車検フランチャイズの開業・運営に必要な資金とは

最終更新日:2021年03月22日

車検フランチャイズは、自動車整備工場やカー用品店、板金屋などさまざまな業種が参入する注目のビジネスです。

こちらでは、車検フランチャイズの開業に必要な資金を詳しく解説しているので、「自動車関係の事業で安定した売り上げを得たい」という方はぜひご覧ください。

目次

車検フランチャイズの開業と運営に必要な資金の目安

車検フランチャイズの開業に必要な資金(初期費用)

車検フランチャイズに必要な運営資金

車検フランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

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車検フランチャイズの開業と運営に必要な資金の目安

車検フランチャイズの開業に必要な資金の目安は、940~2,340万円です。
この費用は、開業資金(初期費用)と運営資金3ヵ月分を合算した金額で、あくまで目安の一つです。

実際の費用は本部の契約条件や店舗の規模、経営者の開業時の状況(すでに物件を所有しているかどうか)によって異なることに留意してください。

<開業資金(初期費用)の目安>

項目 金額
加盟金・保証金 100万円
店舗・工場関連費 500~1,500万円
工具一式購入費 10~50万円
Webシステム導入費 0万円~
研修費・広告宣伝費 10~30万円
合計 約670~1,680万円

<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>

項目 金額
賃貸料 90~180万円
人件費 150~300万円
整備用のパーツ購入費 30~150万円
Webシステム使用料 0万円~
ロイヤリティ 0~30万円
合計 約270~660万円

※上記の初期費用と運営資金は開業時の状況によって異なることを前提に、売り上げが月200~400万円規模の店舗であると仮定し各項目を計算しています。

以下でそれぞれの項目について一つずつ解説していきます。

車検フランチャイズの開業に必要な資金(初期費用)

ひとまとめに車検フランチャイズと言っても、車検のみ行う本部や自動車の買取販売も行う本部など事業形態によって初期費用が異なります。

こちらでは、初期費用の項目を詳しく解説しているので、自店舗の開業ではどのような費用が発生するのか照らし合わせながら考えてみてください。

加盟金・保証金

多くのフランチャイズ本部では、契約時に加盟金と保証金を徴収しています。
事業規模の小さいフランチャイズ本部では加盟金が0円のこともありますが、車検フランチャイズの場合は基本的に費用がかかると考えたほうがよいです。

例えば『マッハ車検グループ』は90万円、『オートバックス』は100万円の加盟金を支払う必要があるので、目安として参考にしてみてください。

ただ、それぞれの本部で加盟期間が異なるのに加えて、加盟金のなかに研修費や広告宣伝費が含まれていることがあるので、契約内容をよく確認することが大切です。

また、加盟金のほかに保証金も支払わなければいけませんが、保証金は契約満了時に返金される費用なので、加盟金ほど金額にこだわる必要はないでしょう。

店舗・工場関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)

すでに自動車整備工場や板金屋などを経営している方は、現在の店舗に車検用の設備を追加したり、指定工場の取得手続きをしたりするだけでよいケースが多く店舗・工場関連費を抑えやすいです。

事前に無料商圏調査をしてくれる本部もあるので、「現在の事業に車検事業を追加したら、どのくらい売り上げが伸びるのか気になる」という方はぜひ依頼してみてください。

新たに車検事業を始める方は、自動車を点検・整備するための工場やお客様の待合スペース、事業形態によってはカー用品の販売スペースなどが必要です。

そのほかには内装・外装の工事費、点検・整備で使う設備などの出費も発生するため、ゼロから車検フランチャイズを始める場合は1,000万円を超えることも珍しくありません。

店舗・工場関連費は初期費用のなかでも大きな割合を占めるので、開業前にしっかりとシミュレーションし現実的な資金繰り計画を立てましょう。

工具一式購入費

店舗のほかには、点検・整備で使う工具一式を準備します。
また、多くの車検フランチャイズでは車検以外にも日々の点検や傷の修理なども行っているので、業務に必要な道具は一通り揃えなければいけません。

必要な工具の種類や調達方法については事前によく確認する必要がありますが、契約時の開業パッケージのなかに工具の支給が含まれている本部もあるようです。

Webシステム導入費

車検フランチャイズの運営では、ITシステムを導入して業務の効率化や顧客満足度の向上を図る本部が多く、システム導入時に費用がかかるケースがあります。

例えば『マッハ車検グループ』では、マッハタッチと呼ばれるお客様と整備場をつなげるタッチパネルを業務に活用しているのが特徴です。

このタッチパネルはお客様が車検中の様子をライブカメラで見たり、整備に使われた部品の情報を確認したりするために使われます。
どのように自動車が整備され何の部品が使われたのかが分かるため、会計の明瞭さに安心感を覚えると好評です。

このようなシステムの使用料は加盟金や広告宣伝費に含まれていることも多いので、開業前によく確認しましょう。

研修費

店舗を開業する前に、経営者は本部や多店舗で研修を受けます。
研修では車検業界や店舗運営、経営などを一通り学ぶことになるため、特に業界の経験が浅い方は、多少費用が高くても内容が充実した本部を選ぶのがおすすめです。

研修内容や期間はそれぞれの本部で異なりますが、『車検の速太郎』では経営者向けに店舗オペレーションや広告宣伝活動の教育を直営店で実施しています。
経営者だけでなく整備士や検査員、フロントスタッフなどにも開業前研修を実施しているため、従業員それぞれが一通りの知識を身につけてから開業が可能です。

また『車検のコバック』は繰り返し何度も学べるeラーニングサイトを提供しているなど、本部によって研修内容は大きく異なります。

広告宣伝費

フランチャイズへ加盟する際は、本部から集客のサポートを受けるために広告宣伝費を支払うことが一般的です。

ただ、広告宣伝費と研修費は加盟金にあらかじめ含まれていたり、費用が0円だったりする本部もあるため、費用に疑問を感じたときは本部に確認してみてください。

車検フランチャイズには広告・宣伝に力を入れている本部が多く、テレビ・ラジオCMや各メディアを通じた全国キャンペーンなどさまざまな手法で顧客獲得を試みています。
また、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客向けに定期的なハガキやDMを送ることも車検フランチャイズでは重要です。

集客サポートの充実度は売り上げに直結する重要な項目なので、費用の安さだけを見て飛びつくのではなく各社のサポート内容をしっかりと比較しましょう。

車検フランチャイズに必要な運営資金

車検フランチャイズの運営資金には、賃貸料や人件費、整備用のパーツ等購入費などさまざまな項目があります。
また、フランチャイズに加盟する場合はロイヤリティを支払わなければいけないため、金額や支払い方法に納得した上で契約を結ぶことが大切です。

賃貸料

車検フランチャイズの賃貸料は、本部の事業方針や店舗の規模によって大きく異なります。

例えば『オートバックス』のような総合カー用品店は、豊富なラインナップの店内スペースに加えて、販売用の自動車やタイヤを展示する敷地が必要です。
そのため小規模なカー用品店や整備専門店と比べて、賃貸料は高くなる傾向にあります。

賃貸料は毎月発生する軽視できないコストのため、自分が開業する店舗の規模ではいくら費用がかかるのか事前の正確な調査が重要です。

人件費

車検フランチャイズの運営では、フロントスタッフや整備士を雇います。
自店舗では何人の従業員が必要となるのか事前に予測を立て、毎月どのくらいの人件費がかかるのかまずは計算してみてください。

車検フランチャイズは接客業務や点検・整備など業務が多岐にわたるため、多くの従業員が必要なイメージがあるかもしれません。
ですが、なかには2人の整備士で年間1,000台の車検を行っていたり、アルバイトスタッフだけでフロント業務を回していたりする加盟店もあります。

フランチャイズ本部には人件費を抑えるためのノウハウが蓄積されており、個人で車検事業を始めるよりも効率的に運営できる点が強みだと言えるでしょう。

整備用のパーツ等購入費

客数に応じて、自動車の整備やメンテナンスで使う部品を仕入れます。

自動車の整備やメンテナンスではタイヤのような値を張るものが多いので、できれば加盟店同士の共同購入システムなどで仕入れ費が安く済む本部を選ぶのがおすすめです。

また、部品だけでなく、カーオーディオやカーナビ、内装・外装パーツなどのカー用品も取り扱う場合は、商品の仕入れ費用が発生します。

Webシステム使用料

初期費用でもお伝えした通り、多くの車検フランチャイズは予約・売上管理や集客ツール、部品在庫の確認などの業務でWebシステムを活用しています。

本部によってはシステム利用費という形で毎月費用がかかることもあれば、広告宣伝費やほかのサポート費のなかに含まれていることもあります。
また、POSシステムをリースする場合などは、毎月のリース料も忘れてはいけません。

ロイヤリティ

フランチャイズへ加盟すると、本部のノウハウやブランド力を借りる代わりにロイヤリティを毎月支払います。

ロイヤリティの支払い方法は、売り上げによって金額が変わる売上歩合方式や、あらかじめ金額が決められている定額方式などさまざまです。
参考までに、車検フランチャイズのなかには車検1台あたり1,000円と設定している本部もあります。

本部からサポートを受ける以上ロイヤリティが発生するのは仕方ないことですが、「ロイヤリティが高すぎて収益が伸びない」とならないよう注意してください。

収益を着実に伸ばすためにも、売り上げに対してどのくらいロイヤリティが引かれるのかを計算し事前におよその収益予測を立てましょう。

車検フランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

車検フランチャイズ『マッハ車検グループ』の場合、キャッシュフローシミュレーションは以下の通りです。
(必ずしも当てはまるわけではないので、参考程度にしておいてください。)

今回は、1ヵ月あたりの売上高が約340万円の店舗をモデルに算出しています。

  • 総粗利益高(車検と整備) 340万円 =1台あたり2.4万円×100台(車検の粗利益) =1台あたり1万円×100台(整備の粗利益)

仮に賃貸料を30万円、人件費を85万円(総粗利益高の25%)、水道光熱費を5万円、ロイヤリティを10万円(車検1台あたり1,000円×月100台)とすると、210万円が店の利益です。

この340万円の総粗利益高は開業1年目の状況を指しており、上記シミュレーションでは2年目が月510万円、3年目が月680万円と売り上げが伸びる計算となっています。

車検は2~3年に1度必ず行うため、1度自店舗のサービスを利用したお客様はそのままリピーターとなることが少なくありません。
そのため新規顧客の獲得に成功すれば、長期にわたり安定して売り上げを伸ばすことが可能です。

また、車検でお客様と信頼関係を築ければ、日々の点検や不具合の修理などほかの機会にも利用してもらう機会が増え、車検以外の事業の売り上げも伸びる傾向にあります。

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公開日:2021年03月22日