撮影会で稼ぎながら大学受験!?紆余曲折のグラビアアイドルが語る「少し変わった脱サラ」
最終更新日:2024年09月20日

脱サラや独立と聞くと、長年会社で働いて資金をしっかりと貯めてから挑戦するイメージがあるかもしれません。ですが、今回紹介する山田かなさんは、営業職からグラビアアイドルとして独立し、さらに大学受験も突破した、一般的な「脱サラ」とは少し異なる流れで独立した人物です。
グラビアアイドルとしての活動や大学生活など、自分のやりたいことを叶えるために邁進する山田さんに、独立の経緯や仕事をしながらの受験勉強、さらに今後の目標などを伺いました。
最初は小さな撮影会から…少しでも興味があれば、まずは挑戦してみたい
今回取材したのは、業界で大注目のグラビアアイドルの山田かなさんです。今や撮影会や雑誌など各所から引っ張りだこの山田さんですが、脱サラして人気のグラビアアイドルになるまでにはさまざまな苦労がありました。
現在の仕事内容や収入について教えてください。
山田さん「グラビアアイドルをしています。具体的には雑誌や少年誌、DVDのイメージビデオに出たり、撮影会に参加したり、あとはたまにインターネットTVに出演したりしています。撮影会に多く出ていたときの年収は、500万円くらいでした」
撮影会とはどのようなシステムなのでしょうか。
山田さん「スタジオに水着を着た女の子が集まり、一般のお客さんが自分の好きな女の子の写真を撮影するシステムです。撮影会の参加募集がかかるので、女の子は基本的にその募集に応募して参加します。ただ私の場合は、「うちの撮影会に出ませんか?」とスカウトされたのがきっかけで、小さな会場から徐々に大きな会場の撮影会に参加するようになりました」
スカウトされてすぐに撮影会に出られるんですね。参加するまでは、やはり悩んだのでしょうか。
山田さん「実際に撮影会に出る前までは腰が重いのですが、出ると決めた以上は100%の力で取り組むようにしています。最初にスカウトで声をかけられたときは、「危なくないの?」や「自分が人気でるわけない」と悩みました。ただ、やってみなければ分からないので。自分の興味の有無を100%のうち半々で分けて、1%でも興味がある気持ちが大きければ挑戦するようにしています」
テレアポで営業成績1位に…相手の立場を考えられる強みを活かした
グラビアアイドルを始める前は、どのような仕事をしていたのでしょうか。
山田さん「高校を卒業してすぐに家を出て、18歳で独り暮らしを始めました。そのときに就いた仕事が、GUCCIやISSEY MIYAKEなどのアパレルショップ店員です。もともと服がとても好きだったこともあり、この仕事に就きました。派遣から正社員になる道もあったのですが、諸々の事情からアパレルでの正社員の話を断って営業職の会社員になりました」
その会社員の仕事とは。
山田さん「テレアポの仕事ですね。個人やスポーツショップ、ゴルフ場などに電話し、スポーツ用品を販売していました。当時は、営業成績で1位を取っていたこともあります。男性ばかりの仕事だったので、紅一点の女性というアドバンテージで商品が売れやすかったのかもしれません」
しかし、女性だからという理由だけでは1位はなかなか取れませんよね。
山田さん「もともと他人の顔を伺うのが得意だったので、それが営業成績に反映されたのかもしれません。今のグラビアの仕事でも、ほかの女の子から「山田さんは相手の欲しい言葉を汲み取るのが上手だよね」と言われます。この性格が、電話口でも発揮したのだと思います。
あと、商品を販売するときは「うちの商品を買ったら良いと思うよ」と本心で話していました。商品を購入するメリットを伝えた上で、「そんなに無理しないでくださいね」というニュアンスで伝えていた記憶があります」
大学進学を決意!テレアポの仕事で貯めた資金で大学費用をまかなう
テレアポの仕事で1位を獲得した山田さんですが、約2年勤めた後に退職することになります。
どうしてテレアポの仕事を辞めたのでしょうか。
山田さん「大学に入るためです。高卒だと営業の仕事でしか雇ってもらえず、この仕事を一生続けていくのは難しいなと感じました。転職したいと思っても、高卒だと選択肢が少ない。大学で自分のやりたいことを見つけつつ、大卒というひとつの免許証のようなものを得られたら良いなと」
大学の入学金や学費も高いですよね。
山田さん「テレアポの仕事で稼いだお金を使いました。手取り30万円くらいでしたが、ボーナスも出たのでトータルで400万円くらい貯まりました。ただ、それでも少し費用が足りなかったので、受験勉強をしながら撮影会のバイトもしていました」
この撮影会の仕事から派生して、現在のグラビアの仕事を始めたのでしょうか。
山田さん「そうですね。まだ撮影会であまり人気がなかった頃、ホームページを見た方が「この子はDVDを出したら売れる」と撮影スタジオに連絡をくれたのが始まりです。そこから事務所に紹介してもらい、DVDを出すに至りました。
ただ、当時所属していた事務所の力が弱かったのか、それとも私に嘘をついていたのかは分かりませんが、ギャラが撮影会で1日稼ぐよりもかなり安かったのです。そのような事情から最初の事務所は辞めることになり、現在所属している事務所の社長に拾ってもらいました」
1日10時間の勉強で大学合格!仕事と学業を両立するなかで大学休学も視野に
高校卒業してから全く勉強していなかったのに、よく大学受験に合格しましたね。
山田さん「死ぬほど勉強しました。1年半の受験勉強期間のうち、最初の半年間は塾に通っていません。ただ、「このままだと落ちてしまう」と思い、残りの1年間は塾に通いました。予備校に朝7時に着いて、帰るのが21時。1日10時間は勉強していたと思います。偏差値は、最終的に28から64まで上がりました」
受験の勝算はあったのでしょうか。
山田さん「ありません。失敗したとしても、最初の生活や選択肢に戻るだけですから」
では、大学に行きながら今はグラビアの仕事もしているのですか。
山田さん「はい。週6日稼働しているので、かなり忙しいですね。ですが、テレアポ時代と比べて今は自分のやりたいことをできているので、体感としてはあまり辛くはありません。
ただ、大学は一度休もうかなとも考えています。グラビアと学校を天秤にかけたとき、グラビアは一度でも業界を出ると戻ることはほぼ不可能。それに対してアカデミックは、勢いではなく淡々とやっていく世界。大学には、また戻れば良いとも思っています」
芸能の仕事を辞めるのは、自分がどこまでできるのか挑戦してから
グラビアの仕事と学業を両立しながら、自分のやりたいことに突き進む山田さん。ただ、「全てのことは自分の心を壊してまでやるものではない」と話し、一度大学を休むことも検討しているそうです。「今はグラビアに集中したい」と考えている山田さんですが、何か目標はあるのでしょうか。
山田さん「役者としての活動も、とても気になっています。しかし、芸能に関して知識が乏しいし、自分には何が向いているのか分かりません。私は今の社長に拾ってもらった身なので、まずは走るだけ走ってみようかなと思っています」
起業などは考えたことないのでしょうか。
山田さん「そこまで自分でできる気がしないので、考えたことはありません。ただ、本当にやりたいことが見つかったときは、起業するかもしれません。最終的には役者になれていたら良いなとは思いますが、実際のところは分かりませんから。
大学卒業後は、芸能の仕事を辞めようという気持ちもあります。ですが、その前に芸能界で自分はどこまでいけるのかを知りたいです。区切りを付けるためにも、「2年後にここまでになっていなかったら辞めよう」というラインを決めようと思っています」
【独立前に読む】独立はだれでもできるがだれでも成功できるわけではない
脱サラで成功するためには「周囲に流されず常に自分に問いかける」こと
脱サラしたいと思いつつ、失敗が怖くて挑戦できない方も少なくありません。取材の最後、山田さんに脱サラ成功のコツや、周りの意見に対するとらえ方などを教えてもらいました。
山田さん「もともとSNSのフォロワーは200人くらいでしたが、今では10万人を超えています。そこで思ったのは、とにかく考えを柔軟にすることが大切なのではということです。
私が今まで会ってきた人たちを見て思ったのは、「自分が正しくて相手が間違っている」という考え方は失敗の一歩手前だということ。自分のなかで「私これでいいの?」と問いかけるのは辛いですが、それでも常に問いかけることが大切なのかなと思います」
脱サラでは周りの声が気になる方も少なくありません。周囲の声に対しては、どのように捉えるのが良いと思いますか?
山田さん「最終的には自分が決めることなので、周囲の声をそこまで聞く必要はないと思います。他人の意見を取り入れることは素敵ですが、その意見を言ってくる人と自分は全く違う人間です。その人の意見を含めた上で、自分の意見を持つことが大切なのではないでしょうか。そのためにも、自分に対して常に問いかけることが必要なんだと思います」
アパレルショップ店員からテレアポの仕事、大学受験、グラビアアイドルと、柔軟な発想と強い意志を持って自分の人生を切り開いてきた山田さん。これから脱サラを考えている方は、枠にとらわれない山田さんの生き方を参考にしてみるのも良いかもしれません。
公開日:2022年10月14日