猫カフェをフランチャイズで開業するには?費用や注意点、準備などまとめ
最終更新日:2021年06月03日
数年前に大きなブームが訪れてから、依然として安定した人気を集める猫カフェ。
これから猫カフェを始めたいと考えている方は、店舗運営のノウハウを学べるフランチャイズへ加盟するのがおすすめです。
こちらでは、猫カフェフランチャイズの開業にかかる費用や注意点、準備などをまとめているので、開業準備を進める上でぜひ参考にしてみてください。
目次
猫カフェフランチャイズの開業・経営に必要な費用
はじめに、猫カフェフランチャイズの開業・経営に必要な開業資金(初期費用)と運営資金を紹介します。
初期費用
猫カフェフランチャイズの開業に必要な開業資金(初期費用)は、約450~1,500万円です。
<開業資金(初期費用)の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
物件取得費 | 200~400万円 |
工事・設備設置費 | 250~1,000万円 |
猫の購入費 | 0~100万円 |
加盟金や保証金 | 0万円~ |
研修費や広告宣伝費 | 0万円~ |
合計 | 約450~1,500万円 |
主な費用には、物件取得費、工事・設備設置費、猫の購入費、加盟金、保証金、研修費、広告宣伝費などが挙げられます。
猫カフェを運営するための物件は、猫がストレスなく過ごせる広さがあること、そして飲食店用の設備を搬入できることが条件です。
少しでも費用を抑えたい方は、猫の数を少なめにしたり、カフェメニューをドリンクのみにしたりなどの工夫が求められます。
また、猫を購入するときには1匹あたり数万円~数十万円かかりますが、保護猫を引き取る場合は費用がかかりません。
そのほかの費用としては、本部へ支払う加盟金や保証金、研修費、広告宣伝費などが挙げられます。
ただし、これらの費用は本部によって異なるため、契約内容を事前によく確認することが大切です。
運営資金
猫カフェフランチャイズの開業に必要な運営資金は、1ヵ月あたり約80~210万円です。
<運営資金の目安>
項目 | 金額 |
---|---|
人件費 | 0~40万円 |
賃貸料 | 10~30万円 |
猫の飼育・治療費 | 20~40万円 |
カフェの維持費 | 50~100万円 |
ロイヤリティ | 0万円~ |
合計 | 約80~210万円 |
主な費用には、人件費、賃貸料、猫の飼育・治療費、カフェの維持費、ロイヤリティなどが挙げられます。
このなかでも猫の命に関わる飼育・治療費は、万が一の事態に備えて多めに見積もることが大切です。
ワクチン接種や去勢手術などのすでに予定されている出費だけでなく、予期せぬ事故や病気にも備えましょう。
そのほかには人件費や賃貸料、カフェの維持費がかかるのに加えて、本部によってはロイヤリティを支払う必要があります。
資金の調達方法
開業に際して自己資金が足りない方は、日本政策金融公庫や民間銀行から融資を試みるのも選択肢の一つです。
審査では詳細な事業計画書が求められるので、市場調査や資金繰り計画、自店舗の強みなどをまとめておきましょう。
また、猫カフェのようなコンセプトが明確なビジネスは、不特定多数の人から資金を募るクラウドファンディングに向いています。
クラウドファンディングは、資金調達だけでなく宣伝広告としての効果も期待できるので、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。
猫カフェフランチャイズの特徴
こちらでは、猫カフェフランチャイズの特徴を項目別に紹介していきます。
特に経営の注意点と成功・失敗ポイントは、開業後のトラブルを防ぐためにもしっかりと確認しましょう。
サービス内容
猫カフェフランチャイズのサービス内容は、主に下記の通りです。
- 接客対応
- カフェの運営
- 猫の世話・健康管理
- 店内のメンテナンス
- 売上管理
- 経理処理
- 集客
猫カフェフランチャイズのサービス内容は、お客様との接客、カフェの運営、猫の世話、経営業務など多岐にわたります。
そのため経営者が1人で全ての仕事に対応するのではなく、従業員と役割を分担するチームワークが重要です。
猫カフェは、ブリーダーから購入した猫や捨て猫、保護猫などの飼い主としてオーナーが経営するスタイルが一般的ですが、近年は捨て猫や保護猫と新しい飼い主との出会いの場としてお店を経営する保護猫カフェも増えています。
メリット
猫カフェフランチャイズの運営には、収入を得られること以外にも多くの魅力があります。
こちらでは猫カフェフランチャイズを運営するメリットを3つ紹介しているので、「猫カフェ業界の特徴や魅力を詳しく知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
リピーターを獲得しやすい
「家では猫を飼えないから」や「飼い主同士で情報交換したいから」などの理由で、猫カフェをリピートするお客様は多くいます。
猫を飼っていないお客様にとっては気軽に猫と触れあえる場として、猫を飼っているお客様にとっては情報交換の場として利用できるのが猫カフェの魅力です。
猫カフェにはお客様から愛着を持たれやすい性質があり、ほかの業種と比べてリピーターを獲得しやすい点がメリットだと言えます。
ターゲット層をしぼりやすい
猫カフェと違い通常のカフェは、学生や会社員、観光客などさまざまな客層が訪れます。
そのためターゲット層を決めたお店づくりが難しく、ターゲット層の選定が曖昧なまま開業した結果、集客に失敗してしまうケースが少なくありません。
しかし猫カフェの場合は、猫好きな方や外国人観光客など客層をしぼりやすいため、ターゲット層のニーズに合ったお店づくりをしやすい点がメリットです。
競合が少ない
猫カフェは都会に集中しており、地方には猫カフェが1店舗もない地域も存在します。
そのため出店先エリアを工夫すれば、競合と争うことなく唯一無二の存在として人気を集められる確率が高いです。
特にフランチャイズで開業する場合は、本部の資金力を使って大規模な広告を出せるので、個人経営店と比べて地域の話題を呼びやすいでしょう。
デメリット
上記のようなメリットがある一方、猫カフェフランチャイズは物件選びや衛生管理が大変な点がデメリットとして挙げられます。
開業後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、メリット・デメリットの両方に対する理解を深めましょう。
物件選びが難しい
猫カフェを開業するためには、まず動物の入居が許可されている物件を探すところから始めなければいけません。
さらに、匂いや衛生面が原因でトラブルが起こらないよう、事前に近隣住民の理解を得る必要もあります。
猫カフェの開業は物件選びが一つのハードルでもあるので、物件探しが不安な方は本部のサポートを積極的に頼りましょう。
徹底した衛生管理が必要
猫カフェでは同じ空間に何匹もの猫が生活するため、衛生管理を怠れば大きなトラブルにつながるリスクが高まります。
悪臭に対するクレームだけで済めばまだよいですが、最悪の場合は感染症で猫の命が危険にさらされるため注意してください。
また料理を提供する場合は、料理に猫の毛が入らないようにしたり、手洗いを周知したりなど食事するときの衛生環境にも気を配る必要があります。
猫カフェ以外のカフェ経営にも興味がある方はこちらをチェック!
猫カフェフランチャイズ経営の注意点
猫カフェフランチャイズの経営には、ほかの業界にはない注意点がいくつかあります。
不要なトラブルを避けるためにも、そして猫たちの命を守るためにも、猫カフェフランチャイズ経営の注意点を確実に押さえましょう。
営業時間
動物愛護法では、猫カフェの営業時間を22時までと定めています。
また22時までの営業を守るのに加えて、下記の規定も遵守しなければいけません。
- 猫の年齢が1歳以上であること
- 猫が休憩スペースへ自由に移動できること
- 猫の労働時間が12時間を超えないこと
- 生後11年以上の高齢猫には定期的な健康診断を受けさせること
上記は猫の健康を守るための規定であり、経営者は必ず従う必要があります。
猫の健康管理
猫の健康管理は、猫カフェの運営で必ず徹底すべきポイントです。
特に元野良猫を保護して開業する場合は、寄生虫の有無や病気にかかっていないかを事前に詳しく検査する必要があります。
適切な治療をせずに店内へ入れてしまえば、ほかの猫やお客様へ病気がうつる可能性があるため注意してください。
健康診断やワクチン接種、ノミ取りなどを忘れず行うことはもちろん、経営者は猫の健康管理について従業員へしっかりと教育することが大切です。
衛生面
デメリットの章でもお伝えしましたが、猫カフェの運営において店内の衛生管理は非常に大切です。
開業前の保健所による審査では、店内にケージが設置されているか、調理場と猫のスペースが分離されているか、清掃や換気の設備が備わっているかなど、さまざまなポイントをチェックされます。
開業直前になって「保健所から許可が下りない」と焦ることのないよう、保健所に相談しながら店舗の設計や工事を進めましょう。
猫カフェフランチャイズ経営の成功・失敗ポイント
こちらでは、猫カフェフランチャイズの成功・失敗ポイントを3つまとめています。
たくさんの人に愛される猫カフェフランチャイズを運営したい方は、下記3点をぜひ参考にしてみてください。
共感を呼ぶコンセプトを掲げる
猫カフェへ訪れるお客様の目的は、ただ猫に触れ合いたいだけの方もいれば、保護猫活動に興味がある方もいます。
そのため店舗のコンセプトを明確にし、コンセプトに共感するお客様を取り込むことが根強いファンの獲得につながります。
例えば猫カフェのなかには、お客様との生活を通して保護猫が人間に慣れることを目的とした「泊まれる猫カフェ」があります。
保護猫サポートのような社会的メッセージを全面に出す猫カフェは、猫の保護活動に興味がある方の共感を呼ぶ効果が期待できるでしょう。
店内ルールを明確にする
猫カフェではお客様が猫に引っ掻かれたり、逆にお客様が猫をケガさせたりといったトラブルが起こるリスクもゼロではありません。
トラブルにより世間の信頼を失わないためには、事前に店内ルールを明確にしトラブルが起こる確率を下げることが大切です。
例えば写真撮影をするときはフラッシュをたかないこと、猫が嫌がっているときは無理に触らないこと、素足で店内を歩かないことなどが考えられます。
予期せぬ出費にも備えておく
猫は人間と同じ生き物であり、事故や病気で病院を利用することがあります。
そのため運営資金を考えるときは、不測の事態に備えた医療費を多めに見積もることが大切です。
医療費は動物病院によって異なるため、開業までに診察料や治療代の目安を調べておくのがよいでしょう。
猫カフェフランチャイズの開業・経営に必要な準備
猫カフェフランチャイズを開業・経営するためには、事前に資格を取得したり設備を搬入したりといった準備が必要です。
こちらでは、実際に猫カフェフランチャイズを始めるときの準備について詳しく解説していきます。
資格・許可取得
猫カフェを開業するためには、下記の資格取得と手続きを済ませる必要があります。
- 動物取扱責任者の資格取得
- 第一種動物取扱業の登録
- 防火管理者の資格取得
動物取扱責任者の資格取得
「動物取扱責任者」は、猫カフェのように営利目的で動物を取り扱う事業者が1つの店舗に対し必ず1人配置しなければいけない資格です。
動物取扱責任者になるには、以下のいずれかの条件を満たさなければいけません。
- 獣医師免許取得者
- 愛玩動物看護士免許取得者
- 半年以上の実務経験、または1年間以上の飼養経験+学校(1年以上)などの卒業
- 半年以上の実務経験、または1年間以上の飼養従事経験+資格などの取得
半年以上の実務経験は、常勤の職員に限られるので注意が必要です。
動物取扱責任者の資格は、各自治体で実施される研修を受けて取得します。地域で異なりますが、東京都での手数料は2,500円です。(2021年6月3日時点)
第一種動物取扱業の登録
「第一種動物取扱業」は、猫カフェなど営利目的で動物を取り扱う事業のことを指し、開業前に各自治体での登録が必須です。
東京都で登録を行う場合の手数料は15,000円です。5年ごとに更新が必要なので、その点にも注意しておきましょう。
防火管理者の資格取得
収容人数が30人以上の猫カフェを開業・経営する場合は、「防火管理者」の資格も必要です。
甲種と乙種と種類が分かれており、甲種の場合は約10時間(2日間)、乙種の場合は約5時間(1日)の講習を受けると取得できます。
種類 | 講習時間 | 受講料 |
---|---|---|
甲種 | 10時間(2日間) | 8,000円 |
乙種 | 5時間 | 7,000円 |
上記は猫カフェの開業に際して必ず取得・手続きすべき項目で、店内で飲食物を製造して提供する場合は、加えて「食品衛生責任者の資格」と「飲食店の営業許可」を得る必要があります。
店舗
猫カフェの店舗物件を契約するときは、本当に猫カフェを運営できる物件なのかどうか確認することが大切です。
糞尿の処理や匂いについて厳格に規定されている物件は、そもそも猫カフェの運営が現実的ではない確率が高いため注意してください。
開業するエリアにはどのような人が住んでいるのか、ニーズがあるかなどを調査し、集客が見込める立地で店舗を探すことも大事です。
また、余計なトラブルを避けるためには契約内容を確認することはもちろん、大家さんがどのくらい猫カフェへの理解があるのか話を聞いたり、開業前に近隣住民へ許可を得たりといった事前準備も必要になります。
設備
猫カフェを運営するためには、さまざまな設備を用意する必要があります。
給水器・給餌器具、トイレ、遊び道具など猫が生活するための設備のほか、異臭対策用の空気清浄機なども揃えなければいけません。洗い場は、衛生面を保つために猫と人間用の2ヵ所以上あると良いでしょう。
また、飲食物を取り扱うため、厨房設備の工事と搬入も必要です。
猫カフェでは猫用品を洗うスペースと食器を洗うスペースを分ける必要があるため、2つ分の洗い場を設置できる物件を選ぶことが大切です。
猫カフェフランチャイズ経営を成功させるには事前準備が大切
猫カフェフランチャイズを始めるためには、ただ店舗と猫を用意すればよいわけではありません。
開業に必要な資格を取得したり、衛生管理を学んだりなどの事前準備が重要です。
開業準備は本部がサポートしてくれるため、本部のアドバイスを受けながら万全の状態で開業できるよう準備を進めましょう。
公開日:2021年02月15日