ペットフランチャイズの開業・運営に必要な資金とは

最終更新日:2021年05月19日

ペットフランチャイズは人気がある一方、命を扱う業種なので開業するには高額な資金が必要なイメージもあります。

そこで今回は、ペットフランチャイズの開業・運営に必要な資金をご紹介。
必要な資金や目安を詳しく紹介しますので、ペット業界で独立をお考えの方は、ぜひ開業前の参考にしてみてください。

目次

ペットフランチャイズの開業と運営に必要な資金の目安

ペットフランチャイズの開業に必要な資金(初期費用)

ペットフランチャイズに必要な運営資金

ペットフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

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ペットフランチャイズの開業と運営に必要な資金の目安

ペットフランチャイズの開業に必要な資金の目安は、1,947~2,007万円です。
この費用は、20坪程度のペットショップと仮定した場合の開業資金(初期費用)と運営資金3ヵ月分を合算した金額で、あくまで目安の一つです。
ペットショップを開業する場合、開業資金では店舗関連費、運営資金では生体やペットグッズの仕入れ費が大きな割合を占めますが、店舗の立地や規模、提供サービスなどによって大きく変動します。

<開業資金(初期費用)の目安>

項目 金額
加盟金 300万円
店舗関連費
(物件取得費・内装工事費・設備費など)
820万円
保証金 40~100万円
資格取得 2万円~
研修費 30万円
仕入れ費
(生体・ペットグッズ)
200万円
広告宣伝費 30万円
合計 1,422~1,482万円

<運営資金の目安 ※3ヵ月分用意した場合>

項目 金額
人件費 135万円
賃貸料 60万円
水道光熱・通信費 42万円
ロイヤリティ 30万円
仕入れ費
(生体・ペットグッズ)
216万円
広告宣伝費 42万円
合計 525万円

※月の売上を200万円と仮定し、各項目を計算しています。

以下で一つずつ項目を解説していきます。

ペットフランチャイズの開業に必要な資金(初期費用)

ペットフランチャイズの開業に必要な主な資金(初期費用)は、

  • 加盟金
  • 店舗関連費
  • 保証金
  • 資格取得
  • 研修費
  • 仕入れ費
  • 広告宣伝費

です。
特に、加盟金や保証金、研修費は加盟する本部によって異なるので、事前にしっかり確認しておきましょう。

加盟金

ペットフランチャイズの開業に必要な加盟金は、加盟する本部や業種によって大きく異なります。

  • ペットショップ…44~300万円
  • ペットシッター…46~66万円
  • ペット葬儀…120万円

加盟金のほかに、保証金や研修費、備品費などが含まれた金額が提示されている場合もあるので、その点にも注意して確認しておくことをおすすめします。

店舗関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)

ペットフランチャイズの開業に必要な店舗関連費(物件取得費・内装工事費・設備費など)は、20坪程度のペットショップの場合、約820万円です。

生体やペットグッズを販売するスペースを確保するほかに、防音性や消臭効果の高い内装工事・設備が必要になるので、比較的高額になりやすい費用です。

店舗型のペットショップの場合、店舗関連費が大きな割合を占めますが、通信販売専門のペットショップやペットシッターの場合は、店舗がなくても開業できます。

また、ペット葬儀に関しても比較的小規模で始められるので、店舗関連費を抑えやすいです。

保証金

ペットフランチャイズの開業に必要な保証金は、40~100万円です。

加盟金と同様、フランチャイズ本部によって異なり、なかには加盟契約金に保証金が含まれているケースもあるので十分な確認が必要です。

資格取得

ペットフランチャイズでペットショップやペットホテルなどを始める場合、資格取得が必要で、約2万円~の費用がかかります。

主に必要な資格は、

  • 動物取扱責任者
  • 第一種動物取扱業

です。

動物取扱責任者

動物取扱責任者は、施設管理や動物の健康・安全保持など、動物取扱業の適正な運営を監督する役割があります。
ペットショップなどの店舗ごとに必ず1名以上常勤させる必要があり、この資格がないと第一種動物取扱業の登録申請ができません。

動物取扱責任者になるには、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 獣医師免許取得者
  • 愛玩動物看護士免許取得者
  • 半年以上の実務経験、または1年間以上の飼養経験+学校(1年以上)などの卒業
  • 半年以上の実務経験、または1年間以上の飼養従事経験+資格などの取得

※半年以上の実務経験は、常勤の職員に限られます。

各自治体で行われる動物取扱責任者研修を受けることで取得可能です。手数料は地域で異なり、東京都の場合は2,500円かかります。※2021年5月7日時点

第一種動物取扱業

第一種動物取扱業は、営利目的で動物(哺乳類、鳥類、爬虫類に限る)を取り扱う行為のことで、開業前に各自治体で登録をする必要があります。
第一種動物取扱業に該当する業種は以下の7つです。

種別(業の内容) 業者の例
販売
(動物の小売及び卸売り並びにそれらを目的とした繁殖、または輸出入を行う業(その取次ぎや代理を含む)
小売業者、卸売業者、販売目的の繁殖または輸入を行う業者、露天などにおける販売のための動物の飼養業者、飼養施設を持たない(インターネットなど)取次ぎ・代理販売業者
保管
(保管を目的に顧客の動物を預かる業)
ペットホテル業者、美容業者(動物を預かる場合)、ペットシッター
貸出し
(愛玩、撮影、繁殖その他の目的で動物を貸し出す業)
ペットレンタル業者、映画等のタレント、撮影モデル、繁殖用等の動物派遣業者
訓練
(顧客の動物を預かり訓練を行う業)
動物の訓練・調教業者(出張も含む)
展示
(動物を見せる業※ふれあいを含む)
動物園、水族館、動物ふれあいテーマパーク、移動動物園、動物サーカス、乗馬施設・アニマルセラピー業者(ふれあいを目的とする場合)
競りあっせん
(動物の売買をしようとする者のあっせんを行う業)
会場を設けてのペットオークション
譲受飼養
(動物を譲り受けて飼養する業)
老犬・老猫ホーム

動物取扱責任者と同じく各自治体で手数料が異なり、東京都の場合は1種別につき15,000円必要です。
ペットショップ(販売)とペットホテル(保管)を行う場合は2種別同時申請となり、手数料も25,000円と変わるので注意しておきましょう。※2021年5月7日時点

研修費

ペットフランチャイズの開業で必要な研修費の目安は、約30万円です。

研修費が0円、または加盟金に含まれているなど、フランチャイズ本部によっても異なるのでしっかり確認しておきましょう。

仕入れ費(生体・ペットグッズ)

ペットフランチャイズで生体・ペットグッズの販売を行う場合、開業前に仕入れ費が必要になります。

取り扱うペットの種類や頭数などによっても変わりますが、20~25頭で約150万円。ペットグッズを含めて200万円程度を目安に考えておくと良いでしょう。

ペットシッターやペット葬儀などのフランチャイズでは生体やペットグッズの仕入れは基本的に不要なので、費用を抑えることができます。

広告宣伝費

ペットフランチャイズでは、開業前にホームページの作成やチラシなどでの宣伝を行う場合があります。

広告宣伝の規模や頻度にもよりますが、30万円程度確保しておくと安心でしょう。

ペットフランチャイズに必要な運営資金

ペットフランチャイズに必要な主な運営資金は、

  • 人件費
  • 賃貸料
  • 水道光熱・通信費
  • ロイヤリティ
  • 仕入れ費
  • 広告宣伝費

です。
運営資金では人件費や仕入れ費が大きな割合を占めますが、店舗の業種や規模などによって大きく変動するため、事前にしっかり確認しておくことが必要です。

人件費

ペットフランチャイズに必要な人件費は、ペットショップの場合1ヵ月あたり売上の約23%です。

雇用人数や形態によって変動するため、計画的な採用が必要だと言えるでしょう。

ペットシッターやペット葬儀のフランチャイズの場合、店舗を構えて営業するペットショップより比較的小規模で、少人数で始められるケースが多いので、毎月の人件費も抑えやすです。

賃貸料

ペットフランチャイズに必要な賃貸料は、1ヵ月あたり売上の約10%です。

店舗の立地や規模によって異なる費用ですが、売上によって賃貸料が負担になってしまうケースも少なくないので、できれば10%以下に抑えられると良いでしょう。

また、ペットフランチャイズには、ペットシッターなどの店舗を必要としない業種もあるので、毎月の費用をできるだけ抑えたいという方は選択肢の一つとして考えてみてください。

水道光熱・通信費

ペットフランチャイズに必要な水道光熱・通信費は、1ヵ月あたり売上の約7%です。

特に店舗を構える必要があるペットショップの場合、店舗の規模や稼働時間・日数などによって大きく変動します。

ロイヤリティ

ペットフランチャイズに必要なロイヤリティは、1ヵ月あたり売上の約5%です。

加盟するフランチャイズによっても異なり、ロイヤリティが0円、毎月固定の場合もあります。

ロイヤリティの支払いが負担になるケースも少なくないので、その点にも注意して本部を決める必要があるでしょう。

仕入れ費(生体・ペットグッズ)

生体やペットグッズの販売を行うフランチャイズの場合、1ヵ月あたり売上の約36%の仕入れ費がかかります。

販売状況によって毎月の仕入れ費は変動しますが、仕入れ費とは別にペットの飼育費や餌代、医療費なども必要になるので、ある程度の費用を見込んでおく必要があるでしょう。

依頼者のもとでサービスを提供するペットシッターやペット葬儀の場合は、特に費用のかかる生体の仕入れが不要なので、運営資金を大幅に抑えられる可能性があります。

広告宣伝費

ペットフランチャイズでは、開業後も継続的に集客するために広告宣伝を行います。

どのような媒体でどのくらいの頻度行うかにもよりますが、1ヵ月あたり売上の7%程度で考えておくと良いでしょう。

ペットフランチャイズのキャッシュフローシミュレーション

全国にペットショップを展開するフランチャイズ本部『センチュリーペット』の場合、キャッシュフローシミュレーションは以下の通りです。
(必ずしも当てはまるわけではないので、参考程度にしておいてください。)

今回は、1ヵ月あたりの売上高が約800万円、60坪の店舗をモデルに算出しています。

  • 総粗利益高
    457万円
    =800万円(売上高)ー 343万円(売上原価)

  • 営業利益
    140万円
    =457万円 ー 317万円(家賃や人件費、水道光熱費などの販売管理費)

ペットショップのような生体を取り扱うフランチャイズの場合、仕入れ費の負担が大きくなります。
また、仕入れから販売までには飼育費や餌代、医療費なども発生するので、しっかり利益を残していくには、店舗運営のノウハウやテクニックが必要です。
フランチャイズであれば、本部のノウハウを使って開業できるので、個人で開業するよりスムーズに黒字化が狙えるでしょう。
ペットフランチャイズにはさまざまな業種や本部があるので、自分に合った選択ができるように複数からじっくり検討してみてください。

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公開日:2021年05月11日