ企業と同業種もしくはそれに近い業種を行うことです。商標権の侵害については、フランチャイズ企業の名称やサービス名などを使った場合に該当します。
商標権の侵害はともかく、競業においては意図せず違約金の対象となってしまうこともあるので注意が必要です。
違約金を払わなくてもいいケースは?
フランチャイズ本部からすれば、違約金はチェーンの信頼や統一性を維持するためには必要なものです。
とはいえ、中途解約の全てのケースで違約金が請求されるわけではありません。
先ほどお伝えした合意解約もこれに該当しますし、他にも違約金を支払わないで良いケースがあります。
どういうケースかと言うと、フランチャイズ契約を解約したいと考えた原因がフランチャイズ本部側の契約違反にある場合です。
その場合は、債務不履行に基づく解除となり、違約金の負担の必要がなくなります。つまり、フランチャイズ本部が約束を破ったから解約をするといった理論です。
ただし、この場合は契約書をよく読み、フランチャイズ本部に契約違反がないかのチェックと証拠集めは必ず行っておかねばなりません。
基本的に定められた違約金を支払わなくてはならない中途解約の場合でも、違約金の減額や支払わなくても良い場合があります。
それは公序良俗違反に該当した場合です。
どういうことかというと、フランチャイジーの営業の自由や離脱は憲法で保障されている基本的人権のひとつです。
それに対しフランチャイズ本部で多額の違約金が設定されている場合は、解約が制限されているとも解釈できます。この考えにより違約金が一部無効になることもあるのです。
次はその違約金が減額された事例について紹介していきます。
違約金が減額された事例
ここでは違約金が減額された事例を紹介します。
2つの事例を紹介しますが、いずれも「提示された違約金が高額すぎる」といった点が共通しています。これらの違約金減額の背景にあるものはいずれも公序良俗違反とされたパターンです。
【事例1】
最初に紹介するのは、もともと800万円の違約金が30万円の上限を有効とした事例です。
違約金はもともと800万円を規定としていました。
しかし、違約金の趣旨や目的を踏まえ、本部の優越的地位によって不利益となる取引条件を設定したのではないかとの解釈になったのです。
他にも物的証拠や双方の事情を踏まえた上、、800万円から30万円の上限の違約金に落ち着いたというわけです。
もちろんこの場合は、前提としてフランチャイジーの誠実な日々の経営があったということは言うまでもありません。
【事例2】
もうひとつの事例は競業に対する違約金の請求で、その金額を不当としたものです。
元々の契約上で違約金は「ロイヤリティ36ヶ月分を請求する」というものでした。
その違約金の金額は2,300万円となっており、フランチャイジーがはそれを不当として裁判に発展したというわけです。
裁判では競業の禁止は有効としながら、それにしても違約金が高額すぎると判断。
結果的には違約金を6ヶ月ぶんにするという判決を下しました。
このケースだとおよそ1ヶ月あたり64万円の違約金となり、半年分であれば390万円弱になります。
元々の2,300万円の請求から考えると、かなり大きく減額された事例と言えるでしょう。
競業自体はフランチャイジーに落ち度がありますが、その違約金が妥当な金額かどうかはまた別問題というわけです。
まとめ
このように、フランチャイズ途中で抜ける足抜けはフランチャイジーにとってリスクになる場合もあります。
経営が苦しいと1日も早く撤退したいと思うもの。
しかし、そこにはタイミングや確認すべきこと・手順があります。
そもそも、フランチャイズは本部と経営側の共同作業でもあります。
すべてのケースで穏便にとはいかないかもしれませんが、なるべくお互いにとって良い結果で終わりたいものです。
もし脱退を考えているなら、この記事を参考に解約のタイミングから検討してみてはいかがでしょうか。
公開日:2019年12月20日