クリーニング店のフランチャイズ開業・運営に必要な資金とは

最終更新日:2020年07月03日

クリーニング店のフランチャイズは、時世に左右されず安定した収益が見込める人気のビジネスです。
特別な資格や高額な設備が必要なく、未経験者でも参入しやすい業界の一つだと言えるでしょう。

そこで、フランチャイズでクリーニング店を始める前に、まずは知っておきたいのが開業や運営にかかわる費用ではないでしょうか。

今回は、フランチャイズでクリーニング店を始めるときの費用について解説していきます。

目次

クリーニングフランチャイズ開業と運営に必要な資金の目安

クリーニングフランチャイズ開業に必要な資金(初期費用)

クリーニングフランチャイズに必要な運営資金

クリーニングフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

クリーニングフランチャイズ開業と運営に必要な資金の目安

クリーニング店のフランチャイズ開業には、約200~550万円の資金が必要となります。
この費用は、開業資金(初期費用)と運営資金3ヵ月分を合算した金額で、あくまで目安の一つとして考えてください。

加盟金や保証金、ロイヤリティの金額は、フランチャイズ本部によって大きく異なります。
また、店舗に使う物件は新たに契約するのか、アルバイトやパートを雇わず1人(あるいは家族)で運営をするのかなど、開業者それぞれの置かれた状況によって必要となる費用は変動します。

<初期費用の目安>

項目 金額
加盟金 0~30万円
店舗関連費
(内外装費・店舗取得費・店舗設計デザイン費など)
200万円
保証金 20万円
研修費 10万円
合計 260万円

※フランチャイズ本部によって大きな差がある加盟金に関しては、最大値で計算を行っています。

<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>

項目 金額
人件費 0~60万円
賃貸料 0~35万円
消耗品や雑費 0~30万円
ロイヤリティ 0~150万円
合計 275万円

※人件費は店舗によって費用に大きな差があるため、アルバイトやパートを雇用した場合の最大値で計算を行なっています。

※人件費同様に賃貸料も店舗によって異なるため、自身の所有している物件ではなく、新たに物件を契約する場合を想定して計算を行なっています。

※月の売上を150~250万円と想定し計算を行っています。

クリーニングフランチャイズ開業に必要な資金(初期費用)

フランチャイズのクリーニング店は、他の業種と比べて低予算で始められるのが特徴です。

大規模な設備や機器を購入する必要がないため、初期費用を抑えられるかどうかの鍵は「加盟金」「保証金」、そして「店舗関連費」の3つとなります。
特に加盟金と保証金は、フランチャイズ本部によって千差万別です。

無理のない範囲の予算で開業できるよう、まずはおおよその相場を知るようにしましょう。

加盟金

加盟金とは、フランチャイズへ加盟する際に支払う費用のこと。
この加盟金を支払うことで、フランチャイズ本部からサポートを受けたり、ブランドを使用したりすることができます。

加盟金は本部によって差があり、0円から30万円程度がおおよその目安です。
最近では「加盟金ゼロ」を謳う大手フランチャイズ本部が多く、そういった本部を選ぶことで初期費用を大幅に抑えることができます。
加盟金が不要だからといって本部からサポートを受けられないわけでないので、その点について心配する必要はないでしょう。

ただし、加盟金がない代わりに、後から「広告費」「店舗改装費」「名義使用費」など、別で費用がかかるケースも少なくありません。
そのため契約を結ぶ前に、後々どういった費用が発生するのかしっかりと確認しておくことが大切です。

店舗関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)

店舗関連費については、開業される方の置かれた状況によって費用が大きく異なります。

たとえば不動産価格の高い都心部で、これから新たに物件を借りる(あるいは購入する)ケースでは、場合によっては数百万円の費用を覚悟する必要があるでしょう。
一方で地方での開業を考えていたり、すでに自身で物件を所有していたりする場合は、前者よりも大幅に費用を削減することができます。

さらに物件を用意するだけでなく、内装を工事するための費用や、新たに備品を揃えるための費用も用意しなければいけません。

物件を借りる費用や工事費用、備品購入費用など、どこまでが自己負担かはそれぞれの本部によって異なります。
まずはそれぞれのフランチャイズを比較し、自身の予算に合った本部を選ぶのが良いでしょう。

保証金

保証金とは、何らかの支払い(ロイヤリティや仕入れ金など)が滞ったときに相殺される費用のこと。
加盟契約を結ぶ際に支払うケースが多いですが、金額はゼロから数十万円と本部によって差があります。

たとえば大手チェーンのA社とB社の例では、A社は「保証金ゼロ」を掲げているのが特徴です。
一方でB社では、20万円の保証金を支払う必要があり、この保証金は契約期間満了後に返金する仕組みとなっています。

この保証金についてですが、加盟金と同様に本部によっては、保証金をゼロにする代わりに別の費用が高めに設定されている可能性がないとも限りません。
そのため「加盟金・保証金がゼロ!」という言葉にすぐに飛び付くのではなく、「何の項目にどのくらいの費用がかかるのか」をしっかりと確認しておくようにしましょう。

研修費

研修では、主に経営ノウハウや接客技術について学びます。
期間は短くて数日間、長くて2~4週間ほどで、研修にかかる費用は0円(すでに加盟金に含まれている)や10万円程度など様々です。
「丁寧な研修を受けてから開店を迎えたい!」という方は、費用が多少高くても研修期間が長く、内容が充実しているフランチャイズ本部を選ぶのが良いでしょう。

ただし注意しなければいけないのが、社内勉強会や外部の研修会を設けている本部では、交通費などの費用が別途かかる可能性があるということ。
研修にかかわる細かい費用については、契約を結ぶ前に事前に確認しておくようにしましょう。

また、本部のなかには開店前の研修だけでなく、開店後の研修への参加を義務づけているところもあります。
開店後の研修費用は追加で発生するのかどうかについても、事前に確認しておくことが大切です。

クリーニングフランチャイズに必要な運営資金

実際に事業をスタートするとさまざまな運営資金がかかってきます。
その主なものは以下の4つです。

  • 人件費
  • 賃貸料
  • 消耗品や雑費
  • ロイヤリティ

一つずつ解説していきます。

人件費

初期費用の項目でも述べましたが、人件費は開業者の置かれている状況により異なります。

一般的にフランチャイズのクリーニング店といえば、1人でお店を営んだり、夫婦2人交代制でお店を回したりといった形態をとる方が少なくありません。
この場合は人件費がかからないため、運営費を大幅に削減することができます。

一方で中規模から大規模の店舗で人手が足りない場合は、アルバイトやパートを別途で雇う必要があるでしょう。

さらにクリーニング店は朝早くから深夜まで営業をしていることが多く、繁盛店ではどうしても人員が足りなくなってしまうことがあります。

たとえば、時給1,000円で月80時間勤務のアルバイトを1人雇うとすると、その場合の人件費は月に8万円です。
年間にすると96万円と大金になりますので、採用の必要有無は慎重に検討すべきだと言えるでしょう。

賃貸料

開業をするにあたり、新たに物件を借りようと考えている方もいるかもしれません。

フランチャイズのクリーニング店は大型物件である必要はなく、店内は受付カウンターと衣類の保管場所が置ける程度のスペースで十分です。
そのため新たに物件を用意する場合でも、飲食店など他の業種と比べて、契約金や家賃など諸々の費用を抑えられる傾向にあります。

すでに所有している物件や自宅を店舗として活用する方であれば、月々の家賃をゼロにすることもできるでしょう。

また、本部側が店舗を用意してくれるケースもあり、「光熱費のみ開業者が自己負担」や「家賃・光熱費すべて本部が負担」」など契約内容は様々です。

消耗品や雑費

フランチャイズのクリーニング店では、お客様との衣類の受け渡しが主な業務になります。
実際に店舗でクリーニングをするわけではないので、洗剤や染み抜きなどの消耗品を買い揃える必要はありません。
業務をするうえで、必要に応じて不足した備品を揃えるだけです。
本部によっては、包装資材や配事務用品といった日々の雑費を負担してくれるところもあります。

ロイヤリティ

ロイヤリティには、「売上歩合方式」「定額方式」、そして「粗利分配方式」の3つの方式があります。
そのなかでもフランチャイズのクリーニング店では、「売上歩合方式」と「定額方式」を多く採用しているのが特徴です。
売上歩合方式では、「利益」ではなく「売上」に対して発生する点に要注意。
人件費や雑費などを上手く調整し、赤字にならないよう工夫する必要があります。

また本部によってはロイヤリティをゼロに設定しているところもありますが、ロイヤリティがない代わりに別の面で費用が高めに設定されている可能性があるため、よく確認するようにしましょう。

クリーニングフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

クリーニング店における一般的なキャッシュフローシミュレーションは以下の通りです。
(必ずしも当てはまるわけではないので参考程度にしておいてください。)

以下のシミュレーションは、「家族経営(人件費なし)・賃貸物件(家賃の支払いあり)」を想定しています。1日に訪れる客は50人、客単価は1,000円、月の営業日数は25日です。

  • 売上(月)
    125万円
    =1,000円×50人×25日

  • 支出(月)
    94万円
    =870,000円(本部に支払う手数料)+70,000(家賃や消耗品購入費)

  • 利益(月)
    31万円
    =125万円(売上)-94万円(支出)

フランチャイズでクリーニング店を営む場合、月の平均利益は25~35万円程度、繁盛店の場合でも50万円程度が相場です。
年収として考えると、350~500万円程度となります。

日々の運営費用があまりかからないクリーニング店では、人件費と家賃が収益の鍵になり得ると言えるでしょう。

よほどの大型店を除き、クリーニング店の業務は1人で事足りることが多く、夫婦や家族だけで営むケースは少なくありません。
人件費の削減を考えるのであれば、アルバイトやパートを雇わない方向で考えることをおすすめします。

家賃については、すでに所有している物件や自宅を活用することで費用をゼロにすることが可能です。
自宅を活用できるかどうかは本部によって異なるため、複数の本部を比較検討することが大切です。

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公開日:2020年03月26日